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自衛隊に名簿提出根拠ない中止迫る~宗田団長が代表質問

IMG_5366川崎市議会第3回定例会で19日、日本共産党の宗田裕之市議団長が代表質問を行い、自衛隊への名簿提出問題や離陸直後に石油コンビナート上空を通過する羽田空港新ルート計画について市の姿勢をただしました。

自衛隊への名簿提出問題で同市は、自衛隊法などを法的根拠にして3万人(2018年度)を超える対象者の名簿を提出しています。質疑では、宗田団長が、「名簿提出には法的根拠がない」と迫ったのに対し、福田紀彦市長は反論できず、「総合的に判断して実施している」と繰り返しました。

県内9割の自治体で、法的根拠や個人情報保護の観点から自衛隊へ名簿を提出していません。宗田団長は、「川崎市は市民の個人情報を守る立場にたつべきだ」と述べ、名簿提出の中止を求めました。

羽田空港新ルート問題では、世界でも離着陸ルートが石油コンビナート上空を通過する空港はなく、現在も羽田空港では、石油コンビナート上空の飛行を避けるとする国の通知によって運用されていると指摘。「新ルート案の撤回と計画の変更を国に求めよ」と迫りました。福田市長は、「羽田空港の機能強化の必要性は認識している」と述べるばかりでした。

宗田議員の初回質問の予定原稿は次の通りです。(議事録ではありません)

日本共産党代表質問

                                                         
私は、日本共産党を代表して2019年第3回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行います。

はじめに、5月28日、川崎市多摩区内で登校児童ら20人が市内の男性に刺され、女児と保護者の男性2人が亡くなるという大変痛ましい死傷事件が発生しました。お亡くなりになられた方のご遺族や被害にあわれた方々のお悔みとお見舞いを心より申し上げます。負傷された方々には、心身ともに一刻も早い回復を願うとともに、子どもたちの心のケアを十分におこなうこと、市民生活の安全確保にむけて、私たちも市とともに一緒に取り組んでいくことを表明しまして以下、質問を行ないます。

最初に市長の政治姿勢についてです

自衛隊への個人情報提供について、市長に伺います。
 川崎市は2017年度から、防衛省の求めに応じて、自衛隊に対し対象者の名簿を提出していることがわかりました。2018年度は、18歳及び28歳を対象に、それぞれ12158人、19335人、計31493人の個人情報を提出しているとのことです。神奈川県内では、33市町村のうち閲覧にとどめているのは28市町村であり、名簿を提出しているのは川崎市、横須賀市など3市2町にとどまります。葉山町は法令を精査して名簿提出を中止しました。他の市町村の対応からしても川崎市の対応は異例です。
 名簿提出の法的根拠についてです。市は、自衛隊法第97条第1項が「市町村長は・・自衛隊募集に関する事項の一部を行う」と定めていることを根拠としています。しかし、この法律は、募集事務を具体的に定めるものではありませんし、ましてプライバシーや個人情報保護に抵触する恐れのある情報提供の根拠とはなりません。
また、同法施行令第120条が「防衛大臣は・・必要な報告または資料の提出を求めることができる」と定めていることも根拠としてあげています。しかし、この施行令の報告・資料提供要請は、募集業務などが円滑に行われているかどうか確認する目的であり、個人情報を提供する根拠とはなりませんし、これに応える義務もありません。
さらに、川崎市個人情報保護条例で、個人情報の利用や提供が制限されていますが、第11条第1項で「正当な行政執行に関連があるとき」は除外されることも根拠にあげています。しかし、除外根拠とされる法令の一つである「住民基本台帳法」は、「閲覧」は認めていますが、名簿の提出までは認めていません。しかも、2006年の改正により、閲覧請求についても、それまでの閲覧自由の原則から原則非公開に改めています。この改正の経緯からして、同法が明文の根拠のない名簿の提供を容認していると解することはできません。
このように、自衛隊法第97条、同法施行令第120条及び川崎市個人情報保護条例の除外規定のどれをとっても、名簿提出を正当化する根拠とはなりません。それでもなお川崎市が自衛隊に名簿を提出するという根拠は何ですか、伺います。

人権にかかわる施策についてです
ヘイトスピーチにかかわって公の施設利用のガイドラインについてです。
川崎市のガイドラインでは「言動要件」と「迷惑要件」をともに満たしている場合しか施設の利用を制限できないとされており、ヘイトスピーチが行われる可能性が客観的・具体的に明らかであっても公の施設が当該の集会などに利用されてしまうという問題点を私たちは指摘してきました。本市の後に制定された京都市のガイドラインでは、言動要件と迷惑要件のいずれかを満たせば公の施設の利用を制限できるとされており、この3月に宇治市も同様のガイドラインを制定しています。
人権条例骨子案の中でも「公の施設の利用許可等の基準その他必要な事項を規定」する、とされていますが、「言動要件」を満たせば判断できるよう、基準を規定するべきと思いますが、伺います。

