不要不急の開発やめ、雇用・くらし・福祉の充実を~勝又議員が代表討論
3月24日に開かれた2014年川崎市議会第1回定例会で、議案採決に先立ち、勝又光江議員(麻生区)が日本共産党を代表して討論をおこないました。
勝又議員は、収入が減少し続けている市民生活の実態から出発するなら、不要不急の港の開発などをやめ、中小事業者への支援強化、雇用・くらし・福祉の施策の充実など市民のねがいに応える予算こそ必要であるとのべ、小児医療費の中学3年生までの拡大、認可保育所整備拡大の検討、小学校3年生への少人数学級の拡大、中学校給食実施に伴い栄養士の全校配置、朝鮮学校への補助金制度復活・交付、特養ホームの前倒し整備、中小零細業者を直接温める支援、商品券のプレミアム分への補助、ルネサスエレクトロニクスのリストラ計画見直しの申し入れ、木造住宅耐震改修助成制度の改善、再生可能エネルギーへの抜本的転換の対策、小杉駅周辺再開発での市の責任による丁寧な対応、千鳥町再整備の白紙撤回、臨港道路東扇島水江町線整備計画の中止、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区への税金投入の中止などを求めました。
また、議案第1号(川崎市職員定数条例及び川崎市上下水道局企業職員定数条例の一部を改正する条例の制定について)、議案第8号(川崎市心身障害者総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の制定について)、議案第27号(北部地域療育センターの指定管理者の指定について)、議案第36号(川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算について)、議案第51号(平成25年度川崎市一般会計補正予算)などについて、理由を述べて反対を表明しました。
代表討論
私は、日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の施政方針ならびに予算案を含めた諸議案について討論をおこないます。
予算案の総括的評価と予算編成のあり方についてです。
新年度予算で、市民の強い要望だった中学校給食の実施に向けた予算、産後ケア事業の実施、就学援助の拡充などが盛り込まれたことは評価しますが、全体的にみると市民要望は限定的であり、大規模開発推進が顕著な予算だということです。
港湾局の一般会計109億5千万円・前年度比33%増、港湾整備事業特別会計40億8700万円・前年度比26%増、合計150億円余とその伸び率は突出しています。このなかには、コンテナターミナル1号岸壁を延伸する工事設計費、コンテナ貨物補助金の大幅増額、国際コンテナ戦略港湾計画に位置付けられている臨港道路東扇島水江町線の整備費などが含まれています。
国際戦略拠点地区整備の推進では、これまで市は研究補助は予定していないと説明していましたが、事実上、企業の研究補助に踏み出そうとしています。高速川崎縦貫道路整備は、409号新設改築、関連調査事業費など11億円余を計上しました。
その一方、長引く不況で中小事業者の経営状況が厳しいなかで、新年度予算では中小企業支援の関連予算は融資や先端産業、拠点開発事業関連を除けば、商業・工業・農業予算を入れても25億8千万円余と、一般会計に占める割合は0.42%にすぎません。就職難で働きたくても働けない、この現実に対して雇用環境を充実させることが緊急の課題になっていますが、雇用創出にかかわる予算は減額され、新規事業は国の事業頼みです。高齢者福祉の施策は、高齢者自立支援事業は軒並み削られています。
保育所待機児童ゼロの取組みは喫緊の課題ですが、認可保育所への入所希望が多いことからも保育の質を確保したものにしなければなりません。
新年度の歳入のうち、市税は前年度当初比78億円増の2922億円と過去最大となりました。個人市民税は1134億円余で11億円増と伸び率は昨年と同規模のものです。個人市民税の増収は人口増によるもので、1人当たりの所得は昨年比99.3%と、1人当たりの収入は減り続けていることがわかります。こうした市民生活の実態から出発するなら、不要不急の港の開発などをやめ、中小事業者への支援をつよめ、雇用の拡充、市民の懐をあたため、くらし、福祉の充実の施策など市民のねがいに応える予算こそ必要であることを求めておきます。
