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障がい者が心豊かに暮らせる川崎を~講演と懇談の集い開かれる

P1050796 6月10日、日本共産党川崎市議団主催で「障がい者が心豊かに暮らせる川崎を~講演と懇談のつどい~」が開かれ、多数の市民が参加して、家平悟さんの講演と障がい者関係者との懇談がおこなわれました。
自身が障害者として「障害者自立支援法」の違憲訴訟をたたかった家平さんは、障害者福祉の改善を求める運動の現状と運動の方向について講演。同法を廃止し障がい者の意見を取り入れた新法を制定するという、政府との約束がが守られず、新しくつくられた法は、障害が重い人程負担が大きい等の矛盾がある古い枠組みはそのままになっていると厳しく批判、さまざまな障がい者団体がいっしょにまとめた「骨格提言」はすべての障がい者が一致できる共通の願いであり、これを実現していく運動を進めたいと述べました。

家平さんの発言要旨はつぎのとおりです。(文責編集者)

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皆さん、はじめまして、こんにちは。障全協の家平です。よろしくお願いします。最新の自立支援法の動向を話すということで聞いています。

まず、今回出されている法案の問題点などをふくめてお話しします。出てきた法律がいかにこれまでの障害者運動の築いた到達点、制度改革の議論の内容が反映されていないかということをふまえて話したいと思います。また、今後の運動などの課題を明らかにしたいと思います。

一つ目には、障害者総合支援法について、今回の法律はどのようなものかみていきます。
資料の最初についているもの、横になっている資料を見てください。今回の法律は地域社会における共生社会への実現に向けてとういことで、新たな障害者福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案ということで、名称の方は障害者総合支援法となっています。名前は変わっていますが、明らかに障害者自立支援法の一部改正法案ということで、もともと1月24日の予定法案では一部改正となっていました。中身としては一部改正するものでしかないということが前提です。

このことは何が問題か。僕も違憲訴訟の原告でした。障害者自立支援法を違憲とする裁判をしてきた全国の71人の原告の中の1人で、東京の原告でした。2006年から自立支援法はスタートしまして、その2年後ころから裁判をしようとの流れがありました。実際に裁判を起こしたのは2008年10月31日でした。10月31日は法律が成立した日です。2005年10月31日に障害者自立支援法は成立しました。郵政法案のどさくさ紛れに出されて、通りました。その2年後に合わせて憲法に違反しているとして裁判を起こしました。
裁判の内容は、大きいところでは、応益負担という仕組みはサービスを使うほど負担が重くなるものです。介護保険と同じに1割負担で課せられました。それまでの障害者福祉は、応益負担ではなくて、応能負担、所得に応じた負担でした。これは、所得とは切り離して使った分だけの負担をするという仕組みにかわってしまいました。おのずと重い障害者ほど支援の量が必要で、質的にも高い支援が必要ですが、その人のほうが負担が重くなるという仕組みになります。そのことに対して障がい者の間でも不平等を生じます。もともと障害者の支援はコミュニケーション支援、今日のような手話がありますし、ぼくは介助者がついてもらいましたが、身の回りの世話、ご飯食べるとか、トイレやお風呂などの日常生活のためにつかうものですから、そういうことに負担を強いるのは、毎日毎日、普通に生活するだけでお金を払わなければならないというわけです。それが憲法に保障されている平等権に反すると、大きなところでは、そういう裁判をしました。
これは国も、自公政権の時代にはそれは違憲ではないと全面的に裁判を争いましたが、政権が交代して、国の姿勢は民主党のマニフェストにあるように自立支援法廃止と言っていましたので、裁判でも話し合いによる解決ができないかと、この裁判でも和解の方向になりました。基本合意の和解にするために、合意文書、つまり国とかわした約束の内容で合意しました。その最大の合意の内容は自立支援法の廃止です。来年の8月までに必ず廃止すると基本合意書に書かれていました。そこからすると、今回の法律は一部改正でしかないということからいうと、最大の約束である廃止ということを守ってないことが一番最大の問題です。

