大規模開発推進を批判~佐野議員が代表質問
川崎市議会第3回定例会で6月25日、佐野仁昭議員が代表質問に立ち、市民の願い実現に背を向けて大規模開発を推し進める福田紀彦市長を厳しく批判しました。
佐野議員は、羽田連絡道路など不要不急の大規模整備事業を行う理由をただし、子どもの医療費助成制度については、中学校卒業までの拡充と所得制限の撤廃を求めました。
福田市長は、整備事業推進のまともな理由は述べず、事業は市の持続的な成長に不可欠だとして「早期整備に向け、全力で取り組む」と強調。子どもの医療費助成制度の拡充は、財源が限られているとして応じませんでした。
佐野議員は、理由も示さず整備事業を推進する一方で、市民要求には「きわめて厳しい財政状況」と主張するのは「市民にがまんを押しつけるための詭弁」だと批判。数千億円もの大規模事業に乗り出す姿勢を改め、市民の切実な願いに向き合うよう訴えました。
市長の特別秘書を新設する議案と、2人分の報酬(9月から)約1500万円(年間報酬1100万円、1年間の退職金100万円)を計上する補正予算案については、行革で市民に負担を強いながら、多額の税金を使って特別秘書を新設するもので、市民の理解を得られると考えるのかと追及しました。
質問原稿は次の通りです(議事録ではありません)。
佐野議員の質問
私は日本共産党を代表して、2015年第3回川崎市議会定例会に提案された諸議案並びに市政一般について質問を行います。
最初に市長の政治姿勢についてです。
戦争法案についてです。
安倍内閣は、5月15日平和安全整備法案と国際平和支援法案、いわゆる戦争法案を国会に上程、審議が始まっています。
憲法9条1項は、戦争の放棄を、2項は戦力の不保持と交戦権の否認を定めることで、わが国は徹底した恒久平和主義を基本原理としています。そのため憲法9条のもとでは、“集団的自衛権”と“海外での武力行使”は認められないというのが、岸信介元首相の時代から半世紀にわたる歴代政府の解釈でした。
今回提出されている法案は、この政府の憲法解釈を180度くつがえし集団的自衛権の行使を認めた昨年7月1日の内閣の閣議決定を具体化したものです。
この法案は、第1に、日本が攻撃を受けていないのに「日本の存立が脅かされた」と政府が判断すれば集団的自衛権が発動できるようにし、第2に、これまでの「周辺事態」という地理的概念を取り払い、自衛隊を世界のどこにでも派兵し、これまで非戦闘地域に限られていた支援活動を「現に戦闘行為を行っている現場」以外であれば、弾薬の提供や燃料の補給まで行える「武力行使と一体」の兵站活動を可能にしています。第3に、形式上「停戦合意」が作られているが、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵し、治安維持活動に参加させ、任務遂行のために武器使用を認めるとしています。これまで憲法で禁じられていた集団的自衛権行使と武力行使を可能にする、まさに憲法9条を根底から破壊する内容となっています。
法案をめぐっては、6月4日の衆院憲法審査会で与党が推薦した人も含む3人の憲法学者全員が「法案は違憲」と明言、さらに日本弁護士会が26万人の署名を提出、200人以上の憲法研究者が法案の廃案声明を出し、法案反対のアピールに賛同する学者は6000人にのぼるなど、「違憲」とする声が広がっています。
重大なのは、その際の対処措置を地方公共団体や指定公共機関にも行わせるものとなっていることです。つまり、他国の戦争であっても、地方自治体は港湾、飛行場、道路などについての協力を義務付けられ、自衛隊、他国の軍隊の利用が優先され、さらに、指定公共機関である放送、通信、電力、交通機関も協力を義務付けられます。
違憲と指摘され、自治体にも重大な影響を及ぼす、このような法案に対して、憲法遵守義務がある市長として、また、市民の生命、財産を守るべき市長として、政府に撤回を求めるべきではないですか。市長に伺います。
審議が始まって以降、5月末の共同通信社の世論調査では、「十分に説明しているとは思わない」が81.4%、同時期のテレビ朝日の調査でも「廃案にすべき」「今の国会にこだわらず時間をかけて審議すべき」が合わせて82%に達するなど、国民の8割以上が、今国会で同法案を通すことに反対、または慎重審議を求めています。
この現状にかんがみれば、国会での慎重審議を求めるとともに、少なくとも今国会での成立を見送るよう国に意見を述べるべきと思いますが、市長の見解を伺います。
