市政と市民のくらしを結ぶ
トピックス

物価高騰の中、市民生活を支える市政を プールの水流出事故、教員への賠償は撤回を

IMG_2285   9月14日の川崎市議会第4回定例会本会議で、日本共産党の市古次郎議員(中原区)が代表質問に立ちました。

    市古議員は、2022年度決算について、歳入は前年度比100億円増の8580億円となり、これは市税の増などによるもの。市税は個人市民税、固定資産税、法人市民税も増えている。川崎市の財政力指数は政令市で唯一1を超え、政令市トップを続けている。物価高騰などで市民生活・中小企業の経営が大変な中、減債基金に積み立てる額を減らし、市民生活・中小企業支援に回すべきと迫りましたが、福田紀彦市長は的確に対応しているとし、考えを変えない姿勢を示しました。

    また、市古議員は、市内小学校で起きた学校のプール流出事故について、現場となった学校では取扱説明書やマニュアルもなく、間違った指示の写真1枚だけで、警報の止め方やブレーカーの説明もなく、初めて作業する教員に業務を押し付けました。この写真の指示通りに操作すると必ず警報が鳴ることも、議場で追及しました。教育長は「配慮が十分でなかった、重過失には当たらない」と認めましたが、損害賠償請求は継続されました。市古議員は、教員個人への賠償請求は不当であり撤回することを求めました。

市古議員の質問原稿(初回分)は次のとおりです(議事録ではありません)。


   私は、日本共産党を代表して2023年第4回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行ないます。

市長の政治姿勢についてです。

2022年度決算の特徴についてです。

   2022年度一般会計決算では、歳入は前年度比100億円増の8580億円となりましたが、これは市民税や固定資産税などの市税の増、本庁舎建替事業の進捗による市債の増などによるものです。市税は、136億円増の3782億円で過去最高となり、これは個人市民税が所得の増加により51億円の増、固定資産税が家屋の新増設により44億円増、法人市民税も企業収益により28億円増などによるものです。財政力指数は、政令市で唯一、1を超え、基準財政収入額が需要額を上回っており、政令市トップを続けています。そのため政令市で唯一の普通交付税の不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも12万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。川崎市は、政令市で平均年齢が最も若く、生産年齢人口割合が最も大きい都市で、人口推計でも今後7年間は増加を続けるため市税収入の増加は今後7年間続くと予想されます。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っています。

収支フレームについてです。

   22年度予算では239億円の収支不足が出るとしていましたが、決算では19億円のプラスとなりました。収支不足をなんと250億円以上も過大に試算していました。わが党は、予算、決算議会で何度も収支不足額が過大であると主張してきましたが、またまたその通りになりました。22年度の収支不足額について、なぜ、これだけの誤差が生じたのか、市長に伺います。今後の収支について、23年度―206億円となっていますが、コロナ禍でも3年連続黒字となったのに、どうして今後200億円以上もの赤字となるのか、伺います。これだけの誤差が出ている収支フレームは、見直すべきです、市長に伺います。

減債基金についてです。

   22年度予算では減債基金から239億円借入れる予定でしたが、決算では収支不足が出なかったために借入はゼロとなりました。減債基金残高は、一般会計分でみると積立額451億円、取崩額219億円で2532億円となり、一人当たりの残高は政令市平均の1.6倍にもなります。政令市の減債基金残高は、取崩額の平均4年分ですが、本市の場合は8年分にもなります。減債基金からの借入が527億円ありますが、それを差し引いた実質残高は2005億円です。取崩額4年分を差し引いても800億円以上も多く、他都市と比べて、極めて多い残高となっています。物価高騰などで市民生活・中小企業の経営が大変になっていますが、市のこれに対する独自支出は、わずかです。物価高騰の中で財政支援が必要な時だからこそ、減債基金の積立額を減らして市民生活・中小企業支援に回すべきです、市長に伺います。

社会保障と臨海部の大規模事業についてです。

   社会保障費である扶助費は、子育て世帯への臨時給付金の減により、前年度比4億円の減となっています。一人当たりの扶助費の額は引き続き政令市平均を下回っており、福祉予算である民生費も1人当たりにすると政令市平均よりも約2万円低い状況です。一方、臨海部の大規模事業には、臨港道路東扇島水江町線整備59億円、コンテナターミナル整備事業9億円、東扇島堀込部土地造成事業は10億円増の11億円など不要不急の事業に約80億円が支出されています。不要不急の大規模事業は直ちに中止・凍結し、地方自治体の本旨である福祉・くらし予算を増額すべきです、市長に伺います。

