私たちの提案(2023)

第3章 実現めざし全力をつくします―日本共産党の重点政策

6、雇用の拡大と働くルールを守る施策を、安定したやりがいのある仕事を

市内で増える非正規・派遣労働者

労働者のまち川崎。市内でも非正規雇用が増加しています。※下記表参照

2017年度就業構想基本調査では、川崎市内の会社などの役員を除く雇用者は77万9000人と5年前に比べて9万9500人、約10万人増えています。正規職員・従業員の割合は65・8%、非正規職員・従業員は34・2%で、2012年の調査時とほとんど割合は変わらず、正規と非正規が固定化されている状態です。派遣職員は1・6倍にも増えています。所得階級でみると、年収300万円未満は、前回調査より3万2000人増え34万7000人と全体の42・6%を占めました。50万円未満は若干減ったものの、50万円から99万円は0・5%増え、10%を超えました。250万円から499万円は、32・5%と2・3%減少しています。一方、1000万円以上が増え、特に年収1500万円以上では、191・2%と約2倍となり、所得格差が広がり中間層が少なく2極化がすすんでいます。低所得層の増大は、非正規雇用労働者の雇用環境に連動していることがわかります。

国の補助金や「キャリアサポートかわさき」に頼った川崎市の就職決定者の内訳をみると正規雇用が30%、非正規雇用が70%です。2015年度に正規雇用を希望する登録者が実際に正規で就業したのは36・9%です。2007年6月に開設した当初は正規雇用の決定率は64%でしたが、年々正規雇用の決定率は減少しています。正規雇用の求人開拓件数を増やすためには、市独自で求人開拓員を増やすことが必要です。正規労働が当たり前で、人間らしい働き甲斐のある仕事(ディ.セントワーク)を広げる政策を市として推進することが必要です。

中小業者への支援で正規雇用拡大を

東京都は3年間で1・5万人の非正規労働者を正規労働者にし、不本意非正規を半減する目標値を示し、実施。非正規を正社員に転換した企業に国と都から最大100万円を支援。正社員を採用した中小企業に一人当たり15万円支援など手厚い施策展開をしています。川崎市の調査でも、正規雇用の拡大が進まない理由として、「資金不足」が挙げられており、中小企業が正規雇用の拡大に取り組めるように奨励金を助成すべきです。

鳥取県や山口県・兵庫県などでは、地元企業に就業した方の奨学金返還を支援する制度が創設されています。人材確保を求めている市内の中小企業や介護や保育、福祉現場などが多数あるなかで、地元産業界などと協力し、奨学金の利子や返還を助成する奨学金返還制度の創設が必要です。

北九州市でも、市が認定する企業等に就職し、市内に居住した場合、就職後2年から4年目に年間最大18万円を3年間54万円補助する事業を実施しています。川崎市でも、他の自治体で進めている施策を研究し、正規雇用への転換を促進すべきです。

2012年就業構造基本調査より2017年就業構造基本調査より

無法な市内大企業のリストラ許さず

大企業が容赦なく進める大リストラがすすんでいます。電機・情報ユニオンが2017年末まとめた106企業、社員数212万3765人の内、38万543人が人員削減の対象となっています。13の電機大企業・グループだけで35万人を超えます。パナソニック、東芝、日立、ルネサスエレクトロニクス、ソニー、NEC、富士通、シャープ、リコー、TDKの10社は1万人規模のリストラを強行しており、その人員削減は社員の1割~6割に相当する大規模なものです。こうしたリストラは、営業利益率で5%前後の高業績上げるほどの黒字を維持しているにも関わらず、更なる利益追求目的で労働者を選別し退職に追込むものです。

東芝は、1万人リストラを強行(2016年3月)。グループ3社で300人のリストラ(2018年3月)を行いました。また、NECは今年度中に国内で45歳以上の2万人を対象に7人に1人にあたる3000人のリストラを進めています。売上高、営業利益を増やす中での黒字リストラです。市内に1万5~6,000人、国内最大規模の玉川事業所があり、影響は避けられないと考えます。労働者を犠牲したリストラを繰返させない為に、本市は今度こそ労働者の雇用・生活と地域経済を守る立場で市長の権限で雇用対策本部を設置し責務を果たさなければなりません。

市職員の働き方改善を

2017年度の市職員の長時間労働の実態は、いまだ深刻です。残業時間が年480時間を超えた職員は307人、過労死ライン月80時間を超えた職員は372人、年1000時間を超えた職員は5人もいます。本来、36協定では、時間外・休日勤務の限度時間は年360時間で、「予見できない臨時または緊急の業務が集中」する場合でも年480時間です。これを超え、さらに過労死ライン、年1000時間を超えて働かされている職員がまだいること自体、大問題です。

