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トピックス

2025年第2回定例会 代表質問を行いました

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2025年6月12日(木)小堀祥子議員が代表質問質問を行いました。

代表質問(初回)の全文は以下の通りです。

2025年第2回 川崎市議会定例会  日本共産党代表質問

日本共産党  小堀 祥子 

市長の政治姿勢についてです

総合計画

公共施設と人口推計についてです。

 川崎市は、新たな将来人口推計を発表しました。それによると市の人口のピークは5年、後ろに伸びて2035年となり、今後10年間は人口が増え続け、今より人口が減るのは20年後です。総合計画は12年間の計画ですので、当然、今度の総合計画の中心課題は、人口減少ではなく、「人口増加にどう対応するか」ということになります。しかし、現在の市の方針では、人口減少を前提に公共施設の「床面積は増やさない」としており、不足していても増やさず、さらに資産マネジメントで公共施設の統廃合・削減を進めようとしています。これで公共施設を提供するという自治体の公的責任は果たせるのでしょうか。

   例えば、市営住宅は、平均倍率が約10倍で応募したけれど入れない方が約6000人いますが、増設する計画はありません。今後人口が増え続ければ、さらに入ることは難しくなり、この状況は今後20年間以上続くことになります。公営住宅法では、第一条で、地方公共団体は「低廉な家賃で賃貸し、社会福祉の増進に寄与する」と規定し、第三条で「常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため必要があると認めるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」とも規定しています。要するに法律では、その地域で低所得者の住宅が不足している場合は、自治体の責務として公営住宅の供給を行わなければならないのです。倍率が10倍で6000人が入れない状況で、自治体の公的責任を果たしているといえるのか、市長に伺います。

    また、特養ホームにしても待機者が約2000人いて、介護度が4,5の方でも入れない方が約1000人います。しかし、市の特養ホームの計画では、新規開設はありません。一般の保険では、提供されるべきサービスが提供できなかったら裁判で訴えられます。介護保険の場合は、川崎市が運営主体であり、サービスを提供する責任があります。特養ホームの入居がサービスにあり、その条件を満たしている被保険者に、不足しているから入れませんでは許されないと思いますが、市長に伺います。

 市の資産マネジメントでは、人口減少を前提に「公共施設の床面積は増やさない」とし、さらに休日急患診療所や子ども文化センター、老人いこいの家、様々な福祉施設の統廃合を計画しています。しかし新たな人口推計では、10年間は人口が増加します。公共施設の1人当たりの床面積についても、川崎市は政令市の中で下から4番目で、北九州市、大阪市、神戸市の半分しかありません。人口は増加し、ただでさえ少ない床面積なのに、人口減少を前提にして「公共施設の床面積は増やさない」、「統廃合で減らす」という方針は誤りです、市長の見解を伺います。

公共施設の民間活用についてです。

 この間、公共施設に民間活用の手法であるPFI、指定管理者制度を導入することによって、様々な問題が噴出しています。

等々力緑地の再編整備では、PFIで民間企業に設計・建設・管理運営を任せた結果、樹木を800本伐採し、広場がつぶされスーパー銭湯や商業施設が乱立し、日産スタジアムの2倍の駐車場が建設され、さらに総事業費が当初の2倍の1200億円にもなる計画が出され、市民の中で大きな反対運動が起きています。それにもかかわらず、PFI法のために各工事費も事業費の算定根拠も非公開、どんな商業施設が入るのかも未定ということで、事業費の精査もできず、市民や行政が関与できない制度となっています。市民の憩いの場である公園が、樹木は伐採され民間企業の収益を上げるために利用されてしまう、こんなことを許してよいのか、市長に伺います。

