トピックス

2023年12月8日

「市は戦争への加担となる自衛隊演習に抗議し、訓練は拒否すべき」第5回市議会定例会12月議会で代表質問を行いました。


IMG_5824 - コピー  12月7日の川崎市議会本会議で、日本共産党は井口真美副団長が代表質問を行い、市内で行われた自衛隊演習に強く抗議するとともに、訓練には加担しないと表明すべきだと福田紀彦市長に迫りました。また、物価高騰での市の独自支援について、教育現場でのハラスメントについて、会計年度任用職員などについて代表質問を行いました。

 井口議員は、市内麻生区の民間病院で行われた負傷者を横須賀から移送する訓練が行われたことについて、自衛隊が民間施設を容易に利用できるようにすれば、民間施設が相手国の攻撃の標的になる危険は明白と指摘し、市はこうした訓練に加担しないと表明すべきと福田紀彦市長に迫りましたが、市長は「自衛隊の演習は国が責任をもって行うこと」と市の立場については明確な答弁をしませんでした。代表質問の全文は以下の通りです。

日本共産党代表質問

日本共産党  井口 真美 

 私は、日本共産党を代表して2023年第5回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

 イスラエルの大規模攻撃により、パレスチナ・ガザ地区の人道状況は、きわめて深刻な危機に直面しています。戦闘中断は、4日間に加え2日間延長されたものの、その直後から再び激しい攻撃が始まり、住民は死と隣り合わせの恐怖のさなかにいます。ガザの深刻な人道的危機の打開は一刻の猶予も許されません。

 市長は、11月8日に発出された、九都県市首脳による緊急人道アピールで、パレスチナ・ガザ地区の紛争に関わる全ての当事者及び日本政府をはじめとする国際社会に対し、即時の人道目的の一時的な戦闘休止及び人質の即時解放、国際法、国際人道法の遵守、あらゆる方策を講じて、人道的被害の抑制、人道支援物資の供給を通じた人道状況の改善に万全を期すことを日本政府と国際社会に向け訴えられました。

 一時的な戦闘中断ではなく、イスラエルはガザ攻撃を即時中止すること。また双方は、即時停戦のための交渉のテーブルにつくことを実現するため、今後とも政府に働きかけられることを要望します。わが党も全力で働きかけていくことを申し上げまして、以下質問します。


市長の政治姿勢についてです

川崎市内での自衛隊の演習についてです。

 防衛省統合幕僚監部は今年11月10日から20日まで、令和5年度自衛隊統合演習を行いました。これは、全国の自衛隊基地のみならず、民間の空港や港湾、その他の民間施設を動員し、米軍も1万人参加して行われた大規模な実働演習です。マスコミでは「台湾有事を想定している」と関係者が語ったとされるように、まさに有事を想定したものとなっています。

 このなかで、本市が初めて演習の実施場所となっています。統合幕僚監部の発表では川崎市で何を行うのかは明らかにされておらず、いっぽう、川崎市には、東部方面総監部から「11月6日と11月13日に麻生区の民間病院の屋上へリポートに自衛隊のヘリコプターが離着陸する」という連絡しか来ておらず、いったい何が行われたのかまったく明らかではありませんでした。

 わが党が11月20日に防衛省に直接問いただしたところ、このヘリの離発着は統合演習の一環として、傷病者の「後送」を行ったものであることがわかりました。「後送」とは、「後ろに送る」と書き、軍事用語で負傷兵や捕虜を戦地の後方に移送することです。実際、この訓練では、横須賀基地に運ばれて、何らかの理由で横須賀の自衛隊病院では治療できない傷病者を民間病院に移送するという想定のものでした。 民間病院で訓練を行ったことについて、防衛省は「当該病院を特に指定して行ったものではないが、一度でも訓練をしておけば、今後何かの時に慌てずに使わせてもらえる」と言ってはばかりませんでした。同時に、この訓練を現に病院に入院されている人や通院している人たちに連絡をしたのかは確認しておらず、病院任せにしており、周辺住民への周知もありませんでした。ものすごい爆音に皆さんは驚かれたことと思います。

