「政務調査費」などの改革方針についての「公開質問」への回答書(2007.2.8)
川崎・市民フォーラム事務局代表今井克己氏と川崎都市問題市民研究会代表奥田久仁夫氏の連名で日本共産党川崎市議団宛によせられた公開質問にたいする市議団の回答文を掲載します。(両氏は「政務調査費」などの改革方針について市議会全会派(無所属含む)に「公開質問」をおこなっています。)
【掲載にあたり、質問文の丸数字項目番号は丸括弧数字に変更してあります】
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川崎・市民フォーラム事務局代表 今井克樹 様
川崎都市問題市民研究会代表 奥田久仁夫 様
2007年2月8日
日本共産党川崎市会議員団
団長 竹間幸一
公開質問状への回答
A 市議会会派への共通質問
1、「議会改革」について
(1)「議会改革」についてどう市民の意見を聞いてきたのか?
○今回の「議会改革」についての市民参加についてですが、とくに「議会改革」と限定はしませんが、議会のあり方、市政のあり方について、私たちは日常的に市民のみなさまの意見を機会あるごとにお聞きするように努めてまいりました。とりわけ政務調査費については、いただいたご意見を考慮し、日本共産党は早くから1円単位からの領収書の添付を義務づける公開を主張し、自主的公開も実施してきたものです。そうしたことを踏まえて、今回の協議の場でも提案をいたしました。
(2)すでに提出されている2つの関係請願の審査を何故しなかったのか
○請願審査の時期を決めるのは、その委員会の正副委員長の権限に委ねられているところです。しかし、請願審査とは別に独自に「議会改革」について論議することは可能だと思われます。また、政務調査費の公開について会派で一定の合意をしたとしても、議会での審議・議決はこれからであり、委員会で請願審査の議論をすることは、矛盾のないことだと考えます。そして、請願審査の場でさらに公開の範囲の拡充など発展した論議は十分可能だと考えます。
(3)時代の要請である「情報公開」に、どう取り組んでいるのか
○私たち日本共産党は、市政にかかわるすべての情報を公開することを原則とすべきだと考えています。その点で川崎市議会は、本会議をはじめ議会運営委員会を含めた委員会の会議を市民が自由に傍聴をすることができ、人数の制限もなく、請願・陳情者に議会事務局より事前に通知があること、また、情報公開条例の対象に議会も入れていることから、委員会の議事録も含め、請求に応じ公開されることになっており、他都市に比較して一定の評価ができると考えます。
しかし、市民に真に開かれた議会にするには、さらに請願・陳情審査に提出者の趣旨説明等の機会を保証すること等が必要だと考えますし、委員会の傍聴者に対しても当日委員に配布されるものと同様な資料を配布するなど、改善すべき課題も残っていると考えています。
(4)行政がすすめる「分権化」に対応する議会の「分権化(区制対応)」を検討しないのか
○まず行政の「分権化」についてですが、身近な行政機関が強化されることは大切なことだと考えます。しかし、市がすすめる区役所機能強化は、予算も少なく「分権化」強化の方向とは必ずしもいえません。真に区役所を強化し権限を持ったものにするなら、区長の準公選制の採用などの民主主義の確立と市民要望に十分こたえられる予算の確保が必要ではないでしょうか。
次に議会の「分権化」についてですが、この点は制度上の問題点を精査したうえで考えてまいりたいと思います。
2、「政務調査費」について
[1]その“公開”について
(5)何故、支出(人件費を含めて)を完全公開(領収書添付)にしないのか
(6)また、収支報告に領収書を添付しないことになっているのか
○市民の声によく耳を傾け政策を立案するための議員の調査活動は、市民の要求・願いを実現し議会活動を展開していくうえで重要だと考えます。これを保障するために必要な経費として認められているのが政務調査費です。
市民の税金でまかなわれる政務調査費の適正な使用と使途の透明性をはかるためには、収支報告書だけでなく支出にかかわるすべての領収書の添付は当然だと考えます。この立場から、2000年の地方自治法の改正で政務調査費が位置づけられたことを受け、川崎市においても01年3月議会で条例が制定されることになった際、私たちは、1円からの領収書の添付を義務づける条例案を提案しました。
しかし、他会派はこれを否決、領収書を添付せず収支報告書のみの条例案を提案し、賛成多数で可決しました。日本共産党は私たちの提案した条例案が否決された後も、自主的に公開を続けてきました。したがって私たちは、支出(人件費については個人情報保護の問題がありますが)を完全公開(領収書添付)すべきだと考えていますし、実際に公開してきました。
(7)5万円以下は公開しないことを、何故、公開しない会議できめたのか
○川崎市議会の運営にかかわる事項は、各会派の合意で決定するという全会一致制がとられ、その原則は議会運営の手引きにも記載されているところです。団長会議をはじめとして、市議会の運営が意見を異にする少数会派を切り捨てることになる多数決でなく、全会一致制がとられているという点は評価できると考えるものです。
5万円以下の領収書の添付は義務付けない、したがって公開しないことを、何故、公開しない会議できめたのか、とのことですが、日本共産党は団長会議においても「5万円」の限定をつけるべきでなく、1円単位から領収書の添付を義務付けるべきであると主張しましたが、他会派は「5万円以下の領収書の添付は義務付けない」ことを主張。その際、共産党が他会派の主張を拒否し続けるならば、全会一致制を採用している以上、領収書添付の合意は成立しなかったと考えられます。そのため私たちは、非常に不十分なものでありますが、収支報告書に領収書添付を義務付けるということにまずは一歩踏み出すという一点を評価し、次善の策として賛成し、合意したものです。もちろん、私たちとしてはこれまでどおり1円単位からの領収書を公開していきますし、他会派に対しても引き続き求めていくものです。
