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福祉施設の民営化に反対~石田和子議員が代表討論

DSC008266月20日の川崎市議会で、採決に先立ち、日本共産党を代表して、石田和子議員が討論をおこないました。
石田議員は、川崎市子ども・子育て会議条例の制定(議案第65号)は、昨年8月に民主・自民・公明の3党の「社会保障・税の一体改革」の一環として成立した「新システム」関連法案の具体化で、保育の公的責任を後退させ、保育の産業化を狙うものであることから、国会では日本共産党はこの法案に反対したけれど、条例案の「子ども・子育て会議」は、今後の幼稚園や保育所整備の必要人数の調査や事業計画の策定を任務とし、そこで関係者・保護者等の意見を反映することは、子育て施策を一歩でも前に進めるためにも必要であることから、設置そのものには賛成すると表明。
小杉2丁目再開発関連の条例案(議案第71号、72号)は、4万人近い住民の反対意見がまったく反映されないで、実効性のない風害対策、日影によるエネルギー利用の権利侵害、交通計画の問題、生活基盤の施設不足の問題、ヒートアイランドの問題、防災対策の問題など、都市計画の歪みによる住みづらい街が形成されようとしており、将来に禍根を残す超高層マンション計画の見直しをすべきであり、事業者への過剰な便利供与を正当化することは許されないとして反対を表明。
川崎市立中高一貫校の設置条例(議案第78号、79号)について、「川崎で学ぶ公立中学校生徒のすべてに無限の可能性に挑戦してほしい、その機会が等しくあるように望んでいます。義務教育である公立中学校に中高一貫教育校という複線化を持ち込むやりかた、同じ公立中学校に差別化をもちこむようなやり方に賛成することはできません」との立場から反対を表明。
また、北部地域療育センターを民営化して指定管理者制度を導入する条例案、観音町保育園・小田中保育園・子母口保育園・西有馬保育園・三田保育園の公立認可保育園を民営化するための条例案、川崎港コンテナターミナルの指定管理者制度を導入しようとする条例案、川崎市高等学校奨学金支給条例の一部を改正する条例案などに、理由を述べて、反対を表明しました。

石田議員の討論は次のとおりです。

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私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行います。

議案第63号川崎市市税条例の一部を改正する条例の制定についてです。
地方税法の一部改正に伴い、最近の低金利の状況を勘案し、市中金利を踏まえた水準に延滞金の割合の特例を見直すことと、2012年度税制改正で導入された「わがまち特例」に、新たに都市再生特別措置法の規定による管理協定に係る備蓄倉庫が追加され、対象とされた備蓄倉庫に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準特例割合を3分の2と減額するものです。
地方税法では、都市再生緊急整備地域内にあることが必要とされるため、市内では川崎殿町・大師河原地域、浜川崎駅周辺地域及び川崎駅周辺地域の3地域が指定されていますが、具体的に可能性があるのは川崎駅周辺のみということです。
首都直下型大地震に備える大都市部の防災対策強化は緊急課題であり、避難経路・場所の確保などすすめることは当然なことですが、本来、帰宅困難者対策は災害対策関連法のなかで位置づけられるべきものです。また、対象が川崎駅周辺だけに限定されることから、地区外にある大規模駅、例えば武蔵小杉駅、武蔵溝ノ口駅などは対象外になるという矛盾もうまれます。このことから、本議案に賛成することはできません。

議案第65号川崎市子ども・子育て会議条例の制定についてです。
この条例は、昨年8月に民主・自民・公明の3党の「増税談合」によって「社会保障・税の一体改革」の一環として成立した「新システム」関連法案の具体化です。この法案は、保育の公的責任を後退させ、保育の産業化を狙うものであることから、わが党は、国会でこの法案に反対しました。
委員会では、これらの法案の本市や市民への影響について質しました。法律には、市町村の保育実施義務の改変と認可保育所建設の国と市町村の補助制度の廃止が盛り込まれましたが、改定された児童福祉法においても、市町村の保育実施責任が残されたのですから、待機児童を一刻も早く解消するために、市町村が保育を必要とする子どもに責任を持ち、認可保育所を整備して、安心できる保育の充実を求めるものです。
今回提案された「子ども・子育て会議」は、その任務を、今後の幼稚園や保育所整備の必要人数の調査や事業計画の策定としています。そこに関係者・保護者等の意見を反映することは、子育て施策を一歩でも前に進めるためにも必要であり、設置そのものには、賛成するものです。しかし、「子ども・子育て会議」が、今後の子育て支援策に市民の声を反映させる場になるためには、その構成が各層の意見を反映できるものでなければなりません。構成員は、学識経験者、保護者・子ども・子育てに関する事業に従事する者・事業主・労働者などを代表するもの25名から成り立ちますが、保護者代表は2名で公募されるとのことでした。保護者といっても、子どもの年齢はゼロ歳から18歳までと、その範囲は広く、2名というのは少なすぎます。保護者代表を増やすよう求めておきます。

