水道法の一部「改正」撤回を求める〜井口議員が意見書提案
10月15日の第3回川崎市議会定例会で日本共産党の井口真美議員(多摩区)が、意見書案第14号「水道法の一部を改正する法律案の撤回を求める意見書」の提案説明を行いました。
同意見書案には日本共産党のほか、無所属議員4名が賛成しましたが、自民党、公明党などの反対で否決されました。
水道法の一部を改正する法律案の撤回を求める意見書案
平成30年3月、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図ることを目的として、水道法の一部を改正する法律案が国会に提出され、衆議院で可決後、現在は参議院で継続審査となっているところであるが、この法案の内実は、水道事業の広域化と民営化を促進するものである。
法案は、国が広域連携の推進を含む水道の基盤を強化するための基本方針を定め、都道府県がこの基本方針に基づいて、関係市町村などの同意を得て水道基盤強化計画を定めることや、関係市町村などを構成員とする広域的連携等推進協議会を設けることができることとしているが、これは国が主導して県単位に水道事業を広域化する仕組みに他ならない。
水道事業は、それぞれの市町村が地形や産業に合わせて独自に作り上げてきており、水道の基盤強化を名目として広域化を推し進めることは、その地域に合った合理的な水道の仕組みを壊し、無駄な長距離の導水、送配水を招くことになる。
また、水は人の生存に必要不可欠であり、採算性が低くとも供給し続けなければならないことから水道事業者は原則として市町村に限られてきたところ、法案は、官民連携の推進のため、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組み、いわゆる民営化を導入できることとしている。
民間事業者が収益事業として展開する国も多くあるが、収益性の乏しい水道事業で利益を上げようとすれば、料金が値上げされたり、コストカットで十分な施設整備ができなくなることは容易に想像でき、近年、パリ市を始め、料金の高騰や水質の悪化を理由に再公営化が広がっており、他国から学ぶべき教訓は民営化の導入はしてはならないということである。
よって、国におかれては、将来にわたって安全・安心・安定的な水の供給が行われるため、水道法の一部を改正する法律案を撤回されるよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。