市政と市民のくらしを結ぶ
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日本共産党川崎市議団が代表討論を行ないました

DSC00903川崎市第一回定例会(予算議会)最終日の3月19日、日本共産党川崎市議団の市古てるみ副団長は、市長の施政方針・予算案を含めた諸議案について、市議団を代表して討論を行いました。討論の内容を紹介します。

予算案の総括的評価と予算編成のあり方について

私は、日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の施政方針ならびに予算案を含めた諸議案について討論をおこないます。

新年度予算では、重点項目の一つとして真っ先に掲げているのが「京浜臨海部における国際戦略拠点の形成」で、国立医薬品食品衛生研究所の土地購入費などに21億3,700万円、船の来ない港への3機目のガントリークレーンに8億円など、不要不急の大規模事業への投資が際立っています。その一方で、市内全企業数の9割以上を占める中小・零細業者への予算は、商店街関係予算を入れても融資を除けば4億2,150万円で一般会計のわずか0.07%に過ぎません。産業政策として極めていびつな予算といわなければなりません。
また、市長が重点項目に掲げる、市民にとって喫緊の課題である防災対策も、子育て施策もきわめて不十分なものであることが明らかになりました。
新年度の歳入のうち、市税収入の約4割を占める個人市民税は前年度比12億円増ですが、年少扶養控除・特別扶養控除廃止による負担増は約35億円にのぼっています。総務省の統計調査では、勤労世帯の年収が14年間で70万円も減収し、年収が200万円未満の雇用者が雇用者総数の約3割を占めている事実をあげ、川崎市においても、人口増に見合った収入増ではなく、増税によるものが大きいことを指摘しました。こうした市民の生活実態から出発するなら、中小業者への支援を強め、雇用の拡充、市民のふところを暖め、くらし・福祉充実の施策・予算への転換こそすべきであり、そのことを改めて求めておきます。

地震防災対策について

地震被害想定調査の結果でも、2万3,000戸以上が全壊、約5万戸が半壊するということを想定しています。
防災対策というのは、どうしたらこの全・半壊合わせて約7万3,000戸の被害を食い止めることができるか、そうした視点から具体的目標を設定し、実行計画を立て、耐震化が広がらない理由について、意識調査、制度の使い勝手、普及啓発方法、新たな制度の創設等あらゆる面から真剣に考えるべきではないでしょうか。
横浜市では、広報紙で防災特集を組んだほか、木造住宅の防災・減災対策を訴えたパンフも個別に配布し、その度に申請者数が増え続けているということです。
新年度の耐震改修助成対象戸数を175戸とすることは、川崎市としての積極的な姿勢が伺えません。防災対策を重視したというなら、被害想定調査に基づく戦略的な計画を立てて取り組むことを強く求めておきます。

児童生徒の備蓄用物資について

市長は、東日本大震災を教訓として、子どもたちの防災備蓄品の整備は重要なことと受け止めているとしながら、5,600万円の予算要求に対して、半分以下の約2,600万円しか認めませんでした。児童生徒の命を守る上で必要なものを優先してというならば、現場からの声にしっかりと応えるべきです。

公共施設への太陽光発電設備設置について

現在行われている「市建築物における環境配慮標準」の策定作業の中で、再生可能エネルギーについては、重点事項として位置づけ、さらなる導入推進に向けて取り組んでいくとのことです。再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めるためにも、公立学校、市民館、図書館、認可保育園や病院、バス停など、あらゆる公共施設への太陽光発電設備の設置を求めておきます。

中小企業支援策について

深刻さを増す市内経済の活性化について、製造業・建設業・商店会への支援を求めましたが、この分野の対策は、従来の枠組みを一歩も出ないものでした。予算の特徴でも述べたとおり、市の産業政策が、「京浜臨海部における国際戦拠点の形成」に特化しているからです。
私たちが、製造業の支援において、今を持ちこたえるための工場家賃補助やリース代補助を求めたのに対し、「新技術・新製品開発等支援事業」や「産学共同研究開発促進事業」などの支援策を述べるにとどまりました。しかし、今年度の実積は両制度合わせても17社への支援に過ぎません。多くの事業者が、事業継続の危機にある実態を直視すれば、より広範な事業者への支援に踏み出すべきです。

住宅リフォーム助成について

全国495の自治体に広がり、各地で経済効果の実積を上げています。市自ら「中小建設業振興に関わる消費者ニーズ調査報告書」の中で、「住宅リフォーム分野で、ホームセンターや家電量販店の進出は、地域建設業者の職域を圧迫することが予想される」「地元の建設業者が廃業に追い込まれるケースが年々増加している」と警鐘を鳴らしているにもかかわらず、現状の支援策に留まるのは許しがたいものがあります。各地で実績を上げている「住宅リフォーム助成制度」創設に踏み出すことを求めておきたいと思います。