概要を見ますと、いろいろと書いてありますが、あれだけ制度改革について議論されたのがほとんど反映されておらず、法律の名称と目的が変わっただけです。内容面もほとんど変わっていません。
たとえば、概要の4番を見てください。障害者に対する支援の・です。ケアホームのグループホームへの一元化と書いてあります。これは想像してわかりますか?。ケアホームは介護給付にあたっています。グループホームは訓練等給付に位置づけられています。制度内容的にケアホームは重い人という規定があり、グループホームは訓練事業です。ケアホームをグループホームに統合することについては、考えれば、安いほうにあわされていくんじゃないかと想像できます。この内容についてはまだわかっていません。
その下の地域生活支援事業について、手話やコミュニケーションにも使っていくとありますが、これについては新たな提案としては地域ボランティアの養成をすることが充実だと書かれたりしています。
障全協も自立支援法についての大きな問題点は、私たちは4つ挙げました。
最大の問題の違憲訴訟にもなった応益負担と、障害の程度によって支援の内容を決めていく障害程度区分の内容、また、日割り単価のこともそうでして、以前の法律では、月割り・月額でしたが、日割りで作業所に行けば利用者が休めば減らす仕組みです。そして契約制度の問題もあります。
そういう4つの問題を指摘して、この根幹のものがなくならないかぎり自立支援法は悪法だと言ってきました。
今回の法律では、6番を見てください。検討規定のところです。3つ書いてあります。移動支援の問題や就労の問題、福祉サービスのあり方などは今後見直していくということです。障害程度区分もそうですし、意思疎通の支援のあり方なども検討していくということです。この6番が非常に重要です。今後これを検討していくといっているのです。
これがなぜ問題なのか。私たちが国と交わした基本合意では、障害程度区分は問題だし、障害者の支援を削るものにしかならないし、廃止の方向を考えるように言われました。司会からも言われたように、幅広い障害者のいろいろな団体が「骨格提言」ということで、新しい法律の内容を示していますが、この中でも、障害程度区分は廃止して新しい支給決定の仕組みを作りなさいと書かれています。これを踏まえずに、今から検討しますよ、ということです。
また、障害程度区分を今後廃止するために検討すると書かれているならその方向に沿っていますが、この段階でも障害程度区分のありかたをまた考えていくということなので、廃止するかどうかも今の時点では明確になっていません。
ここに最大の問題があって、今までの自立支援法で大きく指摘してきたことについてはいっさい何も手をつけずに、現行のもともとの自立支援法が持っている制度の仕組みを温存したまま、名前だけを変えて新しい法律だと言おうとしているのがこの自立支援法です。
わかりやすくいえばそういうことなのです。内容的には、これ以上でもこれ以下でもなく、自立支援法を温存させる内容のものを無理に通そうとしているのが今の状況です。

民主党はこれを何と説明しているのか。今回は不十分なものでしたが、私たちのせいではないですよと。ねじれ国会で野党との調整が必要で、自民、公明は自立支援法にこだわっているのでそれに配慮するとこんな程度のものしかできなかったと説明しています。それだけではなく、いかに自分たちが制度改革にそっているものだというふうなことを主張するために社会モデルに基づく理念のものに変えていくということです。
社会モデルとは何か。今回、障害の谷間を埋めるために、難病の範囲を広げるといわれているのですが、これが前進した面です。しかし、大きな根本的問題があります。難病の範囲が広がるのはみなさんも僕も前進面と思えるし、進めていくべきと思うが、もともと難病は1万にも近い難病がいろいろあってその範囲は難しいところがありまして、障害を持っているがゆえに困っている人たちの谷間を無くすということなら、生活に必要な支援の度合いにより判定して、何が困っているかというところに支援をしないといけないのですが、今回のは病名がついている百なんぼのものをちょっと広げるだけで、範囲にはずれた人たちは対象外になる問題があります。範囲は確かに広がりますが、それはごくごく一部で、新たな谷間を生み出すものでしかない。根本的に変えるものではないです。
本当は、社会モデルです。今までは、障害者手帳でもそうですが、医学モデルでした。医者が判断して、体も含めて状態を見て医学的に判断してそれが障害だと判断してきたのが今までの障害福祉でした。それを変えるために社会的困難をどうかかえているのかをみて判断するのが社会モデルというものです。
民主党は理念に共生社会の実現や社会参加の実現など社会的障壁をなくすと書いたから社会モデルにしていくと言っていますが、理念にそう書いたからといって、難病に人たちの問題は解決しません。もともと難病だけでなく、支援が受けられない人がたくさんいます。そういう人たちは社会的生活を送るのに困難がどこにあり、どんな支援が必要かをきちんと測って支援するのが社会モデルなのですが、そうはなっていないにもかかわらず、そういうことを強調しています。