性自認と性的指向にかかわる施策について、LGBT・SOGIの方たちの権利を守ることについてです
この5月に台湾でアジアでは初めて同性婚を認める法案が可決され、同性婚を認める国・地域は世界26カ国となりました。日本でも野党が共同して衆議院に「婚姻平等法案」を提出し、法に基づく権利の確立を求めています。また、地方自治体でもLGBT・SOGIの方たちの権利を守る取り組みが広がっています。今年の4月までに、20を超える自治体で「同性パートナーシップ制度」が導入され、さらに15自治体で検討されていると報道されています。「多様性」を掲げる本市でも「同性パートナーシップ制度」を導入すべきです。伺います。
 東京都世田谷区はこれまで「親族」のみとしてきた家族向け区営住宅の入居条件を改め、同性カップルも区営住宅に住居できるように条例を改正しました。住民票などで同居の実態を確認できた同性カップルならば、パートナーシップ制度を利用していなくても入居対象となり、他の希望者と同様に所得や抽選などの条件を満たせば入居できます。他にも文京区、豊島区、渋谷区、大阪市、堺市、千葉市などで同性カップルも公営住宅に入居が可能となっています。横須賀市も4月1日から「パートナーシップ制度」を開始し、LGBTのカップルや事実婚の方をパートナーとして公的に認め、市営住宅の入居資格や災害見舞金の対象に加えました。
川崎市は市営住宅の入居資格を「親族」としているために、「同性パートナーの市営住宅の入居は難しい」としてきました。しかし、「公営住宅法」には、申し込み資格に「親族」でなければならないという規定はなく、「同性パートナー」を排除するものではありません。「同性パートナー」も市営住宅の入居申し込みが可能になるよう改善すべきと思いますが、伺います。
 私たちはこれまで性自認や性的指向で悩む市民が安心して悩みを話せる相談窓口を常設で設置するよう求めてきました。今年の予算議会で市民文化局長は、「多様な相談に対応できる体制を整える必要がある」との認識を示し、そのあり方を「研究する」と答えています。LGBTやSOGIを明記した相談窓口の設置を行うべきですが、伺います。 LGBT・SOGIの方々の権利を守ろうとすれば、すべての生活領域にわたる対応が必要となります。そのためには市が支援する姿勢をはっきりと打ち出して横断的な施策を行うことが必要です。市として「かわさきSOGI支援宣言」を行うべきですが、市長に伺います。

子育て支援策についてです

小児医療費助成制度についてです
 今年度、県内では横浜市、藤沢市、秦野市が、4月から中学卒業まで通院の助成を拡充し、茅ヶ崎市も10月から中学卒業まで拡充すると発表しました。中学卒業までの無料化は、県内33市町村のうち29市町村に達し、県内88%まで広がる見込みです。いまだに小学校卒業までの川崎市は、県内最低レベルです。すぐに中学卒業まで拡充すべきです。伺います。
所得制限の撤廃についてです。平塚市は、来年1月または来年度に向け、所得制限を撤廃するとのことです。撤廃の理由について「保護者の所得によって医療費が無料になる場合とならない場合の不公平感を生じているから」と述べています。川崎市は、2019年度見込みで小学校卒業までの子ども約170,000人のうち、所得制限があるため18.4%の約30,000人は助成制度の対象になりません。子どもの命の重さはみな同じです。住んでいる場所や保護者の所得によって差があってはなりません。川崎市も通院の所得制限と一部負担金の撤廃に踏み出すべきです。市長に伺います。

認可保育所の待機児童解消についてです
新年度予算で保育所、地域型保育所,認定子ども園の定員を1973名増やしましたが、2019年4月1日現在の認可保育園に利用申請して入所できなかった保留数は、2772人にのぼりました。利用申請が毎年増加し、就学前児童数の約4割が認可保育園に申請しています。人口増と保育ニーズの高まりから利用申請の増加に伴う認可保育園の増設の必要性が今年も浮き彫りになっています。認可保育園に希望しても入所できなかった児童の対策を緊急にとり、整備計画を見直すべきではないですか。伺います。

