市政と市民のくらしを結ぶ
トピックス

「不要不急の大規模事業はやめ、防災対策など市民に還元を」2024年度第1回定例会3月議会で代表質問を行いました。

2月28日の川崎市議会本会議で、日本共産党は宗田裕之団長が代表質問を行い、防災対策について、2024年度予算についてなど質問しました。

 IMG_0448宗田団長は、市税収入は過去最大、財政力はトップなのに、社会保障費は平均以下、子ども医療費などは県内最低、特養ホームは一切新設せず、防災についても住宅の耐震補強などには応えない冷たい予算となっている。一方で、臨海部の一企業の撤退による跡地利用、不要不急の大規模事業には2000億円も支出するなど、市民にとって、きわめて不公平な予算となっていると市長に迫りました。

 わが党が提案しているように、政令市トップの財政力を使い、他都市の1.6倍もある減債基金への積立金を減らして市民のために使えば、日本トップクラスの福祉施策が実現できる。また、臨海部のJFE跡地は、水素戦略ではなく、太陽光発電を中心にして、再エネ、省エネの企業を誘致し、再エネ・省エネの生産・供給拠点にすれば、日本の大都市として初めて、再生可能エネルギーでの自給自足を実現するモデル都市となる。川崎市は大きな可能性を持っていることを指摘しました。代表質問(初回)の全文は以下の通りです。




日本共産党代表質問

日本共産党 宗 田 裕 之 

  私は、日本共産党を代表して2024年第1回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

能登半島地震では、2月22日現在、241人の方の命が失われ、7万6千を超える住宅が被害を受けるなど甚大な被害となっています。亡くなられた方に心から哀悼の意を表するともに、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興へわが党も全力を挙げる決意を申し上げ、質問を行います。

   はじめに、焦眉の課題である防災対策について伺います。

各地で頻発している震災から教訓を学び、同じ悲劇を繰り返さないことが必要です。

避難所の設置基準についてです

   とりわけ、避難所について、体育館にいつまでも雑魚寝させられ「戦前の避難所と同じだ」という声も上がる事態の改善が強く求められます。

 避難所は、海外では「スフィア基準」がスタンダードになっています。被災者が環境の悪い中で生活することは人道的問題という観点で、一人当たりの面積は最低3・5平方メートル、およそ一坪であるとか、トイレは20人にひとつ、男女比は1対3などとしています。しかし日本では内閣府がようやく2016年改定の避難所運営ガイドラインで「今後参考とすべき基準」と紹介していますが、災害関連死を生まないためにも、直ちにこの基準にかえていく必要があります。この基準にするには、地域防災計画で避難所を学校に限定していては圧倒的に足りません。スフィア基準で整備することを明確にし、地域防災計画を見直して、避難所と備蓄物資を整備すべきですが、市長に伺います。

1次避難所における障がい者対策についてです

 能登半島地震を目の当たりにして、障がい者の皆さんの不安が募っています。障がい者団体から最も出されるのは、避難所での対応です。今回の能登半島地震の教訓では福祉避難所がなかなか開設されず、1次避難所にいる期間がかなり長くなっています。まず1次避難所において障がい者の特性に合わせた準備を行って、障がい者の命と人権を守らなければなりません。コロナの際には、詳細なマニュアルを作り体調に合わせた部屋割りを行いましたが、それを活用して教室を利用した障がい種別の避難スペースを作るべきですが、伺います。

要援護者対策を盛り込んだ避難所運営マニュアルについてです

    障がい者や高齢者など要援護者の対応をするにも、事前に準備し訓練しなければ、いきなり対応することはできません。避難所運営会議に、要支援者や福祉施設の事業者など関係者を入れること、避難所開設訓練や防災訓練の際に、その地域に住む要支援者などの参加を求め、対応を協議し、その内容を盛り込んだ避難所運営マニュアルを、どこの避難所でも整備すべきと思いますが、伺います。そのためには、繰り返しの訓練が必要です。すべての避難所で必要な訓練を行えるよう、区役所危機管理担当を抜本的に増やし、地域に入るべきです。伺います。

2次避難所についてです

 輪島市では福祉避難所として協定を結んでいた施設25か所のうち、施設が壊れていたり、職員も被災して人手が足りないために実際に開設できたのは3か所とのことです。本市は2次避難所として協定を結んでいる施設のすべてが耐震対策は終わっているのか伺います。福祉施設の事業継続計画=BCPの作成に際し、2次避難所は要援護者の受け入れをすることも含まれているのか伺います。