小児医療費助成制度の拡充についてです。
代表質問でも厳しく指摘しましたが、市長選挙での市長の公約や発言からすると新年度予算案に小学校6年生までの医療費無料化予算を盛り込むべきでした。
しかし、「拡充の範囲と実施時期等の検討を進める」として準備費650万円の計上のみでした。答弁では『公約に掲げた小学校6年生までの拡充をできるだけ早期に実現することをめざし、2015年度以降の拡充に向けた準備を進める』にとどまりました。首都圏でも東京都内、さいたま市と併せ、新年度予算でスタートする千葉市など中学校卒業までが主流です。多くの市民が期待する小学校6年生まで無料化の具体案を遅くても2014年度中に議会に提案し、さらに中学3年生までの拡大も検討することを求めておきます。
保育所待機児童解消についてです。
市長は2015年4月に待機児童ゼロを実現するとして新年度予算案で認可保育所の受け入れ枠を1540人増、認定保育所について受け入れを900人増やすとともに、保育料の助成額を増額しました。ただ、雇用の悪化と所得が減少しているもとで、生活困難や生活不安から一刻も早く預けて働きたいという保護者の切実な実態が広がる中で認可保育所への入所申請は市の予測をはるかに超えて年々増加しています。
本年4月の新規の申し込みも過去最多の7806人になり、申し込んでも入所できなかった不承諾数は、1月28日現在で2762人と不承諾も同時期の過去最多になりました。不承諾の多くの方々は4月から働くために認定保育園をはじめ認可外保育所に入所させますが、問題は保育料の負担がこれまでより軽くなることで認定保育園にとどまり、認可保育園への申請が減るかどうかの検証が必要です。
「子ども子育て支援に関する調査」で,今後の利用希望は認可保育所が最も多く約4割を占めていることからも,園庭や経験を積んだ保育士がいる認可保育所へ入所させたいという保護者のニーズがわかります。こども本部長は、本年4月の認可保育所の入所申請数の予測を2万3千人強から,わが党の指摘で2万4千人弱レベルに引き上げました。来年,2015年4月に待機児童をゼロにするには、本年4月1日現在の保育所利用申請・入所待機状況がでた段階及び10月段階で、一度しっかり検証し、来年4月の入所申請の見込みを的確に把握し、認可保育所の整備計画を急いで増やすことも検討すべきことを強く求めておきます。
少人数学級の拡充についてです。
教育長も少人数学級の推進については、多様な子どもたちの学習状況に対して、よりきめ細やかな対応を図るうえで重要なことと答弁されました。少人数学級によって、授業での発言回数や行事の役割、担当が増える、子ども同士が打ち解け、つながりが深まる、教室にゆとりが感じられるなど、その良さは各地の取組みからも実証済みのものです。もう少しの努力で実施できる小学校3年生への拡充を要望します。
中学校給食についてです。
安全・安心で温かく、栄養バランスがよく、食育の充実が図られる、中学校完全給食の早期全校実施に向けた、取り組みを進めていくとのことです。食育とは、調理すること、食べること、健康な食事のとり方です。これらを満たすことができる、自校調理方式を基本に取り組むよう求めておきます。また、生きた「食育」に栄養士の存在は欠かすことはできません。栄養士の全校配置も実施するよう求めておきます。
朝鮮学校への補助金についてです。
今回の市長による朝鮮学校への補助金見送り・廃止は、朝鮮学校の成り立ち・歴史的経過を無視し、内外人の平等と外国人が教育を受ける権利及び市民生活上のすべての実質的差別の排除を明確にうたった国際人権規約に反し、「国籍、民族、言語等において少数の立場の子どもが、自分の文化等を享受し、学習し、又は表現することが尊重されること」を宣言した川崎市子どもの権利条例にも反し、さらには「すべての児童・生徒に対して、日本と外国、とくに韓国・朝鮮との歴史的・文化的関係を理解させ、国際理解、国際協調の精神を養うとともに、ともに生きる態度を培う」とした外国人教育基本方針にも反する、あらゆる面で誤った政策であると指摘しました。