 指定管理者制度の問題では、北部地域療育センター、中央療育センターの指定管理者、同愛会が市内外の施設で重大な事故や事件を繰り返しており、議会では不安や懸念の声が多数出ています。指定管理者制度の導入で直営時代に培われた本市のノウハウが失われ、市の権限では、内部の人事を入れ替えるなど根本的な改善を直接図ることはできないなど、この制度の問題点が明らかになりました。全国では、指定管理者制度の事業が、経営悪化で解散、撤退したために、利用者が放り出される事例も多く発生しています。高齢者や障がい者、子どもの命を預かる施設にとって、この制度はふさわしいといえるのか、市長に伺います。

住宅政策についてです。

 本市では、世帯の約51%が賃貸住宅であり、全国平均や神奈川県、横浜市などよりも高い割合です。このうち単身者が59%を占め、その多くが年収300万円未満です。この賃貸住宅が、1畳あたりの家賃及び月額平均家賃のいずれも指定都市で最も高くなっています。民間木造共同住宅の3割が、単身者なら25平方メートルなどの最低居住面積を満たしていません。高くて狭い賃貸住宅に多くの市民が住まざるを得ないというのが、川崎市の住宅事情です。そのうえに昨今の物価高騰で家賃が上がっています。住宅の購入には税制措置がありますが、借家の家賃には一切の補助がありません。

 私たちはいっかんして市営住宅の増設を求めていますが、この事情から考えれば、その前に家賃補助を行い、いそぎ市民の住宅費の軽減を図るべきと考えます。家賃補助では国のセーフティネット住宅の制度がありますが、ほんの数件でまったく機能していません。家賃が所得の2割を超える世帯に対し、月1万円の補助を行うなど、一定の基準を設けて行えば、子育て世代、若者、高齢者、シングル女性をはじめ、家賃の値上がりで苦しむ幅広い世代を支援することができます。市長の見解を伺います。


子育て支援策についてです。

こどもの医療費制度についてです。

   今年度で小児ぜん息患者医療費支給制度の廃止に伴う経過措置が終了し、来年4月以降ぜん息で苦しむ高校生達への支援が打ち切られます。以前もこの点を指摘したところ、月2万1千円以上の医療費しか対象にならない高額医療費助成制度の活用や、気管切開し人工呼吸器を装着する等、重症患者しか利用できない小児慢性特定疾病医療費助成制度を周知していくというのが市の答弁でした。高校生のぜん息、いわゆる思春期ぜん息は、大人になるまでぜん息の症状が続くかどうかの分かれ道ともいえる時期と言われ、長期間管理薬や定期的な受診が必要と言われています。それに伴う医療費助成の継続を求める声は、患者のご家族から今もなお届いています。切実な声を受け止め、小児ぜんそく患者医療費支給制度を復活するべきです伺います。

また、これまで求めてきたように小児医療費助成制度を18歳まで拡充するべきです。伺います。

保育園の公的責任についてです。

   東急田園都市線宮前平駅の高架下にある認可保育園が、耐震性に問題があることを理由に今年度で閉園する事になりました。この保育園は、株式会社日本保育サービスが東急電鉄株式会社に場所を借りて2011年に開設しました。今年2月東急が任意の耐震診断を行い「震度6~7の地震発生時に倒壊の危険がある」事が判明し、東急が日本保育サービスにその事を伝え、日本保育サービスは移転先を探したが適切な物件が見つからず今年度で閉園となりました。

 その為4月に入った乳児さんを含め園児76人が転園先を探す事になります。やっと慣らし保育が終わり信頼関係が出来た保育士さん、自分の居場所となった保育園を離れて、また、新しい保育園に行かなければならない子どもの負担がどれほど大きいものになるか、重大な問題です。

   市の責任で近くに新しい保育園を作るべきです。伺います。それが難しくとも、この保育園を認可保育園とした市の責任で、すべてのこどもの転園先を見つけるべきです。伺います。市内でまた、このような保育の継続性が保てない事例が起きた時に本市はどの様な対応を行うのですか。伺います。