住宅の耐震対策についてです

 建物と家具を倒さないことが最大の対策です。木造住宅耐震改修助成制度は家全体だけでなく、1階のみ耐震化にも助成されるようになり、家屋の診断だけを行う木造住宅耐震診断士派遣制度や、一部屋だけとかベッドだけ耐震化する耐震シェルター・防災ベッド設置助成制度などの制度がありますが、いずれも1981年5月以前の建物のみ、しかも鉄骨などが入っていないなど、条件が厳しく対象者は限られています。市民の中では「我が家は大丈夫なのか」という不安が広がっています。まず、耐震診断士派遣制度は条件を緩和し、だれでも受けられるようにするべきです。伺います。そのうえで、耐震補強が必要と分かった住宅に対し、混構造などでも利用できる補助制度を作ること、耐震シェルター、耐震ベッドは誰でも利用できるようにするべきです。伺います。家具転倒防止金具取付事業についても、高齢者のみ世帯などに限定しており条件が厳しすぎ、市民に浸透していません。すべての世帯を対象にするべきです。伺います。

防災ラジオについてです

 新規事業として災害時の情報伝達の新たな手段として防災ラジオを導入することになりました。2022年の第3回定例会でわが党はFM放送を使って、緊急時には自動で電源が入るラジオを市民に安価で提供すべきと求めてきましたが、それが実現します。来年度は防災ラジオはどこに設置されるのか伺います。今後、どのような世帯に普及していくのか伺います。

ジェンダーの視点にたった防災対策についてです

 2021年に内閣府は「災害対応力を強化する女性の視点」という防災・復興ガイドラインを策定しており、「防災・危機管理部局の職員の比率を庁内全体の職員の男女比率に近づけるよう努める」としています。本市の女性の職員の割合は43.7%ですが、危機管理本部の女性職員はわずか3人、比率は7.7%です。危機管理本部に女性職員を抜本的に増やすべきですが、伺います。区役所の危機管理担当には7区でわずか1人しか女性がいません。各区に女性を配置すべきですが伺います。

新年度予算の特徴について

 新年度一般会計予算の規模は、前年度比40億円増の8712億円で、市税収入は、前年度比43億円増の3854億円で3年連続、過去最大です。これは、法人市民税が17億円増、固定資産税11億円増などによるものです。個人市民税は前年度並みですが、これは国の定額減税の影響で、地方特例交付金で97億円補填されるため、本来の個人市民税は100億円増、市税収入は140億円の増となります。

財政力指数は、政令市トップで、新年度は普通交付税・不交付団体となる見込みです。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも13万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市の人口増加率、生産年齢人口割合ともに他の政令市と比較すると高く、人口推計でも今後6年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後6年間続くと予想されます。ふるさと納税による減収はありますが、このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。

収支についてです。

 新年度予算の収支は―157億円としています。しかし、21年度予算では286億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では60億円のプラス。22年度予算では239億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では19億円のプラスとなりました。コロナ過でも収支はプラスであり、コロナが明けて個人市民税、法人市民税などが増加を見込まれるときに、どうして新年度の収支は―157億円も出るのか、伺います。

減債基金についてです。

 減債基金残高は、一般会計分でみると積立額498億円、取崩額314億円で2955億円となり、一人当たりの残高は政令市平均の1.6倍にもなります。政令市の減債基金残高は、取崩額の平均4年分ですが、本市は約9年分にもなり、他都市と比べて極めて多い残高となっています。24年度の借入総額は804億円の見込みですが、減債基金の残高から差し引いた実質残高は約2151億円です。この金額は、取崩額の4年分という他政令市平均と比較すると約900億円も多いという状況です。現状でも他都市よりも多い900億円は市民の暮らしのために使うべきです、市長に伺います。

社会保障費についてです。

 この間、市長は社会保障費の増大を「財政が厳しい」理由の一つとして挙げてきました。社会保障費である扶助費は、前年度比87億円増ですが、これは児童手当や障害福祉サービスの増によるもので、どうしても必要な費用であり、増加した部分のほとんどは国や県からの補助から賄われます。扶助費の一般財源の比率である経常収支比率は22年度決算では19.2%にすぎず、この間、ほとんど変化はなく、扶助費は増えていません。しかも、一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約2万円低い状況です。扶助費が増えることを理由に「財政が厳しい」とするべきではないと思いますが、市長に伺います。