議案第66号 川崎市心身障害者総合リハビリテーションセンター条例の一部を改正する条例の制定についてです。
これは、北部地域療育センターを民営化して、指定管理者制度を導入するものです。市は民営化の理由に「民間のノウハウを活用して柔軟な運営ができる」とサービスの向上がその目的と言いますが、これまで、川崎市で長年培われてきたノウハウこそ、市民の財産であり、そのノウハウを生かし、現在の職員のもと、安定し継続した「療育」こそ、もっとも、利用者から望まれるサービスであると考えます。「公営では、臨機応変の職員採用ができない」という問題も、民営化の理由として挙げられましたが、その原因を突き詰めれば、「人員削減」という市の「行革」の進め方の問題であり、公営だからできないというものではありません。今回の民営化では常勤医師の配置を改善点に挙げていますが、これも公営でも可能であり、民営化のメリットではありません。さらには、川崎市として「療育」のノウハウを失うことは、今後の指導・監督にも大きな禍根を残すことになります。以上のことから、北部療育センターは民営化すべきではなく、この条例には反対です。

議案第67号川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
観音町保育園、上小田中保育園、子母口保育園、西有馬保育園、三田保育園の公立認可保育園を民営化するにあたって、川崎市保育園条例からこの名称を削除するものです。これらについては、公立保育園の民営化に反対してきた立場から反対です。

議案第71号川崎市地区計画の区域内における建築物等の形態意匠の制限に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第72号川崎市地区計画の区域内における建築物に係る制限に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
小杉町2丁目再開発計画についてです。
まず、4万人近い反対意見が出されたにもかかわらず、市民意見が反映されていない問題についてです。いかなる計画であっても、長年住み続けてこられた住民の平穏な生活を犠牲にしてはなりません。
担当者の説明では、他の計画よりも早い段階から意見を聴取し、プライバシーや風害対策を講じているとのことです。しかし、いくら説明を繰り返しても、市民の意見が計画に反映されなければ、合意と納得を得られないのは当然です。
例えば、風害対策についても、そもそも、客観的な現状把握に基づく実効性ある対策が求められているのに、風洞実験という限られた条件で得られた結果だけで、具体的な調査結果に基づかない対策を講じても、市民の理解と納得は得られません。
民間事業者の風速計の測定結果を公表するとのことですので、具体的な数値に基づいて実効性ある対策を講じるように強く求めておきます。
日影の問題についても、明かりとしての太陽光の位置づけから、再生可能エネルギーとしての新たな価値が見出される中で、日影によるエネルギー利用の権利が侵害されます。
また、27年度評価替えに基づく固定資産税の増加も予想されており、被害や権利侵害を受けながら、税金まで上がり、既存住民の怒りは至極当然のことです。
以上のように、近隣住民を犠牲にしている計画だからこそ、3万9千人の反対意見が出され、都市計画審議会では4名もの反対が出たのではないでしょうか。
委員会審議のなかで、都市計画審議会会長から川崎市の姿勢について「プロセスが一番問題だ。川崎市が市民とともに歩んでいないことが問題を複雑にした。市が今後考えるべき大事なこと」と厳しい意見がだされたことを質したことに対し、新たな住民参加の手法を検討するということです。もとより被害発生させない計画にすべきことを強く求めておきます。
小杉駅周辺地区の再開発計画では、「高度利用の促進」を掛け声に、次々と超高層マンションが建設され続けています。交通計画の問題、生活基盤の施設不足の問題、ヒートアイランドの問題、防災対策の問題など、都市計画の歪みによって、住みづらい街が形成されようとしています。住環境を悪化させ、人口減少期を迎え、将来に禍根を残す超高層マンション計画については、見直すべきことを強く求めておきます。
当計画については、公開空地やペデストリアンデッキの整備、コンベンションホールなどの公共施設の整備への協力などを考慮しても、容積率600%への規制緩和による事業者への過剰な利益供与を正当化することは許されません。よって本議案については反対です。