新型コロナウイルス感染症対策についてです。

   8月28日から9月3日の川崎市の定点医療機関感染者数は23.5人でした。第8波のピークは、厚労省による参考値で18.7人ですから、現在の川崎市の感染者数は第8波のピークを超えています。もう第9波に入ったと見るべきですが、伺います。

   7月14日に出された厚労省からの通達「今夏の新型コロナウイルス感染症等の感染拡大に備えた保健・医療提供体制の確認等について」では、必要な入院医療体制の確保、外来対応医療機関の体制の充実、高齢者施設等における検査について、様々な対応を求めています。通達に基づいてどのように具体化しているのか、伺います。

 新型コロナ治療薬への公費適用など、患者負担の軽減措置の継続をするよう国に求めるべきです。伺います。

新型コロナワクチン令和5年秋開始接種についてです。

    9月20日から新型コロナワクチンの秋接種が開始されます。本市では集団接種会場は設置しないとの事ですが、横浜市は仕事等の理由で医療機関での接種が難しい方向けに「臨時集団接種会場」を設置します。本市もかかりつけ医のない方、仕事の関係で個別接種が難しい方のために集団接種会場での接種を再開すべきです伺います。

新型コロナ後遺症についてです。

    国立国際医療研究センターの調査では感染から1年半後の段階でも4人に1人が記憶障害や嗅覚の異常など後遺症で苦しんでいることが分かっています。本市では、5類移行直前5月8日のコロナ感染者の累計は46万4513人なので推計約11万6千人の方が後遺症を発症していることになります。コロナ罹患後4か月後に「倦怠感、不安感、ブレインフォグなどの症状が突然現れ、専門外来も予約でいっぱいで診断まで1か月半かかった。症状が悪化して仕事も休むことになった」と市内50代の女性から届いた声は氷山の一角と言えます。今、全国では「治療につながるまで時間がかかる」「治療と仕事の両立の理解がなく退職せざるをえなくなった」「コロナ罹患直後に部活動などで無理をしたために寝たきりになってしまった」など深刻な様々な事態が広がっています。

    そうした中、神戸市では、正確に把握しないと対策は立てられないとして実態調査を行い、「後遺症相談ダイヤル」「心の相談ダイヤル」の設置、「アフターコロナ健診」「健康リスク改善事業」、また後遺症への理解を周知するための独自ポスターを作成するなど独自の対策を進めています。川崎市でも実態調査を行い、後遺症の方がどんなことで苦しみどんな支援を必要としているのか把握をし、独自支援策を検討すべきです。伺います。

     昨年の質問で、後遺症の相談窓口は「コールセンターで対応している」との答弁がありました。しかしホームページには後遺症に対応していることや、看護師が相談にのれることなどの記載がなくあまりにも不親切です。川崎市でできる一歩として、ホームページの記載をわかりやすく変更すべきです。伺います。

子育て支援についてです。

川崎市で子育てをした場合の経済的負担と他都市との比較についてです。

    まず第2子の保育料についてです。保育料は、市民税所得割相当額によってC1-C25まで区分があり、第2子は、第1子の半分になります。1番該当世帯が多いC16では、第2子の保育料は年額327,000円です。0歳から通わせた場合は、保育料が無償となる3歳になるまでに981,000円かかります。一方、東京都や千葉県市川市、埼玉県深谷市や東松山市では、第2子の保育料は無料です。

    次に学校給食費は、小学校6年、中学校3年と義務教育の9年間を川崎市の学校に通わせた場合、完全給食で総額458,140円になります。他の自治体では物価高騰を受け、今年度分の給食費を無償にする動きが広がっています。

    子どもの医療費も、川崎市では小学校4年生から1回受診するたびに500円、中学校を卒業してからは助成がなくなり3割負担になります。東京都や神奈川県内の自治体の7割以上では18歳まで所得制限なしで無料になっています。

このように、川崎市で子育てをした場合、他都市に比べて経済的負担が重いのが現状ではないですか、市長に伺います。

多子世帯の保育料についてです。

     市長は9月4日の第4回市議会定例会提案説明で多子世帯の保育料について「第2子を半額、第3子以降を無償とする」と発言されました。この言葉だけでは現行の制度となんら変わりません。保護者から聞こえてくるのは、きょうだいが小学校に上がった際と認可外に入園した際、市民税所得割相当額57700円以上の世帯はきょうだいとしてカウントされないことです。施設と年齢、及び所得制限を撤廃する考えなのか、市長に伺います。そもそも本市の保育料自体が高額であり、多子世帯への負担軽減というのであれば、他都市が実施している第2子から保育料を無料にするべきです。 市長の見解を伺います。