臨海部の大規模事業についてです。

 24年度予算の臨海部関連の予算についてですが、港湾費は一般会計、特別会計合わせて183億円、臨海部国際戦略本部の予算20億円が計上されています。この中には、臨港道路東扇島水江町線整備に37億円、コンテナターミナル整備事業に11億円、東扇島堀込部土地造成事業23億円、JFE撤退した跡地利用のための土地利用転換に5億円など臨海部の大規模事業に約91億円、補正も合わせると120億円が計上されています。中小企業などの予算と比べても臨海部の大規模事業には湯水のように使われています。

この中には市民にとって不要不急の事業も多数含まれています。特に臨港道路東扇島水江町線は、必要だとする根拠であったコンテナ取扱量は目標40万TEUの半分もいかず、事業費は当初の3倍、約1500億円にも跳ね上がっており、不要不急の事業となっています。このような市民にとって不要不急の大規模事業は中止・凍結をして、今一番必要な防災の予算に振り向けるべきです、市長に伺います。

子育て支援策について

小児医療費助成制度についてです。

 これまで、政令市に対する神奈川県の事業費補助率は1/4と、一般市の1/3に比べて低く設定されており、本市は従来から「不公平で市民の理解が得られない」と改善を求めてきました。来年度から、この格差が是正されることになり、本市も補助率1/3に上がる見込みですが、それに伴い、本市の小児医療費助成制度も一般市と同等の水準に引き上げなければ、それこそ市民の理解は得られません。現行で補助率1/3の一般市は29ありますが、うち26が一部負担金なしで18歳まですべての子どもを対象に完全無料にしています。残り3市は中学卒業までとなっていますが、一部負担金はありません。川崎市もこれらの自治体と同様に、18歳まで一部負担金なしで完全無料にすべきではないですか、伺います。

議案第58号 令和5年度川崎市一般会計補正予算(3月補正その2)のうち、こども誰でも通園制度事業費についてです。

 こども誰でも通園制度は、「こども未来戦略方針」において、「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えている子育て世帯への支援、並びに全ての子育て家庭に対して、こどもの良質な成育環境を整備し、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での子育て支援を強化するとのことで、来年度から試行実施される制度です。本市は実施自治体として国に採択され、1億4135万円が保育所等への支援の為に計上されています。

 対象児童は0歳6か月から2歳の未就園児、利用料金は1時間300円、利用時間上限は月10時間、保育所等の定員と関わりなく受け入れる形で市内保育園事業者に公募を行うとのことです。全国的に保育中の死亡事故は0、1歳児が全体の8割を占め、30%が預け始めの1週間に集中しているのが実態です。

 昨年12月、世田谷区の認可外保育施設で園児がなくなった事例では、危険性の高い時間帯に保育資格のない職員が世話をするなどが明らかになり、安全配慮意識が極めて低いと改善指導がされていますが、こうした事態が繰り返されるのではないかと懸念されます。各保育園が確実に保育士を配置し、安全に保育を行うことができる体制づくりへの支援が必要です。しかし、国からの補助は子ども一人につき1時間850円のみとのことです。これでは保育士を増やせません。本市の対応を伺います。

 また、「孤立した育児」で不安を抱える保護者への支援で重要なことは、保護者との相互理解を図ることが保育指針で示されています。月10時間という短い時間で、保育士と保護者が相互理解を深め、「孤立した育児」支援ができると考えているのか、見解を伺います。

虐待等の疑いがある場合等、要支援家庭への対応、児童相談所等との連携、情報共有体制はどのように取り組んでいくのか伺います。

教育をめぐる環境整備について

学校給食の無償化についてです。

 近隣自治体の状況ですが、東京都では23区全域と府中市など8の市町村で給食無償化が実現しています。神奈川県内でも、今年度は8市町村が通年あるいは数か月間無償とし、来年度はさらに3自治体が実施を予定するなど、広がりをみせています。

 昨年11月の文教委員会では、教育次長から学校給食食材費の保護者負担について「いつまでもこのかたちでいいのかというのは他自治体の動向や国の検討状況を踏まえながら関係局とも協議し取り組みを進めたい」という趣旨の発言がありました。一体いつまで給食費を保護者負担にするつもりなのか、国が踏み切るまでやらないという方向なのか伺います。