 いま、岸田内閣の下で、日本が海外の戦争に参加する危険が高まっています。海外にせよ国内にせよ、いざ有事となり、自衛隊などの傷病者を民間病院まで動員して収容すれば、後方施設として戦争に加担することになり、今いる患者さんも追い出される懸念があります。わが党はそういう意味合いを持つこの統合訓練を本市で行ったことに強く抗議するものです。

市はそういう重大な意味を持つ訓練だったということを認識すべきです。今回の訓練について市は統合幕僚監部に説明を求めていません。防衛省、統合幕僚監部に対して、詳細な説明を市として求めるべきですが、伺います。今後、同様の訓練がある際には直ちに説明を求めるとともに、市民の安全を守るという観点から、市内での訓練は拒否すべきです。伺います。

物価高騰対策についてです。

 今年9月の消費者物価指数は、総合で前年度比3%、生鮮食料品を除く食料は8.8%と依然、高止まりの状況です。ガソリンの値段も1リットル当たり8月は187.7円と前年同月比で20円以上も上がっており、生活や営業を圧迫しています。

 この物価高騰対策として、消費税減税を求める声が高まっています。世論調査でも約6割が減税に「賛成」と答え、世界でも100か国以上の国がこれに相当する税を減税しています。消費税減税は、それ自体、物価を抑制し、すべての国民にとって有効であり、所得の少ない人ほど恩恵が大きく、内需を拡大し経済を立て直す制度です。政府に対して消費税減税に踏み切ること、小規模事業者にとって消費税の増税となるインボイス制度は廃止をすることを求めるべきです、市長に伺います。

自治体の物価高騰対策についてです。

 全国の自治体で、様々な独自の対策を行っています。全国商工団体連合会の調査では、回答した775自治体の約6割が地方創生臨時交付金をつかって、「中小企業に対するエネルギー価格高騰対策」を策定しており、さらに2千以上の事業者支援策が実施されています。福岡県ではいくつもの市町村が住民向けの対策をしており、うきは市では、住民税均等割り世帯に1世帯5万円を給付し、大学・専門学校生に1人5万円給付しています。また筑後市では生活応援商品券事業を実施し、他の市町村でも子育て世帯や高齢者世帯にタクシー券や商品券の配布、国の給付金対象外世帯への給付金などを実施しています。

 一方、川崎市の物価高騰対策は、23年度当初予算、6月補正、9月補正において、独自支出はゼロで国の臨時交付金のみの支出であり、全く不十分です。今回の補正予算では物価高騰対策費自体がゼロとなっています。今後、国の臨時交付金が約14億円程度と予想されます。この交付金を使って、市独自の給付金や商品券など物価高騰対策を実施すべきと思いますが、市長に伺います。臨時交付金だけでは当然不十分であり、他都市のように市の独自支援策を実施すべきです、市長に伺います。

子育て支援策についてです

小児医療費助成制度についてです。

 昨年度の3月議会の委員会で、所得制限の撤廃と中学卒業までの拡充について、こども未来局長は国がやるべきという立場であるものの「都市間競争が非常に激しくなってきて、川崎の置かれた状況は市民にとってみても看過できない状況になった」と発言しています。

 その後、県内の自治体は相次いで制度の拡充をしており、今後実施予定のところも含めると33の自治体のうち、18歳まで無償としているのは28で全体の84%、一部負担金を撤廃しているのは31で93%です。18歳までの無償化と一部負担金の撤廃と、どちらもやっていないのは川崎市のみです。いまもまさに、川崎市の制度は県内の自治体に比べて著しく乏しく、市民も看過できない状況だと思いますが、見解を伺います。