   児童福祉法24条1項には「市町村は、保護者の労働、疾病、その他の事由により保育を必要とする場合、当該児童を保育所において保育しなければならない」とあります。本来なら自治体が責任を持って行うべきである保育を、公立保育園を減らして、株式会社を参入させてしまった事で、事業者の都合で保育が継続出来ない状況を生み出しています。川崎市は1989年には市内に89園あった公立保育園を21園に減らしました。保育や介護など福祉分野は行政の公的責任で行う仕事です。保育の公的責任を果たすためにも公立保育園を増やすべきです。伺います。

大規模なわくわくプラザの対策についてです。

   新年度が始まってから、わくわくプラザに関する苦情が保護者から相次いで届きました。「すし詰め状態で、お昼の時は他の子のお弁当をまたいで移動するほど環境が劣悪」「新1年生なのにいきなり150人もの子どもがいる場所で、3日連続でお弁当を口にできないほどのストレスだった」といった深刻な内容です。

   それを受け、私たちは大規模化している市内数カ所のわくわくプラザを視察しました。狭い部屋に100人を超える子どもが詰め込まれ、息もできないほどの圧迫感がありました。職員はマイクを使ったり大声で指示を出したりしています。入退室管理システムが導入されていても、常に出入りする子どものフォローに手がとられ、ひとりひとりに寄り添う余裕はほとんどありません。保護者から届いた実態や私たちが視察で見た状況を、川崎市はどう評価しているのか伺います。

   根本的に改善するには、まず放課後児童健全育成事業と放課後子ども教室とを現場で完全に分けて実施すること、そしてその上で放課後児童健全育成事業として預かる子どもは学校のクラスのように40人ごとに分けて、地域での整備もふくめて各グループに専用の部屋を設け、専任の支援員を2人以上配置することが必要です。どのように対応するのか、伺います。

教育をめぐる環境整備についてです

給食費無償化についてです。

「東京都へ引っ越しを検討している」という子育て世帯の声が後を絶ちません。子育て支援の格差、それに伴う子育て世帯の人口流出は深刻です。全市で子どもの転出超過が常態化しているなかで、特に顕著なのが中原区です。2024年の人口動態では全市の4歳までの転出超過1539名のうち、中原区は674名と43%を占めています。再開発による地価の値上がりから家賃相場も都内と差がなくなり、子育て支援だけ格差が広がる一方であれば、東京都へ転出を選択することは当然です。事前の調査で、東京都に隣接する神奈川、千葉、山梨、埼玉にある22の自治体のうち相模原市、市川市、所沢市など14の自治体で、何らかの形で給食無償化が始まっていることが明らかとなっています。学校給食無償化に踏み出すべきです。伺います。

教員の採用方針と勤務実態調査についてです。

    新年度を迎え4月時点の教員の未充足は、2年連続で100名以上に及んでいます。小学校では7校14学級で、先生達が子ども達一人ひとりに寄り添うための最低条件となる35人学級を切り崩し、37人、38人学級といった弾力運用が行われている等、先生不足の中、学級編成を行った学校現場は苦渋の決断、対応を余儀なくされています。3月の代表質問で「年度当初の欠員解消に向けた正規教員の確保に優先して取り組む」と答弁がありました。今年度4月時点の定数内欠員は162.5人。この状況を解消してこそ年度当初の欠員解消に繋がります。国会では来年度から中学校でも順次35人学級を進める議論が続くなかで、改めて欠員ゼロに向けた今年度の採用方針を伺います。

    次に教育長に伺います。労働基準法第34条には労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとしています。しかし勤務実態調査で行ったアンケートでは、「45分の休憩時間が取得できているか」という設問に対し、ほぼ取れていると回答したのは小学校6.3%、中学校2.1%となっています。45分の休憩が取れていないのは労働基準法違反に当たるのではないでしょうか、伺います。

