市政と市民のくらしを結ぶ
議会報告

2009年第1回市議会(3月議会) 竹間幸一団長の代表質問

2009,03,06, Friday

2009,03,06, Friday1

09年川崎市議会第1回定例会が開催され、3月4日、日本共産党の竹間幸一市議団長が代表質問をおこないました。その質問要旨をお知らせします。
市長の施政方針について―雇用問題
竹間議員は、深刻な経済危機のもと、解雇され職場も住居もなくした労働者や仕事の減少や資金繰りに苦しむ中小業者など市民は悲痛な叫びをあげていることを、「雇用と労働に関するアンケート」への1,400通を超える回答を例にあげ告発。
厚生労働省の発表でも3月末までに約15万7千人、業界団体の試算では製造業だけでも約40万人が職を失う予定で、これ以上の雇用破壊を許さないため、市長が大企業に雇用の社会的責任を果たすよう申し入れよと要求。
市の緊急雇用対策は現在まで102人の募集に51人の採用に過ぎず、雇用期間は2ヵ月程度、時給830円~930円では求職者の願いや実情にかみ合っていないと批判。実効性ある対策を求めました。
市長は「企業の経営判断」と企業擁護の姿勢に終始。また、雇用対策も「短期間の雇用機会の提供」との態度を変えませんでした。
新年度予算案は「安定フライト予算」どころか「市民生活置き去り予算」
川崎市民の年収は200万円未満と200万円台、300万円台が増え、500万円未満が65.7%である事実を提示。しかし新年度予算案はこうした市民生活を支えるものでなく『安定フライト予算』どころか「市民生活置き去り予算」だと批判。
市長が7年連続の「行革」で福祉施策を削減し続け、就学援助で小・中学校の9年間に1回だけ支給されていたメガネの作成費まで切り捨てたことを告発。そのため、字がよく見えなくて授業に集中できず、学力が付かず就職も不利になるという、貧困の連鎖にこどもを陥れてきたのが「行革」の結果だと批判。
市長は「行革」効果の市民サービスを強調し、その還元として私立幼稚園園児保育料等補助の拡充をあげています。
しかし、増額の大半は国の制度変更によるもので、国の補助対象外である所得Eランクの市独自の補助を4年ぶりに1億円余増やしたにすぎないうえ、川崎の幼稚園入園料・保育料の平均は全国平均の1.6倍を上回っており、保護者負担は全国1位だと指摘。
「他の都市でなかなか実現できない施策を実現することが行革還元の成果」というなら、他都市がやっていることくらい実施すべきだとただしました。
さらに、2003年4月からの6年間で2,100人を超える職員を削減し、新年度でも全会計で185人を削減しているが、仕事量が減らないのに人が減らされて残業が増え、メンタルヘルス不調による長期療養者数が54.9%にまで達している事実を提示。ゆきすぎた職員削減方針を見直すよう要求。
福祉予算や職員削減の一方で依然として臨海部整備推進事業費などの不要不急の大型開発に多額の予算を計上。さらに殿町3丁目の開発など大型開発路線を拡大しようとしていると批判。こうした使い方でなく、福祉・介護分野や身近な商店街への支援を飛躍的に高めることこそ重要だと要求しました。