商店街が取り組むプレミアム付き商品券発行への支援について

繰り返し商店街への支援を求めてきました。経済労働局長は、「地域の財産でもある商店街」との認識を示されましたが、支援は、印刷代の一部補助など従来の支援に止まりました。プレミアム付き商品券のプレミアム分と商品券などの印刷代はすべて支援すべきです。また、「商店街魅力アップ支援事業」を充実するよう、改めて求めておきます。

雇用の創出について

厳しい雇用現状を打開するために、市が独自策を打ち出すべきですが、新年度の雇用関連の予算は減らされ、雇用創出事業は国の緊急雇用対策事業だけ、それも、介護人材育成事業、新卒者未就職支援事業、求人開拓員の3事業わずか142名分の雇用創出にすぎません。一人でも多く人が正規雇用に結びつくよう市独自の雇用創出事業を実施するよう強く求めておきます。
キャリアサポートかわさきの新年度予算は増額しないまま、求人開拓員を9名から7名に減らし、勤務形態を週3日から5日にしました。必要なことは、開拓員の勤務形態を正規雇用にして安定的に求人開拓できるようにすること、人数を減らすのではなく増やすことであり、市独自で予算化すべきことを求めておきます。
ハローワーク川崎北では、就労支援ナビゲーターを増やし、現在20名が相談を受けていいます。個別支援の相談を行い、来訪者の要望にそって、希望する職種の紹介をはじめ、必要な制度や関係機関への案内をするなどおこなっています。ハローワークの就労支援ナビゲーターと同様の機能をもたせ相談事業を充実させるためカウンセラーを各区に増やすことを求めておきます。
川崎市は、幸区、宮前区の両区役所に求人情報を扱う端末や機器を配備した専用窓口を設置し、ハローワーク職員2人を常駐させ、生活困窮者の求職活動をサポートするとのことです。この端末や機器を一般の求職者も利用できるよう求めておきます。また、ハローワークの職員の常駐、求職窓口を区役所に設置することを求めたことについて、設置窓口の拡充については、ハローワークとの連携による効果的な就労支援の方策を検討するということでしたので、早急に対応をすることを求めるとともに、すべての区役所に一般求職者用の端末や機器を配備することも要望しておきます。

小児医療費助成制度の拡充について

子どもが病気になってもお財布の中身を心配しなくてもよいように、医療費の無料化の年齢を拡充してほしいという願いは切実です。
多摩川を超えると中学卒業まで無料になるのに比べ、川崎市は昨年9月にやっと小学校1年生までの引き上げに止まっています。他都市でも拡大が進み、中学校卒業までの助成は政令市では、名古屋市、浜松市など6市に加え、神戸市が新年度9割軽減ではありますが踏み切るとききました。県内でも厚木市、海老名市など2市5町1村に、小学6年生までは平塚市、鎌倉市、藤沢市など5市4町に加え、小田原市も新年度10月から拡大予定とききました。小4までは秦野市、小3までが相模原市、三浦市など5市1町、横須賀市と茅ヶ崎市が新年度10月から小2まで実施すると聞きます。市長は昨年の6月議会でも子育て施策の重要な一つとして「引き続き拡充に向けて検討する」と答弁されていたのですから、市長の任期中に、補正予算を組んででも年齢引き上げと、所得制限を撤廃することを強く求めるものです。

私立幼稚園保育料補助の拡充について

文部科学省は2013年度、私立幼稚園保育料補助単価のDランクの1人目の就園児について1万2,400円増額し、6万2,200円に引き上げました。しかし、市は単独加算を9,400円も減額したため、結果的に補助は3,000円の増額にとどまり、6万6,700円としました。本市の入園料及び保育料の平均額は20政令市中最も高額のうえ、新年度も合計で2,955円値上げされ、入園料と保育料を合計すると48万7千円余にのぼります。国の補助金額が上がってもほぼ同額が値上げされますから保護者の負担軽減にはなりません。市の加算額を今年度と同額にし、負担軽減を拡充すべきです。

保育園待機児童解消について

新年度に向けての認可保育所の入所不承諾通知は2,660人、申請した人のうち約36%の人が入所できませんでした。4月1日までに預け先を確保しなければ仕事に就くことができず、区役所にも多数の人が相談に駆けつけたとのことです。仕事が決まらなければ入所できない、入所できなければ仕事に就けないという厳しい状況は改善されていません。経済的な理由から潜在的なニーズは増え続けています。第2期保育基本計画では「3年間で4千人の受け入れ枠を増やす」として整備をすすめてきましたが、認可保育所の緊急増設を抜本的に進めることなしに待機児をゼロにすることは困難と考えます。民有地借上げ型保育所を第2期保育基本計画通りに整備することとあわせ、新年度中の整備を上乗せすべきです。次期の整備計画に、潜在的なニーズもしっかり把握し、公有地や民有地を活用するなどあらゆる手立てをとって、明確に待機児童をゼロにする計画を示すことを強く求めておきます。

