9月12日の川崎市議会本会議で、渡辺学副団長が代表質問を行い、2023年度決算についてなど質問しました。
渡辺議員は決算の特徴について、一般会計の実質収支額がプラス44億円にもなったのに、社会保障費と福祉予算は政令市の平均を下回っていると指摘し、不要不急の大規模事業を中止・凍結して市民の福祉、暮らしに予算をまわすべきと求めました。
また、コロナ禍の保育園登園自粛要請に応じて市が認める特別休暇を申請していた市立中学に勤務する教員が、生徒の短時間の登校に立ち会うために子どもを短時間だけ保育所に預けて勤務したことで「特別休暇を不正に取得した」として教育委員会が28万円の返還を求めるなどの処分を行ったことについて、前理事長が法人の金を私的に流用していた社会福祉法人・母子育成会の問題についてなど質問しました。
代表質問(初回)の全文は以下の通りです。
日本共産党代表質問
日本共産党 渡辺 学
私は、日本共産党を代表して2024年第3回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。
2023年度決算の特徴についてです。
2023年度一般会計決算では、歳入総額が、8632億円、歳出総額が8526億円となり、実質収支額はプラス44億円となりました。市税収入は、97億円増の3879億円で過去最高となり、これは個人市民税が所得の増加により50億円の増、固定資産税が23億円増、法人市民税も企業収益の増により14億円増などによるものです。財政力指数は、政令市で唯一、1を超え、基準財政収入額が需要額を上回っており、政令市トップを続けています。そのため政令市で唯一の普通交付税の不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも13万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市は、政令市で平均年齢が最も若く、生産年齢人口割合が最も大きい都市で、人口推計でも今後6年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後6年続くと予想されます。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。
収支フレームについてです。
23年度予算では120億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では44億円のプラスとなりました。収支不足をなんと160億円以上も過大に試算していました。わが党は、予算、決算議会で何度も収支不足額が過大であると主張してきましたが、またその通りになりました。23年度の収支不足額ついて、なぜ、これだけの誤差が生じたのか、伺います。誤差の原因は収支フレームにあります。収支フレームでは、206億円の収支不足が出るとしていましたので、決算との誤差は250億円にもなります。今後もこの収支フレームに沿って予算を立てれば、過大な収支不足額のために必要な予算が取れなくなります。これだけの誤差が出ている収支フレームは、実態に沿ったものに見直すべきです、市長に伺います。
減債基金についてです。
23年度予算では減債基金から120億円借入れる予定でしたが、決算では収支不足が出なかったために借入はゼロとなりました。減債基金残高は、一般会計分でみると積立額445億円、取崩額211億円で2766億円となり、一人当たりの残高は政令市平均の1.6倍にもなります。政令市の減債基金残高は、取崩額の平均4年分ですが、本市の場合は9年分にもなります。減債基金からの借入が517億円ありますが、それを差し引いた実質残高は2249億円ですが、取崩額4年分を差し引いても約1000億円も多く、他都市と比べて、極めて多い残高となっています。今後5年間、積み増しをして2028年度には、600億円増の3367億円となり、年間の市税収入に匹敵する額になります。
物価高騰などで市民生活・中小企業の経営が大変になっていますが、市のこれに対する独自支出は、わずかです。物価高騰の中で財政支援が必要な時だからこそ、減債基金の積立額を減らして市民生活・中小企業支援に回すべきです、市長に伺います。
社会保障と臨海部の大規模事業についてです。