2009,03,06, Friday1a緊急経済対策の拡充を  

緊急経済対策の拡充を
不況対策資金が実施された昨年10月31日から、今年1月末までに市が資格認定した件数は2,133件、そのうち金融機関などを通し保証協会に申し込みがあったのは1,418件。715件が申請まで至らなかったのは貸し渋りが疑われると指摘。市として実態の把握をするよう求めました。
世田谷区では、12月から融資限度額500万円で5年間金利ゼロ、信用保証料も2分の1を区が補助する「小口零細資金緊急特別資金」を開始しており、本市でも市が金利負担を行うよう要求。
零細業者の中には生活資金に困っている例がある実態を示し、勤労者を対象とした「生活資金融資」を従業員3人以下の小規模事業者にも拡大するよう要求しました。
経済労働局長は、小口融資の金利引き下げなどについて、「新年度の見直しに向けて金融機関と調整中である」と答えました。
商店街の振興策―商品券発行の補助など
神戸市では、1万円で1万1千円の買い物ができる「神戸買っ得券」という商品券を発行し、プレミアの10%の半分と印刷代など発行費用を市が負担する制度を始めています。129か所の自治体で取り組まれており、商店会から要望のあった場合、川崎市でも商品券発行の補助を検討するよう要求しました。
経済労働局長は「地域商業の活性化有効なもの」として、既存の施策を活用して支援する、と答弁。
貧困から子どもを守る施策について
貧困が子どもたちに深刻な影響を及ぼしている中、子どもたちを貧困から救い出し、貧困を連鎖させない施策についてただしました。
市内の児童童相談所では、虐待などの相談が昨年の約500件から今年は200件も増え、700件を超える見込みです。親が生活のため夜も働かなければならないため子どもの面倒をみられない“ネグレクト”の増加が要因の一つです。
夫婦が働かないと生活していけないのにパート・自営業者の子どもは認可保育園にほとんど入所できず、高い保育料を払って無認可保育所に預けざるを得ない状況や、また、就学援助を受けている生徒への宿泊を伴わない校外活動費が減額され、遠足に参加できない生徒も出ている事実を告発。
さらに、ある中学校において月末になると小さな菓子パンと給食の牛乳をもって保健室で食べていき、その後、数日学校を休む生徒が何人もいる事実を紹介。中学校ランチサービスは保護世帯には援助があるが、一度に20日分8,000円を立て替え払いが必要なため実際には利用できていない事実も示し、中学校給食の実施ですべての子どもたちに成長に必要な栄養を提供することが必要だと主張しました。
また、2万円以上かかる自然教室など義務教育の保護者の負担の減額と、就学援助の支給品目で削られたアルバム代など元に戻すよう求めました。
保険料を払えないため保険証がなく、具合が悪くても病院にいけない子どもが出ている実態を示し、小・中学生が病気になった場合、国保の保険証取り上げは行わないとのことだが、その交付を徹底するよう求めました。
健康福祉局長は「資格証明証交付世帯の中学生には、4月から郵送で国保証を送付する」との答弁がありました。
竹間議員は、無条件で国保証が交付されても保険証があってもお金がなくて医療が受けられない事態も生まれており、小児医療費助成制度の対象年齢の引き上げが必要と主張しました。

2009,03,06, Friday1b妊婦健診事業について  

妊婦健診事業について
国の制度改定で新年度から健診回数が14回になるが、健診内容によっては自己負担が数千円に及ぶ場合もあるので全額公費負担するよう要求。
補助券 21,000円×1枚 8,000円×3枚
6,000円×2枚 4,000円×8枚
保育事業について―待機児解消
09年度の保育所入所申請児童数は昨年より658人増えて5,953人。不承諾数は2,324人で約4割にも及び、フルタイムで働くA6ランクの家庭でも不承諾だったこと、所得の少ないC階層が認可保育所に入れず、保育料が高い認可外保育所に入所せざるをえない実態などを示し、B、Cランク、就労先が確定しているDランクの方も入所できるような認可保育所の増設計画を要求。同時に「おなかま保育室」の廃止の見直しを求めました。
こども本部長は、保育緊急5ヵ年計画の見直しと同時に、「おなかま保育室」を含む認可外保育施設のあり方を再検討すると答えました。
公立保育園の民営化について
民営化で人件費が安くなるという点について、私立は20歳代が64%を占め、経験年数5年未満が60%だが、働き続ければ将来的には逆転し、私立の方がコストが安いという根拠はなりたたないと批判。
人件費の抑制のため、若い保育士に置き換え、賃金体系を安く抑えれば労働条件が劣悪になり離職率が高くなり、保育経験の蓄積のある専門性や継続性が保てず、保育の質も保てないと批判。民営化にあたっての仕様書などもただしました。
教育問題ー少人数学級実現を
新年度の小・中学校、高校、特別支援学校の定数内欠員は179人にものぼっています。定数で定められているのに毎年大量の欠員を出し、産休代替教員も確保できない異常事態を告発。
他方で、新年度は外国語指導助手配置事業が推進されてその予算は少人数指導等推進事業よりも、多く計上されている事実を批判。
学校によっては外国語助手が来る日は、その対応に手を取られてクラスの児童が置き去りにされる事態もおきていると告発。学校運営の基本である少人数学級の拡充に取り組むよう要求。
教育長は「必要な教員数の確保に努める」としながら「正規教員の配置は困難」、また、少人数学級の実現は国・県に要請するとの立場に止まりました。高校奨学金、定時制高校の拡充についても質問。
障害者施策ー低所得1,2の方の利用料・給食費・医療費を無料に
国は支援法を応能負担へ法改正する方向だが、改正を待つことなく、福祉の増進に努める自治体として障害者福祉の原点に立ち、低所得1,2の方の利用料や給食費、医療費を無料にするよう要求。
国の報酬単価5,1%引上げによる事業所などへの影響について、また、障害者福祉施設の人材確保についてもただしました。
中部地域療育センターの指定管理者制度導入
地域療育センターは児童の発達保障、地域支援を担い、相談総数も増加を続けてきたが、ケースワーカーなどの専門職種の増員がはかられず、通園療育が週1回、週2~3回となっている事実、また、常勤医師の確保がされず医師の診断をうけるのも半年待ち、中には1年待ちという事態になっていたと指摘。
全市的な機能を持つ【仮称】中央療育センター内に再編されるにあたって、引き続きスーパーバイザー的機能として関係機関との連携と調整、専門的な支援は公的機関の役割として位置づけ、直営でおこなうよう求めました。