教育をめぐる環境整備についてです。

学校のプールにおける水の流出事故についてです。

    市立稲田小学校において、プールの注水に際し、止水作業に失敗し、5日間注水し続けたことでプールの水を流出させた事故が発生しました。市は、民法第709条に基づき、その損害額約190万円の半額を校長と教員、両名に支払わせるというものです。操作した教員は、プール開きに向けて注水するため、操作盤の注水スイッチと同時にろ過装置を作動したため、警報音が鳴り、警報を止めるためにブレーカーを落とし、止水のために注水スイッチも落としました。しかしブレーカーが落ちていたため、注水スイッチは機能せず、注水は継続したということです。市は、「止水を確認しなかったこと」、「正しい操作方法の確認を怠った」などの過失があるとして、民法第709条の「故意または過失がある場合は賠償責任を負う」という規定に基づいて、教員に賠償責任を課しました。

教員の責任についてです。

    市は「正しい操作方法の確認を怠った」として、教員の過失があったとしています。しかし、今回のケースは、取扱説明書もなく、唯一、注意書きがついた装置の写真1枚のみが機械室に置かれており、それに沿って操作を実施しました。シーズン最初にその写真の注意書き通りに実施すると注水とろ過装置を一緒に作動させるため、必ず警報が鳴ります。実際、昨年も同じように操作をして警報が鳴ったということですから、誰がやっても写真の注意書き通りやると警報が鳴るということです。プールの装置の説明は年に1回のみ行われますが、この教員は、この説明を受けておらず、シーズン最初の作業は初めてだったにもかかわらず、この業務を指示されたということです。これでどうして教員の過失と言えるのか、教育長に伺います。

行政の責任についてです。

    全国では、数年前からプールの問題が多発しており、その対策として例えば東京都は2度の通達を出して、適正な管理、事故防止策や実施状況の点検などを徹底していました。

   しかし、市は、事故の後に「年度当初のプール使用開始前に、機器の説明や給水も含めた装置操作方法を確認する」と回答しており、今回のケースのように年度当初の機器の操作説明や取扱説明書などを全学校に徹底してこなかったことを認めました。さらに市は、取扱説明書の配備状況も把握しておらず、今になって調査していますが、配備していない学校は4割近くになるということです。全国でプール流出問題が出ていて、多くの学校で同じような事故が発生する可能性があるのに、市は何ら対策を取らず、この状況を放置していたことになります。これでどうして市は行政としての責任を果たしたといえるのか、教育長に伺います。

議案第125号川崎市市民館条例の一部を改正する条例の制定について、及び

議案第126号川崎市立図書館設置条例の一部を改正する条例の制定についてです。

    この議案は、中原市民館、高津市民館、高津市民館橘分館および高津図書館橘分館の管理を指定管理者に行なわせるものです。

    私達はこれまでも、市民館、図書館への指定管理者制度導入について、人件費の削減による労働環境の悪化は避けらないのではないか、専門職員の質の向上が難しくなり、多様な市民の活動を情熱を持って支えてきた市の財産とも呼べる職員の継続した、安定した職員体制が確保できないのではないか、などと指摘してきました。

はじめに、指定管理者制度導入決定までの過程についてです。

   川崎市の市民館は、高度成長期、多くの労働者が川崎へ移り住むなかで、多様な人々が繋がりこの町で暮らし続けるために、平和、人権、多文化共生、地域の特色を活かした課題克服に向けた学習会等、市民主導による社会教育活動が行なわれてきた貴重な文化施設であり、今でもその文化は色濃く継承されています。しかし2010年以降、各市民館は補助執行制度を使って首長部局へ所管が移管され、社会教育が教育委員会から切り離されてきました。それでも社会教育法第15条に基づき「教育委員会に助言を行う」と設置されている本市の社会教育委員会議ではその在り方が議論され、2016年3月に発行した研究報告書の中で「川崎市の積み上げてきた市民館・図書館の成果を踏まえ、当面、指定管理者制度の導入の必要性は見当たらない」と結論付けています。

    しかし2022年5月に「市民館・図書館の管理・運営の考え方(案)」で突如として指定管理者導入の方針が示されました。社会教育委員会議には、6月から3ヶ月間、3回の会議で教育委員会に対し提言を出すスケジュールが示されましたが、提示された提言の叩き台が指定管理者制度ありきの内容となっており、「拙速すぎる」「慎重に審議してほしい」といった疑問を呈する意見が学識経験者などから次々と寄せられ、会議は最後まで紛糾しました。結果、1年経った現在でも提言は出されていません。つまり、2016年の研究報告書「指定管理者制度の導入の必要性は見当たらない」の結論から見解の変更はないということです。社会教育法に則って教育委員会に助言する社会教育委員会議が「必要性がない」と言っており、市民館図書館を一緒に作り上げてきた市民の皆さんも反対の声を上げているときに、なぜ指定管理制度を導入する決定を一方的に行ったのか、伺います。