保育園の通園・散歩ルートの安全についてです
5月8日に滋賀県大津市の交差点で、散歩中の保育園児らに車が突っ込み、16名が死傷する痛ましい事故が起きました。
事故後、保護者らから、「保育園の付近にとても危険な道路や交差点があります。子どもと歩いていて、何度か車にぶつかりそうになっています。保育園への送り迎え、お散歩に使われている道です。猛スピードの車が多いのですが、交差点には、ガードレールもありません。現場を見ていただき、至急対策を行っていただきたい」など不安の声が寄せられています。
事故を受けて、県は「事務連絡とともに、県内の主な交差点2000箇所を対象に防護用ポールや、ガードレールの有無、損傷状況などの調査を行っているとのことです。 
しかし、こども未来局は市内各保育所に対し、「園外活動におけるマニュアルの確認を行うとともに、周辺地域の危険個所や職員体制等について、確認するよう」事務連絡を行っただけとのことです。今、市内の園児は約35,000人です。外でのびのび遊びまわり、自然に触れることは、子どもたちにとって大事なことです。そのためには移動中の安全対策は急務です。市としても、保育園任せにせず、関係部局とも協力して、防護用ポールや、ガードレールの有無、損傷状況などの調査を行い、急ぎ対応すべきではないでしょうか。伺います。

学校教育における保護者負担の軽減、無償化についてです
義務教育である小・中学校における学校徴収金の保護者負担は、2017年度、小学校では6年間で39万990円、中学校では3年間で34万4726円もかかり、学校徴収金以外にも学校生活を送るために必要な様々な費用がかかります。
通学費助成についてです。
市内の小中学校に通う人の中で、バス、電車を利用している児童・生徒は、西中原中学校269名、柿生中109名、生田中24名、生田小40名など小中合わせて863名に上ります。しかもこの通学費は実費負担だということです。教育における保護者負担が高額になっているなか、通学費用は大変な負担になっています。加えて同じ学校に通う生徒の中でバス、電車を利用しなくてはならない児童だけが通学費を負担しなくてはならないのは児童・生徒間の公平性にも反します。
「義務教育はこれを無償とする」という憲法26条や、子どもの権利条約第28条「教育への権利 初等教育を義務的なものとし無償のものとする、必要な場合には財政的援助の提供のような適当な措置をとる」との趣旨からすれば、こうした費用は本来は国が負担すべきです。こうしたことから、全国各地で自治体の単独事業として通学費の助成が行われています。千葉県佐倉市、茨城県笠間市、大阪大東市・堺市、札幌市、滋賀県大津市など。神奈川県箱根町、清川村、大和市でも行われています。
大和市では、家庭の経済的負担を減らし、安心して子育てできるようにと、平成27年度から、電車で通うすべての生徒の定期代を全額補助しています。川崎市も通学費の助成を行なうべきと思いますが、伺います。

学校給食費の無償化についてです
 保護者負担の中でも、大きい割合を占めるのが、給食費です。私たちが昨年全市民を対象に行ったアンケート調査でも学校給食無償化は切実な願いとして寄せられました。学校給食無償化の全国的な広がりをうけて、文部科学省も調査を行いました。一部無償化・一部補助で無償化に向けた取り組みを行っている自治体は、群馬県60%、沖縄県56%、鹿児島県63%、山梨県56%、佐賀県45%、奈良県51%、東京都44%、茨城県43%となっています。すでに学校給食費の無償化を実施している自治体は全国で506自治体に達しています。本市も小学校給食の無償化に踏み出すべきです、伺います。
障がい者施策についてです。

川崎市在宅重度重複障害者等手当についてです
 この手当は、2011年、本市独自の手当であった「川崎市心身障害者手当」を改変したものです。対象者を大きく絞り込んで重度重複障がい者に限定し、所得制限や年齢制限を導入しました。その結果、利用者は約2万人から激減し、昨年度の利用者は1534人でした。
 これは、国の「特別障害者手当」が「著しく重度の障害があるために日常生活において常時特別な介護を必要とする状態にある人」を対象としたことにあわせ、しかも、県が市と同様の制度を65歳未満に限定し、所得制限を導入したことにリンクさせたものです。しかし心身障害者手当は市独自の制度であり、国や県の制度に合わせなければならない理由は全くありません。
相模原市や横須賀市などでは、重度障がい者であれば、重複でなくても年齢制限も所得制限もなく、手当を支給しています。多くの障がい者の皆さんから「川崎市でも支給を」という切実な声が上がっています。相模原市の担当者が「これは市の独自の制度であり、県とリンクさせることは全く考えていない」と述べているように、本市も自主性を発揮して考えるべきです。本市の障がい者が在宅で暮らす際の経済的負担の軽減を図ることを目的とした川崎市心身障害者手当の趣旨に立ち返り、相模原市などのような重度障害者手当として制度を作り直すべきですが、伺います。

