市議団が宮古市と遠野市を視察(遠野市編)
竹間幸一、斉藤隆司、井口真美の各市議が7月20日に宮古市の「住宅リフォーム促進事業補助金」について、21日に遠野市のICTを活用した遠野型健康づくりの取り組みについて視察・調査しました。政務調査員2名が同行。
遠野市では「遠野市健康福祉の里」で、健康福祉部の市民医療整備室次長、福祉課長らから説明を受け、同所内の助産院「ねっと・ゆりかご」を視察しました。
遠野市ではICTを活用して健康づくりと医療支援に取り組んでいます。ICT(Information and Communication Technology )とはネットワーク通信により情報・知識の共有・共同をはかる技術で、この技術により、検診者・相談者が離れた場所にいる医師の検診・指導を受けたり、検診者らの診療情報を医療機関が共有・活用するとともに、市民は行政が持つ自分の検診情報を参照できます。遠野市ではこれを(1)妊婦検診はじめ妊婦さんの相談、健康教育、(2)親子手帳、子育て手帳、健康増進手帳、長寿手帳を電子化した「すこやか電子手帳」、(3)テレビ電話で遠隔専門医が現地支援スタッフ(看護師等)と情報を共有し、参加市民への指導や疾病予防を展開する事業に活用しています。
人口3万人の遠野市では3分の1以上が60歳超。医師不足で、市内には産科医がいません。こうした条件であっても、住民の安心・安全・不安の解消は行政の使命として、地域で支える健康づくり、予防医療の推進など新たな地域医療のあり方を追及してきました。
これまで妊婦さんが車を運転して片道1時間半かけて通っていた妊婦検診も、遠野健康福祉の里に設けられた助産院「ねっと・ゆりかご」で、モバイル胎児心拍数検出装置を使った医師の遠隔サポートを受けた助産師がおこなう妊婦検診を受けられるようになり、妊婦の負担が大きく軽減。県内13医療期間が協力して遠隔の「妊婦主治医」が年間約200人の妊婦さんを見守るネットワークを構築してます。産科医不在のため分娩は扱いませんが、リスクの軽減、緊急時の迅速・円滑な搬送、産後の母子管理・支援等に効果が現れているといいます。
遠野型健康増進ネットワーク事業では、歩数計を持って毎日楽しくウオーキングしている市民が定期的に地区センター等に集まり、健康状態を計測。その結果をテレビ電話でデータを蓄積共有するサーバーに転送、医師がテレビ電話や携帯電話を通して健康指導・相談を行ないます。現地にいるコメディカル看護師が採血を行なうこともあります。こうした取り組みにより高血圧、糖尿病、高脂血症、肝機能異常などのリスクで改善傾向がみられ、特に高血圧では顕著に減少する結果が出ているといいます。
しかし医師法では対面診療が原則のため、遠野市での取り組みは医療でもなく特定保健指導でもなく、診療報酬としてインセンティブが与えられないことから、普及に結びつきにくい点があります。診療報酬や制度創設等で予防医療のサービス提供につなげる仕組みも必要になっていると担当者はいいます。
川崎市では妊婦の緊急搬送で現場滞在時間が30分以上かかったケースが08年17.2%で政令市ワースト1位です。全市を網羅した情報共有のセンターの早期設置が求められています。
遠野市では子育て総合支援センターの子育て総合支援室次長から、川崎市の「子どもの権利条例」の制定後について質問を受けました。