社会保障費である扶助費については、微増で一人当たりの扶助費の額は、引き続き政令市の平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約2万円低い状況です。一方、臨海部の大規模事業には、臨港道路東扇島水江町線整備58億円、コンテナターミナル整備事業21億円、東扇島堀込部土地造成事業など不要不急の事業に約90億円が支出されています。不要不急の大規模事業は中止、凍結して市民の福祉・くらしのほうに予算を振り向けるべきです市長に伺います。
社会福祉法人 母子育成会についてです。
当該法人の前理事長が法人の金を私的に流用していた問題では、告訴状が受理され捜査が始まっているとのことです。問題は毎年監査をしていながらそれを見抜けなかった本市の対応です。
全国の社会福祉法人の財務諸表は独立行政法人福祉医療機構が公開している一覧から、誰でも見ることができます。当該法人の決算を見ると、福祉事業の経費の出入りである事業活動資金収支差額は2018年度から毎年マイナスになっており、2022年度は最悪の2億9千万円の赤字です。流動負債に対する流動資産の割合である流動比率は、200%が望ましく100%未満であれば短期支払い能力が不足すると言われていますが2020年度は55%にまで下がっており、22年度は86%です。まともに経営できていなかったことは、これらの指標で明らかです。この重大な経営状況に対し、本市はいかなる指摘を行ったのか、具体的にただすことは行ったのか、伺います。
災害対策についてです。
風水害についてです。
この夏は全国的に未曽有の風水害に見舞われ、本市においても8月15日には台風7号の接近により、8月30日には台風10号の影響により災害警戒本部が設置されました。
8月15日の際には、午後6時30分に「警戒レベル3」「高齢者等避難」が発令され、市内177カ所に避難所を開設。翌日午後6時過ぎの閉鎖までに37箇所83人が避難されました。この日は結果として災害は起こりませんでしたが、明るいうちに高齢者等避難を発令したことはたいへん良い判断だったと考えます。しかし、「高齢者等避難」といいながら該当する高齢者に避難すべきという情報が届いていたのかが問われています。ある避難所には8人が避難されましたが、そのうち高齢者は1人で、あとは若い子ども連れの世帯でした。20代の女性が一人避難された避難所もありました。高齢者等避難の情報はどのような媒体で流したのか伺います。8月30日には改善されたのか伺います。
避難所の環境についてです。
今回は夏休み中や金曜日で冷房施設のある教室を開放することができましたが、授業中の場合は体育館にするのか伺います。風水害の避難所は1泊が前提となっていますが、それでも教室の床にじかに寝なければならず、私たちが実際にうかがった人たちはすべて、とても寝られなかったと言っていました。高齢者を先に避難させても体調を崩したら元も子もありません。エアマットなど、備蓄物資を風水害時も利用できるようにするべきと思いますが、伺います。
2022年の9月議会で我が党は「がけ地近接等危険住宅移転事業」という事業を行うことを提案しました。土砂災害特別警戒区域の斜面の下に住んでいる方は移転を促されていますが、支援しなければ無理な場合が多いため、国が制度を作り、県と市町村が協調して行うというものです。このたび、神奈川県はこの制度を創設しました。本市が制度を作れば補助が受けられることになります。対応について伺います。
震災対策についてです。
能登半島地震から9カ月がたつというのに、いまだにがれきの片付けも2割も終わらないという事態に、本当に深刻さを感じます。一つ一つの震災から教訓を真剣に学び、同じことを繰り返さないという決意が必要です。その一つとして、被災した道路をいかに早くきりひらき救助に向かうかという「道路啓開」が重要です。国土交通省は災害時の「道路啓開計画」を道路管理者が策定することを求めていますが、石川県ではこれがなかったことが復旧を遅らせたと問題になっています。道路啓開計画は主要な道路を指定するだけでなく、人員・資機材の確保の手順、通信手段の確保、維持工事業者・災害協定会社との定期的な訓練の実施など、道路を切り開くあらゆる手立てをとるものです。本市にはまだ道路啓開計画がありませんがどうするのか伺います。
子育て支援についてです。
小児医療費助成制度についてです。