議案第76号川崎市港湾施設条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、川崎港コンテナターミナルの段階的な民営化を図り、その後、東京湾全体の一体的な経営を民営化により推し進めようとするものであり、その第1段階として、指定管理者制度を導入しようとするものです。
わが党は、代表質問において、コンテナターミナルの整備計画が過大な投資であることを明らかにしてきました。川崎港コンテナターミナルの処理能力12万5千TEUに対して、2012年度の実績は前年度より増えたといっても、4万2千TEU、33%であり、外貿コンテナはそのうちの43%で、この4年間、3~4割で推移しています。東京港、横浜港と比べてもケタ違いに少ない取扱量となっています。
市長も「東扇島は冷蔵・冷凍倉庫の集積が我が国随一であることから、中国をはじめとするアジア諸国からの輸入食品や日用雑貨を中心に取り扱う役割を担う」と答弁しました。京浜3港の中で、川崎港が国際コンテナ戦略港湾計画から撤退しても大勢に影響はなく、今後10年間に1000億円もかける拡張計画はきっぱり中止すべきです。さらに、国の専門委員も指摘するように、川崎市はコンテナターミナル事業そのものを根本的に見直す段階に来ていることを改めて指摘しておきます。
また、民営化の問題点として、安全性と公共性がなおざりにされる危険性を指摘せざるを得ません。民営化の目的は、効率性と経費削減です。そのため、利益優先の事業となり、安全対策等が後回しになることや、安全の保障となる、港湾労働者の労働環境がより厳しくなることも、危惧されます。公共性についても、市民生活や市内経済の発展に寄与する公共ふ頭としての役割が、利益優先の運営で損なわれることも、懸念されます。
さらに、民営化の問題点は、港湾管理の技術者が、行政内にいなくなってしまうことです。港湾管理のノウハウを市が失ってしまうことは、結局は、港湾管理を事業者に頼らざる得ない状況を招き、市の指導力の低下を招くことになり、問題です。
事業が広域化されることで、地方自治体の関与が薄まり、国の関与が強化されることを危惧する声も出されており、自治体の声、市民の声が届きにくい体制となってしまいます。実際、民営化された場合、その事業者が施設整備を行ったり、港湾計画自体にも提案権を持つなど、今後の港湾計画にも大きな発言権を有するとされていることからも、港湾事業が市民の手の届かぬところで、進められていく危険性があります。
今回の指定管理者導入の議案は、こうした民営化への第一段階であることから、反対するものです。

議案第78号川崎市立学校の設置に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第79号川崎市立高等学校入学選考料等徴収条例の一部を改正する条例の制定についてです。
付属中学の入学選考にあたって、作文を含めた適正検査、面接、調査書により選考するということです。その決定に際しては施設の確保や人員を適切に配置して対応していきたい、という答弁でした。選考が行われるこの時期は学校の年度末でもあり、新年度の人事異動を含めての方針づくり、体制づくりの重要な時期です。
昨年の学校説明会には、保護者あわせて2,760名が参加しています。来年度の入学選考にあたっては、かなりの応募が予想され、教育委員会として莫大な時間と人数が必要になることは間違いありません。
中高一貫校の入学選考にあたっては受験競争の低年齢化はさせない、とたびたび表明されてきました。中高一貫校を選択する児童にとって、小学校生活に支障が生じたり、教育活動に影響がないように配慮するといいますが、すでに、市内の学習塾では、公立中高一貫校オープンとして、保護者説明会、適性検査を体験するテストを小学校4、5、6年生を対象に宣伝・募集がはじまっています。そもそも、義務教育の場では入学選考はやるべきではありません。希望者が殺到することが理由なら、公平性、客観性を確保するためにも公開抽選にすればいいことです。
川崎高等学校付属中学校の教育理念は「国際都市川崎の未来をリードする人材を育てます」としています。私たちは、川崎で学ぶ公立中学校生徒のすべてに無限の可能性に挑戦してほしい、その機会が等しくあるように望んでいます。義務教育である公立中学校に中高一貫教育校という複線化を持ち込むやりかた、同じ公立中学校に差別化をもちこむようなやり方に賛成することはできません。