不登校対策の推進についてです。

 本市の直近2022年度調査結果では、小学生1144人、中学生1672人、合わせて2816人の児童生徒が不登校となっています。小学生で千人を超えるのは初めてで、小中学生ともに年々増加しており、早急な対応が求められています。

 不登校対策の推進として2441万円の予算が拡充されました。これは2021年度から行っていた不登校傾向のある児童生徒が教室以外の場で学習等を行う別室指導の体制の充実にむけたモデル実施を小・中学校8校で実施するため、との事です。私たちは人員の配置をこれまで求めてきましたが、初めて予算がつきました。

 モデル実施事業では、別室指導にあたる支援スタッフは、会計年度任用職員、事業者、ボランティアなど、複数のパターンを考えている、正規職員ではない、との事です。私達が視察させていただいた学校では正規職員である総括教諭の先生が別室指導に関わり、「全ての学年の学習内容に対応できる」という校長先生のお話も聞き、正規職員を配置したことにより、安心して学べる環境だと感じました。別室指導にも正規職員である教職員を配置するべきです。伺います。

市立学校教諭の未配置についてです。

 2月1日現在、担任不在等の学校教諭の未配置は142.5名にとなり、昨年同月の136.5名を上回り過去最多となりました。未配置が多い学校現場からは、教頭、教務主任等が授業に入り、多くの非常勤の先生達と協力して凌いでいるが、学校運営に支障をきたしている。といった深刻な実態が届いています。子ども達の学ぶ権利が守られない危機的な状況がこれ以上続くことは許されません。まもなく新年度です。4月の配置状況の見通しは現在どのようになっているのか伺います。

 昨年6月のわが党の代表質問で、今年度の対策について質したところ、臨時的任用職員及び、非常勤講師の登録会を会場や時間帯を工夫して実施していくとの答弁がありましたが、全く効果はありませんでした。臨時的任用職員が圧倒的に足りていないのが原因なのは明白です。実際に学校現場からは、産休を申請する先生が「本当に申し訳ありません」と肩身の狭い思いをしながら取得をしている状況です。対策の再検討が必要です。再三、私たちが指摘している通り、新規採用枠の一部をはじめから臨時的任用職員で穴埋めするのではなく、全ての採用枠を正規の教員で確保するべきです。伺います。

ヘイトスピーチ根絶に向けた取り組みについて

 2022年3月に川崎市人権尊重のまちづくり推進協議会から「インターネット上の表現によって個人の尊厳や人格、名誉に対する侵害が行われないよう防止、調査、対応、救済に関する施策の実効性を持たせるべきである」と新たな人権課題への対応策である「インターネット上の人権について」の答申が出され、わが党も、その具体化を求めてきました。

 インターネット上のヘイトスピーチについて今年度、市民の申し出や川崎市が確認した件数は200件、差別防止対策等審査会が削除要請をした件数は158件、プロバイダー等が実際削除した件数は89件とのことです。諮問した件数は昨年度の28件に比べ7倍となっています。今年度、件数が増えた背景、どのような判断や考え方で諮問を行ってきたのか伺います。

 2023年12月の審査会では、特定地区の在日コリアン住民に対し殺害を呼びかけた「集団」に対する投稿、2月は「燃やす」という危害告知について、初めてヘイトスピーチとして認定しています。どのような考え方で諮問をしたのか伺います。

 答申では「現状をできるだけ正確に検証するために、市職員が被害者や本邦外出身者に対する不当な差別的言動問題の専門家から研修を行うこと」を求めています。今年度、どのような研修を行ってきたのか伺います。答申が求めている専門家からの研修の具体化について伺います。

 答申では「市長は人権の重要性、人権侵害があってはならないことを機会をとらえて積極的に発言し、発信する必要がある」としています。定例記者会見などにおいて、「差別は絶対許されない」と発言されていることは重要ですが、殺害や危害などをよびかけるヘイトクライムを扇動するような投稿は、命を脅かす危険性を持つため迅速な市長の積極的な発言や発信が必要です。市長に伺います。