障がい者スポーツ施設について伺います
2008年の「川崎市リハビリテーション福祉・医療センター再編整備基本計画」では、リハビリテーションセンター内に、障がい者のスポーツ・レクリエーション振興の中核施設、障害者スポーツの競技会場、健康づくりの拠点、市民相互の交流促進の拠点という4つの主な機能を持つ障がい者専用スポーツ施設の整備を行うと明記しました。ところが、その整備計画はこの10年で「今後検討する」というものに後退し、一方で、2018年度の市民文化局の答弁では、「既存のスポーツセンターを活用する」「障がい者も健常者も同じ場所で利用できるようにする」と、まるでリハビリテーションセンターにおける整備計画自体がないかのようになっています。
本議会は昨年6月「障がい者スポーツの更なる推進を求める決議」をあげ、障がい者スポーツの振興を強く求めました。今年3月には障がい者専用スポーツ施設の新設を求める陳情があり、強い要望が出されています。
わが党は京都市や横浜市の障がい者専用スポーツセンターを視察してきましたが、専用スポーツセンターがどれだけ障がい者の生活の質の向上や市民との交流などに必要かということを実感してきました。そこで観たDVDに登場している女性は、原因不明の病気で足が動かなくなりました。ラポールでかつて得意だった水泳に挑戦。水の中なら介助なしで動けるとわかり、週3回通うようになったとのことです。本市出身で2度のパラリンピックの水泳競技で金メダルを獲得した成田真由美さんも、横浜ラポールで水泳を紹介され、はじめられたとのことでした。ここでは、専門職の職員が常駐し、相談支援を行うことで可能性を広げ、行きたいときに行くことができ、リハビリの効果も上がり、可能性がさらに広がります。横浜市は広く市民に障がい者スポーツを普及させるため、センターの機能をさらに他の地域にも広げることを計画しています。リハビリや障がい者スポーツの普及のため、何より、その人がその人らしく生きていくうえで、専用の施設はどうしても必要だと考えます。市議会の決議も受け、改めて障がい者専用スポーツセンターの新設を、真剣に検討すべきと思いますが、担当副市長に伺います。

議案第81号 川崎市心身障害者総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の制定について、および、議案第82号 川崎市高齢社会福祉総合センター条例を廃止する条例の制定についてについてです
 この条例案は、心身障害者総合リハビリテーションセンターの中の機能と、高齢社会福祉総合センターの中の機能を統合し、総合リハビリテーション推進センターと総合研修センターを設立するというものです。この目的と、障がい者施設と高齢者施設の機能を統合する必要性について伺います。

特別養護老人ホームの増設についてです
今年4月1日現在、特養ホーム待機者は2570人。昨年4月の調査でも「なるべく早く入居したい」と2702人の方が答えていましたが、2018年度の開所は232床にすぎず、待機者は依然として減っていません。
昨年入所申込者管理システムを変更した際に、申請されていた方へ市が再度入所意思の確認をしたところ、「有料老人ホームに入所した」等の理由で申請を取り消した方もいました。有料老人ホームの設置数及び定員数は2015年131施設定員8059人と比較し、2019年は177施設定員1万204人と4年間で46施設2145人も増えています。特養ホームは入所するのに何年もかかるため、待ちきれず、やむなく有料老人ホームに入居した方が多いことがわかります。特養ホームの増設は待ったなしです。
川崎区の97歳の父親の介護をしている70代の娘さんは「特養ホームにすぐ入ることができないと聞き、申請することすら諦めた。家では見ることができないので、やむなく有料老人ホームに入ったが、月に20万円もする。父の年金は月に10万円、自分の年金は7万円。足りない分や生活費は貯金を崩している。これが2年も続いている。自分のこれからのこともあるし本当に不安だ」と話していました。有料老人ホームに入居させることが、家族の生活をも圧迫するような深刻な事態を生んでいます。
 ところが「かわさきいきいき長寿プラン」第7期3年間の計画は590床にすぎません。これでは2570人の待機者解消にはほど遠い計画です。整備計画の抜本的な見直しをすべきです。伺います。
 2019年3月31日現在、特養ホームは市内に55施設ありますが、定員に対して272床の空きがあります。空いている要因の一つは職員不足です。原因は給料など待遇の悪条件です。職員の確保、待遇改善のための施策が急務です。
東京都千代田区では2008年より職員を確保し定着しやすくする目的で、1施設あたり、介護施設の非正規職員の正規職員化へ800万円、パート職員の時給引き上げのため、1施設あたり150万円の補助金を出しています。また、千代田区内に住む職員に月5万円、区外の職員には月2万円を上限に住宅手当費用の支援を続けています。本市でも、人材確保、定着の具体的な支援を行うべきです。伺います。