学校や公共施設の女性用トイレ及びだれでもトイレへの生理用品の設置についてです。

経済的な理由などで生理用品を購入できないという「生理の貧困」がコロナ禍で浮き彫りになったのをきっかけに、国や自治体の施策へ広がっています。

   内閣府は2021年から毎年全国調査を行い昨年10月の調査では926自治体で無料配布が行われたことがわかりました。窓口での対面による受け取りに抵抗のある市民のためトイレ個室内への設置、トイレットペーパーと同様に予算措置で設置するなど改善も進んでいます。本市でも、貧困対策だけでなく、だれもが性と健康の権利を尊重される「リプロダクティブ・ヘルスアンドライツ」として認識し、トイレットペーパーと同じように、学校や公共施設の女性用トイレ及びだれでもトイレへの設置を当たり前とすべきです。担当副市長に伺います。

障がい者施策についてです。

地域活動支援センターについてです。

    地域活動支援センターの補助金は定員、実利用人数、職員配置などによってランクわけされており、補助額はランクによって100万円から200万円もかわってきます。昨年4月、コロナ特例から通常通りの実利用人数でのカウントに戻り、コロナで利用人数が減ったことが大きな理由で13事業所がランクが下がり補助金を減らされてしまいました。

 補助金を減らされた事業所にお話を聞いたところ、「職員2人のボーナスを半額カットした」「物品購入費も人件費も減らせるところは全部減らした。来年はもうどうなるかわからない」という声が上がっています。実際にDランクだった3つの事業所が昨年度末に事業廃止や他の事業への移行に追い込まれています。

 補助金が利用状況によって100万円も200万円も変動するような算定要件は見直しを行うべきです。伺います。また、少なくとも、家から出られなくても地域とつながるために電話での相談も実利用人数にカウントするべきです。伺います。

 補助金額は20年間変わっていません。いまの物価高騰の影響は計り知れません。当面、消費税と最低賃金の上昇分は計算し上乗せすべきです。伺います。

議案第104号 柿生学園の指定管理者の指定についてです。

   柿生学園は、強度行動障がいを抱えた方をはじめ、自宅では生活が困難な方など、60名の方が生活しています。本議案は、その施設の指定管理者を、長年運営してきた「川崎市社会福祉事業団」から「社会福祉法人ハートフル記念会」に変更するものです。ご家族からは、「環境変化により、自傷・他傷行為が引き起こされるかもしれない。命にかかわる問題です」など、不安や戸惑いの声が上がっています。重度の障害を抱える入居者のケアーには、専門性と時間をかけた人間関係の構築が必要です。職員の大幅な変更が、利用者に与える影響について、どのように考えているのか、伺います。

   家族の皆さんからは、利用者本人、あるいは家族の意見が全く反映されていないことに対する強い憤りの声が上げられています。「障害者総合支援法」では、「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保される」ことを含め、支援を行わねばならないとし、サービス事業者に対し、「障がい者等の意思決定に配慮するよう努める」とも明記されています。自ら生活する環境の大きな変更に対し、障がい者本人、あるいは家族の意思を尋ねたことはあったのか、ないとすれば、なぜなのか、市の対応は「意思決定支援」に沿ったものと言えるのか、それぞれ、伺います。

   柿生学園は、これまで、非公募による選定を行ってきました。非公募とした理由を伺います。

   今年1月21日に行われた、民間活用事業者選定評価委員会の評価は、「実績評価点」を含め基準点を超えたために、川崎市社会福祉事業団を指定管理予定者とする「結論」を出しました。ところが、2月4日に再度、評価委員会が開かれ、事務局から「事業の提案内容自体が基準に達していないことを、実績評価点で補うことができない」と、評価委員会とは異なる判断が示され、市長に両論を示すことになったとのことです。「障がい者施設部会」において、評価委員会と異なる川崎市の評価が示されたことはあるのか、伺います。「事務局の判断」は、「事業者選定等に関する手続き要綱」の、どの条文に基づいて行われたのか、伺います。また、新たに指定管理者になった「ハートフル記念会」の常務理事は、元市の健康福祉局長であり、川崎市社会福祉事業団の理事長を務めた方です。元局長が事業団から「ハートフル記念会」に移ったことが「結論」の変更に影響したのではないですか。伺います。