川崎市子どもの権利に関する条例の第3条は、「市は、子どもの権利を尊重し、あらゆる施策を通じてその保障に努めるものとする。」と定めています。また第10条には、「子どもは、安心して生きることができる。そのためには、主として次に掲げる権利が保障されなければならない。」とあり、その (5)に「健康に配慮がなされ、適切な医療が提供され、及び成長にふさわしい生活ができること。」と挙げられています。しかし保護者から「物価高騰のなか、節約できるのは子どもの医療費だけ。足が痛いといわれても、我慢してもらっている」との声が寄せられているように、医療費の負担が重すぎて必要な医療が受けられない子どもがいるのです。小児医療費助成制度の一部負担金の撤廃と18歳までの対象拡充は、子どもの権利の保障に寄与すると考えますが、見解を伺います。
産後ケア事業についてです。
産後ケア事業は2020年の法改正で母子保健法上に市町村の努力義務として位置付けられました。母親の孤立や子どもへの虐待を防ぐ重要な役割を担っており、必要と感じた母親が躊躇なく利用できる制度でなければなりません。そこで、利用料金について伺います。
今年度から国庫補助金を活用して、5回目の利用まで2,500円減免する制度が始まりましたが、それでも川崎市の利用料は非常に高額です。例えば、隣接する町田市と比較すると、宿泊型では川崎市は1泊10,000円、町田市は1泊3,500円です。日帰り型では川崎市は90分で1,500円、町田市は5時間昼食付きで500円です。訪問型では川崎市は90分で2,500円、町田市は90分で0円です。また、県内の政令市で比べても、川崎市はすべての種類において一番高い料金設定になっています。
産後のストレスや孤立に追い詰められている母親がためらうことなく利用できるように、川崎市独自に利用料の引き下げを行うべきです、伺います。また、今年度から新たに母子が6時間滞在できるデイステイ型が新設されますが、利用料はいくらになるのか伺います。
次に、利用対象期間についてです。
母子保健法は産後ケア事業の対象者について「産後一年を経過しない女子及び乳児」としていますが、川崎市では産後4ヶ月までとなっています。厚生労働省の令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の調査によると、4ヶ月以降1歳未満の乳児を受け入れていると答えた自治体は日帰り型では61.4%、訪問型では85.5%と圧倒的多数となっています。川崎市も、対象期間を拡充するべきです、伺います。
事業者への委託料についてです。
現在、事業者へ支払っている宿泊型の委託料は1泊2日で6万円ですが、川崎市助産師会からはひとり受け入れるための人員配置などの経費は計12万8,500円で、約6万円もの赤字状態だと声が寄せられました。経費分を全額カバーできるよう、委託料を抜本的に引き上げるべきです、伺います。
教育をめぐる環境整備についてです。
特別休暇を不正取得したとする教職員への処分についてです。
教育委員会は新型コロナウイルス感染症対策に伴う保育所等の臨時休業や登園自粛要請により子ども等の世話を行う事由で特別休暇1号を取得した教職員26人について、不正な取得が認められたとして戒告、文書注意を行い、本来勤務できたのにそれを怠った「不参」として、給与、勤勉手当を減額し返納を求めました。
7月25日、文書注意を受けた教員が多額の返納を不当だと訴え、市人事委員会に措置要求を行うと報道がありました。記事によると、3日間、特別休暇を申請していたが、生徒が写真撮影などで1~2時間ほど登校するのに立ち会うため、出勤の必要が生じ、子どもを短時間保育に預けて勤務されました。しかしこの対応が、本来勤務すべきなのにしなかった「不参」と認定され28万円分の返納を求められています。いずれの日も管理職に了承を得て出勤、教員の方は「職務を全うしようと思い、保育園に頼み込んで子どもを預けて仕事に行った。久々の登園で何かあればすぐにお迎えに行ける状態にしたかった」と休暇のまま短時間勤務した理由を説明されています。なぜ勤務した教員に給与の返納を求めるのか伺います。
この処分理由について教育委員会は、公務に対する信用を著しく失墜させ、全体の奉仕者としてふさわしくない非行と認められるとしていますが、子ども達の為にと献身的に職務を全うしようとした教職員のどこが「信用を失墜させた非行」なのか伺います。