国民健康保険料の負担軽減についてです
 国保料の値上げが続いています。本市の今年度の保険料は給与収入400万円、40代夫婦、小学生2人の4人家族で年額40万5,250円です。昨年度から約5,200円増、給与収入の1割も占めています。年額40万5,250円の保険料の内、協会けんぽに無い均等割分は21万2,700円です。
高すぎる国保料は、滞納世帯を生み出す結果となっています。本市決算ベースの2017年度の国保加入世帯数は18万5,255世帯、この内、保険料滞納世帯数は3万4,642世帯。国保加入世帯の18.7%です。滞納世帯に対して正規の国保証を取上げ、有効期間の短い「短期被保険者証」やいったん全額窓口負担の「資格証明書」の交付となり、受診抑制につながり命と健康が脅かされる事態を生んでいます。
加入する保険の違いによる負担の格差是正については、全国知事会は2014年に国保の基盤強化と負担の公平性を訴え「1兆円の投入」で協会けんぽ並の保険料にすることを提言しています。本市も均等割を無くすよう国に求めると共に、均等割がなくなるまでは均等割分の141億円の法定外繰入を行い協会けんぽ並に保険料を引下げるべきです、伺います。
また、全国知事会、全国市長会は「子どもに係る均等割保険料を軽減する支援制度の創設」を求めています。収入に関係なく家族の人数に応じてかかる代表的な悪税といわれた人頭税的性格を持つ均等割が導入されているからです。こうした中で、子どもの均等割を減免する自治体が拡大してきました。神奈川県内では、中井町が子育て世代の負担軽減のために子どもの均等割減免を4月に遡って実施します。本市の18歳以下の均等割分を全額免除に必要な予算は9億6,500万円です。せめて、本市でも18歳以下の均等割分を全額免除すべきです、伺います。 

住宅リフォーム助成制度の創設についてです
市内には、住宅リフォーム時期といわれる築25年から30年の住宅は、16万9600戸あるといわれています。住宅リフォーム助成制度は、市内の住宅リフォームを市内事業者に発注した場合、補助金を出すという制度で、2018年度、全国で600以上の自治体で実施され、地域建設業の仕事確保と地域経済全体の活性化に実績を上げています。これまで、本市での住宅リフォーム助成制度の実施を求めてきましたが、「すでに目的を明確にした助成を行っている」として、制度の実施は行ってきませんでした。しかし、他都市では、「店舗リニューアル助成制度」「子育て世帯住宅リフォーム助成制度」など、その活用が拡がっています。横須賀市では「2世帯住宅リフォーム補助金」制度を創設、横須賀市外の子ども家族が引っ越してきて、市内の親世帯の住宅をリフォームする際、リフォーム費用の2分の1、最大で30万円の補助を始めました。本市でも様々な住宅リフォーム需要に対応できる「住宅リフォーム助成制度」を検討すべきです。伺います。

公契約条例の改善についてです
建設労働者の適正な賃金の確保は、建設業の未来にかかわる重要な課題です。公契約条例は、公共事業における賃金の下限額を設け、その賃金を現場の労働者に保証する制度です。実際、決められた賃金が支払われているかが問題です。定められた賃金以上に払われていなければ、申し出て、その差額を受け取ることができますが、労働者自身が「申し出る」ことは、難しいのが実態です。該当する本人だけでなく、労働組合などが本人に代って「申し立て」する事が出来るようにすべきですが、伺います。
建設の組合が聞き取った調査では、労務単価が2万3296円の「型枠大工」が実際は、1万6000円しかもらってなかったというケースもあったといいます。本来の職種ではなく、「軽作業」という職種で登録していたというのです。この現場では、不自然に「軽作業」登録が多くなっていたといいます。このような実態がある場合、関係書類と実態があっているか、再度、実態把握に努めるべきと思いますが、対応を伺います。