認可外保育所における保育料の多子減免制度についてです。

 現在、来年4月から認可保育所の園児を対象に第二子半額、第三子以降無料に向けた準備が進められていますが、川崎認定保育園等、認可外保育については何ら方針が示されていません。認可保育所に入れず認可外を利用している保護者の方から「同様の支援を行って欲しい」という切実な声が届いています。現在の川崎認定保育園等の多子減免制度は施設、年齢制限が設けられ、軽減額も1万円と僅かです。本市は認可に入れなかった保留児童の受け入れ先として川崎認定保育園等も活用し待機児童ゼロと謳っているわけですから、施設や年齢制限の撤廃、軽減額についての見直しを早急に行い、認可保育所同様に来年4月から実施するべきです。伺います。

教育をめぐる環境整備についてです

教育現場でのハラスメント対策についてです。

 11月1日、市内小学校の前校長によるパワーハラスメントの報道発表がありました。校長室で教職員に対して、必要以上の長時間にわたる指導、強い口調で叱責、物を放り投げる、教員の体を掴んで退室を妨げる等、4件についてパワハラと認定し市教委として初のパワハラを理由とした懲戒処分を行っています。

 3名もの教職員を病欠に追い込むほど、職務上の地位の優位性を背景にした精神的、身体的苦痛を与え個人の尊厳を不当に傷つける行為が、子ども達が学ぶ教育現場で行われていたことは断じて許されることではありません。2019年に改正された労働施策総合推進法に伴い、「事業者がハラスメントを防止するために雇用管理上講ずべき措置」を義務付けるための指針が示されました。その指針に基づき、本市教育委員会のハラスメント防止の取組について伺っていきます。

トップのメッセージについてです。

指針では、ハラスメントを行ってはならない旨の事業主の方針を明確化するとあります。事前に教育長のハラスメント防止に関するメッセージを確認したところ、今年6月の「職務規定の確保と公務員倫理の確立について」の通達文にわずか3行で記載がありました。全く不十分です。教育長として、ハラスメント防止の方針、メッセージを明確に示すべきです。伺います。

周知、啓発についてです。

指針では周知、啓発の為の研修を定期的に実施するとあります。本市教育現場におけるハラスメント研修について、合同校長会、中堅職員研修会、2校目異動研修等で30分ほどの講習を行っているとのことですが、現役の教職員に確認したところ、ほとんどの方は「受けた記憶がない」とのことです。講師を担当課長等が行うのではなく、弁護士等の外部講師を招き時間を確保して定期的に実施するべきです。伺います。

ハラスメント行為者の厳正な対処方針についてです。

指針では行為者に対する懲罰規定を定めその内容を周知、啓発することとあります。実際に他都市のハラスメント防止規則では「懲罰処分」と明記しています。しかし本市のハラスメント防止要綱は、行為者に対し「人事管理上適正な措置を講ずるものとする」と曖昧な文言となっています。厳正な処分を明確に示すべきです。伺います。

相談窓口についてです。

指針では相談窓口を周知し、利用しやすい体制を整備しておくこととあります。しかし本市教育委員会ハラスメント専用相談窓口は教職員の誰に聞いても全く知られていないのが現状です。毎年配布する服務掌冊子に記載し周知を図っているとのことですが、周知方法を改めるべきです。伺います。また迅速、適切な対応が図れるよう相談窓口の職員体制の整備、及び研修を実施するべきです。伺います。

相談者の不利益取り扱い等についてです。

指針では相談、協力を理由に不利益な取り扱いを受けない規定、プライバシーを保護するための措置を実施するとあります。ところが本市の要綱では、当事者のプライバシー保護、不利益な取り扱いについて努力義務となっています。これでは全く不十分です。義務化とするために要綱を改めるべきです。伺います。

 本件の報道後、私たちのところに複数の教育現場からパワハラの実態を伝える切実な声が届いています。本件は氷山の一角ではないのでしょうか。指針に基づき作成されたリーフレットでは、「アンケートで実態を把握する」とありますが、本市の教育現場においてアンケート等による実態把握を一度も行っていないとのことです。全教職員に対し、ハラスメントについてアンケート調査を行うべきです。伺います。 

