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「現行の健康保険証の廃止を中止することを求める意見書(案)」(日本共産党提案)

政府は、本年12月2日に現行の健康保険証を廃止し、取得自体が任意とされているマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた、いわゆるマイナ保険証に一本化することを閣議決定した。

しかし、昨年から、マイナンバーカードに他人の情報が誤ってひも付けされるなどの問題が相次ぎ、健康保険証情報以外のひも付けの誤りは、昨年12月時点で障害者手帳情報が5,689件、公金受取口座情報が1,186件となるなど、国民生活の幅広い分野で混乱を招いたところである。

そうしたこともあり、マイナ保険証の利用率は低迷を続けており、昨年4月の6.30%から8か月連続で減少し、その後は微増に転じたものの、本年5月14日に厚生労働省が公表した本年4月時点の利用率は6.56%にとどまっているほか、政策の推進側である国家公務員とその家族の利用率でさえ、本年3月時点で5.73%、組合別では最高でも総務省が10.31%、最低の防衛省は3.54%となっている。

そもそも、巨額の予算と人手を掛けて多くの欠陥があるマイナ保険証に一本化して、誰でも医療が受けられる権利を保障する国民皆保険制度の根幹をなす現行の健康保険証の廃止を強行すれば、今以上に混乱が広がり、国民皆保険制度を揺るがすことは明らかであり、現行の健康保険証の廃止を行う理由はどこにもない。

昨年6月に実施された報道機関の全国電話世論調査では、現在の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化する政府方針に関し、延期や撤回を求める声が計72.1%に上っており、こうした民意を無視して健康保険証の廃止を強行することは、断じて許されない。

現行の健康保険証廃止に対する反対の世論が高まる中、存続を求める意見書などを可決した自治体は、全国27都道府県110議会を超えており、この点からも、多くの国民や自治体が現行の健康保険証の存続を求めていることは明白である。

よって、国におかれては、誰でも医療が受けられる権利を保障する国民皆保険制度を維持するため、現行の健康保険証の廃止を中止することを強く要望するものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


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