また、今回の合意はあくまでも会派の合意にすぎず、議案はこの後議会に提案され、公開の本会議で議決される予定です。ですから、あくまで議員提案を合意した、という段階にあります。
(8)少なくとも今回の議員任期(2003年度~2006年度)中の支出と活動について、公開と説明責任を果たすべきではないのか
○そのとおりだと考えます。
これまでは、収支報告書の公開だけが義務づけられ、領収書の添付は義務付けられていませんでした。しかし、領収書の添付は義務付けられていなかったものの、5年間はすべての領収書を保存することが義務づけられておりました。ですから、この期間についても市民からの質問に対する説明責任はあると考えます。
(9)直ちに今回の決定を撤回し、支出の完全公開と活動公開を実行すべきではないか
○私たちはこれまでどおり完全公開を実施していきます。また、他会派についても求めていきます。
[2]これまでの“使い方”について
(10)その使い方は妥当であり、適正であったか
○日本共産党の使い方についていうなら、おおむね妥当であったと考えます。
(11)これまで、「政務調査」のそれぞれの実行とその成果とその実行(調査にもとづく議員活動)、およびその市民への説明責任はどうしてきたのか
○市民から寄せられた要望や願いを実現するための調査や研究、そのための市内外の視 察などを旺盛に展開してきましたが、その結果については、それぞれの議員が出す議会報告や議員団として毎議会ごとに出す議会報告などで市民の皆様に還元するように努めてきました。その一環として、昨年11月には全市民を対象にした「市民アンケート」を実施したところ、市政全般のみならず、さまざまな地域要求も数多く寄せられました。
市民の皆様からの要望に対してただちに視察や調査に動くとともに、アンケートの結果についても全市民を対象に返していくことにしています。この活動も政務調査費でおこないましたが、市民と議会をつなぐ本来の政務調査費としての使い方だと自負しています。
なお、これら議会報告については収支報告・領収書とともに市民のみなさまに公開をしているところです。
3、「費用弁償」について
(12)「費用弁償」という名目で、議員の職務である議会出席が“弁償”の対象になっているのは不可解であり、報酬との2重支出ではないのか
(13)ただちに交通費の実費弁償以外は廃止すべきではないのか
○ご質問のとおり、議会や委員会への出席は議員の職務であり、川崎市の委員会が他都市に比較して開催回数が多いことを考慮したとしても、その活動費は報酬の中に含まれていると考えるのが妥当であり、したがって、私たちは基本的に交通費の実費支給にとどめるべきで、それ以外は廃止すべきであると考えています。そうした立場から、他の会派に対しても費用弁償は交通費支給にきりかえるよう提案をしたところです。今後の協議事項となっておりますが、引き続き、改善を求めていくつもりです。
B、共産党への特別質問
(14)これまで「公開」してきて、市民からどんな反応や問題指摘があったでしょうか。これからの改善課題はなんでしょうか。
○市民からはおおむね好意的な反応が返ってきていますが、これに甘んじることなく、さらに改善できるところは改善を重ねていくつもりでおります。
(15)5年間で1億800万円以上の「人件費」への支出が報告されていますが、これは過大ではないのですか。「政務調査費」内の支出配分として妥当なのでしょうか。
○議員としての役割を果たすために調査活動は不可欠なものですが、複雑で高度化している現代社会にあっては、議員の調査活動を補佐する調査員の果たす役割は大きいものがあり、調査・研究活動をおこなうにあたり、調査員は必要なものと考えます。
そうした立場から日本共産党川崎市議団は、市役所内の市議団控え室に常勤政務調査員を5人配置しています。(以前は、政務調査費とは別に会派に1人市費で控え室職員を配置させていましたが、2001年3月の政務調査費に関する条例制定にあたり、そのなかに人件費が明確に位置づけられたことから、私たちはその後は他会派のように市費による控え室職員はおかず、政務調査員の給料は政務調査費のなかから支出してきました)。
議員団の政務調査員は、選挙民からの付託に応え、議員の市政に関する調査・研究活動を旺盛にするために議員を補佐して活動しています。住民要求を議会審議に反映させ、その経過と結果を市民に報告するためにも、議員と政務調査員が一体となって住民要求に基づく独自な調査・研究報告活動の充実をすることが大切だと考えています。
このことは、地方分権の推進に伴う議会のあり方を検討するために全国都道府県議会議長会の委嘱を受け設置された「都道府県議会制度研究会」のなかでも、「会派活動の公益性を考慮し、調査交付金を交付しているが、会派はこれを政策スタッフの採用、資料の収集政策活動に使用し、その成果を都道府県政・市政に反映させるべきである」と強調されているところです。したがって、人件費が多いことの問題はないと考えております。
市民の税金である公費で保障されている政務調査費の使い方については、使途の透明性と使用の適正・厳格性を確保するために、日本共産党は、収支報告書に1円からの領収書添付をすることはもちろん、その費用をより効率的・適正に行使し、いっそう市民の声を議会に反映させるよう努力していくつもりでございます。
(以上)