新型コロナ感染症の医療費自己負担軽減についてです

 新型コロナ感染症の5類移行に伴い公費負担の範囲が段階的に縮小されてきました。5類移行前はコロナ陽性確認後の診療・治療薬、入院の治療・食費は全額公費負担でしたが、10月からは治療薬は一部公費負担があるものの、他の公費負担は無くなりました。自己負担の増大は受診抑制につながり、重篤化を招きかねません。本市独自の医療費負担軽減策を行うべきです、伺います。

障がい者施策についてです

重度障害者医療費助成制度についてです。

 2018年の行財政改革第2期プログラムで同制度の見直しが明記され、第3期プログラムに引き継がれて2025年度までに見直すとされていることから、関係者の中で大きな不安が広がっています。この見直しの大きな理由に、「神奈川県の補助制度の見直し等による財政負担の増大」と挙げられていましたが、県は来年度予算で政令市に対する補助率を引き上げる方針を明らかにしました。この医療費助成制度はさまざまな医療にかかる必要のある重度障がい者にとって命綱であり、見直しの理由が県の補助の問題であるならば解決するのですから、行革の項目から外すべきだと思いますが、伺います。

特養ホームに入所している障がい者についてです。

 特養ホームに入所している視覚障がい者の方から「施設に入所すると、同行援護や移動支援を利用することが出来ず、島流しになったような気持ちになる」との声がよせられています。特養ホーム等の法に定める居住系サービスの利用は1日を包括した公費が支給されている為、同行援護や移動支援等を利用すると公費の二重給付にあたるとして、他のサービスが利用できません。同行援護を認めるよう国に働きかける事、本市独自で移動支援等のサービスを利用できるようにするべきです。伺います。

 また、日常生活用具の支援も部分的にしか使えず、拡大読書器、点字タイプライター、点字図書、視覚障害者用活字文書読上げ装置などは給付の対象になっていません。入所しても今までと変わらない暮らしができるよう、日常生活用具の支援を行うべきです。伺います。

 障がい者施設に入所していた方が、特別養護老人ホームに入所しようとする場合に、利用料の1割負担が発生して、その利用料が払えないため、入所を断念せざるを得ない状況があります。市は、障がい者の入所施設を増やすことができないかわりに特養に障がい者の受け入れ枠を作ったのですから、市が独自に特養の利用料1割負担の補助を行い、希望する障がい者は特養に入所できるようにするべきです。伺います。

社会福祉法人の特別指導監査についてです

 本市は市内のこども未来局所管の施設に対し、市内初となる特別指導監査を行いました。当該社会福祉法人はこの間、繰り返し定期監査において文書指示を受けており、その内容も深刻ですが、日常の健康管理の問題などは私たちも相談を受け区役所に対応をお願いするなど、目に見えていたものでした。にもかかわらず重大な特別指導監査に至るまでに解決できなかったのは、市の指導責任が問われるものと考えます。改善報告はこれから出されるとのことですが、報告書を待つことなく、市として法人の中にしっかりと入って、具体的な改善が行われるまで指導すべきです。伺います。とりわけ、組織運営にかかわれる外部の人材を管理職に配置することが必要と考えます。市の対応について伺います。

人権にかかわる施策についてです

痴漢撲滅パッケージの具体化についてです。

今年3月30日に国は、痴漢は重大な犯罪である、個人の尊厳を踏みにじる行為であり、断じて許すことはできないとした初の痴漢撲滅政策パッケージを公表しました。6月議会では各局連携しパッケージを具体化するよう求めたところ、7月に協議をおこなったとのことです。協議はどのように進められたのか、また関係各局がどのように連携し、パッケージの具体化を行ったのか取り組みについて伺います。

