公立保育園の民営化計画、特別支援教育などで西宮市、神戸市を視察 その2
2008,06,03, Tuesday
日本共産党川崎市会議員団は、5月8~9日、西宮市における公立保育園の民営化計画の動向、神戸市における公立幼稚園の現状と幼児教育、兵庫県の特別支援教育センターの視察を行ないました。その報告の2回目。今回は
(2)兵庫県立特別支援教育センターの機能と役割
について報告します。
●兵庫県立特別支援教育センターの機能と役割について
5月9日午前9時半から、兵庫県福祉センター施設内にある「兵庫県立特別支援教育センター」の視察調査を行なった。同センターの所長、指導主事が対応してくださり、まず、同センターの歴史、体制、機能と役割、取り組み等についてレクチャーを受けた。
専門家チームによる教育相談、学習障害相談、巡回相談
昭和53年に県教育委員会が、障害のある幼児児童生徒に対する障害児教育を推進するため、兵庫県立障害児教育センターを設置。その後、体制・機能の充実が重ねられ、平成19年4月、名称を「兵庫県立特別支援教育センター」に変更し、前兵庫県立姫路養護学校長が現所長に就任した。現体制は、同所長のほか、指導主事3名、心理判定事務嘱託員1名で、計5人体制。
「教育相談」の活動は、電話・来所による相談で、教育心理学、小児科、児童精神科、教育学の学者など、医学、心理学、教育学の専門的知識を有する相談員が、障害のある幼児・児童・生徒に関する教育相談を行なっている。また、「ひょうご学習障害相談室」では、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)等に関する教育相談を行なっている。相談実施日は月~金(休日を除く)9時~17時、土(休日を除く)9時から12時。視察に訪れた前日も、小さいお子さんの相談が、同センターであったという。
また、県土面積の広い兵庫県(8395.47平方㎞、神奈川県の3.5倍)ということもあって、「巡回教育相談」を実施しており、毎年7月~9月にかけて、淡路島3ヵ所などを含め県内各地14会場で障害のある児童や、LD、ADHD等の課題のある児童、その保護者や担任等を対象に、医師、心理学者、教育学者及びLD等の専門家などが相談にあたっている。昨年度は延べ756人が参加し、相談者件数は1,036件。学校を通して紹介しているので、お母さんとお子さん、学校の先生が一緒に来る場合が多いという。
「ひょうご専門家チームの派遣」は、「ひょうご学習障害相談室」に要請があった学校へ、教育、医療、心理関係者からなる専門家チームを派遣し、幼児児童生徒や保護者、学級担任等への教育相談等を通して、学校への支援を行なっている。平成16年度から開始、相談は増加傾向にあり、平成19年度まで延べ82件の相談。教員、保護者の気付きが広がってきており、学校での支援体制づくりを進めるうえで効果をあげているという。
県下の教員に研修実施、調査研究の成果を現場の教員へ
県下学校の教員への研修も、同センターが担っており、平成19年度は29講座、68回、延べ5,795人が参加。特別支援学級担当教員研修は年4回、基礎講座は夏休みの要望が強く、先生方のニーズが高いため、定員を超えた場合は補修も行なっている。
また、特別支援教育に関する専門的事項の調査・研究、広報・啓発活動も同センターの大事な任務であり、調査・研究の成果は、県下の公立学校の教員に成果物を配布している。
この日、『特別な支援が必要な子どもたちのために』(兵庫県教育委員会発行)というパンフが紹介された。内容は、「こんな子どもたちのことで悩んでいませんか?」「例えば『すぐかっとなる子』の場合」「LD・ADHD・高機能自閉症とは?」「子どもの育ちに応じた支援は?」「保護者にはどのように支援すればよい?「学校内ではどう支援すればよい?」「学校だけで支援できないときは?」など対応方法が具体的に示されており、教育現場で実践的に使うために教員向けに作成されているもの。これも、同センターの調査・研究の成果物である。
「スクールアシスタント配置事業」とは、ADHD等により行動面で著しく不安定な児童が在籍する学校への支援等のため、小学校にスクールアシスタントを配置するもの。週30時間で11ヵ月間、1校に1人以上配置するもので、平成19年度は200人、平成20年度は350名を配置する予定。「特別支援教育コーディネーター」は、学校長が指名した教員で、研修を修了した教員を充てるもので、兵庫県下の小・中学校は100%配置されているという。
このあと、聴力等の検査のための防音施設や相談室、トランポリンのような遊びながら検査する遊具・機材などを見学し、説明を受けた。
(つづく)