不参についてです。不参とは一般的な無断欠勤に近い取り扱いとなりますが、その適用要件は、川崎市教育委員会職員服務規程、第13条の3に「無届若しくは勤務命令に反し」としています。当該教員は、特別休暇の届けを出しており、管理職からの了承を得ています。これでなぜ、不参が適用されるのか伺います。
議案第136号 令和6年度川崎市一般会計補正予算(9月補正その2)のうち、学校給食物資購入費についてです。
食材費の高騰に対し、5億6千万円余を財政調整基金から学校給食物資購入費に繰り入れし、給食の質を維持するものとのことですが、すでに食材高騰の影響は子ども達の献立に及んでおり、昨年7月に提供していた、すいか、フルーツ白玉、飲むヨーグルト、冷凍みかん等のデザートが今年7月の給食から無くなっています。先の定例会の代表質問で求めた、速やかな給食食材費への財政措置は当然の対応です。今まで教育委員会は市民からの学校給食無償化の要望に対し「給食法に基づき食材費は保護者負担」という答弁を繰り返してきましたが、初めて食材費に市費を投入しました。食材費に市費を活用することは可能ということですね、伺います。
議案第133号 川崎市中原市民館の指定管理者の指定について及び議案第134号 川崎市高津市民館、川崎市高津市民館橘分館及び川崎市立高津図書館橘分館の指定管理者の指定についてです。
中原市民館には「なかはらフューチャーデザインパートナーズ」が、高津市民館、橘分館、高津図書館橘分館には「たかつ・未来共創パートナーズ」が提案されました。私たちは市民の社会教育施設に専門性、継続性、市民参画の観点から指定管理者制度はなじまないこと、非正規雇用を加速させる人件費を主とした経費縮減はあってはならないと繰り返し指摘してきましたが、この指定によってどれほどの経費縮減が見込まれるのか伺います
障がい者施策についてです。
障害者差別解消法により、今年4月から行政機関だけでなく民間事業者についても、障がい者への合理的配慮が義務化されています。「合理的配慮」とはなにか、ということがなかなか理解されず、実際にはどうしていいのかわからないという事業者の声を聴きます。また配慮には「過重な負担にならない範囲で」という但し書きが付くため「声を出しても変わらないのでは」という障がい者の声もあります。本市では市職員向けには「合理的配慮の提供のサポートブック」が昨年改訂され、丁寧に合理的配慮についての考え方や障害種別に困りごととその対応策の事例が掲載されています。こうしたサポートブックを事業者向けに作成し、合理的配慮を行う事業者を広げるべきですが伺います。また、実際に合理的配慮を行っている事業者を把握し紹介すべきですが伺います。神戸市では「障害を理由とする差別に関する窓口」を独自に設置し、専任の職員をつけ解決するまで手伝う仕組みを作っています。これは行政機関への相談だけでなく、民間事業者との話し合いや助言も行っています。ちょっとした不便も社会的にとらえ、解決していく市の姿勢が必要です。本市においてもこうした相談窓口を作るべきですが、伺います。
障がい者の計画相談支援体制についてです。
障がい福祉サービスを利用するには、計画相談支援事業者が作成した「サービス等利用計画」の提出が必要です。住み慣れた地域の様々なサービス資源を使って自立した生活を送れるようにするためです。
しかし、昨年度の「サービス等利用計画」作成数のうち、計画相談支援事業者が作成したプランは約2900人にすぎず、約5200人の方は利用者本人や親が作成するセルフプランとなっています。障がいを持つ方の親御さんから「親がいなくなった後、この子のセルフプランは誰が書いて役所に出してくれるのか、とても心配です。」と切実な声が届いています。
本市の障がいのある方が全員、計画相談支援を受けられるようにするためには、指定特定相談支援事業所と相談支援専門員の抜本的な拡充が必要です。国の報酬単価が低いため、事業所に対する加算として計画相談支援体制安定化事業費補助金がついていますが、1事業所当たりの計画相談支援契約件数などの条件があるため、受けられる事業所が限られています。条件を緩和し、どの事業所も受けられるようにすべきです。伺います。
また、計画策定1件当たりの加算として計画相談支援体制強化費を実施していますが、加算対象のサービスを訪問系に限っているため、2023年度は計画相談支援利用者のうち26%にしか適用されていません。訪問系サービスに限定せず、すべての計画策定に加算を行うべきです。伺います。
人権にかかわる施策についてです。
