市民の願いを行政と議会に届け、市民要求を実現
前回の川崎市議会選挙で、日本共産党は改選前の10議席から1議席増の11議席へと前進し、自民党、公明党に次いで民主党と並び市議会第3会派となりました。
11人になった市議団は、自民・公明が応援する福田市政の福祉・くらし切り捨て、大規模開発優先の市政運営と対決。市民の声と願いを議会に届け、市民運動と力を合わせ、ねばり強い論戦と条例提案など建設的提案で市民要求を実現し、市政を動かしてきました。
1、福祉・くらしの守り手として、市民要求を実現してきました
〈子育て支援策と教育環境〉
こども医療費無料化の拡充が実現
お金の心配をしないでこどもをお医者さんに連れて行きたい―小さいお子さんを持つ若い親にとって、小児医療費無料化の拡充は切実な願いです。共産党は、そうした願いに応えて、中学3年生まで所得制限なしの医療費無料化を一貫して要求し、一歩一歩前進させてきました。
福田市長は2013年市長選で「小学6年生までの医療費無料化をすぐに議会へ提案する」と公約。当選後、当初は実現する姿勢がない市長に公約実現を迫ったのは共産党だけでした。自民党は議会で「財源の裏付けがない。公約は撤回することもあるのか」と迫ったのをはじめ、公明党も公約を実現しない福田市長の責任を追及する姿勢はありませんでした。
市民のみなさんと結んだ共産党の毎議会の追及で、市長はとうとう、2017年度から小学6年生まで小児医療費助成制度の拡充を実施すると明言しましたが、上限500円の負担金導入と引き換えというひどいものでした。
2019年4月から、小6までの入院医療費助成の所得制限を撤廃すると表明。所得制限の撤廃は共産党と市民の長年の主張でした。しかし、入院と通院とで分ける根拠はまったくなく、他の政令市でも分けているところはないことを示し、通院にも所得制限の撤廃を求めています。また高校生まで小児医療費助成の実施、とりわけ、中学生までの助成はすぐに実施することを求めています。
中学校給食がついに実現!
保護者・市民のみなさんと共産党の20年以上にも及ぶ長い間の運動が実り、中学校給食が実現しました。2017年1月から単独自校調理方式の2校の開始に始まり、12月からはセンター方式も含めて全校実施となりました。共産党は実施が決まった後も、自校調理方式が子どもと学校にとっても地域経済へのメリットという点でも優れており、可能な限り自校調理方式を採用するよう議会で迫ってきました。また、給食が子どもの口に入るまで安全・安心なものにすること、食育の観点から栄養士の配置などを求めてきました。その結果、栄養士の配置と増員・見回り、食物アレルギーへの対応など一定改善させてきました。引き続き、安全・安心の中学校給食を目指して取り上げていきます。
認可保育園増設で市政をリード
「待機児童をゼロにする」との公約を掲げて当選した福田市長。14年4月「待機児を62人にまで減らした」と発表。しかし、そこには、保護者が「自宅で求職中」などの場合は待機児にカウントしないなどのカラクリがありました。日本共産党は一貫して入所申請して入所できなかった児童数を公表させるとともに、入所できなかった保留児童数を待機児童とカウントすべきであり、潜在的な希望者数にこたえる増設計画にすべきだと主張してきました。
2017年度、本市が待機児童に含めていなかった「産休・育休中」のうち、厚生労働省がようやく「育児休業中の保護者の子ども」について待機児童にカウントすることを認めました。このことは無論ですが、入所を希望する児童全てを待機児童にカウントするよう、引き続き求めていきます。
根本的には認可保育園不足が原因です。共産党はこの4年半の入所希望数の増加は9363人に達する事実を示し、就学前児童に占める申請率も2013年4月の27・4%から2017年10月は38・6%へと10%以上増加しているのに、市総合計画では「7000人の受け入れ枠確保」にとどまっていることを指摘。少なくとも1万人以上の増設計画が必要だと要求。こうした論戦の結果、その後第2期実施計画に4年間で8665人の保育受け入れ確保が盛り込まれました。引き続き、実態に合った増設を求めていきます。
就学援助制度―前倒し支給が実現
神奈川県内では7割を超える自治体が就学援助の基準を「生活保護基準の1・3倍」としています。こうした実態を示し、川崎市も1・3倍に引き上げることを要求。また、入学準備のために費用が大きな負担となっていることから、7月に支給するのではなく、入学前支給に切り替えるよう要求。3月に支給されることになりました。また、横浜市などで就学援助の対象としている「体育実技用具費」「生徒会費」「PTA会費」などを援助対象に加えることを求めました。