もう一つは、結局は今回障壁をなくして地域生活を実現するために施策を充実させると言っていますが、その中の目的条項にも「可能な限り」とあります。これは地域生活をするうえでの支援を可能な限りやっていくと書いてあります。皆さん、どう思いますか?「可能な限り」やっていくというと、やはり可能な限りなのです。
今まで自立支援法で行われてきたのは例えば、今、和歌山市でALS(筋萎縮性側索硬化症)の裁判が行われてこの間、勝訴しましたが、支給量の問題でした。和歌山市は、視覚障害者の移動に関して、月に10時間しか支給しないということです。
僕は今日もヘルパーさんと来ています。朝、9時から6時まで使えば、ほぼ10時間になってしまいます。月に1~2回、外に出るだけの支給の市町村もあります。これは自治体のお金が足りないからと説明されたり制限されたりしてきました。
これが移動支援だけでなく、日常生活全般にわたっています。ALSの人は痰吸引をする必要があり非常に重たい障害ですけれど、24時間の介護が必要と全国的に言われていて、先進的自治体では24時間ということも含めて支給しているところが多いのですが、それを和歌山市はしていなかったので裁判が起こり、なんとか20時間以上の支給がされるようになりましたが、裁判を起こさないと保障されないのが実体です。それについては「可能な限り」地域生活の実現ということが入ってしまったということは、やはり自治体の裁量でそういうことをしていいですよという、言い訳です。そういうことを言って、いかにも変えたような説明をしていますが、実態は変わっていません。
「可能な限り」を入れることについては、障害者総合福祉部会と骨格提言をつくった部会でも最後、大きな問題になって、こういうことを入れるなら、つくった意味がないと最後まで問題視された内容です。

根本的には自立支援法の枠組みでやろうとしているのが問題ですし、民主党はいかにも変わるような説明をしていますが、規定をいままでの医学モデルや、「可能な限り」で地域生活を実現していく法律にしかなっていないのが正しい評価だと思います。こういう問題性がある法律です。

民主党の説明で、自立支援法をいかに新しくしたかについて。
自立支援法は115本の条項の中、93条項を変えて、その割合の81%を変えたのだという説明を、僕らも違憲訴訟団の原告で、閣議決定されるまえの日にそれをこの耳で聞きました。しかし、違憲訴訟弁護団は、この法律が本当に変わっているか調べたら、115条のうち条文として変わっているのは7条項だけ、6%だけです。6%しか変わっていないのになぜ81%変わっているのですかと聞きました。今回の新法だけでなく、2年前2010年12月に自民党と公明党と民主党で通したつなぎ法という法律と新法とを合わせて、こう変わっているとしているんです。7条項しか変わっていない今回の法律を、その前のつなぎ法という、自民と民主と公明が合体してつくったつなぎ法で、ほとんどの法律が変えられているのが実態です。これがいかに問題なのかというのは、次の経過をお話しすればわかります。