そして、市長自らが在日韓国・朝鮮人の方々への差別と偏見を助長・拡大し、川崎市が誇りにしてきた人権尊重教育を踏みにじり、学校現場で「子どもの権利」を教えている教育関係者と子どもたちに間違ったメッセージを送るものだと質しましたが、答弁はありませんでした。
市長の「県の補助を補完するという本市の補助金の考え方から、2013年度の補助金の交付は行なわないことにした」との答弁も、これまで市が「県の補助と市の補助は制度の経過・目的が異なる」と説明してきたこととも明らかに食い違うものです。
しかも市長は当初、朝鮮学校を実際に視察してから判断すると公言していたにもかかわらず、その約束も守らず、一方的に補助金見送りを議会で表明し、子ども本部から電話1本で学校側に伝えるという、そのあまりに冷たいやり方は、市長の「対話と現場主義」というフレーズが、まったく言葉だけで実効性がないことも指摘しておきます。
子どもの学習権を保障してきた朝鮮学校への従来の補助金制度を復活・継続し、見送っている2013年度分の補助金をただちに交付することを求めておきます。
特別養護老人ホームの整備についてです。
待機者の数は依然として2013年10月時点で5725人と6000人に近い状況です。昨年行われた高齢者実態調査での特養ホーム入所希望者の方の回答で、介護者の抱える困難や負担感が非常に高いこと、すぐにでも入所させたいと願っている家族の方が前回の調査よりも増えて最も高くなっていることは重く受け止めなくてはなりません。そのためにも整備を急がなくてはなりません。国・県有地、市有地、民間用地含めてあらゆる形で土地の確保をめざし「第6期計画」のさらなる前倒し整備を要望します。
中小・零細事業者への支援についてです。
4月からの消費税増税で景気の後退、少なくない事業者が消費税を転嫁できないと答えていることからも、増税が経営の圧迫することは明らかです。まさに、事業継続そのものが危機に直面しています。経済労働局長は「中小企業の維持・育成は、本市の産業政策にとって重要なこと」と答弁していますが、充実された支援策は、生命・医療分野など先端産業への支援策に偏っています。「販路拡大」についても、海外展開の支援であったり、展示会出展への支援も、新年度は、医療機械製造・設計の分野に重点を置いた支援となっているなど、市内事業者の多くが望む、国内での「受発注の確保」や「販路拡大」に対する支援となっていません。
現在「川崎市内中堅中小企業経営実態調査」の中で、消費税増税などの影響についても取りまとめを行っているようですが、国内での事業のマッチングの拡大、新製品開発への支援強化、工場家賃や機械リース代などの固定経費への補助金の創設など、事業者を直接温める対策を緊急に講じるよう、求めておきます。
また、市内経済の活性化策として試され済みの「住宅リフォーム助成制度」や「店舗リニューアル助成制度」の創設を行うことも求めておきます。
商店街支援についてです。
この4月から消費税率が8%に引き上げられ、さらに10%へとたくらまれています。共同通信社によれば、全国28都県と11政令市が消費税増税への対策として、地域経済への影響を緩和する独自対策を予定しているとしています。5県と5政令市はプレミアム付き商品券の発行への支援を計画しています。熊本市は1,500万円、名古屋市は3,000万円、新潟市は7,700万円、千葉市は9,000万円の予算をプレミアム分や発行経費への支援として予定しています。わが党は、繰り返し、市民も商店街も喜ぶ地域経済対策として、プレミアム付き商品券のプレミアム分補助を行うべきと質してきました。しかし、市長が代わっても従来と全く同じ答弁でした。地域経済活性化対策は国の補正予算を頼りにした対策で、川崎市独自の新しい経済対策は何もありませんでした。川崎市も、消費税増税による消費の落ち込みへの対策として、プレミアム付き商品券発行のプレミアム分を支援すべきです。
市内大企業のリストラ計画についてです。
中原区に事業所がある半導体大手ルネサスエレクトロニクスのリストラ計画は、2015年度末までに国内社員の4分の1の5400人を削減し、これに伴い、中原区の玉川事業所を2015年9月末までに閉鎖し、2300人いる全社員を東京都小平市の事業所に1600人、茨城県那珂市に200人、群馬県高崎市に500人、合計6000人を広域配転させるというもので、すでに発表済みの計画です。