障がい者施策について

身体障害者補助犬健康管理費助成事業費についてです。

 新規事業として、障がい者の方の補助犬の健康管理費助成事業に、67万円の予算がつきました。ユーザーのみなさんの強い要望であり、私たちも繰り返し求めてきたものです。

 この事業は、補助犬の健康管理費を、年に上限6万円助成するものです。しかし、この制度には所得制限があり、市民税所得割額4万円未満の方が対象になる、との事です。昨年11月時点で対象となる補助犬の頭数は9頭でした。

 横浜市の身体障害者補助犬定期健診等事業は、定期健診等の医療費を全額助成し、所得制限はありません。認定証の交付を受けている補助犬は40頭前後、予算規模は毎年400万前後だそうです。市内のユーザーは「補助犬の医療費は、年1回の健康診断、ノミ・ダニ・フィラリアの薬代、混合ワクチン接種なども含めると、月1万円年10万以上の費用がかかる。病気をしたらレントゲン、エコーなどお金がかかる。」と言われています。補助犬の医療費は全額助成するべきです。また、所得制限は無くすべきです。伺います。

川崎駅東口広場地下街アゼリアの公共地下歩道の点字ブロック設置についてです。

 12月に視覚障害者団体のみなさんと視察を行い危険個所や改善すべき様々な点を教えていただきましたが、一番は「点字ブロックは連続性を保っていなければ意味がない」ということでした。現在の「点在」という設置のあり方は視覚障害の方からすると、存在していることすらわからず、まったく役にたっていないというお話でした。ということは、アゼリア地下街には点字ブロックの設置がないということと同じです。9月議会では連続した点字ブロックの設置を求めたところ、「施設所有者である川崎アゼリア株式会社が公共性を踏まえ、経営判断するもの」との答弁でした。本市が出資する第3セクターにおいて、国の法律や指針、ガイドラインなどに準ずる必要がないのか伺います。

 横浜駅西口地下街や先日視察で訪れた神戸市三宮駅の地下街には連続性が保たれた誘導点字ブロックが設置され視覚障害者の移動の権利を保障していました。本市も安全かつ快適な移動を支援するために、予算を確保し計画を立てアゼリア地下歩道に連続性を保った誘導点字ブロックの設置に着手すべきです。伺います。

高齢者施策について

特別養護老人ホームの増設についてです。

 新年度の予算には「長沢壮寿の里」の建て替え分のみです。今、案が出されている2024年度からの第9期計画とその後の第10期も新規計画はありません。結局、第8期から9年間、特養ホームの新規計画がありません。本市は、特養ホームの新規計画はたてない方針なのか、端的にお答えください。

介護施策の拡充についてです。

 2024年度介護報酬改定の内容には訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直しにより加算算定のために研修を受講する必要があるとのことです。こうした研修費用の補助交付や通所介護の入浴介助にかかわる職員に対し研修を行うことが義務付けられているので、入浴に特化した研修の開催を市としても実施してほしいとの要望があります。支援策の拡充も検討すべきです。伺います。

議案第10号川崎市介護保険条例の一部を改正する条例の制定について

第9期介護保険事業計画期間の保険料軽減についてです

 2024年度から2026年度の介護保険料率の改正が提案されています。保険料は所得基準が世帯非課税の保険料は1段階が年額191円、4段階では51円のわずかな引き下げの一方、課税世帯の5段階以上はすべて大幅な値上げになります。基準額としている6段階は年額で3,317円の値上げ、合計所得金額が200万円以上300万円未満の9段階の保険料は4,976円増の11万8,646円になります。

 引き続く物価高騰で2023年の2人以上世帯では12万9,000円もの負担増と云われています。年金はマクロ経済スライドが適用され今年度にひき続き来年度も実質的にマイナスになります。このように、所得は増えず、物価の高騰で生活を切詰め、切詰めて何とかやり繰りしている中で、保険料の値上げは高齢者の生活を苦しめます。一般会計繰入金を増額し、提案した第9期介護保険料を引下げるべきです、少なくても8期の保険料基準額を据置きとすべきです、伺います。

2024年度 国民健康保険料の軽減等について

 これまでも繰り返し指摘しているように、国保保険料は所得が同じなのに、所得のない家族からも取られる均等割があるために、他の健康保険の約2倍の保険料になります。例えば、介護分が加わる、給与収入400万円40代夫婦と小学生二人の4人世帯では協会けんぽの1.8倍超えとなっています。この不公平な制度は所得が低く、年齢構成が高い国保加入世帯に物価高騰が加わり耐え難い負担を強いています。こうした現状に今年度は県内全33市町村の内、前年度比で減額1町、据置き17市町村で半数を超える18市町村が減額または据置としました。ところが本市は所得割3.6%、均等割で一人5.6%もの大幅な値上げをしました。