もともと障がい者制度改革はなぜされたか。民主党が(自立支援法を)廃止すると言って選挙に勝って、そのマニフェストを信じたから僕たち違憲訴訟の原告も和解に応じて、新しい法律に変わると思ったから調印しました。民主党は最初は廃止すると言っていました。
もうひとつ、おおきな意義は、廃止して新法をつくるためには、自立支援法は当事者の意見を聞かなかったことを大きな反省点としてあったことをふまえて、障がい者制度改革という障害者を交えた審議体をつくろうというのが障がい者制度改革推進会議で、当事者を交えた議論をして変えていくと約束しました。ここで障がい者制度改革が議論されました。
障害者制度改革の議論の大元は2つあり、(1つめは)国連で制定された障害者権利条約を批准するために何が必要なのか。障害者権利条約は一般市民には権利はあるが、障害者には実現されていないことを実現していくため、地域生活で普通の人なら無いけれど障害者の人には介助が必要ですね、子どもの権利条約や、女性の権利条約などありますが、国内法をきちんと整備しないと権利は守られないので、障害のない人と同じように生活する権利を具体的に保障しなさいということを示しているのが障害者権利条約です。これを批准するためには、日本の法制度によって、何が必要かを議論する場です。障害者自立支援法に代わる新法は障害者福祉だけですが、推進会議で議論されたのは教育や労働、参政権の問題なども議論されました。障害者に関わる法律はたくさんあります。日常生活を送るためには障害福祉だけではありませんので、その議論がされました。
具体的に総合福祉法として、大きな問題のあった自立支援法を変えていくのは、2つめの課題としてありました。この障害者基本法についても障害者全般の権利を守るものだとして、去年制度改革として議論したものが国会に上程されて通っていますが、権利保障という点では形骸化している面がありますが、「可能な限り」などの問題もありますが、前の法律よりは大きな前進があり、通っています。
今回の総合福祉法については、障害者総合支援法については推進会議の子部会である総合福祉部会で議論されて、19回、1年半の議論を踏まえてでてきたものです。つなぎ法で、ほとんどのことが変わっているのがいかに問題かというと、総合福祉部会で議論していた2006年12月に制定したのは、まさに推進会議の総合福祉部会が自立支援法に変わる新法をどんなものにしようかと議論していた最中につなぎ法が通ったのです。
民主党の説明では、つなぎ法によって80%くらい変わっていたのなら、推進会議の総合福祉部会が議論をしていた時に、すでに政治の世界では自立支援法を変える物にしていったいうことです。
その方向性が骨格提言や推進会議で議論された方向ならともかく、まったく違う、今までの自立支援法に固定化するものを作っておいて、今になって、新法と合わせた新しい法律だということ自体あまりにひどい話だと思います。経過でいうと許せない問題です。

僕の裁判で応益負担の問題は配偶者(妻)がいて、裁判で和解する時、2010年4月から民主党がまず廃止するためにおこなったのは低所得者の無償化です。非課税の人は無償です。自立支援医療は無償ではないですが、福祉サービスでは無償になりました。僕の裁判では、僕個人では非課税ですが、妻が健常者で働いているので非課税ではない。世帯としては課税です。僕は今でも毎月9,300円の利用者負担を払っています。裁判では応益負担の問題を問いながら、家族にまで負担を強いる内容だと、僕が世帯として障がいを持っている父親だから負担をしなければならないのはおかしいと。2006年は僕は大阪の作業所で働き6万円の給料を貰っていました。その頃は上限3万7200円でした。課税世帯は一律だったのでそれを払っていました。作業所に行く費用と、日常的にヘルパーを使うと、月に3万7200円をずっと払いました。移動支援の費用などを別途払うと年間50万円ぐらい払わなければならなくなります。子どもがその頃ちょうど1歳になり、それまでは応能負担だったので月3,300円だったのが、それがいきなり4万円近くかかりました。子どもを育てていこうとしている時に、障害者だからそれだけの負担をしなくてはならないのはおかしいと、家族負担を訴えるためにも裁判に訴えました。
僕は、世帯でいうと非課税ではないので、裁判を終わらせる基本合意する時では、それほど変わらなかった。しかし基本合意の中に、世帯の収入ではなく、本人の収入に着目したものにしなさいと言いました。たとえ応能負担であっても、裁判の中では原則無償、障害者の利用料をとること自体がおかしいという主張でしたが、たとえ応能負担だとしても障害者本人の収入で見るべきと言っていました。
それを指摘して今回の骨格提言を議論した部会では、障害者の支援についての原則無償ですし、たとえ無償にならなくても一部の高額所得の人については応能負担であっても、配偶者は含めない。20歳以上の障害者は個人、つまり本人負担と書かれています。しかし、新法の説明を厚労省から受けたときは、配偶者が抜けない問題は、つなぎ法で家計の負担ということを明記されていたので、変えることはできないと言われました。
僕の事例で言っても、骨格提言でいろんな障害者団体が一致して原則無償だし、本人の所得にしなさいと提案がされているが、その間にそうはしないということを、つなぎ法によって家族負担にすることを決めてしまっているのです。いかにこれが問題かということです。