法案策定までの手続きが、立憲主義、国民主権、議会制民主主義に反することも問題です。昨年7月1日、閣議決定で従来の「集団的自衛権の行使は憲法違反」という政府解釈を、国会の審議も経ず、国民的議論にも付さず、1内閣の判断でくつがえし、今年4月29日には、安倍首相は法案を国会に出す前に米国議会で「夏までに成立させる」と明言しました。こうした一連の政治手法は、国民主権を踏みにじり、「国権の最高機関」たる国会の審議をないがしろにするものであり、立憲主義を否定するものだと考えませんか。こういう政治手法に対する市長の見解を伺います。
マイナンバー制度について市長に伺います。
マイナンバー制度は今年10月から国民へ番号通知が行われる予定で、開始は2016年1月1日です。2013年成立の現行法の利用対象は「税・社会保障・災害対策」に限っていたのに、利用分野を拡大する改定法案を国会に提出、メタボ健診や銀行預金口座などにも使える方針を盛り込みました。さらに安倍首相は5月29日の産業競争力会議では医療分野への利用拡大、民間分野での利用の加速化などまで指示しました。
そんなとき、公的年金の個人情報が大量流出する、という事故が起きました。公的機関の個人情報管理のぜい弱性と絶対安全などないことか露呈しました。
マイナンバーは、個人の所得やどれくらい医療にかかったか国が把握し、税金や社会保障などの徴収強化や社会保障などの給付抑制を狙うものであるうえに、ひとたび流出すればはかりしれない被害をまねく致命的欠陥制度です。個人情報の固まりで、他人に知らせてならないマイナンバーの利用範囲をなりふり構わず広げることは、情報流出のリスクを高め国民のプライバシーを危険にさらす暴走です。
10月からの番号通知、2016年1月1日からの利用開始は中止するよう、国に働きかけるべきと思いますが、伺います。
市長の特別秘書についてです。
市長は今議会に特別秘書を新たに設ける議案を提案しました。年間報酬1100万円、1年で退職金100万円、9月から任用するため2人分約1500万円の補正予算案も同時に提案されています。昨年9月議会にも提案したものの、『行財政改革』でスクラップ・スクラップ・アンドビルドという、市民に耐えがたい痛みを押し付けながら、職務内容も不透明で高額の公費で特別秘書を任用するという矛盾に強い批判をあび、定例会開会日に取り下げざるを得なかったものです。
今回、再度提案した理由について市長は、「新しい議会になったので一つのタイミング」と答えたと報道されました。昨年断念せざるを得なかった理由である「行財政改革」方針は変わらず、秋にはいっそう市民に厳しい内容の方針が出される想定のなか、市議の改選を経ただけなのに、前回とまったく同じ内容の提案をする「いまがタイミング」と考える根拠について、市長に伺います。
すでに市長は、昨年4月から「分野を超えた新たな課題―市長特命課題に機動的・効率的に対応できるように」という理由から、「政策統括担当部長」として、市長と旧知の間柄である県幹部職員を起用しています。また、特別職としては副市長が3名もいます。それなのになぜ特別秘書が必要なのかが問われます。「政務的な公務、一般職ではできない職務を担う」としていますが、その具体例として昨年8月25日の記者会見で市長が「対外的な折衝調整」の例としてあげた「羽田連絡道路」については、今年6月8日の記者会見で「羽田連絡道路はできることになったのだから、この点でいえば特別秘書は要らなかったことになるのでは?」と記者から指摘されているところです。改めて、特別秘書が必要な理由と職務内容について具体的に市長に伺います。
また市長は、高額の報酬を提示したことについて、「良い人材を採るには給与水準は高い方が望ましい」と答えたといわれます。私たちは、現在の市の職員には優秀な人材が多数おられ、日夜ご奮闘されているとの認識に立つものですが、市長は、現在の職員ではなく、わざわざ横浜市より高い給料を出してまで外部から呼び込まないと良い人材は川崎市にはいない、来ないという認識なのか、伺います。
特別秘書の人選は市長の専権事項とされる点も不透明さが残るところです。例えば、大阪市の橋下徹市長は自らの後援会幹部の息子を特別秘書とし、勤務実態が不透明で税金のムダ使いであるとして住民監査請求や給与返還訴訟を起こされているところです。6月8日の記者会見では、記者から「市長はすでに腹案があり、特定の人物に任用を伝えているとの声も聞こえてくる。自分が特別秘書になるんだと吹聴している方がいるといわれている」と指摘されています。
そして、どういう人物を考えているかに対して、「私と信頼関係が築けているか」との判断基準を示しています。「すでに信頼関係が築かれている人物」としては、前市会議員を含む市長の政治団体関係の同志などを念頭におかれていることはないと思いますが、どのような人物をお考えになっているのか、お答えください。