ヘイトスピーチ根絶に向けた取り組みについてです。
インターネット上のヘイトスピーチについて本市は2023年度、特定地区の在日コリアン住民に対し殺害や危害告知について「訴訟手続などの利用が困難だと考えられることや、当該地区の居住の平穏を保護し、地域社会に深刻な亀裂を生じさせないよう、市が職権により削除要請を行う」との判断で、初めてヘイトスピーチとして認定をし削除要請を行いました。
7月も、特定地区に対し殺害につながるような危害行為を告知する悪質な投稿を諮問しました。2021年在日コリアンが集住する京都・ウトロ地区ではネットのデマを信じた人物が放火する事件が発生しました。本市は運営企業への削除要請のみならずヘイトクライムを扇動するような危険な投稿を未然に防止する対策が必要です。対応について伺います。
3月議会では市長に対し、このような投稿は命を脅かす危険性を持つため、迅速で積極的な発言や発信が必要だと求めたところ「断じて許されない」「あらゆる機会を通じて発信する」と答弁されました。悪質な投稿はよりエスカレートして深刻さを増しています。市長は毅然とした対応をとるべきですが対応について市長に伺います。
3月議会で、市職員が現状をできるだけ正確に検証するために被害者や本邦外出身者に対する不当な差別的言動問題の専門家から研修を行うよう求めたところ実施していくとの答弁でした。今年度はどのような研修を行っているのか、どれくらいの職員が研修を受けているのか伺います。
痴漢被害ゼロに向けた対策についてです。
わが党は「痴漢被害にあうのが怖く、通学で電車に乗りたくない」との中学生の声などを紹介し国の痴漢撲滅政策パッケージの具体化を求めてきました。
昨年度から行っている局横断的な協議は、どの部署がどのような視点から調整を行っているのか、また12月議会の答弁以降の昨年度の取り組みと今年度の取り組みついて伺います。東京都では痴漢撲滅政策パッケージをうけ2023年度から予算を計上し関係各局によるプロジェクトチームを設置しキャンペーンイベントなどスピード感を持って様々な取り組みに着手しています。撲滅に向け本気で取り組むには東京都のように本市でも局横断の正式な体制作りが必要です。伺います。
国や東京都は、被害の実態やその傾向を調査し、有識者会議なども開催し被害をなくすための具体的な対策を講じることを目的とした痴漢被害実態調査をおこないました。本市でもWEBアンケートなどを通じ、実態をつかむべきではないでしょうか。伺います。
高齢者施策についてです。
高齢難聴者の補聴器購入助成についてです。
難聴により他者とのコミュニケーションが取りづらく会話がうまくつながらなくなる事から、社会参加がしづらく閉じこもり、うつの発症などで生活の質の著しい低下させる点を指摘し、繰り返し補聴器購入助成制度を求めてきました。
全国の自治体では、補聴器助成制度が急速に拡大し、直近4年間で245自治体が制度を創設し今年5月末までに全国で286自治体となっています。相模原市の介護予防促進事業として高齢者補聴器購入費助成をはじめ、県内では6市町村で助成制度を創設しています。本市でも耳の聞こえの悪さからくる日常生活の質の低下を予防するため、高齢難聴者の補聴器購入助成制度を創設すべきです、伺います。
高齢者・低所得者世帯のエアコン購入設置費用助成についてです。
今年の夏も本市でも熱中症警戒アラートが連日発表されるなど災害級の猛暑が続いています。気象庁は10月まで高温傾向が続き、残暑が長引く模様として熱中症に注意を呼びかけています。本市の救急搬送者は7月386人、8月246人と2カ月で632人と6月44名から激増しています。この内、屋内での発生は7・8月の合計が252人で約4割に上ります。年齢区分では高齢者が半数を占めています。熱中症対策として室内等のエアコン等により涼しい環境にて過ごすよう注意喚起されていますが、経済的な理由で自宅にエアコンがない、又は故障により使用できるエアコンがない等の世帯も少なくありません。高齢者・低所得者世帯への緊急な対応が必要です。全国、県内でも熱中症発症を予防のために、エアコン購入設置の助成を行っている自治体が拡がっています。港区ではこうした状況にある65歳以上のひとり暮らし世帯、又は65歳以上の高齢者のみの世帯、又は高齢者と障がい者のみの世帯の住民税非課税世帯にエアコン購入設置の費用を助成しています。私達は8月8日、市長に「深刻な猛暑から市民の命とくらしを守るための緊急申し入れ」を行いました。緊急申し入れでも要望しましたが、本市でも高齢者・障がい者・低所得世帯、ひとり親世帯等を対象としたエアコンの購入設置・修理・買替の費用に対する補助制度を創設すべきです、伺います。