結局、つなぎ法でも、自民、公明が言っているには、自立支援法は廃止しないということ。廃止なんかしませんという人(自民・公明)と、民主党は廃止ですよと言っていて、それが合体した法律です。結局、廃止か廃止でないかということは、うやむやにされた法律が通っています。今回の総合支援法の法律の審議の中でも、同じような状況があって、自民、公明は質問に立って言ってることは、この法律は新法でなくて明らかに一部改正ですよねとわざわざ自民党が質問にしているのです。公明党はこれは自立支援法の延長ですねと確認した質疑をしています。
民主党の政府は、今回は不十分な制度ですけれど理念と規程を変えたので新法としている、と言っています。今回の総合支援法でもすでに自民、公明、民主党などは3党合意してこの法律については通していくと合意されています。廃止じゃないですよねと確認して廃止しないと思っている人と、形上では廃止と言っている人がいっしょになってつくっている法律なのです。そのことについては意見が割れずに合意していますというのが内容なのです。いかに政治的に問題かということです。
この問題でいうと、今の構造改革路線に乗った社会保障と税金の一体改革が背景にあるのは明らかです。
それは何故か。なぜ自立支援法の程度区分や応益負担の問題。
応益負担を応能に変えたと言っていますが、9割しか給付しない条項はそのまま残っています。応益負担の内容についても、重い人ほど負担が増える仕組みは変わっていません。ただ低所得者が無償になったので応能負担になったような感じがしますが、そうではなくて結局、課税の人は同じように障害が重い人ほどたくさん負担していまして、この負担の問題は上限額で決まっているので、厚生労働省は、法律規定が変わっているわけでははいのでいつでも戻そうと思えば戻せます。
応益負担や日割り単価、程度区分は介護保険とまったく同じ制度です。介護保険の仕組みをなぜ自立支援法で残しておきたいのか。
それは保険に今後していくことを狙っているからです。自立支援法は元々介護保険に統合するためのものだったのですが、この仕組みを変えてしまうと今後、介護保険と統合ができなくなるから残したのです。社会保障と税の一体改革とは、総保険化です。社会保険の総保険化、子どもの分野も、子育て新システムと言われていますが、それも自立支援法と同じように、仕組みを保険化する流れです。こういう背景があるので、民主党は嘘をついて説明して、いかに新法という体裁を繕いながら現行法を守るということになってきています。それがどんどん明らかになってきているのが今の国会審議です。

三党合意をしているので4月には衆議院の本会議を通りました。参議院の質疑を残して、通していこうとしているところです。税と社会保障の一体改革が議論されており、野田政権の大きな課題となっています。それがあるがゆえにこの審議は止まっています。もう与野党協議は始まっていますし、いつ再開されてもおかしくないし、これが再開され参議院が動けば、すぐに通ってしまう。民主党がマニフェストを、公約を守らずに、また国と訴訟団が交わした基本合意すら守らずに強行していこうとしている。
基本合意書を守らないということは、公約を守らないというどころじゃなくて、三権分立で進んでいるものの、司法の場での合意を踏みにじることが国会でなされるのは、今後、集団訴訟で基本合意して和解、たとえばB型肝炎とかエイズの問題とか、原爆症の問題とか、そういうところも基本合意を交わして国を信じて、政策上守っていくから、和解しますよと、政策形成裁判といわれる裁判で和解しているのですが、自立支援法のように廃止するといっている法律を根本的にしないという事態がおこると、今後の集団訴訟の和解すらもできなくなってしまう事態だと弁護団も言っています。