子育て支援策についてです。
小児医療費助成制度の拡充についてです。
県内33市町村の中で、今年度、通院の助成対象年齢が小学2年生までの川崎市は県内で最低となり、父母のみなさんの医療費負担の格差と不公平感はますます耐えがたいものになっています。
先の市議会議員選挙で我が党は、中学校卒業までの医療費無料化、所得制限の撤廃をかかげ、幅広い市民、子育て世代の方々から大きな期待が寄せられました。市民的世論が高まるなか、わが党だけでなく、複数の政党・候補者が、中学生までの医療費無料化を公約に掲げる状況が生まれました。こうした党派を超えた要求にこたえ、中学校卒業まで医療費無料化を拡大すべきと考えますが、市長に伺います。
所得制限によって、小学2年生まで拡充されても、対象人口のうち1万9千人近い、16%の子どもたちが助成を受けられません。市長は「所得制限は必要」と言いますが、「親の所得と子どもの健康は関係ない」という考えを基本に、県内で中学校卒業まで無料化している11の自治体のうち、9自治体は所得制限を設けていません。川崎市も所得制限を撤廃すべきです。市長に伺います。
保育事業についてです。
はじめに待機児童についてです。2015年4月の認可保育所の待機児童はゼロになったと発表されました。「主に自宅で求職活動を行う申請者数」は129人ですがこの人数は待機児童にカウントされていません。国の定義では「保護者が求職活動中の場合については、待機児童に含めることとする」とされ、続いて「調査日時点において、求職活動を休止していることの確認ができる場合には本調査の待機児童には含めないこと」としています。川崎市は保育を必要とする程度に求職活動を実施しているか否かで判断しているということですが、国の定義は「休止していることの確認ができる場合」としています。自宅で求職活動をしていても面接などに出かける必要もあるのですから、待機児童とみなすべきと考えますが伺います。
「一時保育対応児童数」108名も本市は待機児童にカウントしていません。国は一時保育について定義に明記していません。中には、週5日フルタイムで働きたいのに保育所に入所できないため、週3日、一時保育にお願いし、土曜日はお休みの夫に見てもらい週4日働き、一時保育のお迎え時間に間に合うように短時間勤務している方がいます。週5日フルタイムの就労の約束をつけて認可保育所に申請したのですが、結局今年も入所できず一時保育を続けざるをえません。冠婚葬祭など一時保育を選択する方以外は、きめ細かに把握して待機児童にカウントすべきと思いますが伺います。
産休・育児休業中の申請者数348人もカウントしていません。国の定義は「待機児童に含めないことができる。その場合においても、市町村が、育児休業を延長した者及び育児休業を切り上げて復職したい者等のニーズを適切に把握し、引き続き利用調整を行うこと」としています。「含めないことができる」という自治体の判断にゆだね、曖昧さが残る内容です。実際は調査日である4月1日以降に復職する場合には、確実に入所できなければ復職できないのです。やむを得ず育児休業を延長した人や切り上げて復職したい人について待機児童にカウントすべきと考えますが伺います。またこうした方々のニーズを適切に把握しているのか伺います。
待機児童ゼロを達成した自治体でも「潜在的なニーズを反映していないのではないか」という報道もあるように、本市もゼロになりましたが、実際は待機状態の児童も多くいます。「子どもの未来応援プラン」で、2018年度までの認可保育所の定員確保目標値が示されています。事前に行なったニーズ実態調査では、保育を必要とする割合が年齢別に把握されましたが、見込み量と定員確保量に適切に反映されているのか伺います。
国、県、市等の公有地を活用した整備を積極的に進めるべきと考えますが伺います。
民間認可保育所及び小規模保育事業所A型の整備について、整備指定地域及び施設整備費補助緊急加算指定エリアの指定が計画で示され、鹿島田駅、武蔵小杉駅、溝の口駅などが示されました。公園の少ない駅の近くですから、可能な限り園庭の整備も行うべきと考えますが見解と対応を伺います。
保育士確保対策についてです。現状でも保育士不足が課題となっていますが、増大する保育ニーズにこたえるために、保育士確保策は不可欠と主張してきました。本市も2016年度から保育士宿舎借り上げ支援事業を検討するとのことですが考え方と取り組みを伺います。
児童虐待対策の強化についてです。