正規労働者の雇用を拡大する対策についてです
2016年経済センサス活動調査によれば、市内には約4万934事業所があり、従業員数が19人以下の小規模事業所は約3万5000事業所で、全事業所の約87%にもおよび、小規模事業所への支援、中小企業が人材を確保する際の具体的な支援が求められています。
東京都では、都の職員と労働局の職員が同じ事務所に常駐して、情報共有をおこなって、国のキャリアアップ助成金を活用した企業に、都独自で正規雇用転換促進助成金を補助するなど、様々な事業を展開し、目標を上回る実績をあげてきました。現在、地域の課題に対応するため都道府県の各労働局と地方自治体との間で雇用対策協定を締結する自治体が増えています。2018年4月1日時点で47都道府県105市11町1村、計164自治体が雇用対策協定を締結し、そのうち、政令市は10市、県内では、神奈川県と横浜市と小田原市が結んでいますが、川崎市は結んでいません。雇用対策協定により、市長と労働局長が地域の課題に対する共通認識を持ち「役割分担」、「連携方法」を明確化することで、地域の雇用対策への積極的な姿勢を地域の住民に対して情報発信することが可能になります。川崎市内2か所の公共職業安定所と連携を強めて市内中小企業の実態の情報共有をして、本市として正規雇用に転換させる独自施策を図るべきです。そのためにも、県労働局と雇用対策協定を締結すべきと思いますが、市長に伺います。
自治体でひろがっている「奨学金返済支援制度」の実施を求めてきました。この制度は、中小企業の人材確保や就職の定着を図るため、若手社員に対する奨学金返済負担を軽減している中小企業への補助を行うものです。実績をあげている兵庫県は、引き続き成果をあげています。活用実績は、実施した2016年度は、5社8人でしたが、2年後の2018年度には85社304人に増加し、交付額は1249万円とおよそ60倍です。2017年に制度を導入した企業にアンケートを行ったところ「対象従業員の反応」は、「良かった」が94%、「制度導入後の社内の反応」は「良かった」が68%、また「導入の検討を指示されたのは誰か」の設問に「社長」が81%と答えており、従業員・事業者とも喜ばれて、導入する中小企業が増えていることが結果からよくわかります。川崎市でも、検討すべきではないですか。市長に伺います。

市内電機大企業の人員削減・リストラについて市長に伺います
 電機大企業の事業所で人権侵害の人員削減・リストラがとどまることなく行われています。昨年から今年にかけても、富士通では「5,000人規模の配置転換」で今年3月末までに2,850人の退職、2,000人が配置転換を実施し、今後も対象年齢を45歳以上に広げ早期退職を募るとしています。NECの「3,000人リストラ」では昨年12月末までに2,170人の退職、今年3月末に406人の追加リストラ。東芝は「東芝Nextプラン」で7,000人の人員削減計画を発表し、既に今年3月末までに823人が削減され、新たに半導体部門で350人の削減計画を行うとしています。富士通、NEC、東芝は本市に拠点を置く企業です。人員削減のやり方に対して、産業別組合の電機情報ユニオンには、深刻な声が寄せられています。「会社を辞めろということですか」と聞く社員に対し、会社は「いえいえ、そうではありません、社外で活躍の場を求めるということです」等と本人が自己都合退職を受け入れるまで繰り返し行われる実態や「面談の時、あなたには社内で活躍する場は無いといわれた、頑として〝退職しない〟と言い張れば良かったと後悔している。何も悪いことをしていないのに、クビ切りというのは本当にひどい仕打ちだと思う」などリストラを受入れた方の悲痛な声が届いています。
 今年2月の衆院予算委員会でわが党の質問に厚労省は「退職勧奨がことさらに多数回、長期間にわたる場合など、労働者の自由な意思決定が妨げられる状況であった場合には、違法な権利侵害になりうると考えている」「退職勧奨が疑われる情報を入手した場合は、必要に応じて都道府県労働局や労働基準監督署が企業に事実を確認して、適切に啓発指導を行ってまいりたい」との見解を示しています。
市長はこうした企業の人員削減・リストラを「高度な経営判断」と述べていますが、本人の意思を無視して、くり返し退職勧奨行い自己都合退職を迫るやり方は、厚労省の見解でも違法な権利侵害です。神奈川労働局や労働基準監督署に富士通、NEC、東芝の人員削減・リストラの実態調査を申し入れたのか、伺います。
また、働く人の権利擁護と地域経済を守るため、市長の判断で可能な「雇用対策本部」を設置し対応を図るよう求めてきました。あらためて「雇用対策本部」設置を求めます、伺います。 