2009,03,06, Friday1C高齢者の福祉・医療について 

高齢者の福祉・医療について
第1号被保険者の新しい介護保険料は据え置かれることになったが、準備基金を全部取り崩し、値下げすること、保険料・利用料の減免の拡充を要求。
特別養護老人ホームの整備について
5,000人もの待機者がいるのに、09年度の開所はわずか1ヵ所、これも07年度の計画がようやく実現されることになったもので、2010年度には4か所の開所が予定されているが、本当に大丈夫かただしました。
また、介護施設などでの実効性のある人材確保策も要求しました。
新介護認定に関してー市が独自の上乗せを
国の認定基準の軽度化によって必要なサービスを受けられない、受ける場合には全額自己負担となり、大変な負担額になることが予想されると指摘。
東京都渋谷区や盛岡市のように、市独自事業の拡大をおこなうよう求めました。
後期高齢者医療制度について
後期高齢者の保険料滞納が増えている事実を指摘。1年以上の滞納者は資格証明書の発行対象となるが、命と健康を脅かす事態を引き起こす資格証明書の発行はやめるよう求めました。
コミュニティ交通について
市内8か所でコミュニティー交通の協議会がたちあげられ、自治会運営の輸送事業やバスの路線新設や延伸に向けた取り組みが行われているが、採算性が障害となり、協議が進まない事実を指摘。市民の足の確保は行政の重要な役割であり、運営費への支援を行うよう求めました。
防災対策について
新年度予算では、旧耐震基準の木造住宅の耐震改修について、制度利用者が倍増しているのに6,600万円余と昨年度並みの予算だと指摘耐震診断を行った件数に比べて、耐震改修に至るケースが10分の1にとどまっていると指摘。
約4万戸といわれる旧耐震基準建物の既存不適格解消という点から見てもあまりにもテンポが遅れていると批判。抜本的な対策強化を要求。
町内会自治会館の耐震診断士を派遣する事業が新たに盛り込まれたが、耐震改修工事費に対して助成制度の創設を要求したのに対し、市民・こども局長から、「制度創設に向け、関係局と調整していく」との答弁がありました。
入札制度について
ダンピング防止対策として、低入札価格調査基準を見直すことが極めて重要だとしたうえで、さいたま市では1月から調査基準価格と失格基準を改正したことを紹介。
本市でも、行政の責任で公共工事の質を担保するとりくみとして参考にして改善をはかるよう求めました。
多摩川連絡道路について
東京都大田区議会の2008年第1回定例会で、松原区長が「神奈川口構想による多摩川連絡道路は羽田空港跡地の利活用にとって多大な影響を及ばすものであり大変大きな阻害要因と認識しております」と答弁していることを紹介。
大田区側の態度は明瞭であり、計画を見直すよう要求しました。
(以上)


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