2014年度に川崎市内3ヵ所の児童相談所で受けた児童虐待相談・通告件数は、1,792件で対前年比216件、13.7%増と過去最多となりました。特に身体的虐待の大幅な増加と心理的虐待は939件で最多となっています。相談、通告件数は6年間で3倍になり、緊急的かつ多発的に発生し相談は複雑、多様化しています。
この間、わが党は児童相談所及び区役所児童家庭課の専門職種の増員や連携強化など体制の強化を求めてきました。先の3月議会では「新年度から児童相談所の効率的・効果的な業務体制の確立に向け必要な体制整備を図る」との答弁がありました。児童相談所、子ども本部虐待対策室、区役所児童家庭課における新年度の体制整備と増員及び職種を伺います。
教育をめぐる環境整備についてです。
少人数学級について教育長にうかがいます。
県に報告された2014年度少人数学級設置者研究報告書によると、その研究評価として「各学校からは、少人数学級の実施により、担任の指導や配慮が行き届きやすく、学習指導および児童生徒指導の場において、多面的にきめ細かく児童生徒の個に応じたきめ細かな指導を実施することによって、児童生徒にとって良好な学習環境を維持でき、児童生徒の学力向上や人間関係にもよい影響があったと考える」としています。さらに課題について「少人数学級の実施については、加配の配置に大きく左右されるため、学年が進級した際に、引き続き少人数学級を維持できるかの見通しがたたない課題がある」と記してあります。
国会では、財務省が公立小中学校の教職員の削減を求めていることに対し、衆議院文部科学委員会は6月4日、参議院の文教科学委員会は6月2日にそれぞれ「到底容認できない」と批判し、35人学級推進を求める決議を全会一致で可決しました。
文科省は「現代的な教育課題の増大に対して削減どころかむしろ増員が必要」との見解を示し、学級集団が小さいほど「子どもたちの自己肯定感が高くなる」「落ち着きが高くなり、学力も高くなる」「世界一忙しい日本の教員のさらなる負担増加への対応が課題」だと主張しています。
学校現場の状況から国の施策待ちはできない、と、全国的にみると小中学校での少人数学級を自治体独自で取り組むところは増え続けています。一方、川崎市の不登校児童生徒の現状は、20政令都市比較で、中学校全体はワースト3位です。毎年1000人を超える不登校生徒がいて一向に減るような状況ではありません。中学校2校分に匹敵する生徒が不登校という異常事態が続いています。この現状をどう捉えているのか、うかがいます。
こういった川崎の現状と少人数学級を実施した効果をきちんと受け止め、一刻も早く、国の施策待ちにならず、川崎市独自で少人数学級を拡充すべきです。伺います。
中学校給食についてです。
1万食前後つくる中部・北部給食センターも安心、安全を担保し、市民の食育も担う役目もあるのですから、いつでも見られる見学コースの設置は不可欠です。
入札業者まかせではなく、教育委員会として見学コースの設置を必須条件とすべきです。伺います。地元建設業者の活用については、センター方式は、落札者決定基準において、評価の視点として設定し、入札説明会等において事業者に周知していくとし、また自校調理場や配膳室等の整備などにおいても、その可能性について検討していくとしていましたが、検討状況を伺います。
学校現場が不安に思っているのは、短時間内に、生徒が食缶・食器を配線室まで取りに行って、教室で準備し、食事、片付けし、元の配膳室に戻すことができるのか、また、重い食缶を持って階段を上り下りすることによる事故の心配です。
すでに設置されているエレベーターの活用は欠かせません。活用するのは、食缶・食器など入れたコンテナが入るものでなければなりません。エレベーターの活用と、それに見合ったコンテナの導入について伺います。エレベーター未設置校は、長期保全計画をまたずに、給食実施までに整備をすすめるべきです。伺います。
学校司書についてです。
昨年「学校図書館法」の一部を改正する法律が改正され、この4月から施行されています。本市ではこれまで、常駐でない総括学校司書が各区に3名配置され、月平均24校も見て回るというあまりにも貧困な体制でした。今回モデル校7校に置かれた学校司書は、「高度な資質や専門的能力が求められている」にもかかわらず、司書の資格を必要とせず、勤務中の事故・怪我・病気の医療費は自己負担ということです。しかも公募でなく校長推薦というものです。公募にし、当面、交通費の支給、研修の機会を増やす、保険適用も行うなど改善すべきです、伺います。
