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福岡山口佐賀3県へ視察~福祉・医療・雇用・中小企業分野について~

IMG_121510月19・20日に、福岡県北九州市・山口県宇部市・佐賀県佐賀市へ行き、在宅医療支援や中小企業支援、雇用対策や子ども・若者支援について、行政機関やNPO法人の取組みの視察を行い、現地の党市議団とも懇談しました。視察には片柳進・渡辺学・大庭裕子・石川建二・井口真美・斉藤隆司の6名の議員が参加し、充実した2日間でした。

IMG_119219日午前、北九州市の「いのちをつなぐネットワーク事業」「医療・介護ひまわりネットワーク推進事業」について保健福祉局から説明を受けました。北九州市では、家族や地域から孤立した生活困窮者が、生活保護申請を拒否された結果、餓死や病死といった「孤立死」にいたる痛ましい事件が2005~07年に相次いで起こりました。「いのちをつなぐネットワーク事業」は、そのような「孤立死」への対策として、生活保護行政や従来の高齢者施策の枠をこえ、16人の担当職員と小学校区にも職員を配置し、民間企業・団体との協力で「見守り活動」をする取組みです。2012年にも視察させてもらったのですが、さらに「見守り活動」の参加団体を拡げ、充実させているとのことで川崎でも参考にしていきたいところです。

「医療・介護ひまわりネットワーク推進事業」については在宅医療・介護の連携、地域包括ケアの推進を図るため、情報通信機器端末を利用した連携システムをつくり、患者の情報を共有して在宅医療を行っていこうとする事業で、医師会が率先して取り組んでいるようでした。

DSC_0021午後は山口県宇部市役所へ行き、市の産業振興部企業誘致・雇用創造課から、ルネサスリストラ対策の取組みについて説明を受けました。
2012年7月に半導体大手ルネサスエレクトロニクスの生産子会社ルネサスセミコンダクタ九州・山口のリストラ計画が発表され、山口工場の従業員の半数の600人近くが住む宇部市は、早くから対策協議会を設置、市長が県知事とともに雇用の維持などの要請をし、雇用創出施策を行うなど、対策を打ってきた自治体です。川崎市でも、ルネサス玉川事業所の閉鎖により2300人の労働者が群馬、茨城などに配転を迫られ、離職せざるを得ない事態になった経緯があり、わが党から何度も情報の開示や事業の継続などの申し入れをルネサスにすべきだと発言してきたものの、結局市長が行動することはありませんでした。今後、市内の労働環境の確保に努めるためにこの視察を活かしていきます。

次に、産業振興部商工振興課から「宇部市中小企業振興基本条例」について説明を受けました。同条例は基本理念で「小規模企業者の事業の持続的発展が図られ」なければならないと明記し、審議会を設置して施策の進捗状況を点検し新たな施策展開を審議するシステムを作っています。審議会委員の約4割を事業者がつとめ、現場の声が直接届くようになっています。

IMG_120820日は再び北九州市へ行き、中小企業振興条例について市の取組みを、市議会事務局政策調査係と産業経済局中小企業振興課の方から説明を受けました。
「北九州市中小企業振興条例」は議員提案(経済港湾委員会提案)で制定された条例です。市の責務として「施策を総合的に実施するよう」定め、”タテ割り行政”を戒めています。また市は「中小業者の意見の反映に努めなければならない」「中小企業者の受注機会の拡大に努めなければならない」とするとともに、指定管理者が「中小企業者の参入の機会の増大に務め」ること、市出資法人が「中小企業者の受注機会の増大を図る」ことを求めています。小規模企業者へは「事情に配慮する」にとどめています。
今年4月に施行されたばかりですが、施策の担当者は、条例制定により役所ぐるみの取り組みの意識形成が進んでいると述べています。この7月より小規模企業者の振興を図るために「小規模事業者支援資金」の利率を0.1%引き下げ、開業支援資金融資に「女性・若者・シニア特別枠」を創設しています。

DSC_0055午後、佐賀のNPO法人スチューデント・サポート・フェイス(SSF)を視察し、代表の谷口仁史氏から、アウトリーチ(訪問支援)による不登校やひきこもりなど困難を抱える子ども・若者支援の取組みについて説明を受けました。SSFは63名の常勤職員、11名の非常勤職員や、ボランティア約230名で、毎年1万件の相談に応じ、佐賀県での地域若者サポートステーション事業や、県教育委員会の事業など多くの事業委託も受けて活動しており、その高度なノウハウの蓄積と実績について詳細な資料とスライドによる説明がありました。会議室での説明を受けた後、施設の見学をしましたが、出入り口や相談室の配置など細かいところまで配慮があり、困難を抱える子ども・若者へとことん寄り添う姿勢が視察の全体を通して感じられました。

SSFの特徴は、教育・医療・福祉の専門家が分野の違いをこえて協働できる仕組みづくりや、行政機関や他団体とのネットワークづくりに取り組み、施設に足を運ぶこと自体に困難を抱えている子ども・若者が存在する実態を重視して、相談窓口の設置といった「施設型」「来訪型」ではないアウトリーチとよばれる訪問支援の手法をとっている点にあります。これらの取組みは今年8月に放送された「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介され、代表の谷口氏が出演。支援の必要な若者について、家庭環境や趣味から心の問題まで、総合的に分析し問題を解決する様子や、谷口氏の学生時代からの経験などが語られていました。

IMG_1212谷口氏は説明の中で、急に補助金が減らされる・事業がなくなるなどといった、議会や行政の方針によって運営が左右されてしまう困難があることについても話をされていました。議員団として、先進的な取り組みに学び、川崎市でも行われている若者サポートステーション事業などの、子ども・若者の支援施策を拡充することを市に求めていきます。


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