 年明けから受験シーズンになります。近年、受験生を標的とした痴漢をあおる投稿による被害が問題となっています。試験に遅刻できない受験生の弱みに付け込んだ悪質で卑劣な痴漢行為を許すわけにはいきません。昨年度、本市も受験シーズンにむけ対策を行いましたが、痴漢被害を起こさせないよう本年度も強化が必要です。「公共交通機関における対策の強化の要請」「市営バスや市の広報やSNSでの『痴漢は犯罪』だとする発信」「痴漢にあった際の相談機関についての広報」「痴漢被害のために試験に遅刻する場合も救済措置の対象とすることの各学校、保護者、児童生徒等への通知や周知」などの具体化が求められますが、今年度の対策について伺います。

仮放免の方の支援についてです。

「仮放免者」とは、「非正規滞在者」として入国管理局に収容され、その中で「やむを得ない事情がある場合」など一時的に収容を停止し、身柄の拘束を解かれた方のことです。何かしらの切実な事情で帰国できないにもかかわらず、働くことが認められないことから収入がなく、健康保険にも加入できず、原則、「食べること」も「病院に行くこと」も全額自己負担で、きわめて困難な状況で暮らしています。

特別非営利活動法人 北関東医療相談会の行ったアンケート調査には、「冬の服や靴を買うお金も必要。サンダルも持っていない。スープを作るための小さなものを買うお金。私が買う必要のあるものをこうやって書くことに恥を感じる」「医師には6か月以内に手術をするように言われているが、保険がないので、ひどく多額になる。」と病院に行けないなど、苦しい実態が記されていました。仮放免の方の住所は、その年の増減分を国から示されることから、ある程度把握は可能です。市として生活実態の調査を行うべきですが、対応を伺います。

多くの子どもたちも希望を奪われています。 政府は8月、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもに一定の条件を満たせば、日本での在留を認める「在留特別許可」を出す方針を示しました。本市の対象者はいるのか伺います。教育費の負担軽減は切実な願いです。小・中学校は就学援助の対象となりますが、高校授業料無償化も対象になるのか伺います。

 医療について、2022年9月の決算審査特別委員会でわが党委員が「救急医療機関外国人医療対策費補助金」を受ける際の医療機関の事務手続きの改善を求めましたが、検討内容を伺います。「無料低額診療」は医療機関の負担となってしまいます。「無料低額診療」について、公的補助を国に働き掛けるべきと求めてきましたが、取り組み内容を伺います。行政サービスの情報提供について、国際交流センターのワンストップセンターが相談窓口になっていますが、仮放免の方が受けられる行政サービスをわかりやすく示す資料の作成や、ホームページへの掲載をすべきですが、伺います。また、相談だけでなく、伴走型支援を行う支援の体制を整備することが必要と思いますが、伺います。

高齢者施策についてです

特別養護老人ホームの増床についてです。

特養ホームの申請者数(待機者)は10月現在、2,158人を数え、私たちは繰り返し、特養ホーム新設を求めてきました。答弁では「高齢者実態調査」の結果や「将来的な要支援・要介護認定者数の推定値等を踏まえ」、「第9期川崎市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」策定の中で検討するとしていました。しかし、示された第9期(案)では、8期からの繰り越しで建て替えによる増床が146床ありますが、これは8期計画にあったものです。その他、ショートステイから80床の転換、施設の改築70床は確定したものではありませんが、加えても296床しかありません。待機者のわずか14%に過ぎません。私たちはその抜本的な解決策として、新規増設を求めてきましたが、重大なのはそれは8期に続きゼロだということです。これで、待機者、待機者家族の願いに応えられると考えているのか、伺います。将来的な推定値は介護度3から5の方も確実に増えています。これを踏まえるというなら計画(案)を見直し、新規増設を含めて抜本的に増床すべきです、伺います。