ブラック企業対応についてです
4月25日、厚生労働省が「平成30年度過重労働解消キャンペーン」の実施結果を公表しました。この調査は、労働基準関連法令の違反が疑われる8494事業場に対して集中的に実施したもので、その結果、全体の67.3%、5714事業場で労働基準関係法令違反を確認。神奈川労働局も5月30日、管轄する事業所における同調査の結果を公表。対象となった381事業所のうち65.4%、249事業所の法令違反を確認しました。市長は2015年3月の予算審査特別委員会でのブラック企業対応について「労働基準監督局とも意見交換を行い、情報発信や啓発活動等、きめ細やかな対応に努めている」と答弁しましたが、神奈川労働局が公表した対象事業所のうち、市内の事業所はそれぞれ何事業所あるのか市側は把握していません。
川崎市内の労働相談窓口に寄せられる相談数は昨年度458人。労働条件の違い、賃金未払い、不当解雇、日々様々な労働相談が寄せられています。市内にある株式会社経営の認可保育園で働く保育士の方は、求人情報とは違う8時間半労働、休憩はほとんどなし、残業代は支払われず、29人分のおむつを一人で毎日4回交換していました。こういった実態について経営者に意見をしたら異動、いじめ、解雇を言い渡されたと、罵倒され続けた経営者に怯えながら訴えてきました。約1年間でその株式会社が経営する保育園を退職する職員は13名も出ているなど、身近に労働者を使い捨てにする実態があります。
市内のブラック企業の疑いがある事業所を把握せず、どのようにきめ細やかな対応をするのでしょうか、まずは神奈川労働局と連携して実態を把握すべきです。伺います。京都市では、府、労働局の三者で京都ブラックバイト協議会を設置し、年間3000件の相談、学生へのアンケート調査、事例をもとに基本的な対応方法等をホームページで掲載、不適切事案に関する徹底した指導監督強化、京都府では法令違反企業に対する入札制限も行っています。本市も同様の協議会を設置すべきです。伺います。

会計年度任用職員制度について、伺います
 議案第73号「川崎市会計年度任用職員の給与等に関する条例の制定について」、第75号「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例の制定について」伺います。
これらの法改正は、地方自治体における特別職非常勤及び臨時的任用の任用要件を厳格化し、一般職の非常勤職員を任用する制度として雇用期間を1年と法律に明記した会計年度任用職員制度を新設するものです。現在、川崎市の非正規の職員は、特別職非常勤職員約4000人、臨時的任用職員約5000人の計9000人が非正規で働いていますが、条例改正により、特別職非常勤約3000人、臨時的任用約3700人の計6700人が会計年度任用に移行すると試算されています。
まず、会計年度任用の任用期間についてです。市の回答では、特別職非常勤からの移行では、1回あたりの任期は1年、4回までの更新が可能で最長5年まで。臨時的任用からの移行では、一会計年度の範囲内ということで最長1年です。民間では、5年で無期転換が発生するという正規雇用への転換制度がありますが、この制度にはありません。この制度では、いつでも更新をせずに雇止めにすることができますし、どんなに働いても1年とか5年で雇用止めになってしまいます。特別職では、どんなにベテランで実績があっても、毎年1か月の試用期間を設けるという不当な扱いを受けることになります。保育園や学校では、せっかく築かれた子どもとの信頼関係が途切れたり、技術継承の問題やサービスの低下にもつながります。任用期間の限度については、法律では設けなくてもよいことになっているのに、なぜ、川崎市は限度を設けるのか、伺います。
雇用形態の原則についてです。ILOは雇用形態について、あくまでフルタイム無期雇用が原則であり、有期雇用は臨時的・一時的業務に限定しています。しかし、この間、非正規公務員の問題がマスコミでも取り上げられ、非正規職員の増加が大きな社会問題になっています。NHKでは、「急増する“非正規公務員”」という特集で、全国の市町村区で働く非正規職員は2005年34万3000人、割合で20.7%だったのが、2016年は48万8000人、30.3%に急増している実態を取り上げました。川崎市でも、2016年までの10年間で1762人の正規職員が削減され、現在は職員の32%が非正規職員となっています。学校では、定数内でさえ307人の臨時、非常勤の教員、講師が配置されています。川崎市は正規職員を増やす方向なのか、または、正規職員を減らし、会計年度任用を増やす方向なのか、伺います。
ILOは2015年総会で、非正規労働から正規雇用への転換を促進する勧告を採択しています。フルタイム無期雇用という原則があり、非正規から正規雇用への転換を促進するという国際的な動きの中で、会計年度任用職員制度の導入は、この動きとは逆に正規から非常勤職員への置き換えを合法化することにつながるのではないか、伺います。