高齢者施策についてです。

介護職員、介護支援専門員の確保・定着に向けた直接支援についてです。

   もともと低い給与の介護職員に対して、国は昨年4月の報酬改定で訪問介護基本報酬を2~3%引下げました。

私達は、市内訪問介護事業所に聞き取りを行いました。ケアプランを作成するケアマネの人員不足の問題や手持ちの余剰金が厳しくなり報酬振込を待って給与を支払う自転車操業の状況があることや離職者による人手不足の悪循環が起きている実態がわかりました。

   昨年9月、市は市内の訪問介護事業所の経営悪化や基本報酬の引下げ等の影響について実態調査を行いました。2024年度収支見込みは47%が悪化との回答でした。2024年度の収支結果及び悪化した事業者への対応について、伺います。次の改定を待たずに、引き下げられた訪問介護の基本報酬を元に戻す「期中改定」を本市としてただちに国に求めるべきです、伺います。東京都では介護職員等の処遇改善のため、昨年度から国が必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員に居住支援特別手当として月額1万円、勤続5年目までの介護職員には1万円を加算し2万円の直接支援を行っています。条件の良い東京の事業所に職員が流出していくと心配する声が聞かれます。本市でも、介護職員、介護支援専門員の確保・定着に向けた直接支援の拡充を図るべきです、伺います。

物価高騰に対する支援についてです。

   この間、国庫補助金を使い、福祉施設等物価高騰対策事業として補助を行ってきました。4月以降の物価高騰対策が必要です、国の施策待ちでなく、本市独自でも補助金事業を行うべきと考えます、伺います。

市内地域医療機関への物価高騰対策支援についてです。

    神奈川県保険医協会は、地域医療機関に2024年診療報酬改定とこの間の物価高・人件費の高騰が医院経営にどれだけ影響を及ぼしているか、2023年度と2024年度の比較調査を行いました。結果は、2024年度は事業所得が大幅な減収でした。物価高・人件費高騰に加え、診療報酬改定で生活習慣病管理料減額の影響で厳しい経営状況に陥っています。「次回の診療報酬改定次第で少し早いが廃業も考えている」などの深刻な事態を訴える意見もあったとの事です。このままでは、地域医療の崩壊を招きます。地域医療の担い手を守る支援が必要です。

本市は国に対応を求めるだけでなく、地域医療機関への補助事業を実施すべきと考えます、伺います。

議案題110号 令和7年度川崎市一般会計補正予算についてです。

マイナンバーカードの更新急増に伴い、公共施設における緊急対応を継続するとともに、市内5カ所に交付窓口を設置するために22億5千万円余が計上されました。

先の文教委員会では、3月31日の各区役所区民課の最長待ち時間が、7区中6区で4時間以上に上った実態が明らかとなりました。

人口増に伴う転入届等で窓口対応が増加傾向の中、国によるマイナンバーカードの交付、電子証明書更新等の業務が追い打ちをかけ市民サービスに多大な影響が出ています。マイナカードの交付窓口ができても、そこに区の職員を配置してしまっては区役所の窓口負担、及び待ち時間の抜本的改善は図れません。交付窓口には区役所以外の職員を配置する体制で行うのか伺います。

中小企業支援についてです。

   物価高騰による材料費等の値上げが、市内中小企業の経営をかつてなく圧迫しています。市内のある製造業の社長さんは、「自動車、家電、PⅭ、スマホ向けなど、様々なものに使われる半導体が、すべて調整局面となり、関税問題も重なり、需要に急ブレーキがかかっている」その結果「ICチップ関連の仕事が、10分の1まで減少した」と経営の悪化を訴えておられました。下請け企業では、価格へ転嫁したくとも、転嫁できず、物価高騰のあおりを直に受けています。