ところが、市長は、「玉川事業所に対する内容は明らかにされていない」と、リストラ計画の実態すら自ら把握しようとはしませんでした。
事業所の閉鎖が発表された山形県鶴岡市の市長をはじめ、熊本県、茨城県、群馬県、山梨県など知事や首長が雇用や地域経済の与える影響に鑑みて計画の見直しなどを求めていることを示して、ルネサスに対して、転勤の強要・不当なリストラを行わないよう、市長自ら申し入れすべきだとただしたのに対し、市長は、各企業は「高度な経営判断等に基づき様々な経営努力をされている」と地域経済への影響や労働者の実態にまったく心を寄せない態度に終始しました。
国会で茂木国務大臣が、地域への影響が大きいとして、対象となる従業員に丁寧な説明をすること、雇用対策に万全を期すこと、地域に対しても丁寧な説明を行なうことを経済産業省名でルネサスに要請していると答えていることも示し、国でさえこうした要請をしているのに、地元の市長が地元の企業になぜ説明を求めることすらできないのか、とただしたのに対しても、市長は、「関連企業の動向を注視していく」としか答えませんでした。
現場主義を掲げているわけですから、まず、市長自らルネサスに計画の説明を求めるべきです。また、地域経済への影響を調査し、リストラ計画を見直すことを申し入れることを強く要望しておきます。
木造住宅耐震改修助成制度についてです。
市長は、「木造住宅の耐震化は大変重要な課題」としながら、予算では対象戸数を減らしました。前年度の実績が増えないから次年度の予算を減らすというのでは、耐震化に対する認識と矛盾するのではないでしょうか。
現実に、旧耐震基準の木造住宅が全市に戸建で約4万3000戸、共同住宅等が約4万戸、合わせて約8.3万戸もあるにもかかわらず、2012年でいえば実績が125件という状況では、市民の命と財産を守れないのみならず、同時多発の火災からまちを守ることもできません。耐震診断を受けても耐震改修に至らない原因は明確になっています。経済的負担を気にせず、手続き、工事手法、工事期間を市民の要望に柔軟に対応できる、より使いやすい制度の抜本的に改善し、予算を増額して、直面する大規模地震災害に対し実効性のあるものに改善すべきです。強く求めておきます。
再生可能エネルギーへの転換を抜本的に進めることについてです。
市立学校における太陽光発電設備については、現在行われている「学校施設長期保全計画」の策定作業の中で、地球環境負荷の低減と防災機能向上の観点を踏まえ、設置を推進していくとのことです。しかし、現在でもなお、7~8割が未設置のまま残されています。再生可能エネルギーの比率を飛躍的に高めるためにも、市立学校をはじめ、あらゆる公共施設への太陽光発電設備の設置数を引き上げること、住宅用太陽光設備設置に対する補助額を引き上げ、設置促進を図ることを求めておきます。
小杉駅周辺再開発についてです。
小杉町3丁目東地区市街地再開発事業の最大の地権者は川崎市です。事前の説明も不十分で、十分な合意形成に対する努力も不十分なまま、一方的に都市計画区域内に含まれてしまった住民の心情を重く受け止めて、市の責任で住民の合意をはかるため丁寧な対応を強く要望いたします。
(仮称)日本医科大学武蔵小杉開発計画についてです。市がとった住民アンケートでも事業者が取った住民アンケートでも周辺環境への影響を心配し、人口増加への配慮、超高層建築物の計画自体を懸念する住民は半数に上っています。川崎市が直接町会の方々に意見伺ったといいますが、今後の超高層建築物が林立するまちづくりに対しての意見は聴いておりません。いまでもタワープレイス周辺のビル風はすさまじいものです。学校があり、病院があり、商店街もある静かな住宅街で暮らしていた人々は、この周辺は第1種住居専用地域だから、まさか、このようなやり方で超高層ビルが建つなど考えてもいなかった方々がほとんどでした。
これからも住み続けたいと願っている方々がさらなる風害、複合日影、交通渋滞、急激な人口増に伴う諸問題、などなど、再開発の計画がすすめばどうなってしまうのか、心配するのは当然ではないでしょうか。その声に市長は直接耳を傾けるべきことを強く求めます。