議案第80号川崎市高等学校奨学金支給条例の一部を改正する条例の制定についてです。
年々増える申請者に対して年間予算総額を変えず、収入基準を生活保護基準とし、さらに成績面を3.5以上とし、対象者と給付額を見直すというものです。
高校奨学金制度は、2003年度は支給定員450人、予算総額は5557万円余でした。それが2006年度は350人に削減され、予算総額は4,322万円余に減額され、そのまま今日に至っていますが、応募者数は824人から1,277人に大幅に増えてきました。
にもかかわらず、今回の改定では予算総額は減らしたまま、一番給付率が低い私立高校1年生並みの支給額に軒並み減額して議会では「採用者を増加させることの効果は大きい」と答弁しました。
この間、川崎市の給付型奨学金は、高校中途退学率を下げ、経済的理由で修学困難な生徒が卒業するために有効な支援策、進学希望率も大きく平均を上回り、将来社会的自立するために有効な支援策、と教育委員会がその効果を誇ってきました。
今回の改定によって、有効な支援策の効果を後退させるものにならないか、大変危惧します。
この改定の契機になったのは行革プランです。
貧困の連鎖、経済的格差がすすみ、その是正が求められている中でこれだけ多くの申請者、学業を続けたい、奨学金を必要としている生徒がいる現実のなかで、他都市でも横浜市以外はやっていない、成績面を3.5以上を基準とするなど、やるべきではありません。
まさに、奨学金は未来への投資です。いま必要なのは、予算総額を大幅に増やし、修学の機会を保障することこそやるべきです。

議案第83号川崎市南平間保育園の指定管理者の指定について、議案第84号川崎市宮前平保育園の指定管理者の指定について、議案第85号川崎市白鳥保育園の指定管理者の指定についてです。
これらの議案は、いずれも指定管理者が導入された認可保育園の指定管理者の再指定を求める議案です。わが党は、公立保育園の民営化には一貫して反対してきました。指定管理者制度の導入は、「継続性」が重要な保育事業には、なじまないというのが、理由の一つです。また、指定管理者制度では、「経費の削減」が求められることから、経費の大きな部分を占める人件費への影響も懸念されてきました。実際、今回の3園すべてで、次期指定管理料の提案額は、現在の指定管理料よりも低く抑えられています。再指定の園の中には、職員の経験年数が2、3年と非常に少ない園もあり、経験年数の少ない職員体制によって、結果として経費を削減していることになっていると言えます。指定管理者制度を導入した当時は、バランスの良い職員の配置を行うとしていましたが、時がたつとともに、そのバランスが崩れ、保育の質が保てないとすれば問題です。保育事業への指定管理者制度の導入は改めるべきです。こうした立場から、指定管理者の再指定については、保育の継続性が担保されているとはいえ、保育事業への指定管理者制度導入に反する立場から、再指定にも反対するものです。

議案第88号、黒川地区小中学校新設事業の契約の変更についてです。
児童・教職員が増えるため小学校給食業務費を改定するものですが、わが党は、PFI方式の導入や習熟度別学習など、契約の仕方についても、教育方法についても問題があり、契約の締結時から反対をしてきたことから賛成できません。

議案第92号 川崎市職員退職手当支給条例等の一部を改正する条例の制定についてです。
これは、市職員の退職金を国家公務員の水準に合わせるため、3年間で段階的に引き下げるものです。削減率は16.3%に及び、平均支給額は現行より411万円も減額することになります。そのうえ、委員会答弁で総務局長は、今後国からの指導によって、7.8%の給与引き下げの可能性も、否定しませんでした。市職員の給与引き下げは、市内の民間労働者の給与の引き下げにも連動します。
長引く不況で国民の所得は、この14年間で約70万円も減っています。民間でも賃上げが景気浮揚策として求められているときに、市職員の給与を減額し、民間労働者のさらなる給与引き下げを誘引するような引き下げは認めることはできません。退職金の減額は、職員の将来の生活設計を描けなくするものであり、こうした立場からも認めることはできません。
以上の立場から、議案第63号、議案第66号、議案第67号、議案第71号、議案第72号、議案第76号、議案第78号、議案第79号、議案第80号、議案第83号、議案第84号、議案第85号、議案第88号、議案第92号については反対し、その他の議案及び請願・報告については賛成することを表明して討論を終わります。
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