 こうした、実態にある市内事業者に対しては、給付金などの直接支援が必要です。埼玉県上尾市では、約3億1500万円を組み、市内中小・小規模事業所、約5千件を対象に、法人で7万円、個人事業者に3万5千円の支援金の給付事業を行っています。市内事業者であれば対象とされ、市内の事業者数に見合った予算を組んで実施しています。本市の事業者からは「最近、市の支援がない」という声が上がっています。物価高騰対策として、給付など直接的な支援を本市でも行うべきではないでしょうか、伺います。

賃金引上げに対する支援についてです。

   岩手県では、県内3万人を対象に、1時間当たり60円以上賃金の引き上げを1年間継続する事業者に対し、従業員1人当たり6万円、最大50人分の給付を実施しています。今年2月から11月までが募集期間で、すでに1万2千人を超えた申し込みがあるとのことです。市内中小企業では、「人材確保のためにも賃金を上げたいのは、やまやまだが、今の業績では支払えない」という実態があります。賃金引上げの直接支援を行うことで、働く人の賃上げ支援と中小企業の人材確保を応援すべきですが、伺います。

公契約制度の運用改善についてです。

いわゆる最低賃金である作業報酬下限額や契約に関する施策など市長の諮問に応じ調査審議を行う作業報酬審議会が設置されています。作業報酬下限額を審議する際に「公にすることで率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」として非公開としています。労働者にとって最も重要な審議事項が非公開とされているのは問題だと市民から指摘があります。条例制定のある東京都23自治体のうち21自治体、野田市、厚木市など近隣自治体のほとんどがオープンにしても問題ないとして、当たり前のように公開にしています。本市でも検討し透明性を図るべきです。伺います。

 施設管理や給食調理業務など6業種の特定業務委託契約と、わくわくプラザや子ども文化センターや老人いこいの家など指定管理で働く、延べ人数約8万人に適用される作業報酬下限額は、2025年4月1日から時給1,226円です。昨年度より64円しか上がっておらず月収で約21万円、年収は250万円程度です。一方杉並区では会計年度任用職員の改定状況なども参考にし、4月から時給1400円に引き上げました。物価高騰は負担が重くのしかかっています。市民に身近な公共業務を担う方への作業報酬下限額を時給1500円に引き上げることを検討すべきです。伺います。

JFEスチール株式会社高炉休止に伴う雇用と地域経済への影響と支援についてです。

関係行政機関連携本部は、一定の成果があったとして3月の開催をもち終了することを決めました。これまで、市長をはじめとして「地域経済や雇用への影響が懸念される」との発言や答弁がありました。休止して1年半が経ち連携本部の終了に際し、約750名もの方が退職をされた自体をどう受け止めているのか、また、半数が20人以下の規模で売り上げはJFEスチールに依存していた関連下請け事業者の仕事がなくなったことで市内経済や中小零細企業にどのような影響を及ぼしたと総括をしているのか、市長に伺います。

等々力緑地の樹木の維持管理についてです。

   現在、跳ね上がった再編整備の事業費に対し官積算等の精査が行われていますが、緑地内ではフロンターレ公園の柳や正面広場のケヤキ等、長年の月日をかけて育った10m以上の樹木の伐採が続いています。これは事業者が委託した樹木医の診断に基づき、回復できない倒木の恐れのある樹木に対しては伐採がおこなわれているとのことですが、市と事業者が取り交わした要求水準書には、遵守すべき法制度等に「川崎市緑化指針」が明記されています。緑化指針によると、樹高が10m以上の可能な限り保存すべき樹木をやむを得ず伐採する際は樹高6m以上の大景木の植栽に努めるとあります。当然、低木の苗木を植えるのではなく、大景木の植栽が行われると考えてよいのか伺います。

