合意形成こそ最優先すべき〜大庭裕子議員が代表討論(2014年第2回定例会)
2014年第2回定例会の6月19日、大庭裕子議員が議案採決に先立ち日本共産党を代表して討論をおこないました。
大庭議員は、小杉町3丁目再開発の進め方について、努力が不十分で合意形成がなされなかったことが審議を通じてあきらかになったのであるから、「合意形成に意を尽くして取り組むことこそ最優先すべき」であり、川崎市としての指導的責任をしっかりと果たすことを強く求めました。また、「秘密保護法廃止の意見書提出に関する請願」について、いま必要なことは「国民を重要な情報から遠ざけ、疎外する秘密保護法を廃止し、情報の公表・公開を進め、情報管理を適正化するシステムをつくること」だとして、賛成を表明しました。
以下大庭議員の討論内容です
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私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行います。
議案第65号川崎市市税条例の一部を改正する条例の制定についてです。
これは法人市民税の減税と軽自動車税の増税が中心で、消費税が5%から8%に増税されたことと一体のものであり、わが党は消費税増税には反対であり賛成できません。
議案第66号 川崎市民プラザ条例の一部を改正する条例の制定についてです。
今回は、体育室やトレーニングルームの利用時間を午後2区分から3区分に増やし、利用料金を変更するとともに、現在、無料で利用できる駐車場を有料化するものです。利用区分の変更については、利用希望が多いことから止むを得ない対応と理解しますが、駐車場の有料化は、行うべきではありません。委員会審査では、障がいのある方の個人利用については、施設・駐車場とも利用料を無料とするとのことですが、一般の方の駐車料金は、最初の1時間は無料、その後、1時間まで200円、さらに30分ごとに100円の負担を求めるというものです。そもそも、このような市民利用施設の駐車料については、有料化すべきではないとの立場から、この議案には反対するものです。
議案第68号川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
わが党は公立保育園の民営化に反対する立場からこの議案には反対です。
議案第70号川崎市地区計画の区域内における建築物等の形態意匠の制限に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第71号川崎市地区計画の区域内における建築物に係る制限に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
市街地再開発事業の計画を検討し進めるに当たって、一番大切にしなければならないのは、すべての地権者の十分な合意を形成することです。
都市再開発法の一部改正における国会での審議の結果、「土地収用権を付与されることとなったこの制度の趣旨にかんがみ、施行区域内の住民及び地権者等の十分な合意が形成されるように努めること」ということをわざわざ付帯決議として盛り込まなければならなかったことからも明らかです。
委員会審議の中で、「これまで、小杉駅周辺の再開発事業において、合意形成が成されなかった事例はあるのか」という質問に対して、小杉町3丁目東地区以外でこれまで行われてきた再開発事業で合意形成がなされなかった事例はないということです。つまり、合意形成がされないのは、小杉町3丁目東地区が初めてということになります。
委員会での議案審査では、なぜ、合意形成が図られなかったかについては、これまでの経過において、意を尽くして合意形成を図ろうとするその努力が極めて不十分であったことについて認めました。
だとすれば、まず、移るに移れない住民の苦悩や不安など親身になって話を伺い、平穏な生活をどう守っていくのか、合意形成に意を尽くして取り組むことこそ最優先すべきです。川崎市としての指導的責任をしっかりと果たすことを強く求めておきます。
再開発先にありきで住民置き去りのこれまでの手続きの問題と合わせ、小杉駅周辺地区のこれ以上の超高層マンション計画による再開発計画に反対する立場から、議案2件については、賛成できません。
議案第79号川崎市高等学校及び付属中学校新築工事請負契約の変更についてです。
この契約変更は建築資材の高騰や労働者の賃金を含む事業者への支払額の変更を理由とするものです。このこと自体はとくに問題とはしませんが、私たちは、川崎で学ぶ公立中学校生徒のすべてに無限の可能性に挑戦して欲しい、その機会が等しくあるように望んでいます。義務教育である公立中学校に中高一貫校教育という複線化を持ち込むやり方、同じ中学校に差別化を持ちこむようなやり方に反対してきたことから、この議案には賛成できません。
議案第84号黒川地区小中学校新設事業の契約の変更についてです。
児童、教職員が増えるため小学校給食業務費を改定するものですが、わが党はPFI方式や当初計画されていた習熟度別学習の導入などから、契約の仕方についても教育方法についても問題があるとして、契約の締結時から反対してきた経緯から、賛成できません。
議案第89号平成26年度川崎市一般会計補正予算ですが、
補正金額の72%が中高一貫教育校新設事業費の契約変更額に当たります。私どもは、この変更のもとになっている議案第79号に反対ですから賛成できません。
請願第78号秘密保護法廃止の意見書提出に関する請願についてです。
秘密保護法は2013年12月に参議院本会議でたった8時間という短い審議時間で、強行成立したものです。突然国会に持ち出され、十分な審議もないまま、ましてや国民へのまともな説明もないまま成立させたことに、国民の大きな怒りが巻き起こり、成立後も廃止を求める声が団体、個人ともに広がっています。法案が成立後にこのような廃止を求める声が広がるということは、この「法」が問題だらけということを証明しています。
特定秘密の範囲すなわち対象となる情報は「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」その他とされ、捉えかたによってはその範囲はどんどん広がる恐れがあります。
川崎では、市民に開かれた議会を標榜しています。1984年制定された川崎市の情報公開条例は、知る権利の最大限の尊重、情報公開を原則とし、非公開とする情報は必要最小限にとどめることを明記しています。
秘密保護法の実施で、肝心な市民の安全を守るどころか、国益が優先され、結果的に市民を危険に陥れるような事態をつくりだすことが危惧されます。
いま必要なのは、国民を重要な情報から遠ざけ、疎外する秘密保護法を廃止し、情報の公表・公開を進め、情報管理を適正化するシステムをつくることです。よってこの請願に賛成いたします。
以上の立場から、議案第65号、議案第66号、議案第68号、議案第70号、議案第71号、議案第79号、議案第84号、議案第89号については反対し、その他の議案及び請願・報告については賛成・同意することを表明して討論を終わります。