少人数学級の拡充に力を尽くす
保護者・教員の切実な願いである少人数学級。2012年度から国が小学1年生の35人以下学級の実施に踏み切りました。川崎市は市民の強い要望と粘り強い運動で2010年から小学1年生まで実現していましたが、国の予算と合わせ、小学2年生まで実現することになりました。共産党は、川崎市の不登校児童生徒数が減っていない現実に鑑みるならば、その対策としてもっとも有効な少人数学級を小学3年生以上に拡充すること、また、「中1ギャップ」を乗り越えるためにも、中学1年生まで実施することを求めてきました。
2017年度から、教職員の給与等の負担や学級編成の標準を決める権限が県から政令市に移管されました。県費移管を機に35人以下学級を拡充する政令市が増えています。川崎市でも政令市移管という新たな条件を生かし、少人数学級を全学年に拡大するよう求めてきました。
高校奨学金を希望する生徒全員に支給を
格差と貧困が広がるなか、川崎市の給付制の奨学金は経済的に困難な家庭の高校生にとってなくてはならない制度です。12年前の03年度の予算は5557万円でしたが、年々減額され、2012年度には4322万円と1千万円以上も減額されました。応募者数は年々増え、2012年度には1277人にも及ぶのに採用は350人にとどまっていました。こうした事態に市は、2014年度から予算総額を変えず収入基準を生活保護基準とし、さらに成績面を3・5以上とし対象者と給付額を見直す(公立高校3年生の場合、12万3500円の支給額が4万6000円に7万7500円も減額)条例改定。受給資格の絞り込みと給付額の大幅削減を内容とする大改悪でした。
2016年度には基準を満たした申請者でも「入学支度金」で49人、「学年資金」で202人が奨学金を受けられませんでした。格差・貧困の増大に見合った規模に予算を拡充し、希望するすべての生徒が受給できるようにとの度重なる共産党の要求に、2017年度予算では前年度並みの申請者数で基準を満たした生徒全員に支給できるよう増額されました。
《高齢者施策》
介護保険料の据え置き・値下げを
介護保険料制度が開始されたときの介護保険料基準額は2950円でした。その後、3年ごとに改定されるたびに3218円、4033円へと値上げ。共産党は、根本的には国の負担部分を増やすことを求めるとともに、介護給付準備金を全部取り崩し、県の介護保険財政安定化基金からも充てること、保険料段階を細分化すること、そして一般会計からの繰り入れを行なうことで値上げをできるだけ抑えるように一貫して要求してきました。
2015年の改定に際しては、市の提案では13段階から14段階に細分化しても大幅な値上げが避けられないということから、日本共産党は、さらなる細分化で15段階にすること、低所得の保険料負担割合を現行より下げること(0・5→0・40へ)などあらゆる工夫をして保険料の値上げを抑えるよう条例案を提案して奮戦。
2018年の改定では、委員会で6000円を超える保険料になるとの説明があり、共産党は、将来に備えるのも必要だが、現在の市民の負担を下げることに使うべきであり、準備基金の全部取り崩しを要求。さらに、法律上禁じられていない一般会計からの繰り入れで引き下げを行なうよう強く要求。5825円と285円の値上げとなりましたが、高い保険料であることは変わりありません。引き続き、値下げに向けて頑張ります。
《地域経済活性化に向けて》
住宅リフォーム助成制度創設を
建設業のみなさんの切実な要望を受け、共産党は、住宅リフォーム助成制度創設を07年度から毎年の予算要望書で要求項目にいれるとともに、議会でもたびたび求めてきました。2011年、2015年には「住宅リフォーム資金助成条例」を提案。自民・公明・民主の反対で否決された後もねばり強い論戦を続けてきました。ようやく市は住宅リフォーム助成をおこなった場合の経済波及効果について、一時的なものという限定をつけつつも認めざるを得なくなっています。引き続き求めていきます。
中小企業振興条例の制定
市内中小企業のみなさんの長年の運動と共産党と一緒になった粘り強い運動の結果、「川崎市中小企業活性化のための成長戦略に関する条例」、すなわち中小企業振興条例が制定され、2016年から施行されました。共産党は中小業者の皆さんとの懇談などを繰り返し行ない、また、先行して制定している北九州市などを視察して、条例の内容を組み立て、審議することを通して反映させるよう頑張ってきました。さらに実効性のあるものに改善を求めていきます。