防災対策についてです
 今年4月、神奈川県は「東京湾沿岸における高潮浸水想定区域の指定等について」を発表し、高潮浸水想定区域の指定を行いました。これによると、川崎区で最大で5メートル、幸区でも3メートルなど浸水するとのことです。この県の想定では高潮が多摩川と鶴見川を逆流し、堤防が決壊して、市内に水が流れ込み、川崎駅周辺がもっとも深くなるということです。この浸水想定図だけを示されても市民はどう対応したらいいのかわかりません。県は「高潮氾濫危険水位」を設定し、それに達したときは「高潮氾濫危険情報」を発表しますが、その情報を受けた市民がどう行動すればいいのか、具体的な対策を周知する説明会について、市の計画を伺います。
 川崎区、幸区は洪水ハザードマップでも被害が大きい地域であり、わが党は洪水時に民間のビルなどに垂直避難できるよう協定を結ぶことを提案してきました。高潮時にも利用できるよう、「洪水・高潮時避難ビル」制度を作るべきですが、伺います。
 異常気象が続き、今年もすでに豪雨災害が起きています。気象庁はこの5月から、逃げ遅れを防ぐという観点で、洪水、土砂災害の危険に対して警戒レベルを設定し、住民がとるべき行動を5段階に分けてわかりやすく情報を提供するとしています。これまで「避難準備・高齢者等避難開始」と言っていたレベルは「警戒レベル3」として「高齢者等は避難」、避難勧告の段階では「警戒レベル4」として「避難」と発信し、住民が全員避難を開始する段階にするとのことですが、いくら国がそういっても、実際に市民がそのことを知らなければ意味がありません。昨年度は「備える川崎」を全戸に配って大変好評でした。ひきつづき全戸に対して、必要な情報を提供すべきですが伺います。

羽田新飛行ルート案について伺います
この4月に航空自衛隊のF35戦闘機の墜落事故が発生しました。また3月にはエチオピアで乗員乗客157人全員が死亡する墜落事故、5月にはモスクワで落雷により乗員乗客41人が死亡する墜落事故が、いずれも離陸直後に起きています。羽田空港を離陸直後の航空機が通ることが計画されている臨海部コンビナート地帯で、航空機の墜落や落下物があった場合についてどのような危険があると考え、どのような対応を想定しているのか、消防局長に伺います。
1966年3月10日、本市議会で「臨海工業地帯の飛行禁止に関する意見書」が採択されました。石油化学工場の多くに一触即発の危険物施設があり航空機が墜落した場合の惨事は想像を絶するものがあり、市民の安全を守るため「即刻本市臨海工業地帯を飛行禁止区域に指定されるよう強く要望する」という内容で、直後の3月29日にも同趣旨の請願が全会一致で採択されています。
本市議会発行の「川崎市議会史」は、臨海工業地帯での「飛行禁止は議会、理事者をあげての運動とな」ったこと、「上空飛行の全面禁止は困難な事情にあったが、市長からはそれならば飛行高度は少なくとも1000m以上とし、低空飛行はやめるべきで、この線でさらに議会とともに国に働きかけていきたい、と述べている」ことを記しています。議会の総意として臨海工業地帯の飛行禁止を求め、当時の金刺市長も少なくとも1000m未満での低空飛行をやめるよう国に求めた結果、1970年10月に東京航空局長は「できる限り川崎石油コンビナート地域上空の飛行を制限するよう指示した」と回答し、「原則として石油コンビナート地域上空の飛行を避ける」という東京国際空港長への通知に至りました。
今回の羽田新飛行ルートは、東扇島を過ぎた辺りでようやく高度900mを超えるもので、しかも3分間隔で1日80便ほどが離陸するというものであり、当時の議会や市長の求めた立場からも、先ほどの通知の立場からも、かけ離れている計画です。わが党の12月議会の代表質問に、市長は「国の運用として飛行が制限されて」いる、と1970年の通知があるため現在もコンビナート上空の飛行を制限する運用がされていることを認めました。この通知の立場でコンビナート上空の低空飛行禁止を求めるべきです。市長に伺います。

議案第91号 東扇島堀込部護岸築造その1工事請負契約の締結についてです
本工事は護岸自体を作るもので、契約金額は21億7250万円です。昨年度、地盤改良などでかかった工事費は43億5500万円余、今回工事と合わせ、65億2750万円余が使われます。さらに、今議会で、市長の専決処分で、契約金額を1億1千万円余の増額変更がされています。増額された理由に「工事着手後に現地土を採取して行う配合試験により、セメント添加量を変更した」とありますが、事前の調査で分からなかったのか、伺います。また、埋め立て費用は240億円と説明してきましたが、2027年度の完成まで要する費用の増額の可能性はあるのか、その際、増加分はJR東海が負担をするのか、新たな市民負担はないのか、伺います。

以上で質問を終わります。


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