就学援助について

20ある政令指定都市の状況を調査したところ、回答をいただいた18都市中、受給基準が生活保護基準の1.0倍の都市は川崎市、横浜市、仙台市など7都市で、他は相模原市の1.5倍を筆頭に1.1~1.5倍までが11都市あります。
生活保護世帯の1.0倍の7都市のなかでも一番受給率が低いのが川崎市でした。
義務教育は無償の原則があるにも関わらず、保護者の負担はじわじわと増え続けています。援助が必要な人に就学援助制度を受けてもらうためにも、他の政令指定都市の取組みからみても多くの点で改善が必要です。そもそも生活保護基準の1.0倍という低い受給基準を見直すこと、所得の目安を前面にだしたわかりやすい表示の仕方に改善すること、児童・生徒全員にお知らせとともに申請書の配布を全校で実施することを要望します。

中学校給食について

本市と同じような理由で、給食を導入してこなかった神戸市もいよいよ全中学校で、給食を導入することとなり、20政令都市の中で実施を決めていないのは、川崎と横浜だけとなりました。心身ともに健やかな成長を促すためにも、中学校給食は大きな役割を果たします。これほど全国に広がり、実施する意義と役割が鮮明になっている中学校給食に踏み出すことを求めておきます。

特別養護老人ホームの増設について

第5期高齢者保健福祉計画での整備数は1,103床です。2012年度開設予定の483床も大幅に遅れて、今年4月以降の入所になります。既存の特養ホームの入居入れ替えが一定あったとしても、その整備数は待機者5,600人に対しては圧倒的に少なすぎます。早期に入居する必要性が高い方が、概ね1~2年程度で入居できることを目指し、整備をすすめているといいますが、1,2年の待機がどれほど大変なものか、さらにこの整備の速度と待機者数で1,2年待てば入れるのかも疑問です。
家族の介護力の限界、また低所得の方にとっていちばん必要な施設は特養ホームです。一刻も早い入居を待ち望んでいる声に応えて、高齢者実態調査の結果を踏まえるまでもなく、特養ホームの思い切った増設を求めておきます。

京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区について

羽田空港に近いということ、臨海部の研究機関、企業等の集積を挙げ、高いポテンシャルを活かしてライフサイエンス分野の国際戦略拠点を形成し、経済や雇用に大きな効果を生み出すことを目指すとして、「多様な手法と民間活力の導入を図る」という言葉を躍らせて、川崎市の土地取得によって、誘致し続けてきました。
しかし、それほどポテンシャルの高い地域だと言うならば、土地取得も含めて民間活力に任せるべきです。市民の税金を使って、わざわざ土地取得して事業を支えなければならないとしたら、それは、「ポテンシャル」すなわち「潜在性」は、低いということではないでしょうか。
川崎の未来ともいえる神戸市では、「医療産業都市」を神戸市三宮沖の埋め立て地のポートアイランド(第2期)に、先端医療振興財団を中核に、理化学研究所の発生・再生科学総合センターや、神戸バイオメディカル創造センター、臨床情報センター、神戸市立中央市民病院、スーパーコンピュータ「京(ケイ)」ほか、200を超える研究機関と企業が集積してバイオメディカルクラスターを形成、新しい医療技術を開発しようとしています。しかし、莫大な市費を投じ、10年以上年経った現在でも、赤字を市が補てんし続けているというのが現実です。
代表質問でもこのことを指摘し、そのような自治体の二の舞いになりかねない税金投入の仕組みをつくるべきでないと求めたのに対し、「経済や雇用に大きな効果を生み出す」「地域経済の発展や日本の成長を牽引する」など、根拠を示すこともない答弁を繰り返す態度に終始しました。今からでも、こうした税金投入のあり方を改めることを求めておきます。
これまでの土地取得からも明らかなように、土地取得を含め、終わりのない財政支援を前提としている当特区計画からは、早急に撤退すべきことを強く求めておきます。
また、市民の安心・安全な生活を支えることを土地取得の目的としているならば、今からでも必要な施設整備が遅れている保育園や老人施設の土地取得にこそ、優先的に乗り出すべきです。