税金を使う仕事で“ワーキングプア”をつくらせない
政令市初の公契約条例を実現 賃金ルール確立へ一歩
2010年12月議会で、市発注の予定価格1000万円以上の清掃・警備・事務など業務委託契約、または予定価格6億円以上の工事請負契約を受注した企業に、市が定める額以上の賃金を労働者へ支払うよう求める「公契約条例」(市契約条例の一部を改正する条例)が成立しました。
委託業務に従事する労働者の賃金は「生活保護額」を、請負工事労働者については、「公共工事設計労務単価」を基準として、最低賃金を定めます。事業者に、市の事業に携わる責任を自覚させ、労働者が生活できる賃金を確保させることで、「安値入札競争」などによる労働環境悪化に歯止めをかけ、工事や業務の質を確保することが目的です。この中には、自らが労働力を提供する「一人親方」も含まれます。
条例施行後、対象となった契約は、工事・委託・指定管理の合計でのべ1076件、関係労働者はのべ27万8654人、毎月平均では7740人です。
◆市民のねばり強い運動で
川崎市建設労働組合協議会は1998年から毎年、市との交渉で公契約条例の制定を求めてきましたが、市は「条例が労働条件に介入することは、憲法違反の可能性がある」と主張し、足を踏み出そうとしませんでした。
それでも協議会は川崎労連と連絡会を立ち上げるなど、ねばり強く運動を続け、05年には「公契約条例の制定を求める請願」を市議会に提出。委員会では、共産党議員が請願採択を求める論陣をはりましたが、他の会派が採択を拒んだため継続審議となり、事実上の不採択になりました。
◆視察や質問を重ねた共産党市議団
党市議団は、公契約条例への発展をめざして「調達に関する基本方針」を定めた東京都国分寺市の川合洋行市議(当時)らを招きシンポジウムを開く(08年)など、運動と学習を重ね、制定に力をつくしてきました。
建設業界の民主団体らが世論を広げたことに後押しされ、全国各地で公契約条例制定をめざす動きが進みます。09年9月、千葉県野田市が全国初となる公契約条例を制定。同市を視察した市議団は12月議会の代表質問で野田市の制定を紹介し、低入札価格のしわ寄せで、低賃金に苦しむ下請け業者や労働者のために条例を制定するよう、強く求めました。
これに対して、阿部市長(当時)は「条例制定に向けて検討を進める」と答弁。
10年3月議会では「一人親方」を対象労働者に含めること、最低賃金の決め方などについて労働組合など関係団体との協議・懇談に応じることなどを要求して、条例制定を促してきました。
条例案が出された12月議会では、雇用不安が課題となっている短期契約について「雇用継続の努力義務を入れるべきだ」と改善点をただしました。市は「課題と認識している。関係局と協議していきたい」と述べています。
◆市内中小企業発注比率の向上を
今回の改正のもう一つの注目点は、「市内中小企業者の受注機会の増大を図ること」を初めて条例に明記した点です。
共産党市議団は、これまで市内中小企業の発注率(物件・工事・役務の合計金額の比率は2007年~2011年平均で56・6%)が低いことを指摘し、これを引き上げるとともに、発注比率の目標を持つよう求めてきました。
《雇用を守り、拡充する取組み》
若者・市内高校生の正規雇用の拡大を
総務省の2016年平均の労働力調査では、非正規雇用の割合が37・5%と調査開始以来最も高くなりました。東京都は非正規雇用1万5千人を正規雇用に切り替える方針のもと、様々な施策を展開しています。共産党は、川崎市でも目標数を掲げて実効性のある正規雇用への転換策を取るべきだと主張。非正規労働者を正規雇用に転換した中小企業への助成制度創設や中小企業に就職した若者に対する奨学金返済支援事業など他都市に学びあらゆる支援策を取るよう毎議会で要求してきました。引き続き実現まで求めていきます。
市職員の働き方をただす
地方自治体の職場で長時間労働による過労死が続き、労働基準監督署から是正勧告も出されています。2015年度の市職員の実態は、年360時間を超えた職員は942人、年480時間を超えた職員は478人、年1000時間以上の職員は28人もいることが判明。年480時間以上の職員数はこの5年間で200人以上も増えており、過労死ラインとされる月80時間以上残業した職員は528人にものぼっている異常な実態を告発。市に改善を約束させました。