介護保険料の軽減についてです。

2024年度からの「第9期川崎市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(案)では介護保険料が現在の8期保険料基準月額6,315円から295円引上げ6,610円程度になることが示されました。このままでは、基準額に対する負担割合を下げなければすべての人の保険料の引上げになってしまいます。9月議会で保険料引き下げを行うために、介護保険給付費準備基金等の活用と現在の16段階の高所得層の多段階化と負担割合の引上げを行い、低所得層の保険料引下げに充て応能負担の強化をさらに進めるよう求めてきました。国が次期計画期問の保険料は多段階化等により低所得者の保険料上昇の抑制が必要であることを示し、本市も負担能力に応じた保険料率を設定して行くと答えています。ところが、(案)は多段階化が反映されておらず、低所得者の保険料上昇の抑制にもなっていません。今後、(案)の見直し、保険料上昇の抑制を行うのか、伺います。第9期の保険料基準額を据置くには、一般財源からの負担を約12億円増額すれば可能と考えます。一般財源からの繰入れも検討すべきです、伺います。

中小企業支援についてです

市内事業者の再エネ設備導入支援についてです。

 本市では、2025年4月より、延べ床面積2000㎡以上の建築物への太陽光発電設備設置の義務化や、2000㎡以下の新築建物についても、一定量以上の建築を行う事業者へ、一定の割合で、太陽光発電設備の設置を義務化します。しかし、既存住宅に対する省エネ化の対策は不十分です。川崎市では「スマートハウス補助金」において太陽光発電システムや電気自動車の購入には補助金がありますが、窓やドアの開口部や壁の断熱化のリフォーム工事については、補助がありません。東京都では、断熱窓やドア、外壁等の断熱リフォームについても、工事費の3分の1の補助を行い、手続きもシンプルでエコ住宅の普及に取り組んでいます。世田谷区では、エコ住宅への改修工事を区内の事業者に限定することで、地域経済の活性化にもつなげています。本市でも、市内事業者に限定した、断熱リフォームへの補助制度を作るべきと思いますが、伺います。

市の会計年度任用職員についてです

 全国の地方自治体では、この30年間で正規職員が55万人削減され、非正規公務員(会計年度任用職員)に置き換えられてきました。川崎市でも10年間で正規職員を500人減らし、会計年度任用職員を300人増やしており、今まで正規職員がやってきた仕事を非正規の方に移行しています。

会計年度任用職員の給与改定についてです。

 総務省が本年5月2日に、常勤職員の給与が改定された場合における会計年度任用職員の給与については改定の実施時期も含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取り扱いに準じて改定することを基本とするようにと通知を出しました。常勤職員の給与引き上げが行われた後、10月20日には総務省副大臣の通知、11月24日には大臣が国会答弁で「常勤職員の改定に準じて適切に対処」するようにと繰り返し強調しています。

 本市常勤職員の給与引き上げについて月額は本年4月1日に遡り、期末手当の支給は本年12月から支給となりました。会計年度任用職員の給与引き上げも国からの通知通り、月額は本年4月1日に遡り、期末手当は12月から支給改定すべきです。伺います。

任用制度「5年ごとの公募」についてです。

 川崎市の場合、再度の任用について、4回まで更新されますが、5回目は一般公募となります。民間の有期雇用の労働者の場合、5年後の更新の際に、無期雇用転換の申込権が発生しますが、会計年度任用職員には、その権利もありません。「明確な理由がないまま雇止めになった」、「失業する可能性がありながら3月を迎えるのが恐怖」など会計年度任用職員にとって、理不尽な雇止めや「5年ごとの公募」は恐怖となっています。

 図書館司書や保育士、保健師、助産師、医療従事者、学校の教職員、消費生活相談員などその地域とつながることが重要で継続性、専門性が求められる業務です。しかし、そういう方も、5年ごとに雇止めになる会計年度任用職員となっており、賃金が低い不安定雇用となっています。無期雇用転換の権利もなく、理不尽な雇止めや業務の継続性、専門性を維持できないような「公募」は、公務員の雇用形態として、制度上の問題があるという認識はあるのか、伺います。

