子育て新制度の条例案に質疑〜石田和子議員
9月1日、子ども子育て支援新制度(以下新制度)が来年4月から始まるにあたって、設置基準や運営基準などを定める市条例案について、石田和子議員が日本共産党を代表して質疑を行いました。
新制度への移行に際して、児童福祉法第24条1項は維持されて保育の国や自治体の公的責任は堅持されましが、同2項によって小規模保育事業や家庭的保育事業などが認可保育施設として創設され、保育所等に比べて保育者の資格要件などの緩和などが国基準に盛り込まれました。これまで認可外だった保育事業が創設された事業(家庭的保育事業等)に移行する事で認可事業となる仕組みがつくられ、それらの設備や運営の基準となる条例案が今回、示されました。
基準は要綱でなく条例で定めるべき
職員配置や資格要件などは、実施主体としての市町村に判断や裁量権があります。石田議員は、新たに認可施設になる家庭的保育事業には、認可保育園の設置基準との格差をなくし保育の平等性を担保する事、現行の基準を下げない事、移行する事業者に対し市が助成を継続し、資格取得支援を充実するよう求めました。
保育士、幼稚園教諭、看護師、保健師のいずれかの有資格者である現行の「家庭保育福祉員=保育ママ」が、新制度の家庭的保育事業または小規模保育事業のC型に移行しても現行基準を下げずに有資格者とするよう条例で定めるべきと質問しましたが、こども本部長は条例は国基準のままとし、条例とは別に要綱で定めると答弁しました。要綱はその時の状況で変わる可能性あり、条例で定めることに意義があります。
現行の川崎認定保育所A型は保育士割合を3分の2と定めているので、新制度の小規模保育事業のB型に移行しても「条例で『4分の3』か『3分の2』と定めるべき」と質問。本部長は「割合を高くすると移行に大きな影響が出る」ので条例は国基準とすると答弁しました。
障害や疾病をもっている乳幼児が対象の居宅訪問型保育事業は、看護師等も含む専門的な有資格者とすべきと質問しました。こども本部長は「対象児の特性を踏まえた保育が必要なので、条例とは別に詳しく規定する」と答弁しました。
石田議員は、「要綱はその時の情勢により見直されたりする恐れがあり、要綱の改正は議決なしで行われてしまいます。ここまで回答しているのですから、制度の開始時に、議決が必要な「条例」できちんと定めておく事が必要です」と条例化を求めました。また、「認可事業になるのですから、認可保育園と同等の質の確保を担保する事と使いやすい資格取得支援を充実させ、格差をなくす取組を行う事、移行は5年間の猶予がありますので、その間支援策を充実させ、事業者との丁寧な協議を行う」ことを求めました。
公定価格の増額を国にもとめ、減免制度をつくるべき
新制度の保育料は応能負担になりますが、法律は、公定価格でまかなわれない費用について,施設が保護者から上乗せ徴収と実費徴収を行ってもよいとしており、市の条例でもそのことが盛り込まれ、よりいっそう負担増になるのではと懸念されます。
上乗せ徴収は,基本的には(新制度に移行する)「幼稚園」が公定価格上の基準を超えた教員の配置をしている場合や、平均水準を超えた施設整備を行っている施設が徴収出来ると例示しています。
実費徴収は、施設の種別を問わず,保護者に負担させる事が適当であると考える費用で、例えば行事への参加費や施設の通園に要する経費、日用品、文房具、物品の購入などが対象となっています。
石田議員は、「本来は国が安定的で平等な保育と公平な待遇を保障する公定価格を設定する事が必要です。保育・教育は基本的に公定価格内で行われるべきであり、最初から公定価格を超える部分について上乗せ徴収を行う仕組みは止めるべきであり、そうであるなら、公定価格の増額こそ国に求めるべきです。保育料含め、上乗せ・実費徴収について、少なくても市として低所得者及び多子世帯には配慮し、減免すべき」と質問しました。
本部長は「上乗せ徴収・実費徴収については慎重な対応が必要と考えている。実費徴収について、所得状況によっては負担が困難な場合もあると考えられることから、国において「実費徴収に係る補足給付を行う事業」を示しているので、国の動向を注視しながら、その活用を検討してまいりたい」と答弁しました。しかし補足給付では、介護保険でも廃止されるように不安定な支援です。
保育料は値上げをしないように求める
保育料は、国の徴収基準をもとに市町村が応能負担により定めますが、2011年度まで本市の国基準保育料額に対する保護者負担割合は66,4%でしたが2012年度から3年かけて引き上げられ,今年度は75%で、この割合は政令市中4番目の高さとのことです。非正規雇用や派遣労働者の拡大などで子育て世代の所得は減少しています。新制度にあたり少なくても現状の保育料の引き上げをしないように求めました。
本部長は「新制度の国基準保育料の水準については基本的に市民税所得割額を基に階層区分が設定され、現行の基準額が置き換えられているので、平成27年度の保育料については現行の水準で設定して参りたいと考えている」と答えました。