全国の学校司書の配置状況は、2014年5月現在で小学校58.8%、中学校57.7%です。横浜市では小・中合わせて250人、51%の配置率で、2016年度までに全校配置を予定しています。ところが川崎では今年から、資格の必要のない学校司書を7名モデル校におき、常駐でない総括学校司書を21人、計28人を置いているだけです。配置率はたったの17%です。早急に常駐の専任、専門、正規の学校司書を配置すべきです。どのようなテンポで学校司書を確保し、全校配置するのか、伺います。
障がい者施策についてです。
通所施設の運営費に対する、市単独加算についての見直しが4月から行われ、定率加算が10%から5%になりました。事業者のみなさんからは、「国の報酬単価引き下げと相まって、これまでの運営費の1割近くが減収になった」との声が聞かれます。 当面の対策として「正規職員の採用を2名予定を1名に減らした」、「食費の50円値上げを検討」、「食材費を300円に下げた」などの事業所が生まれています。3月議会で市は『次年度の円滑な事業運営がなされるように適宜対応してまいりたい』と答えていますが、どういう対応をしたのか伺います。
特別養護老人ホームの整備についてです。
2015年4月特別養護老人ホームの待機者数は昨年10月時より62人減ったものの、5,307人です。そのうち、3,844人にものぼる「なるべく早く入居したい」人については、少なくても第6期期間中には入居できるような取り組みが必要です。しかし、2017年度までの第6期介護保険事業計画期間中の新設は400床のみで、(案)の段階で私たちは、待機されている深刻な実態や高齢者実態調査の分析からも整備計画の引き上げを求めてきました。しかし、2014年度開設予定だった2ヵ所のうち104床が2015年12月に、2016年4月に開設予定の100床を加えても604床で、当初計画案と変わりません。第6期間中の整備計画を引き上げるべきですが見解を伺います。
特別養護老人ホームは在宅介護を支えるショートステイやデイサービスなども担うとともに、第6期計画では、「地域における介護福祉拠点のひとつとして、地域に積極的に展開していく役割も担う」とされ、区の公平性が求められます。現在6期計画中のわかっている整備も含めると全市54ヵ所、4526床のうち、もっとも多い麻生区10ヵ所、957床に対し高津区4ヵ所318床と格差がさらに広がりました。先の予算議会では「2017年度の開設に向け、高津区など優先する地域への応募に対し、一定のインセンティブを与えたうえで3月中に選考する」との回答でしたが、結果と今後の取り組みを伺います。2013年6月議会から何度も求めてきた大谷市営住宅跡地の活用の見通しを伺います。わが党はこの間、増大する待機者解消のために公有地の積極的な活用で特養ホームの整備計画を増やすことを提起してきました。公有地の活用について見解を伺います。
中小企業振興条例について伺います。
昨年6月に成立した小規模企業振興基本法は、地方公共団体に「小規模企業の振興に関し、施策を策定し、実施する責務を有する」と定めています。それを受けて、今年3月、「新かわさき産業振興プラン・中間とりまとめ」が出されました。
市内事業所の99.6%、雇用の76.9%を300人未満の中小企業が占めており、大企業や市民生活の基盤、雇用の受け皿として位置付けています。その中で、「市内中小企業の成長をさらに促進し、本市経済の発展につなげていくには、付加価値の高い成長分野への進出が不可欠になる」として、「新陳代謝を促進するとともに持続可能な事業体へ発展させていく取り組みが求められている」としています。
市内の金型を製造するある企業では、「取引先が不渡りを出し、数千万円の損害を受け、半分の社員にやめてもらった。受注は少し増えたが、元請単価はアジア並みの安さで、一方で、電気代が30万円から40万円に上がり、経営は苦しく、自分の給料まで回らず年金で生活している」ということでした。この企業に市の支援について尋ねたところ、「さらに高いレベルの仕事をしたいが、それに必要な新しい機械の資金や時間がなく、それに見合う成果が上がるかを考えると難しい」と答えていました。
条例案に求められるものは、こうした企業を廃業もやむを得ないとする「新陳代謝」として切り捨てるのではなく、下請け中小零細企業や、小売業を生業としている中小零細企業など、自助努力だけでは限界のある企業や事業者も含め、具体的に現状を把握し、可能性を導き出せるような行政として役割を明らかにすることです。
中間取りまとめの中で、「中小企業振興条例については、市内中小企業に対する本市の姿勢を明確にするとともに、ニーズに応じた様々な取り組みを進めることによって、市内中小企業が一層活性化することが期待されている」と述べています。
