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岩手県への視察(3) 【宮古市の震災被害と復興への努力】

3、宮古市の被害、復興への努力

7月9日~7月10日にかけて、日本共産党川崎市会議員団は、災害廃棄物広域処理の必要性や自治体の実情について、被災の実態や復興の進捗状況と市議団の取り組みなどについて、3人の党宮古市議との意見交換と、同市田老地区の被害状況の視察を行いました。

・巨大津波に耐えられなかった田老地区の「万里の長城」

宮古市田老地区(旧・田老町)は、1933年の「昭和三陸津波」の被害をふまえて海抜10mの防潮堤を設置、さらに戦後に高潮対策のための防波堤を追加建設し「万里の長城」と言われるようになりました。しかし昨年の津波は、防潮堤の海側に広がった住宅などの構造物を押し流し、防潮堤をこえて町の中心部へ流入、甚大な被害をもたらしました。

この津波被害を受けて宮古市では「X型の防潮堤が津波の力を直接受けてしまう形になった。宮古湾にそそぐ二本の川に津波を逃がすような形にするべきではないか」と議論されているとのことです。

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(左上写真:田老地区の防潮堤を視察、崎尾誠市議の説明をうける)
(右下写真:対岸の岩肌にある上の白線が「明治三陸津波」(1896年)の到達点、下の白線が「昭和三陸津波」(1933年)、2011年の津波は上の白線の少し上まで到達した、とのこと)

・小堀内漁港に押し寄せた38mの津波

田老地区中心部から離れたアワビ漁業が盛んな小堀内(こぼりない)漁港に押し寄せた津波は37.9mにまで達し、避難を呼びかけていた消防団員8人の尊い命が奪われた、とのことでした。

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・中心街から車で30分の場所に、大きな仮設住宅が

小堀内漁港から少し内陸に戻った所に、「グリーンピア三陸みやこ」があります。この施設内に当初から避難所が置かれ、現在は田老地区の中心部に住んでいた方々の多くがここに避難しているそうです。いまは仮設の商店街がおかれており、グリーンピア内に診療所も置かれていますが、元の町のあった所から車で30分ほどかかる不便な場所にあります。宮古市の地形特性から広い土地があまりないため、遠い場所に仮設住宅をつくらざるを得ない状況があらわれています。

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・「住宅リフォーム条例」「復興ボードの活用」など地域経済の活性化を

災害廃棄物の活用について田中市議団長から話がありました。地元企業が災害で発生した柱や角材などの廃棄物を再資源化したパーティクルボード「復興ボード」を製造し、仮設集会所の資材に活用しているとの話でした。しかし、坪当たり60万円ほどとコスト高で、まだ利用が広がっていないのが現状ということで、プレカットなどでコストダウンしている住田町のように価格を下げて活用を広げ、地域の建設業者や地域経済がまわるようにしたい、とのことです。

さらに宮古市は、住宅リフォーム条例(2012年3月に終了)を実施していたため、被災した他自治体とくらべて住宅や商店などの復興が早くすすみ、食堂など町なかの中小商店の再開がどこよりも早かった、とのことでした。また廃棄物の広域処理については、宮古市の放射線量は神奈川県とほぼ同等であり、廃棄物の放射線量もほとんどが「未検出」だという実態を理解してほしい、とのことでした。


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