 現在、緑地内の多くの樹木で太い株を切り詰め、相当量の枝を切り落とす強剪定が行われています。これは木にストレスをかけ、枯れることもあると有識者からは指摘されています。緑化指針では、剪定は樹木の樹形を活かし、緑のボリュームアップを図るとされていますが、なぜ指針通りに行われていないのか伺います。

 今、ニューヨークやメルボルンといった世界の大都市では樹冠被覆率という数値を用いて明確な目標を掲げ、樹木の維持管理に取り組んでいます。樹冠被覆率とは、一定面積の地面に対して枝や葉が茂っている部分が占める割合をさし、樹冠によって生まれる木陰によって地上への日射を抑制させ気温の上昇をおさえる効果があることから、温暖化対策・ヒートアイランドへの強力な対策として採用されているとのことです。全国都市緑化かわさきフェアの「みどりのかわさき宣言」では「身近な地域から地球規模にわたる様々な環境問題、社会問題の解決にむけて、人と自然が共生する幸福な社会の実現をめざします」とあります。その具現化の為にも、川崎市緑化指針に樹冠被覆率を採用し樹木の維持管理を行うべきではないでしょうか、伺います。

鷺沼駅前地区再開発事業についてです。

   現在、廃道となる市道鷺沼線の水道管などのインフラ設備の周辺道路への布設替えが行われています。また、商業施設の「フレル」も閉店され、解体工事が始まろうとしています。

「フレル」解体工事のスケジュールを伺います。また、解体は振動、騒音の被害が最も発生する工事となります。家屋調査を行うべきですが、対応を伺います。再開発組合に住民説明会の開催を求めたところ、個別に説明するとのことでした。多様な住民意見を反映するためにも、住民説明会の開催は不可欠です。公共事業であることから、市として責任をもって、事業者に住民説明会の開催を行わさせるべきです。伺います。

   5月28日の文教委員会において、「新宮前市民館・図書館の移転整備の進捗状況について」の報告がありました。わが党議員から「図書館エリアと商業エリアの連携がなぜ必要なのか」との問いに「複合ビルの中にあるので商業エリアに積極的に入っていくことをコンセプトにした」という答弁でした。これは、読書や学習をするという、図書館本来の機能を損なうことになるのではないですか。教育長に伺います。静かに読書ができるエリアとして「サイレントルーム」が整備されるとのことですが、その整備目的を伺います。現在の図書館には、静かな場所として閲覧席が74席あります。各区の人口当たりの席数は、宮前区は市の平均以下で、閲覧席を増やすように求めてきましたが、新しく整備される「サイレントルーム」は30席しかありません。昨年6月議会で教育次長は「現状以上の席数を確保する」と答弁しています。静かに読書をしたり、学習できる席数を増やすべきではないですか、伺います。

防災対策についてです。

 能登半島で昨年1月に大規模な地震が起こり、その年の9月に豪雨に見舞われたことから「複合災害」への対策がクローズアップされています。東京都では2023年12月に策定した「TOKYO強靭化プロジェクト」の中ですでに、大地震により堤防が決壊し、浸水が発生するという想定を行い、ハード対策とともに、情報発信のあり方や避難誘導の留意点などを確認しています。江戸川区は2012年には地域防災計画に「複合災害編」の項目を立て、「激しい地震で堤防や水門が被災して機能が低下したあと、大型台風で大規模な洪水や高潮が発生する事態」を最悪の事態としてその対応を記載しています。複合災害と言っても対象は多岐にわたり、すべての対策を考えるわけにはいきませんが、例えば多摩川の堤防の弱いところで大規模地震のあと豪雨があった場合に起こりうる被害や、丘陵部の土砂災害など、本市の特徴からくる被害を想定して、いま行っている備えに多少なりとも加えていくような考え方を整理しておくことは必要と考えます。「複合災害」への考え方について伺います。

以上で質問を終わります。


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