市内経済の主役である市内中小零細企業にきめ細かく中小企業振興に資する条例であるべきと考えます。中小企業に対する本市の姿勢とはどういうことなのか、具体的内容について伺います。また、ニーズとは、中小企業者のニーズをさすのか、ニーズに応じた様々な取り組みとはどのようなことなのか、伺います。
東京都墨田区では、1979年に制定された墨田区中小企業振興基本条例に基づき,区内産業人の代表者による産業振興会議が常設され,6つの部会での企業者の意見が区の施策に生かされる仕組みがつくられました。条例化に向けて、このようなそれぞれの業種ごとに具体的な要望を形にするための受け皿を検討しているのか、伺います。
条例化の検討段階から、業種ごとの代表者による協議の場を設置する考えがあるのか、伺います。先ほども指摘したとおり、より具体的に中小零細企業の実態をつかむことが大切です。たとえば、2013年は、前年に比べ約100社も製造業等中小企業が減少していますが、どのような理由で減少しているのか、どのような業態の企業なのか、実態すら把握されていません。そうした実態を把握せずにどうして実効性ある施策をつくることができるでしょうか。条例化を検討するに当たり、川崎市独自の実態調査を行うべきですが、伺います。
川崎プレミアム商品券についてです。
川崎市は、総数27万5千冊発行します。現時点での申し込み数を伺います。
5千店舗を見込んで市内取扱店募集が行われ6月26日を期限としていますが6月 24日現在1052店舗だけです。取扱店として手続きの不明確さ、煩雑さから参加をためらう声が聞かれます。中でも大きな障壁が商品券換金サイクルです。換金の締め切り日から数えて平均30日、商品券を手にしてから数えて長いと49日間も現金化できません。しかし、商品仕入れには現金で当日か次の日には支払わなければならない習慣の生鮮品などを扱う業種の方たちは、こんなに換金に日時がかかることは死活問題です。商品券と現金交換の期日の改善が求められていますが伺います。
相模原市では1週間で換金できるようにしました。川崎市でも同様の期間で換金できるような特別な措置を今からでもとるべきです。伺います。販促イベントなどに、アドバイザーなどを商店街と合意の上、市の責任で積極的に派遣しイベントが行われるまで支援すべきです。伺います。さらに、川崎市から人を配置して商店街で商品券を買えるようにすべきです。商品券の消費者への引き換え期間が9月1日から9月10日までの10日間であることについてですが、この期間に手持ちの現金がないと引き換えができない年金生活者や低所得者の皆さんもおられます。せめて年金支給後の10月20日頃まで期間を延ばすべきと思いますが伺います。
正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。
2014年度のキャリアサポートかわさきの雇用状況は、相談者数3493名、登録者980名、就職決定者465名ですが、決定者の内訳をみると正規雇用が114名30%、非正規雇用が321名70%です。2014年度に正規雇用を希望する登録者が実際に正規で就業したのは20%、20歳代では16%とさらに低くなります。2007年6月に開設した当初は正規雇用の決定率は64%でしたが、年々正規雇用の決定者率は減少しています。
キャリアサポートかわさきの求人開拓員数は、国の緊急雇用制度がなくなった2013年の11名から4名に減り、その結果、求人開拓件数は、2012年度の7226件から2014年度は3070件と半減しています。求人開拓件数を増やすためには、市独自で求人開拓員を増やすことが必要です。伺います。
業種別求人数では、非正規雇用の割合が高い人材派遣・紹介が2013年度77名だったのが、2014年度は224名と約3倍に増えています。正規雇用の拡大につなげるのではなく非正規を増やしているのではないでしょうか。正規雇用希望者が圧倒的なのですから、正規雇用を増やすためにも、市内企業への支援が必要です。東京都では、2015年度からパートや契約社員、派遣労働者で、派遣労働者の新卒者を除く35歳未満の若者の正規雇用化を支援するため、国と連携し「若者応援宣言企業」を対象として奨励金を支給します。支給金額は対象となる若者一人あたり15万円を事業主に支給するというものです。本市においても、こうした事業を立ち上げるべきと考えますが、伺います。
市内大企業のリストラ計画についてです。
昨年10月に東京小平市のルネサスエレクトロニクス武蔵事業所から群馬県高崎事業所に広域配転された2人の子育て中の女性は、育児介護休業法26条に基づき、会社側の雇用承継手続きに問題があると異議を申し立て、厚生労働省東京労働局による文書助言も実施させ、その結果、この4月に元の職場に戻ることができました。