介護職の処遇改善についてです。
6月議会で4月からの介護報酬の引き下げに伴い介護訪問員、介護支援専門員の賃金引き上げをする本市独自の財政支援を求めたところ、国は介護報酬等の制度設計、県は職場環境の整備、川崎市は人材の呼び込みや定着支援などについて役割分担を行いながら取り組んでいるとの答弁でした。2022年度川崎市高齢者実態調査事業者従事者アンケート報告書では8割の事業所が、採用が困難なため訪問介護員など従業員が不足していると答え、その原因として「賃金が低い」が5割を超え最も高くなっています。千葉県流山市は介護職員、介護支援専門員等に事業所からの給与とは別に月額9000円の独自補助を行っています。「介護人材の確保は大変重要だと認識している」と本市は答弁しています。介護職の方が他都市に流出しないためにも、国に要望するのみでなく賃金引き上げにつながる市独自支援に足を踏み出すべきです、伺います。
新型コロナ感染症の治療薬の負担軽減についてです。
新型コロナ感染症が「5類」になり、4月からは公費負担が全てなくなりました。保険診療、3割負担で治療薬は処方する薬で異なりますが2万から3万円と高額な自己負担になります。東京都医師会長が現実に高額な自己負担によって受診抑制が発生していると記者会見で述べた通り、市内医療機関では発熱などの感染が疑われる場合でも、実際、受診を躊躇し、症状が長引いている状態で受診される方も少なくないことや、治療薬があるのに、高額で治療薬が使えない、選択できない、という人もいるとのことです。命と健康を守るため、高額な負担なく、必要な医療が受けられる支援が必要です。新型コロナウイルス感染症の流行による医療逼迫や医療崩壊を防ぐためにも本市独自の新型コロナ治療薬への助成を行い、自己負担額軽減を図るべきです、伺います。
都市農業を守る取り組みについてです。
農業用資材や燃料費の高騰が農業経営を圧迫しています。ハウス栽培と果樹園を営む農家を訪ね、お話を伺いました。トマト栽培をするハウスでは、冬、ハウス内の温度を9度から20度に保つ必要があり、燃料費もかかります。また、土にかえる植物性ポットは3倍にもなるなど、資材も肥料も高騰しています。物価高騰に悩む農家に対し補助すべきと思いますが、伺います。
災害時の作物被害は農家にとって大きな打撃です。作物被害には、農業共済や収入保険があります。しかし、これらに対する市の支援はありません。埼玉県熊谷市や春日部市などでは、収入保険の保険料補助を行っています。本市でも補助すべきですが、伺います。
市内の農作物を自校献立など学校給食に使用することについてです。
学校給食に市内農産物を使用する意義について、教育次長は「小学校給食において市内産農産物を使用することは、子どもたちへの地産地消への理解につながるなどの意義があるもの」と答弁されていますが、市内産農作物が学校給食で使用された事例は、まだまだ少ないのが実態です。この取り組みには自校献立が有効ですが、2022年度の実施校は26校、23年度の28校と、実施校は、まだ部分的です。とりわけ、川崎区では昨年度の実施校はありませんでした。川崎区を含め、希望するすべての学校で自校献立に取り組めるようにすべきです。教育次長に伺います。
また経済労働局長は「市内農産物の利用を希望する小学校については、各学校の事情に合わせて、関係局やJAセレサなどとともに実施可能性について検討してゆく」と答弁していますが、検討状況を経済労働局長に伺います。小平市のように、いったんJAが農家から仕入れ、それを学校に届ける。それに係る人件費や燃料代は、市の予算から支給仕組みを提案しましたが、合わせて検討状況を伺います。
食材の安心・安全についてです。「国産食材」にこだわり、安心・安全な給食の提供は、本市学校給食の基本姿勢です。世田谷区では、「安全・安心の給食提供を行うため、可能な範囲で化学肥料及び農薬の使用が少ない食材や有機農作物を購入する」こととしているとのことです。本市も世田谷区と同様な取り組みを検討すべきですが、伺います。
JFEスチール株式会社高炉休止後の雇用と下請関連業者への継続した支援についてです。
