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「離婚後の共同親権導入を柱とする改正民法は廃止し、国民的な議論を重ね、あるべき家族法制への転換を求める意見書(案)」(日本共産党提案)

離婚後の子どもの養育について、父母のどちらか一方が親権を持つ現在の単独親権に加えて、父母双方に親権を認める共同親権を導入することを柱としたこれまでの親権制度を大きく変える改正民法が、本年5月17日に参議院本会議で可決成立したものの、共同親権をめぐっては、離婚後もDVや虐待が続くおそれがあるなどの理由で、法案成立後も強い反対と不安の声が上がっている。

最大の問題は、離婚する父母が合意していなくても、裁判所が離婚後の共同親権を定め得る点であり、真摯な合意がないにもかかわらず、親権の共同行使を強いれば別居している親による干渉や支配を復活、継続する手段となり、結果として、子どもの権利や福祉が損なわれる危険が考えられる。

また、証拠不十分により過去の被害が認められない事態は十分起こり得るほか、婚姻中、DVや虐待を理由に子どもを連れて別居するケースが、急迫の事情に当たるのかさえ明確ではない。

日本産科婦人科学会など4学会は、共同親権を導入する理念に理解を示しつつも、離婚後も父母両方の親権者の同意が必要になれば、生命・身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅延することを懸念しており、結果として、親権者の同意の必要性について判断が付かず、医療機関が訴訟リスクをおそれ、医療行為を控える事態を招くことがあってはならない。

あるべき法改正のためには、子どもを主体とした親権の再定義が必要であり、子どもの意見表明権の明記、裁判官や調査官の大幅増員など家庭裁判所の体制強化も不可欠である。

さらには、子どもの権利を実現する親と社会の責任・責務という位置付けを明確にした上で、離婚後の子どもの養育、親の責任の在り方や分担について、国民的な議論を重ねて合意形成をしていくことが求められる。

よって、国におかれては、離婚後の共同親権導入を柱とする改正民法は廃止し、国民的な議論を重ね、あるべき家族法制へ転換することを強く要望するものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


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