2014年6月議会で私たちは中原区の玉川事業所でも育児や介護をしながら働く女性らが広域配転を命ぜられ、「育児や介護をしながらそんなに遠くまで通勤はできない」との悲痛な声を紹介し、実態調査をすることを求めました。武蔵事業所や高崎事業所と同様に玉川事業所でも法令違反が疑われます。
ハローワーク川崎北によれば、ルネサスから、2015年12月に183名の離職届けが出されています。自治体の長として、ルネサスから再就職者数、配転者数等の実態を把握し、適切な対応すべきです。市長に伺います。
また、ルネサスは、大量に正社員を減らしながら、多数の人材派遣会社が派遣社員を送っています。驚かされるのは、早期退職で追い込まれた正社員や、派遣会社に転職させられた正社員が、派遣社員としてルネサスに戻っていることです。その中には、早期退職に応募させられた課長級の社員も、派遣社員として再び働いています。こうした退職者は、再就職を人材派遣会社に頼らざるをえません。さらに、ルネサスは、早期退職を迫る面談で「キャリアプランセミナー」への参加を社員に命じています。その「セミナー」の実態は人材派遣会社の宣伝であり、「こういう会社から来てくれといわれている」と紹介された会社が、実は派遣会社だったと後から判明したケースもあります。人材派遣会社の中に,市が求人開拓事業等で委託する会社は含まれているのか、伺います。正社員だった労働者を再び派遣社員として雇うというルネサスの行為について、市長の見解を伺います。
小杉駅周辺再開発に伴うビル風対策について伺います。
小杉地区のタワープレイスやエクラスタワーの風観測は業者まかせで、その対策は周辺に樹木を植栽し風を和らげる程度のものでした。しかし、すでに建設された小杉の超高層ビル周辺では、今までにない強風が吹き荒れ、通行人もビルの住民もビル風に悩まされる状況が続いています。
ビル風被害を体験している住民は、自ら簡易風速計を購入し、2013年6月から2年間にわたって毎月数回歩いてビル周辺の風環境を測定し市にもそのデータを提出してきました。中原保健所の公式観測データと比較しても、ビル周辺は平均1.6倍の風速が観測されているとききます。この涙ぐましい努力の結果をきちんと受け止めて、ビル風対策に生かすべきです。今後も超高層ビルの建設を川崎市は容認しようとしています。ビル風被害をどう取り除くのか、いちばんひどい状況が反映されない環境影響評価の事後アセスの結果のみで判断すべきではありません。
世田谷区の二子玉川の再開発地域では、区が独自で風向風速計を9ヵ所設置し、1年間観測したのをはじめ、風の専門家会議を設置して風対策に乗り出しています。小杉の高層ビル群の全体を把握するために、川崎市の責任で風観測を行い、その観測をもとにコンピューターシミュレーションで街全体のビル風を把握して、抜本的な対策を打つことが必要と思いますが、うかがいます。
ワンルームマンション建設に関連して、まちづくり局長に伺います。
中原区で109戸、185戸に代表されるように大規模なワンルームマンションの建設が急増しています。西加瀬のワンルームマンション計画では、閑静な住宅街に建設予定ですが、管理上の問題、災害時の心配、地域コミュニティからの孤立などの不安が町民のあいだに広がっています。川崎市におけるワンルームマンションの申請件数は、2012年24件、2013年37件、2014年60件と急増しています。
川崎市の指導要綱の建設に関する基準等では、管理人に関して「住戸数が30戸以上の場合は、管理人室を設けること」、さらに管理に関する基準では「管理人はごみ収集日に日中2時間以上駐在すること」「30戸未満の場合は、必要に応じて巡回して管理することができる」としてあるだけで、あとは制限がありません。
東京都23区では多くの区でワンルームマンションの開発規制が行われています。その中でも、豊島区では、単身者も家族も含めて多様な人々が長く住み続けられるために、住宅ストック(総量)のバランスを是正することで、将来の健全な地域コミュニティを維持する政策が重要として、最低でも二人世帯が暮らせるような住宅の供給を誘導していくことを目的に「狭小住戸集合住宅税」を2004年に制定しています。また、渋谷区では新たに社会状況変化への対応が求められるとして、2012年3月に条例を改正し、ファミリー向け住戸を設置すること、管理時間も総戸数によって、例えば総戸数50戸以上は廃棄物の収集日を含め週5日以上かつ日中8時間以上管理人を駐在させること、としています。