全国の集団訴訟でも力を合わせて、こんなことは許されないと運動が広まっています。これがいかに問題かということです。参議院でも民主、自民、公明の3党が合意しているので、数の力で通そうと思えばすぐに通る法律です。共産党や社民党は反対していますが、通そうとしたら通せる法律です。しかし国会で僕らは諦めずに、訴訟団でも国会審議に向けて毎日毎日、4月の終わり頃、ゴールデンウイーク前は国会行動を通じて毎日集会を開きながら訴えていました。
この異常事態をしっかり伝えなくてはなりません。たとえ数の力で通そうとしても、こういう問題を国会審議の中に残すのは重要だと思います。国会審議で共産党や社民党は反対してくれているのは、一貫して自立支援法の問題を扱っているからだと思います。ここに至ってみんなの党や消費税で民主党を離脱した新党きずな、知ってますか?、そんな人たちが反対しています。元々民主党の人です。みんなの党はつなぎ法の時は賛成しています。そういう人が、今回は反対しています。基本合意が守れないとか新法がいかに内容的に新法になっていないかを問うているのですが、運動をやってきたが故に広がってきていると思います。
最後に、いろんな地方議会でも、川崎市でも、骨格提言を基にして法律を作りなさいという意見書が採択されました。井口さんのホームページを見たら、民主党の議員と共同してつくって1票差で通ったそうです。これは重要です。
なぜなら民主党は国会でいうとこういう法律を通そうとしているが、地方では、廃止しないこと自体がおかしいという議員もたくさんいます。だから骨格提言に沿ったものにしていこう、当事者の意見を聞きなさいということが地域では広がってきていることが大事なことで、こういう問題を僕たちの中にとどめておくのではなくて、自立支援法の根幹の問題は変わっていないことをしっかりと訴えていきたい。今後もやっていかないと、例え法律が通って施行されても、今後の闘いの進め方につながってくると思います。

最後に一つだけ言うと、地域格差の問題が自立支援法で問題になりました。地域間格差は今回の法律では何ら解消されません。
たとえば今の現状で言うと移動支援がありますが、これは地域格差があります。実利用人数が出ていますが、神奈川県で、1ヶ月に使っている移動支援の実利用人数はどのくらいかわかりますか?。7,344人です。一番使っているのは、東京かと思いきや大阪です。大阪は1万6,129人です。反対に一番低いのは秋田県です。ここは県全体で47人です。川崎市で使っている方が多いのではないですか?。板橋区に住んでいますが、板橋区で47人ということにはならない。使いたい人がいても、人がいないとか、申請さえできてない実情があります。
コミュニケーション事業、今日も手話通訳されていますが、一番使っているところは埼玉県です。3億6200万ほどです。一番低いのは、高知県です。高知県全体のコミュニケーション支援事業で使っている額は500万円。
これくらい地域間格差があるということについても何も変わっていないことの象徴です。今回の法律では何も触れられてないということについては本当に問題だし、こういう問題を実態を含めて、僕たちが明らかにしながら、いかに障害者が生活の中で、地域生活が保障されないということを引き続き訴えていかなくてはなりません。

僕たちの運動内容として、今日も後で販売している「骨格提言」があります。骨格提言にはこういうことを変えていきなさいとしっかり書かれています。これをつくったらものすごくいい法律ができるのです。骨格提言が全てではないですけれど、これをまずやらしていくということが重要で、そこに書かれている内容をしっかりと法律にしていくということを引き続き頑張ることがこれからの運動にとってますます大事だということなので、そこに書かれている内容をしっかり読んでいただいて、また次の運動につなげていけたらとおもいます。
長くなりましたが終わります。


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