JFEスチール株式会社京浜地区の高炉休止についてです

 JFEスチールは2020年3月27日の記者会見などで社員1200人の雇用の確保、関連下請け従業員2000人について誠意をもって対応するとの発言をしました。9月16日高炉の操業を終えた今、社員1200名の配転、退職、求職者数、関連下請け従業員の状況や対応についてJFEスチールからどのような報告を受け、本市はどのようにつかんでいるのか伺います。また関連下請け事業者の業務縮小や廃業など、JFEスチールからどのような報告を受けているのか伺います。

 JFEスチールの社員約180人、本市が行ったアンケートから関連下請け従業員429人、少なくても合計609人の労働者が職を探していることがすでに明らかになっています。一人の離職者を出さないように支援を継続させることが重要で、JFEスチールの責任ある姿勢と連携本部の支援が求められています。

 再就職支援について10月に、予定していた企業合同面接会の3回目が終わりました。面接会にはどれくらいの企業が参加し、何人の労働者が参加しそのうち何人再就職が決まったのか、参加した労働者からはどんな声があったのかなど取り組み状況について伺います。4回目以降の面接会については検証などをおこなってから検討するとのことですが、職を求める労働者にとって再就職支援は待ったなしの死活問題です。面接会の継続、ハローワークの特別相談窓口の強化、周知の徹底など切れ目のない支援を行うべきです。伺います。

 関連下請け事業者の支援についてです。本市でも3回目のアンケート結果をもとに訪問を行い個別に支援を行っているとのことですが、一方でいまだにJFEスチールから説明がなく今後の事業計画が立てられないとの事業者がいます。行政から支援の連絡が来ても仕事がいつまで続くのか説明がないので相談のしようがないとのことです。再度、本市はJFEスチールの責任で最終下請けまでの事業計画を明らかにするよう求めるともに、JFEスチールに対し連携本部にも事業計画やスケージュールを報告させること、また、本市は得た情報を各下請け事業者に提供するなどの支援を行うべきです。伺います。

 今後について、再就職を求めるJFEスチールの社員には1年間の保障があり、清掃や養生などを行う関連下請け事業者の仕事が約1年間は続くとのことですが、1年後の状況把握や必要な支援の継続が必要です。しかし、連携本部をいつまで継続するのか全体で確認が行われていないとのことです。早急に、連携本部を継続させていくことの合意をとり、状況把握や必要な支援策などの取り組みを継続すべきです。伺います。

市民の住まいについてです

 国は低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯を「住宅確保要配慮者」と定め、本市ではさらに、指定難病・特定疾患患者や、社会情勢等の動向に応じ柔軟に対応することができるよう「別途市が必要と認める者」も加えて、2013年に住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画を策定しています。この「別途市が必要と認める者」という範疇に、就職氷河期世代を加えているのか伺います。

 とりわけこの年代の非正規シングル女性は、研究者の全国調査でも民間賃貸住宅居住が42%と多く、5万円以上の家賃を払っている人が46%を超えています。住居費を払うと家計に余裕がなくなる、という回答は6割を超えます。このかたたちは、今の経済状況の中では住宅を買う余裕はなく、60代以降も賃貸である可能性が高く、高齢期になると「不動産屋で年齢を言っただけで部屋を紹介してもらえない」という実態に本当に不安を抱えています。昨年3月、川崎市男女共同参画センターが行った「川崎市におけるコロナ禍での非正規シングル女性に対する影響調査」でもコロナ前で40代の非正規シングル女性の6割が「将来・老後に不安がある」と答えており、コロナ禍の中ではそれが8割を超えます。40代、50代の単身女性を「別途市が必要と認める者」に加え、支援する必要があると思いますが、認識を伺います。

 非正規シングル女性や就職氷河期世代、地方から進学などで上京し川崎市で一人暮らしをしている青年やシングルマザー、年齢だけで不動産屋から物件の紹介を断られる高齢者など、経済的に住まいを確保することに大変な思いをしている市民はたくさんいます。これには、市営住宅を確保することが根本的な解決策です。セーフティネット住宅など民間の大家さんの理解を得なければ確保できない方策ではなく、市が抜本的に市営住宅を増やすことこそが求められています。少なくとも現在の市営住宅に申し込んで落選している人たちは入居の資格があり、それに見合った市営住宅を増やすべきですが、伺います。また、これから用地を探し建設するのでは今の困難を解決できません。借り上げ住宅を増やしていくべきですが伺います。