 来年度は国保料の算定の基になる県への国保事業納付金は今年度より17億6,000万円余減額になるとのことです、保険料は引き下げられるのか伺います。

 次に、子どもの均等割についてです。子育て世帯の負担軽減を目的に県内の7自治体で子どもに掛かる均等割の全額免除、半額免除などの実施が広がっています。本市の18歳までの均等割額全額免除は約9億6000万円、第2子以降の全額免除は3億3000万円、第3子以降は7,000万円で全額免除できます。本市も、子育て支援として子どもの均等割減免に踏み出すべきです、伺います。

中小企業支援について

 2024年度の経済労働費は前年度2.6%減の249億7948万円です。その内、融資を除いた、商業・農業・中小企業・信用保証料補助事業を含めた中小企業支援関連予算は16億357万円余で、一般会計予算額に占める割合は僅か0.18%に過ぎません。昨年度と比べても、新型コロナウイルス感染症対応資金利子補給金の減などにより、予算額が半分になるなど、農業を含む市内中小・小規模事業者の苦境を支える予算としては、あまりに不十分と言わなければなりません。

 市内事業者の経営はより一層厳しさを増しています。昨年の市内中小企業の負債額1,000万円以上の倒産は、73件と前年度の1.2倍、コロナ以前の2019年との比較でも5件増加しています。全国的にも、融資の返済ができない「ゼロゼロ融資倒産」、社会保険料が払えないなどの「納税倒産」、そして「物価高倒産」などが過去最高を更新し、さらに4月以降、倒産が増えると言われています。

 市内経済の活性化には、消費税の減税とインボイス制度の廃止が効果的です。市長は、昨年12月議会の代表質問で、消費税減税に対する市長の見解を求めたことに対し「「国及び地方公共団体を通じて大変重要な財源であり、地域経済の発展や市民の皆様の安心な暮らしを支えるために必要不可欠なもの」と答弁していますが、今まさに消費税やインボイスが「経済の発展と安心な暮らし」の妨げになっているとは思わないのか、市長に伺います。

本市のエネルギー対策を市内経済の活性化策としても進めることについてです。

 脱炭素に向けて再生可能エネルギーの創出とともに、使う量を減らす省エネも重要な対策です。住宅の断熱は効果が大きいとされています。国は断熱窓への改修への補助を行っており、事業者が申請する仕組みになっていますが、市内の事業者はわかりにくいなどの難点から、なかなか普及せず、大手にしかできない状況になっています。省エネの推進と市内経済の活性化の観点から断熱リフォームに市内建築事業者が参入し、規模を一気に広げられるよう、窓だけでなく壁や屋根なども含め市として制度を整備するべきと考えますが、伺います。

奨学金返済支援制度についてです。

 兵庫県では、今年4月より、県内事業者に就職する40歳未満の方に対し、年間12万円を限度に最大17年で、総額306万円を補助します。県が3分の2、事業者が3分の1を負担し、利用者の返済額のほぼ全額をカバーできる補助金額です。利用実績は、2023年度の実績は10月末までで、255社579人にも及び、年々増加しています。県の担当者は、「新年度から、さらに利用者の増加が見込まれる」と言います。企業側からは「応募が増えるなど若手人材の確保に効果があった」「早期退職者が減るなど若手人材の定着に効果があった」、また、返済に苦しむ若者からも「大変助かっている」と好評です。奨学金返済の負担軽減や人材確保は、川崎市の重要な課題です。本市でも奨学金返済支援制度の導入を行うべきですが伺います。

JFEスチール株式会社高炉休止後の雇用と下請け事業者への継続した支援について

 転勤等に応じることができず退職する人は、JFEスチール社員約200人、関連下請け事業者の従業員約300人と言われています。そのうち、12月末現在において3回の合同企業面接会での採用件数は52名、ハローワーク相談窓口での採用件数は26名、合計78名とのことですが、今なお400名以上の再就職先が決まっていないことになります。要望に合った継続した再就職支援策が求められています。

