市議団が宮古市と遠野市を視察(宮古市編)
竹間幸一、斉藤隆司、井口真美の各市議が7月20日に宮古市の「住宅リフォーム促進事業補助金」について、21日に遠野市のICTを活用した遠野型健康づくりの取り組みについて視察・調査しました。政務調査員2名が同行。
宮古市では市役所で建築住宅課長から制度の説明を受けました。
「住宅リフォーム促進事業補助金」は、市内在住者が、市内の居住用住宅を市内施工業者に発注して住宅の長寿命化目的などのリフォームを20万円以上の規模で行なう場合に、一律10万円の補助がされる制度です。家屋の修繕や模様替え、増築などに使えます。これは、住宅政策ではなく、地域経済の活性化を図るため、市内建設関係業者の仕事起こしをおこなって中小企業を支援する経済対策として行なわれています。1年間の予定。
幅広い工事種類を対象にし、負担能力が低くても利用できるように条件となる総工費を低く抑えて幅広い市民が利用できるようにするとともに、書類等も申請と請求の2回ですませられるように配慮。個人情報の取得に同意すれば住民票等の添付書類は行政が準備。業者が代理申請できるため、施工主が手軽に利用できます。事業案内チラシの全戸配布や業者団体への事前説明会等で周知徹底したため、受付初日の4月1日には176件の申請があり、それ以後も多数の申請があったため2回の追加で2億5000万円(2500件分)の予算を確保、7月16日現在1547件(補助金額1億5470万円)、全工事費用7億2300万円の実績となっています。
これはおおよそ10軒に1軒がリフォームできる数字で、近所でリフォームしているのを見て私の家もやりたいと次々と業者に相談がよせられるといいます。また、施行業者がこの制度を利用して仕事をおこそうと不慣れな営業活動をおこなう、卸業者が施工業者を集めて勉強会を開くなど、業者の仕事確保の努力もはじまっているといいます。
金額階層別では20~30万円が約28%、30~40万円が約11%、平均工事費用は約46万7千円。宮古市の建設業者は平成13年から18年の5年間で、事業所は13%減少し285に、従業者数は25%減少し2085人となっています。
この制度の実現に取り組んできた宮古市民主商工会のみなさんと崎尾誠宮古市会議員(共産党)からお話を民商事務所でうかがいました。
宮古民商は「景気回復の起爆剤」として5年前から運動。「そんなに業者が困っているなら現金を配ったらどうか」という市長に「われわれは金ではなく仕事が欲しいのだ」と要求してきました。
うかがって印象的だったのは、この制度が業者の仕事を起こすだけでなく、業者を励ましやる気も起こさせている点です。「もうすでに昨年の倍の仕事をしている会員さんもいる」「隣町から宮古にくると活気が違うのがはっきりわかる」「宮古から注文があいついでいる(卸業者)」ほどの仕事量の増加が、「業者の顔があかるくなった」「官公需の薄い4~6月に仕事が入ってきて嬉しい」と業者を元気にさせ、「国保料を支払えなくて短期保険証さえ危なかった業者が仕事できて保険料を払い税金も払った」だけでなく、「営業が不得意でやる気無かった大工さんが、自分が手がけた住宅主に、この制度利用してリフォームしようと手紙を出した。営業のツールとして使える制度だと張り切ってる」と語ってくれました。
日本共産党川崎市議団は、住宅リフォームに助成を行う事により、いま最も苦境にある建設業小零細業者の仕事おこし、営業支援になると提案してきました。しかし、川崎市は「個人の資産形成に資する事になる」として否定的です。同様な議論もあった宮古市は「経済対策」として取り組みました。
宮古市の例ではその経済効果は約2.5倍。宮古市の予算2億5千万円は、一般会計予算規模では約20倍、建設事業所数・従業者数では約12~14倍の川崎市では、30~50億円規模に相当。