国際コンテナ戦略港湾計画について

川崎市が294億円もの市費を投入して川崎港コンテナターミナルとファズ物流センターを建設し、開業してから16年が経ちました。
その時に建設されたガントリークレーンは1基16億円で、2つ合わせて32億円かかりました。今回、新たに建設されるガントリークレーン3号機との差額の理由を調べるなかで、1、2号機はコンテナ取扱量の過大予測に基づいて造られた無駄の多い装置であり、それらも実際は今回の9億円規模の3号機と同型でも良かったこと、つまり1、2号機の建設自体がばく大な税金のムダ遣いだったことが明らかになりました。
川崎港コンテナターミナルは年間処理能力に対する稼働率が2011年度実績でわずか25%にとどまっています。そうしたなかで、新年度予算で3機目のガントリークレーンの建設費に8億円を計上したことを含め、国際コンテナ戦略港湾政策により川崎港の拡張・大規模開発に10年間で1,022億円もかける計画はきっぱり中止するよう求めましたが、市長は「引き続きしっかりと取り組みを進めたい」と表明しました。
このような税金ムダ遣いの大規模開発は中止することを強く求めておきます。

議案第2号川崎市証人等の実費弁償に関する条例の一部を改正する条例の制定について

地方自治法第100条第1項が改正されたことに伴う条例改正で、本条例第2条第2号中「第100条第1項」を「第100条第1項後段」に改める等の改正です。
地方自治法第100条第1項は、百条委員会において、議会が調査を行い、「議会が関係者の出頭・証言、記録の提示を請求することができる」とされていましたが、改正により、それらの請求は、「特に必要があると認めた場合」に限るという文言が加えられたものです。
国会において「特に必要があると認める場合」とは何を意味するかとの質問に、提案者は「調査による公益性と出頭・証言を要請される方がこうむる影響を比較考慮したうえで、公益性が上回る場合に行われるべきもの」と答えています。しかし、そもそも百条委員会は、地方自治体の事務に係る不正や疑惑などを、住民が求める真相究明のため議会の権限において設置されるものです。つまり公益性が上回るからこそ出頭・証言・記録提出を行うのであって、「特に必要があると認める場合に限る」と極めて抑制的な条件を追加したことは到底許されるものではありません。地方議会の権限を狭める、こうした改正が、「地域主権改革」の名でなされたことも許しがたいものがあります。したがって、引用条文の改正とはいえ、前提となる地方自治法第100条第1項の改正内容を是認することができないことから、本議案には賛成できません。

議案第15号 川崎市消防団等公務災害補償条例の一部を改正する条例の制定について

本議案は、傷病保障年金、障害補償及び介護補償に係る障害の区分並びに補償基礎額及び介護補償の額等について、非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令等を引用して規定するものです。危険を伴う仕事を任務とする消防団員に対する公務災害補償については、基準規定に変更があった場合、手続きに時間がかかっても、政令にそのまま準ずるのではなく、その都度「どう考えるのか」議会で審査をすることが重要と考えることから、本議案に賛成することはできません。

議案第33号川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算について

高齢者に差別医療を持ち込む後期高齢者医療制度に反対であることから、賛成することはできません。

議案第52号 平成24年度川崎市港湾整備事業特別会計補正予算について

これは、東扇島臨港道路外貿7号道路整備工事、設計の委託をおこないファズ物流センターに続く新たな道路を整備する事業です。元々臨港道路東扇島水江町線には反対してきましたので、本議案には反対です。

請願52号「所得税法第56条廃止の意見書を国にあげることに関する請願」について

長引く不況のなか、中小とくに零細業者や商店では人を雇う余裕などなく、事業主の妻や子どもの働きによって苦境を乗り切ろうと懸命な努力がされています。
この家族従業員が果たす社会的役割に思いをはせるのではなく、その権利をふみにじり、経済的な損失をあたえてきたのが、所得税法第56条です。
第56条の最大の矛盾は、家族従業員の給与を経費として認めないこと、実際に働いている人間の正当な給与・対価を税法上、否定していることです。
青色申告なら家族従業員の給与を経費に認める、としていますが、実際におこなわれた人間の労働について、当局が申告形式をもって、認めるとか認めないとか勝手に判断すること自体おかしなことです。
さらに記帳が条件というのなら、白色申告も1984年から記帳義務となっています。さらに来年1月からは年間所得300万円以下であっても、記帳義務となります。
所得税法第56条の廃止を求める意見書を国にあげるべきであり、請願の採択に賛成いたします。

以上の立場と予算組替えとの関係から、日本共産党は、議案第2号、議案第15号、議案第28号、議案第29号、議案第33号、議案第36号、議案第40号、議案第43号、議案第44号、議案第52号に反対し、その他の議案、報告、請願第52号については賛成及び同意することを表明して討論を終わります。


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