JFEスチールは高炉休止発表の際に社員や下請関連事業者とその従業員に対し誠意をもって対応すると発言しています。全ての責任はJFEスチールにあります。養生作業が終わるとしている1年を迎え、社員1200名、関連下請従業員約2000人の就労や再就職の状況、下請関連事業者183社の実態をJFEスチールから報告させるべきです。これまで「JFEスチールに要請をする」との答弁でしたが、本市はいつどのような要請をし、それに対してJFEスチールからはどのような回答があったのか伺います。
下請関連事業者の業務継続と雇用の維持についてです。過去の答弁では高炉休止後約1年間、設備等の養生作業が継続されるとのことでした。養生作業はいつ終了になるのか伺います。また、JFEプラントエンジ株式会社が臨海部立地企業からメンテナンス作業を受注できるようし、最大600名程度の雇用の維持を目指しているとの答弁がありました。どれくらいの下請関連事業者に対して発注をしており、何名の雇用につながっているのか伺います。
関連下請け事業者へおこなった実態調査は高炉休止前の昨年の6月が最後でした。休止後の状況を把握し支援策を立てるうえでもアンケート調査をすべきです。伺います。広島県呉市は高炉を休止した日本製鉄株式会社の下請関連事業者も対象にし、2020年から2022年まで経営基盤の安定や販路拡大などのチャレンジする事業者に補助限度額1000万円とした支援事業を行い、57社に対し交付しました。本市が行ってきたヒアリングでは資金にかかわる相談も寄せられています。市も呉市のように経営安定のための直接財政支援をすべきです。伺います。
議案第124号 工業用水道の見直しに伴う関係条例の整備に関する条例の制定についてです。
今回の改定が水道事業に与える影響についてです。この改定により、水道事業は減収となりますが、その額について伺います。そもそも、今度の改定は、「水需要の減少及び使用水量と責任消費水量の乖離といった課題への対応」のため行われるとのことですが、工業用水道の責任消費水量は、1969年の神奈川県内広域水道企業団設立時に、臨海部の大企業から強い要請があり、わざわざ上乗せし契約したもので、水道事業から企業団にその料金を払い続けている経過があります。その経過からしても、工業用水の水道料金の引き下げが水道事業の一般家庭などへの水道料金値上げをもたらすようなことはあってはならないと思いますが、伺います。
臨海部の脱炭素戦略についてです。
昨年、2023年は観測史上で最も暑い年になりました。世界気象機関は、今年1月、23年の世界の平均気温は、産業革命前に比べて1・45度上昇したと発表しました。気候変動抑制に関する国際的協定――「パリ協定」では1・5度未満に抑えることを「目指す」と取り決めていますが、すでにその寸前まできているのです。
科学者たちが一番警戒していることの一つは、パリ協定の1.5度という転換点、ティッピング・ポイントを超えると、地球全体の環境が急激に、かつ大規模に、不可逆的な変化におちいり、人間の力ではコントロールできなくなってしまうことです。もうすでにグリーンランドの氷床融解はすごい勢いで加速しており、地球全体の海洋循環が止まる危険性や、北方永久凍土の急速融解がはじまり、メタンガスが大量に噴き出す危険も迫っています。こういう気候危機がそこまで迫っているという認識はあるのか、市長に伺います。
この危機を回避するために、世界的には、2030年までにCO2排出量を半分にすることが急務であり、国際エネルギー機関やG7は、CO2排出量の4割を占める電力部門の排出量を35年までにゼロにすることが喫緊の課題だとしているのです。この課題に対して川崎市は、オーストラリアで石炭から水素を作り輸入する水素サプライチェーンを作り、臨海部で天然ガスに水素を混ぜて発電する水素発電を想定し、29年度には液化水素が運び込まれるとしています。しかし、この水素発電は、CO2を回収・貯蔵するCCS技術や水素製造・冷却・運搬の技術、水素の混焼・専焼の技術などは未確立で成功するかどうかもわかりません。すべて成功したとしても発電コストが火力の2倍のエネルギーを海外からの輸入に頼ることは、エネルギー安全保障の面から言っても無謀です。いったいどういう根拠で、これらの問題を解決できるというのか、伺います。これから実証実験をするような未確立な技術で発電部門のCO2ゼロを35年までに達成できると考えているのか、伺います。
以上で質問を終わります。