いずれも、基本にそのまちに長く住み続けられるまちづくりの理念がきちんと位置づけられていることが特徴です。川崎市も「川崎に住み続けられるまちづくり」をすすめるための住宅の質を確保する視点から規制を考えるべきです。そうした立場から東京都の取り組みなど含めて、川崎でも要綱の改正を行うべきです。伺います。
リニア中央新幹線について伺います。
麻生区片平の非常口についてですが、麻生総合高校横に「立坑」をつくる際、資材の搬入や残土の排出のための道路ルートがいまだに明らかになっていないため、住民に不安が広がっています。また、この立坑については、東京都町田市と川崎市での説明会では、土砂搬出の有無について、それぞれ異なる説明がされていることに驚きの声が上がりました。町田市側には、土砂は搬出しないと明言し、川崎市側には、町田市への土砂の搬出はあると説明しています。なぜ、このような異なった説明が行われているのか伺います。市としては、どのようなルートで通り、残土の運送が行われると把握しているのでしょうか。伺います。
非常口予定の梶ヶ谷についてです。市内の非常口のたて抗から排出される建設発生土、建設汚泥の総量は407万㎥です。そのうち宮前区梶ヶ谷から排出される土量は、249万㎥で市内の61%に上ります。JR東海は、「車両走行による交通への影響の軽減を図る」ために、貨物列車による臨海部への輸送を検討しています。昨年12月に行われた住民への説明会で、JR東海は、「できるだけ土砂は貨物列車で運ぶ」「貨物は夜も走らせる」「残土の運搬は土曜・祭日もやる」と住民に説明し、住民からは「今でも、操車場の騒音に悩まされている」「これ以上の騒音を増やさないでほしい」と、鉄道利用であっても、地域環境を悪化させることになると懸念する声が多く出されました。現在でも、梶ヶ谷貨物ターミナルは24時間途絶えることなく上下130本以上の貨物が行き来し、ターミナル内では、貨車の連結作業が明け方から夜12時近くまで続けられています。市は、このような梶ヶ谷貨物ターミナルの利用状況、周辺の騒音・煤塵被害について、どのように把握しているのか伺います。周辺環境の改善のための取り組みについても伺います。また、今回梶ヶ谷から発生する土量のうち、どのくらいの量を鉄道輸送でまかなうのか、どのような想定がされているのか、伺います。
羽田連絡道路の整備について伺います。
本年5月18日に行われた羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会において、羽田連絡道路が取り上げられ、羽田空港跡地地区と殿町地区中央部を結ぶ2車線の新たな橋梁として位置付けられ、取り組みに当たっては、多摩川における渡河部の一般ルールを基本に事業の実現を目指すとされました。合わせて、国道357号線については、事業着手に向けて必要な調査・設計が終わり次第、2015年度内に事業着手するということですが、国直轄事業としてこの事業の財政的負担についてはどのように考えているのか伺います。羽田連絡道路と平行して同時期に整備することになれば、莫大な財政負担を想定しなければなりません。市長は、きわめて厳しい財政状況を強調し、スクラップ・スクラップ・アンド・ビルドとさらに行革を推進しようとしているのに、計画されているものだけでも同時期に、新等々力大橋、臨港道路東扇島水江町線、国道357号線、そして、羽田連絡道路の整備と、これだけの大規模開発が出来る根拠がどこにあるのか、市長に見解を伺います。
川崎港コンテナターミナル整備に関連してガントリークレーンの稼動状況についてです。
昨年4月からガントリークレーン3号機が供用開始され、3基体制となって1年が経ちました。しかし、この1年間の稼動実績の合計で、3基が稼動した日数は7日だけ、3基同時稼動があった日数はゼロ、2基同時稼動があった日数は年間42日だけでした。その42日を含めて1日のうち2基が稼動した日数は146日あったとのことですが、その2基の組み合わせ別(1・2号機、1・3号機、2・3号機)に日数の内訳を伺います。また、3基体制になってからも1基しか稼動しなかった日数が年間193日もあることに驚きますが、1・2・3号機別に193日の内訳を伺います。
港湾事業特別会計補正予算に関連して伺います。
コンテナ貨物量の増加に伴い、コンテナターミナル整備の荷捌き地の地盤補強等整備のため補正予算が提案されています。そもそも、計画最大取扱量については、いくらだったのか、また、コンテナ貨物量が増加したとしても、計画最大取扱量に未だ達していなのに、整備費用を計上する理由について伺います。
また、計画最大取扱量に達していない段階での整備は、次の新たな港湾整備に向けた布石ではないかと考えますが、見解を伺います。
以上で質問を終わります。