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意見書提案「インボイス制度の実施中止を求める意見書(案)」(2023年第四回、川崎市議会定例会)

2023年10月13日の川崎市議会定例会で、斉藤のどか議員が意見書提案を行いました。議員各位へ賛同を呼びかけましたが、残念ながら反対多数で否決となりました。

【意見書とは】 地方公共団体の公益に関することに関して、議会の意思を意見としてまとめた文書のことです。 地方自治法第99条には「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と規定されており、具体的には議員が発案して本会議にはかり、議長名で関係機関に提出します。

インボイス制度の実施中止を求める意見書(案)

 令和5年10月から実施された、消費税の軽減税率制度・適格請求書等保存方式、いわ ゆるインボイス制度は、自由な商取引から中小企業・小規模事業者が排除される可能性が あることや事業者の事務負担が増大すること等が問題になっている。
 これまで売上高 1,00.0万円以下の個人事業主、農家、アニメーター、一人親方、シ ルバー人材センターで働く高齢者、フリーランス等は、免税事業者として消費税納税の義 務はなかったが、適格請求書(以下「インボイス」という。)を発行するためには、課税 事業者になる必要があることから、制度の導入により新たに消費税納税の義務が発生する。
 また、消費税の仕入税額控除を受けるためにはインボイスが必要となるが、インボイ ス登録のない免税事業者との取引については、仕入税額控除を受けられないため、免税事 業者が課税事業者になることを選択しなかった場合、取引を敬遠される可能性がある。
 令和5年6月の国会では、制度導入によって年間売上げ300万円のフリーランスの 場合、消費税負担が年13.6万円も増えることを財務省も認めており、これだけ多額の 負担を強いる同制度が導入されれば、影響を受ける人の数は計り知れない。
 令和4年10月にアニメ業界で働くフリーランスを対象に実施した民問調査結果によ ると、約25%が同制度の実施を契機として廃業を決定または廃業する可能性があると回 答しており、生み出す商品やサービスの中身以前にインポイスの有無が取引基準になる同 制度は、長引くコロナ禍や異常な物価高騰によって大打撃を受けている業種に一層の追い 打ちをかけるとともに、更なる廃業を助長し、産業の衰退を加速させるものに他ならない。
 こうした中、全国の自治体では同制度の中止や延期・見直しなどを国に求める意見書 が令和5年6月議会だけでも33自治体で相次いで採択され、以前に採択した自治体と合 わせて36都道府県207自治体に達している。
 また、フリーランスや小規模事業者などで構成する民問団体が中心になって集めた同 制度の反対署名は、令和5年9月26日時点で533,880人分になるなど、同制度の 導入が国民から受け入れられていないことは明白である。
 よって国におかれては、中小企業・小規模事業者の事業存続と再生、ひいては日本経 済振興のため、同制度の実施を中止することを強く要望するものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


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