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2024年7月10日

NPO法人 川崎市ろう者協会と懇談しました。


 IMG_4699   7月10日 日本共産党川崎市議団は、NPO法人川崎市ろう者協会と懇談しました。同会から2名の方が参加され、以下の項目について要望が出されました。

1. 未知のウィルスや命に関わる会見・報道等における情報保障について

①聴覚障がい者が情報提供から取り残されないために手話通訳および文字通訳(字幕)をつけるとともに、メディア(ネットを含む)は、手話通訳や文字通訳(字幕)を含めての放映を徹底してください。

②上記の対応は、今回のコロナウィルス感染症に限らず、今後、同様の事態や災害等が発生した場合においても、障がい者からの求めのあるなしにかかわらず、情報提供に際して誰一人取り残さない視点に基づく環境整備の一環として保障してください。

③ ホームページ上にも問い合わせが電話のみである場合が多いため、FAXあるいはメールアドレスを併記してください。また川崎市が主催する行事(出前講座など)には必ず手話通訳もしくは要約筆記を付けてください。

2. 障害者差別解消法について

①聴覚障がい者にとっての合理的配慮は、手話通訳や要約筆記、文字情報の提供に係る人的支援が必要不可欠です。障がい者当事者への人的支援による「合理的配慮」に応えられるよう施策とその予算措置を推進して下さい。

② 現在の意思疎通支援事業では、分野にかかわらず意思疎通支援のための手話通訳・要約筆記等の設置・派遣を行っていますが、障害者差別解消法、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行に合わせ、すべての分野において、意思疎通支援のための予算を確保し、その利用を推進することが必要です。合理的配慮や基礎的環境整備による支援の推進について、各組織を横断する取り組みを行ってください。

3.川崎市聴覚障害者情報文化センター(以下、情文センター) 第5期(令和8年~令和12年度)指定管理に向けて

①情文センターの次期指定管理者の公募(2026年度~2030年度)の時、情文センターの性格上、聴覚障がい者福祉の専門的技術や知識が強く求められており、利潤を追求する業者や聴覚障がい者福祉に対する経験が乏しい団体等が、指定管理者として施設を管理・運営していくのは適切ではないという観点から「非公募」という方式で採用することを強く要望します。

そして、県内で聴覚障がい者福祉専門の看板を掲げている社会福祉法人格を持った団体は1つだけであり、その「社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会」を指定管理者として選定して下さい。

② 手話奉仕員養成カリキュラム、手話通訳者養成カリキュラムを実施するための事業費を確保してください。*現在は1カ所で開催

4. 手話通訳・要約筆記の派遣・養成について

①手話通訳者・要約筆記者の派遣事業については、今後も利用者負担を求めないよう要望します。

②各区役所にケースワーク等の社会福祉援助技術を活用できる聴覚障がい福祉の専門職員(手話通訳者、ろうあ者相談員)を配置してください。

③ 川崎市立川崎病院に手話通訳を専門とする常勤職員を複数名配置して下さい。

川崎市立看護大学に手話専攻コースを設けて、手話でコミュニケーションを図ることができる生徒が増やせるようにして下さい。

④ 手話奉仕員養成講座入門編・基礎編を行なうにあたって、川崎市の責任において会場の確保を強く要望します。

⑤ 手話通訳者のインフルエンザ等感染症予防接種の予算措置を要望します。

5. 手話の普及について

① 川崎市 内の小学校、中学校、高校などの教育機関からの福祉教育依頼に関し、1か月前までに派遣依頼をしてください。学校など、教育機関からの講師派遣依頼の謝金について交通費などを含めた支払い基準の標準化を図って下さい。

② 神奈川県手話言語条例に伴う手話講習会で福祉教育への講師派遣が出来るようにしてください。

6. 緊急災害等における聴覚障がい者への対応について

① 緊急時の手話通訳依頼システムの構築をして下さい。必要な家庭に文字で見えるラジオ(防災ラジオ)を配布して下さい。

② 消防職員がコミュニケーション対応出来るようなコミュニケーションボード、遠隔手話通訳等の充実を図って下さい。

③災害発生後、聴覚障がい者の指定避難所(二次避難所)の設置を要望します。

④各避難所において、聴覚障がい者への情報保障が得られる設備(アイドラゴン、アンプルボード)、簡易筆談器の設置を要望します。

7. ろうあ者社会生活教室・日曜教室事業(聴覚障害者生涯学習講座)について

① ろうあ者社会生活教室・日曜教室事業(聴覚障害者生涯学習講座、年6回開催)の委託費を維持するよう要望します。

8. 介護保険制度、障害者自立支援法について

①認定等の場面において、聴覚障がい者とのコミュニケーションが十分に行われるようにするために、川崎市聴覚障害者情報文化センターを利用するよう徹底して下さい。

②事業所との契約等の場面において、聴覚障がい者とのコミュニケーションが十分に行われるようにするために、事業者に対して、川崎市聴覚障害者情報文化センターを利用するよう周知をして下さい。

③川崎市内におけるろう高齢者やろう重複障がい児・者等へのコミュニケーションの配慮がある社会資源(施設・グループホーム・日中活動出来る場等)を整備して下さい。

9. ろう教育について(聴覚障がい児の教育について)