多摩区役所・保健福祉センター、上下水道局・第2、第3配水工事事務所、交通局塩浜営業所は、17年度に労働基準監督署から勧告を受けています。また、長期療養者数やメンタルによる長期療養者数は、15年度より逆に増えており、復職の相談を除いた職員保健相談室への相談件数は、15年度の2倍以上になっているなど、長時間労働が職員の健康状態にも影響を与えていることがわかります。

長時間労働の最大の原因は、職員のリストラです。川崎市の人口は、この10年間で14万人増えているのに、逆に職員は約1200人減らしました。市は、「働き方・仕事の進め方改革」で、36協定の遵守と年480時間超の時間外勤務を行った職場への調査、改善を行うとしていますが、ほとんどの職場で、時間外の仕事量に見合う職員の増員はされていません。市の改革で示されている年休・産休・育休の完全取得、これからの人口増を考えると人員増が必要です。高校生の就職先確保に力を尽くす

2017年度川崎の市立高校生5校の内定状況は、全日制で99・1%、定時制で90・2%です。16・17年度とも11人が未内定で業しました。川崎市の非正規雇用者は、雇用者の34%を超える26万6千人、97年の約11万1千人から15万5千人、5年前の調査から比べても4万5千人増加しています(2017年就業構造基本調査)。川崎市は、市の職員として青年の採用を拡大するとともに、「雇用の安定」をすべき行政として、不足している保育士、介護士などの処遇改善を行うなど福祉分野のみならず、市内中小企業に働きかけるなど、正規雇用を増やしていく支援策をとるべきです。

《お約束》

  • 働く人々が安定した雇用でまともに暮らせる賃金を得られるよう、不安定雇用の正社員化、均等待遇などを企業に働きかけ、市としても推進します。
  • 東京都1万5千人、鳥取県1万人などに学び、正規雇用の抜本的な拡大を図ります。
  • 中小企業が一人正規雇用すると50万円、100万円助成など中小企業支援策を創設し、市内企業での正規雇用拡大策をはかります。
  • 市内企業に就職すれば奨学金の返済に助成することで、正規雇用の拡大をはかります。
  • 市内大企業に雇用や地域経済への社会的責任を果たさせ、無法なリストラを許さない対策を強化します。
  • リストラによる下請け中小企業への影響調査をおこない、地域経済に大きな影響を与えることが明確な計画は是正を求めます。
  • 労働時間短縮やサービス残業をなくし、労働基準法を守るよう企業に働きかけます。
  • 若者をはじめ働く人間を使いつぶすブラック企業対策を強めます。
  • 国や県と連携を密にし、労働組合とも協力し、労働相談と生活相談を一体的に相談できるよう共同の取り組みをすすめます。労働実態にあわせ、街頭労働相談の回数増や時間延長など、労働相談の拡充を図ります。
  • 市内企業に市内在住の新卒者・青年を優先して雇用するよう働きかけるなど若者の正規雇用拡大に力をつくします。
  • 若者の就職支援にとって重要な役割を果たしている「若年者キャリアカウンセリング」「就職準備セミナー」などの相談窓口の体制を充実させ、青年の雇用対策を緊急的に取り組みます。
  • 市民サービスの低下につながる市職員の削減をやめ、足りない福祉・教育・消防分野の雇用を拡充します。
  • 官製ワーキングプアを生みださないために公務労働における非正規職員化をやめ、正規職員の採用に切りかえます。
  • 市が臨時職員を採用する場合は、最低賃金を時給1000円以上とします。全国全産業一律最低賃金制度をつくること、最低賃金を時給1000円以上にするよう、国に働きかけます。
  • 福祉・教育・防災など市民要求実現で約6200人の新たな雇用創出を図ります。

市民がよろこぶ福祉型投資で地域経済を元気に日本共産党の提案

※保育園の増設で約2200人(84ヵ所✕26人)、特別養護老人ホームの増設で約2800人(40ヵ所✕70人)、教員の定数内欠員341人の解消と30人以下学級を中学校まで実現で744人計1085人、消防職員を国基準まで増員することで135人の新たな雇用創出をはかることができます。生活密着型公共事業を拡充することは建設関連の雇用創出にもなり、認可保育所84ヵ所増設で約34万人、特養ホーム約40ヵ所で約24万人、のべ約58万人の雇用創出になります。(国土交通省の資料より試算)