 合同企業面接会について、昨年8月29日に開催された連携本部会議摘録に、第1回面接会で実施したアンケートでは「求職者において『条件に見合った企業が見つかった』との回答が約94%だった」とあるように、面接会での採用件数は相談窓口の2倍と一定の効果が確認されています。今後の雇用支援について12月議会で「企業とのマッチングの場の提供や、ハローワークの特別相談窓口など実施する」との答弁でしたが、合同企業面接会も定期的に続けるべきです。伺います。

 また、ハローワークでの特別相談窓口についてはこれまでにもやったように、会社構内での出張登録会、郵送やメールでの案内、ヒアリングなど繰り返しの手立てを行い強化すべきです。伺います。

 関連下請け事業者からは「今後の事業への説明はないが、残った事業を行いながら自力で仕事を探している。先行きが不安だ」との声がいまだにあります。12月議会でJFEスチールに対し連携本部に事業計画やスケジュールを報告させるよう求めたところ、「休止養生作業に係る期間等の情報提供を要請する」との答弁でした。その後、情報提供を要請したのか、JFEスチールから情報提供はあったのか伺います。情報提供がされていない場合の対応について伺います。

小杉のまちづくりについて

 タワーマンション林立による風害、日照権侵害等の生活環境の悪化。保育園、学校、公園の不足、駅の大混雑等、インフラがおいつかない一極集中の小杉のまちづくりは限界を迎えていると私達は再三指摘してきましたが、昨年9月に突如として三井不動産から容積率約900%、高さ165mの超高層マンション建設計画が発表されました。

 日照権の侵害についてです。タワーマンションの林立により、すでに壁のようになっている状況のもと、さらにタワーマンションが建設されることについて、一棟の日影図だけ示すのではなく、複合日陰の影響を調査、近接する第一種住居地域に対し日影規制を超えていないのか、公表するべきです。伺います。

 神戸市ではタワーマンション林立、人口集中の影響で都市の防災性への影響、インフラへの過大な負荷等を鑑み、「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」を改定し、住宅等の容積率の制限に踏み切ったとのことです。新たなタワーマンション建設により、人工集中が加速する小杉のまちづくりについて、防災、インフラ、学校等の不足などの懸念はないのか、見解を伺います。

太陽光発電施設設置について

 本市に課せられているのは、2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにすることです。これを達成できない事業はありえません。わが党は2050年までに一定の技術革新もふまえ、本市で消費する電力は基本的に本市の中で太陽光発電を中心として生産することは可能だと試算してきました。

 太陽光発電施設の設置への補助についてです。本市のこれまでの補助金はわかりにくく、様々な装置との組み合わせが必要などの難点があり、わが党は改善を求めてきました。新たに予算化されている「太陽光発電設備等設置費補助」は、個人住宅ではFIT非対応では1キロワットあたり7万円、蓄電池は1キロワットアワーあたり10万円の補助をいろいろの条件なしに行うというもので、これは普及に貢献するものと考えます。この補助は、いつから始まり、何件を対象と考えているのか伺います。特定建築事業者太陽光発電設備導入制度による設置も対象になるのか伺います。既築の集合住宅は対象になるのか伺います。

扇島の土地利用転換について

 この方針案は、約400haのJFE跡地利用のために、水素供給拠点として港湾整備、扇島へのアクセス道路整備など2050年までに整備を進めるものです。先行して、扇島の一部を水素の供給拠点とし、大水深バースを整備するなど28年度に利用を開始し、2050年度までに官民合わせた事業費は2兆円、市は約2000億円を負担するとしています。

市費2000億円を出す根拠についてです。

 以前の議会で「市費2000億円を出す根拠は」という質問に対して、「税収等の投資効果」「市民生活を支えるため」との答弁でした。税収や市民生活のためということですが、今回のJFEの高炉休止・撤退で市民や税収に大きな影響が出ています。JFEの撤退で、雇用、税収など、どれだけの経済的な損失があったのか、伺います。

 経済的な効果について、キングスカイフロントでは、計画時に雇用、税収、経済波及効果などの試算を出していました。しかし結果は、臨海部のある川崎区の法人市民税は減少、製造業の従業員数、事業所数ともに減少するなど、全く効果にはつながっていません。今回の土地利用転換の整備計画では、どれだけの雇用、税収、経済波及効果があるのか、伺います。

以上で質問を終わります。


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