超高層マンションによるまちづくりについてです

 「駅前再開発の落とし穴」と題した報道番組が放映されました。事例は福井市やさいたま市でしたが、本市のことではないかと思われるような内容でした。福井市では、近年の建築資材の高騰などで再開発組合の地権者に5億円の追加費用が発生した。さいたま市では人口の急増に市のインフラが追い付かず、小学校は校庭で遊ぶこともできず、コロナ禍は収まったにもかかわらず救急車は搬送先を10軒も断られているなど、ひとごとではない事態が報道されていました。そして、最後に有識者は「都市計画は“高く大きく”からの脱却を」というコメントを出していました。

 最大限の容積率を利用して建てるため、将来建て替えもできず、住民の高齢化で管理できなくなることも容易に想像されます。そういう超高層マンションをこれからさらに小杉、登戸、柿生などで建てようとしていることについて、準備組合の地権者の皆さんのことを考えても、本当に立ち止まったほうがいいと思わざるを得ません。あまりにも問題が多い超高層マンションのこれ以上の建設は規制すべきと考えますが、伺います。

 本市において超高層マンションを可能にしているのは「低炭素まちづくり・都市の成長ガイドライン」です。環境配慮や賑わいづくりなどの条件をクリアすると、容積率を最大1・6倍にもすることができるというもので、名前は低炭素を最初に掲げていますが、それによって容積率緩和をするまえよりもずっとCO2の排出量が多くなる矛盾を持ったガイドラインであり、市民に誤解を招くものです。このガイドラインは廃止すべきです。伺います。

羽田新飛行ルートについてです

 1960年代に航空機事故が相次ぐ中、市民の運動と川崎市議会が全会一致で臨海工業地帯上空での即刻飛行禁止を求めて意見書をあげ、当時の市長も一体となって運動を起こした結果、1970年に東京航空局長は原則として川崎石油コンビナート上空は飛行しない旨の通知を発出しました。通知は守られ50年間安全な空が守られてきました。しかし、市民や議会にも説明がなく福田市長が通知の廃止を認め2020年3月から川崎区殿町地域住宅街と石油コンビナート上空への低空飛行が開始され3年9か月を過ぎようとしています。

 9月22日に、羽田空港発のトルコ航空機が離陸直後、経路を逸脱し東京タワーに接近し、管制官が2回「急いで急上昇を」と指示し危険性は回避されました。報道によると、トルコ航空は国交省にパイロットが自動操縦への切り替えを忘れた人為的なミスが原因だと報告したとのことです。航空評論家は「近年も海外では離陸直後、高度が急降下するケースがあり、ヒューマンエラーや機材トラブルでも起きることがあり、リスクは考えなければならない」と語っています。やむを得ず不時着を迫られた場合、川崎側の離陸直後は住宅街や石油コンビナート地帯であり大惨事になることは明らかです。また、羽田空港を含む7空港において部品欠落が、2022年度は992個と公表されています。東日本大震災の時の市原市の高圧ガスタンクの連続爆発の原因はガスタンクの支柱がおれて配管にささり、ガスが漏れ引火したためでした。部品欠落などによる配管の破損でも大惨事につながります。地域住民からも「歩いていて真上に大きく飛行機が飛んで部品が落ちたりしないか心配だ」「万が一の飛行機事故があったらと思うと不安だ」など不安を抱えながら毎日を暮らす声が寄せられています。離陸直後に石油コンビナート上空を飛ぶ世界でも類を見ない危険な羽田新飛行ルートは中止をし「海からはいり海から出ていく」元のルートに戻すよう国に求めるべきです。市長に伺います。

以上で質問を終わります。