《まちづくり―武蔵小杉周辺の開発で対策》
中原区の武蔵小杉駅周辺は国の都市再生・規制緩和路線にのり、無秩序な再開発がすすみ、当初から危惧されていた社会的インフラ整備の不足が現実の問題となり、保育園不足や小中学校の過密化などの問題が顕在化。日照妨害、風害、交通混雑など様々な環境問題が噴出しています。とりわけ、深刻化なのは武蔵小杉駅の混雑で、横須賀線の武蔵小杉駅~西大井駅間が193%、南武線の武蔵小杉駅~武蔵中原駅間が改札に入るまで長い行列ができる横須賀線・武蔵小杉駅190%という混雑度です(「東洋経済」2015年度JR線混雑度ランキングより)。
共産党はホームの拡幅、ホームドア設置を毎議会追及。川崎市はようやく、拡幅・設置を約束。しかし、今後も1万5000人もの人口増が見込まれ、こうした再開発の手法を改めるよう引き続き求めています。
《防災・震災対策》
2011年3月の東日本大震災発生の後も2014年の熊本地震、大阪北部地震、西日本豪雨災害、強風や高潮の被害を出した台風21号、全道の電源が焼失した北海道胆振東部地震など、これまでにない災害被害が頻発しています。共産党は、東日本大震災発生の後ただちに対策本部を設置。全議員が市内の被災状況をつかみ奮闘。被災され、川崎市に避難されている方々の意見・要望をまとめ、市長に対策を求めてきました。その後、地震や災害、風災害、台風被害などが起きるたびに被災地への募金活動を取り組むとともに、川崎市の対策の見直しを求めてきました。住宅耐震化の拡充を求めるとともに、消防職員の増員や救急隊の増車など要求。また、避難所のあり方に対する国際基準である“スフィア基準”に照らして見直すことなど求めるとともに、要援護者対策、再生可能エネルギーへと政策の見直しを要求してきました。
住宅耐震化の促進―耐震シェルターや耐震ベッド、一部屋耐震が実現
防災対策の要である耐震化補助事業。これまで川崎市は2分の1の補助でしたが、共産党の度重なる要求に、3分の2の補助率に改善されました。しかし、3分の1は自己負担のため、利用数が増えません。共産党は他都市のように補助を率でなく、額で行うよう要求。そうすれば上限額までの利用が可能です。耐震ベッド、シェルター、一部屋耐震、転倒防止金具、防災無線の改善、避難所の拡充などきめ細かい対策を求めてきました。2016年度の予算では共産党の要求が実り、耐震シェルターや耐震ベッド、一部屋耐震が助成対象に拡大されました。
コンビナート災害対策で論戦
東日本大震災以来、臨海部コンビナート地区の災害対策について専門家に調査を委託し、その結果を市民の皆さんとともに考えるシンポジウムの開催などを実施してきました。
放射線量の測定を毎年実施
2011年3月の東日本大震災発生以来、共産党は、7行政区で各議員が市民とともに毎年2~3月にかけて市内の空間放射線量の測定を行ってきた。2018年は77ヵ所169ヵ所にのぼり、2011年と同一ヵ所は105ヵ所。そして、測定結果についての分析、経年の量の変化をグラフに表し、市民の皆さんにお知らせしてきました。
2018年に行った放射線量調査の結果について
2018年3月11日 日本共産党川崎市議会議員団
1)日本共産党川崎市議会議員団は2011年6月から7行政区の議員が責任者として毎年2〜3月にかけて放射線測定を行い、その他にも随時測定を行ってきた。今年も2月6日から3月4日まで、11人の市議会議員を責任者として77カ所の公園等で169カ所の空間線量を測定した。そのうち2011年と同一箇所で測定し、比較可能な測定箇所が105箇所あった。
2)比較可能な105箇所について、同一箇所で測定したもっとも古い測定値と比較したところ、線量が低減したのは99箇所(94.3%)、増加したのは4箇所(3.8%)、変わらなかったのが2箇所あった。前年より増加している箇所はあったが、連続して増加する傾向を示す箇所は一つもなかった。
3)セシウム134、セシウム137の半減期をみると、2011年6月末から今回の2018年2月までの間に、放射線量は当初の45.9%程度に低減すると考えられる。上記「1」と同様に比較可能な箇所の測定値をみると、放射線量は当初の58.4%(昨年より7.7ポイント減)であり、半減期よりも高いものの低減傾向を続けている。
4)以上のことから、放射線量は引き続き減少傾向にあると言える。ただ、一部線量が増加している箇所もあるので、市議団として引き続き測定を行っていきたい。