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2024年6月19日

「改正子ども・子育て支援法の廃止を求める意見書(案)」(日本共産党提案)


児童手当や育児休業給付の拡充などを盛り込んだ改正子ども・子育て支援法が、参議院本会議で本年6月5日、賛成多数で可決成立した。

本改正は、年金特別会計の子ども・子育て支援勘定と労働保険特別会計の雇用勘定を統合した子ども・子育て支援特別会計を令和7年度に創設するとともに、医療保険料に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金制度を令和8年度に創設する内容となっており、子育て世帯への経済的支援の強化を始めとした子育て世帯に必要な施策が盛り込まれるなど一定程度の評価はできるものの、財源には問題がある。

首相は支援金をめぐり実質的な負担は生じないと説明しているが、社会保険料に上乗せする支援金制度の令和10年度の見込額について、被用者保険の1人当たりの支援金は、年収200万円の場合月額350円、年収400万円の場合月額650円、年収800万円の場合月額1,350円と試算されたほか、後期高齢者医療制度の支援金は、年収250万円の場合月額550円、年収300万円の場合月額750円と試算され、また、支援金は段階的に引き上げられることになっている。

本来、子ども・子育て支援を具体化する財源は全額公費で賄うべきものであり、子育て支援を理由にした国民負担の増加が許されないことはもちろん、そもそも医療保険の保険料を少子化対策に使うこと自体が、疾病・障害・老齢など健康リスク発生への備えである医療保険の目的を逸脱するものであることから、社会保険制度の原則を踏み外す支援金制度の導入は許されない。

また、本改正には、親の就労にかかわらず全ての子どもの育ちを応援することを目的とした、こども誰でも通園制度の創設が盛り込まれているが、当該制度では、保育従事者等の半分については保育士でなくてもよいとされ、保育士資格のない人が保育することを可能とする仕組みであるなど、子どもの安全を保つことができるのかが強く危惧される。

よって、国におかれては、子どもの安全面の問題を含み、財源を社会保険料に上乗せする改正子ども・子育て支援法を廃止するよう強く要望するものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。