国際コンテナ戦略港湾計画と千鳥町再整備についてです。
港湾局関係の予算総額は一般会計109億5千万円余と港湾整備事業特別会計40億8700万円余合わせて150億3700万円余の超大型予算になっています。今後10年間で川崎港だけでも1022億円かける国際コンテナ戦略港湾計画を見直さないまま、新年度の新たな港湾計画として、コンテナふ頭2号岸壁、3号岸壁の整備、コンテナターミナル用地の拡張などですが、1号岸壁の延伸工事設計費とコンテナ貨物補助制度も1億3千万円と大幅に増やしました。
千鳥町再整備としてこれまでJA全農と土地交換を前提に協議を進めていたのに、昨年12月政策調整会議でJA全農の土地を15億円で購入することを決め、交換用地に予定していた市有地に9億円もかけて立体モータープールを建設することも同時に決めました。バラ貨物は将来減少していくと見込みながら15億円もかけて土地を購入して荷捌き地を拡大することを急ぐ必要もないし、完成自動車の輸出も過大予測を前提としたもので、立体モータープール建設は必要ありません。
4年前の再整備計画では、緊急物資を取り扱うオープンスペースとして公園用地を拡大して市民に開放することを決めていたのに、それは5年後に先送りし、その場所をこれから5年間も輸出自動車の平置き場として利用することが明らかになりました。市民開放の公園整備は先送りし、バラ貨物の荷捌き地の拡大と立体式モータープール建設が急に出てきました。
しかも不可解なことに、土地交換から15億円もかかる土地購入への変更や、立体モータープール整備で24億円もかけるこれだけ大きな計画変更を、昨年12月に決定していたにもかかわらず、議会にも市民にも知らせないまま予算に組み込んでから発表したことです。議会と市民に報告しなかったのは「軽微な変更だから」と繰り返し強弁されましたが、市民は納得できません。
JAの土地購入や立体モータープール整備など、今回の整備計画の見直しはいったん白紙に戻すことを求めておきます。
臨港道路東扇島水江町線についてです。
総事業費540億円もかけて橋梁と道路を建設する事業ですが、新年度は約29億円が計上されています。建設する理由として、タンクローリーはトンネルを通ることができないことや、東扇島で働く労働者の災害時の避難道路として必要だからということですが、危険なコンビナート工場が集積する水江町に避難するよりも、湾岸道路を使って東京側や横浜側に避難する方が安全ですから、これらの理由はまったく説得力がありません。また、この道路は排ガスが全国ワースト10に入っている池上新町交差点につながり新たに公害を呼び込む道路だとして公害患者の皆さんも反対しています。今からでも遅くはありません、この整備計画は中止すべきです。
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区についてです。
ものづくりナノ医療イノベーション推進事業費についてですが、入居する研究者や企業との信頼関係やネットワークを構築し、研究活動や研究の方向性、研究ニーズや支援ニーズ、課題などの抽出と把握を行うとともに、同センターにおいて研究活動に取り組む研究者や企業に対して、地元企業の強みの整理と情報提供等を行うことで、同センターを活用した連携を行うための土台作りを行うための委託を、産業振興財団以外の専門機関も含めて行うものです。
そもそも、そのようなコーディネート機能を含めて産業振興財団が受け皿となって、施設等の賃料収入によって賄うことが前提ではなかったでしょうか。
昨年、大企業の研究開発に経験もノウハウもないところが受け皿となることについて、こうした新たな財政負担につながるなど、大きなリスクを伴うことを予見して質問したことが、まさに現実のものとなりつつあります。
今回の1873万円は委託費として毎年計上される予定ですし、その上、今後発生する施設等の賃料収入までもコーディネート事業に当てられるとすれば、当初の計画からすでに逸脱しています。地元中小企業との連携を口実にして、本来民間企業の出資によって行われるべきものに税金をかけるのはもう止めるべきです。