① 川崎市立聾学校は市内唯一の聴覚障がい児教育の専門機関です。しかし近年、児童・生徒数が減少しています。このままでは、聾学校としての存続が危ぶまれます。児童・生徒数を確保し、教員の専門性をさらに高め、存続できるよう要望します。そのための就学説明会を開催してください。

②難聴学級の担任は、支援級を兼任しているケースが多くあります。よって、聴覚障がいの専門性を持たない教員も多くいると聞きます。必修研修を設けるなどして、その専門性を向上させてください。

③ 「ことば」「情緒」の通級指導教室は、市内の各区に設置されていますが、「きこえ」の通級指導教室は現在、川崎市立聾学校の一か所のみです。

小学校生は、保護者の付き添いが必要であるため、川崎市の南部・北部の保護者には、大きな負担が強いられています。また生徒も授業を抜けて通うため、時間的なロスも大きいです。通級指導教室を南部・北部に増設してください。

④現在、聴覚障がい児の教育の場は、川崎市立聾学校・地域の難聴学級・地域の一般クラス(通級指導教室に通う生徒も含む)と分かれています。そのため、どの教育の場も聴覚障がい児の集団を確保することが困難になっています。また、聴覚障がい児教育の専門性も薄められています。川崎市としての、聴覚障がい児のより良い教育環境の再考を切に望みます。

⑤聴覚スクリーニング検査を経て聴覚障がいが判明した場合は、適切なインフォームドコンセントが行われるよう川崎市内の病院に呼びかけてください。

また、聴覚障がい児の早期支援として、聴覚障がい児が地域で自分らしく生きていくためのコミュニケーション手段、補聴器、手話、読話、ICT活用があることを早期にご家族や関係者に情報提供し、自ら選択できる環境を関係機関と連携しながら支援する体制作りを確立させていただくよう要望します。

⑥ 川崎市立聾学校の聴覚支援センターは市内の聴覚障がい者教育を支える要であることをご理解いただき、関係各所に引き続き周知していただきたい。

10.労働について

① 職業安定所における手話協力員の配置時間の拡大と、手話協力員のバックアップ体制を築くためにも労働環境の改善を厚生労働省等に働きかけて下さい。

② 現在、配置されている手話協力員の労働条件を下げないよう厚生労働省等に働きかけて下さい。また手話協力員への交通費支給の予算措置を要望します。

現在は、ハローワーク川崎(毎週木曜日:14時から16時)、ハローワーク川崎北(毎週水曜日:14時から17時)と週1回だけの設置です。設置回数を増やしてください。

③ 市内の企業及び自治体へ聴覚障がい者を含む障がい者の雇用の拡大及び定着率を高めるよう指導して下さい。

④ 事業主が聴覚障がい者を採用した後、様々な問題が発生した場合、川崎市聴覚障害者情報文化センター及びハローワークへ連絡をし、連携を取りながら適切な処置を取るよう指導して下さい。

11.ろう重複について

①ろう重複障がい児・者の障害特性、支援の専門性、介護の必要性を行政や一般社会に理解を広げ、本来必要とする教育、労働、生活保障等のサービスが適切に受けられていない現状を把握したいので調査をお願いしたい。

② 川崎市立聾学校幼稚部に重複障害を持つ子供のための学級を開設して下さい。他都市の聾学校幼稚部の学級設置状況の報告をお願いしたい。

12.ろう高齢者について

① ろう高齢者の支援が十分に行えるように、ろう高齢者ミニデイサービス「ななのわ」の事業化実現を希望します。スタッフが高齢化となり辞める方もいます。利用者を家まで送迎していますがボランティア事業でありスタッフへの負担が大きいです。ろう高齢者をサポートする「ろう者ヘルパー」の数を増やせるよう協力をお願いしたい。

② 聴覚障がい者(中軽度難聴者も含む)への専門的な介護機能のある高齢者施設の設置を要望します。

13.公職選挙について

川崎市内での選挙の政見周知(政見放送・個人演説会等)に情報保障として、手話通訳・要約筆記(字幕、音声認識も含む)を付けてください。

14.スポーツ関係

① ろうあ者関東ブロック体育大会の補助金を維持するよう要望します。

② 全国ろう者体育大会および身体障害者スポーツ大会などデフスポーツへ参加するための補助金を交付して下さい。

③ デフリンピック派遣への補助増額及び報奨金を拡充して下さい。

④ 国民へのデフリンピック啓発のための事業に対する制度の創設及び拡充を行って下さい。

15.その他

① 高齢ろう者が当協会で運営しているミニデイサービス「ななのわ」もしくは行事に参加できるよう「川崎市ふれあいフリーパス」「重度障害者福祉タクシー券交付」を同時に交付できるようにして下さい。

② 9月23日は国連総会で決議された「手話言語の国際デー」です。当協会としても、手話言語の普及を推進するべくイベントを開催したい。そのイベント開催費を川崎市で負担をお願いしたい。また、手話言語のシンボルカラーである青色のライトアップをお願いしたい。

市議団は、今後も当事者・家族の声を市政に反映させるべく、引き続き取り上げていきたいと述べました。