議案第1号、川崎市職員定数条例及び川崎市上下水道局企業職員定数条例の一部を改正する条例の制定についてです。
今回の条例制定は、市職員を326名削減したことによる条例の改正です。
主な削減は、保育所の民営化で263名、清掃部門で135名、指定管理者導入で136名、上下水道局職員86名に見られるように市民サービスに直結したものばかりです。
川崎市は人口が増え続けているわけですから、市民サービスからいっても職員を増やすべきです。本来行政が行うべきことを全部民間に任せていくということは行政の責任放棄につながりかねません。
窓口での対応もきめ細やかに丁寧にと指導しているといっても待ち時間が異常に長いという市民からの指摘もあり、必要な所に必要な職員を配置すべきです。
個々の職員の仕事量や負担が増え日々追われる中メンタルヘルス不調による長期療養者が増え健康を破壊しています。市民要望も多様化するなど、職員もますます高度な対応能力が求められているときに職員を削減するという事は市民サービスの低下につながるだけでなく技術、技能の継承も絶たれてしまうことを指摘し、議案には反対です。
議案第8号川崎市心身障害者総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の制定についてです。
中部リハビリテーションセンターの新設に伴い、更生相談所及び精神保健福祉センター以外の構成施設の管理運営を指定管理者に行わせる条例です。同時に、診療所、社会参加支援センター及び生活訓練支援センターを廃止するものです。
精神障害者の就労支援を行っている社会参加支援センターを廃止して、3カ所の就労援助センターに体制を拡充して機能を移すとのことです。しかし、社会参加支援センターでは、精神障害の特性から一人一人との信頼関係を構築し,ご本人の力をいかせる就労環境を整えていくことが重要として就職面接の同行、企業での短期間の就労体験を行う「お試し就労」、支援者とともにグループで仕事を請け負う「グループ就労」など,一人一人に寄り添った就労支援を行うとともに、企業に対する精神障害者雇用の理解を広げる活動などを長年の間行っています。
社会参加支援センターの積み上げてきた実績と専門的機能は継続すべきです。新たに信頼関係をつくっていくのは、精神に障害をお持ちの方にとっては大変なことです。就労支援のニーズはさらに大きくなることを考えても社会参加支援センターは継続すべきであり、廃止に反対です。
診療所で実施されてきた精神科デイケア、生活訓練支援センターで実施されてきた地域活動支援センターと相談機能、地域移行支援は新しい中部リハセンターに機能を分割して引き継いでいくとしていますが、長年蓄積されてきた専門性と信頼関係の継続を断ち切る指定管理制度の導入議案には反対です。
議案第27号 北部地域療育センターの指定管理者の指定についてです。
療育センターは、高い専門性と継続性が必要な施設です。北部療育センターは経験豊かな職員と利用者が一体となって、きめの細かいケアで利用者と職員の信頼関係を築いてきました。民営化はその信頼関係を断ち切るものです。市は職員配置や迅速な対応など民営化の利点を挙げていますが、それらは、いずれも公設でも可能なものであり、民営化する根拠とはなりえないものです。わが党は、これまでも、療育センターの指定管理者の導入には反対してきました。その立場から、今回の指定管理者の指定についても反対するものです。
議案第36号川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算については、高齢者に差別医療を持ち込む後期高齢者医療制度に反対であることから、賛成することはできません。
議案第51号平成25年度川崎市一般会計補正予算は職員給与の減額による補正ですから反対です。
以上の立場と予算組替えとの関係から、日本共産党は、議案第1号、議案第8号、議案第27号、議案第31号、議案第32号、議案第36号、議案第39号、議案第43号、議案第46号、議案第47号、議案第48号、議案第51号に反対し、その他の議案、報告については賛成及び同意することを表明して討論を終わります。