条例改正案の条文についてです。

    川崎市民館条例4条の2(2)で、図書館条例では5条(2)で「施設の効用を最大限発揮するとともに管理経費の削減が図られるものであること」と規定しています。市民とともに社会教育活動が行なわれてきた川崎の市民館、図書館の効用を最大限発揮する為に必要とされるのは、職員の専門性の一端である地域との繋がりであり、継続的な地域との関わりです。有期での管理となる指定管理者制度でどのようにその専門性を担保することができるのか伺います。管理経費の削減とは何を意味するのか、伺います。

パブリックコメントの取り扱いについてです。

    今回のパブコメも反対が圧倒的に多い状況でした。結果によって方針の変更はないとするパブコメの取り扱いについて、社会教育委員会議では「情報共有・参加共同・市民自治の基本理念を確定して物事を決めていくべきとする自治基本条例に反している」との指摘があり、それに対し市職員は、「そもそも政策の賛否を問うものではない」と答えたとのことです。6月議会においてもぜんそく患者医療費助成制度の廃止について多くの意見が無視されたことに対し、パブコメの意義についてただしましたが、この社会教育委員会議での指摘は、その通りです。情報を共有し、市民の参加を求めるなら、パブコメで寄せられた多数の意見は反映させるべきです。伺います。

高齢者施策についてです。

    今年度は、来年度からの第9期川崎市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(かわさきいきいき長寿プラン)の策定が行われます。

特別養護老人ホームの整備計画についてです。

   6月1日現在、特養ホームの入居申請者数は2511人です。しかし、現在58施設の入居率は94.2%で、入退去期間等を考慮するとほぼ満床状態です。今後の増床は10月に52床、2025年3月に建替え開設の132床だけです。私たちはこれまでも増設を求め続けてきました。それに対して、市は高齢者実態調査の結果等により検討していくと繰り返し答弁されています。昨年度実施した実態調査では申請1年未満に入居できた方は前回調査の30.5%から、25.2%に減少しています。さらに入りづらくなった実態が明らかになりました。来年度からの第9期計画に特養ホーム新設計画を盛り込むべきです。伺います。

介護保険料についてです。 

   介護保険料について、昨年秋に行った「令和4年度高齢者実態調査」では「高い」と感じる人の割合が前回調査より増加し47.2%でした。現在の異常といえる物価高騰と年金の実質目減りは生活が維持できないほど高齢者の生活を苦しめています。こうした事態ですから、第9期の介護保険料基準額段階の保険料の引下げを検討するべきです。

これまでも保険料引下げに介護保険給付費準備基金、保険者機能強化推進交付金等も充当してきました、今回も介護保険給付費準備基金の年度末見込み額36億5885万円余など全額活用するのか、伺います。前回の第8期改正では保険料段階を高所得者層の段階を16段階に増やし、最高16段階を合計所得額2千万円以上、負担割合を基準額の2.8倍としました。しかし、近隣自治体では保険料を最高段階で合計所得額3千万円以上、負担割合を基準額の3倍などに設定しています。本市でも第9期計画ではさらに応能負担を進め、高所得層の保険料段階、負担割合の引上げを行い、低所得層の保険料引下げに充てるようすべきです、伺います。

マイナ保険証、資格確認書についてです。

    私たちは、6月議会でトラブルが相次ぐマイナカード、マイナ保険証については、運用をやめて、問題点を全て究明するよう国に要請すべきと求めてきました。 

本市は国保についてはこれまでは「トラブルは報告されていない」との事です。しかし、市の情報を国のシステムを使って紐づけされるわけですから、全国で起きているトラブルは本市でも起こり得るのではないのか、伺います。

あらためて安全性が確保されていないマイナカード、マイナ保険証は運用を停止すること、併せて現行の保険証廃止は止めるよう、国に求めるべきです、市長に伺います。また、資格確認書交付となった場合、現行の保険証と同様に更新を含め確実に事前送付されるのか、伺います。

中小企業支援についてです。

    原材料費の高騰、電気料金、ガス料金など光熱費、ガソリン代などの燃料費の値上げ、さらに、融資の返済など、中小・とりわけ小規模事業者には、これまで以上に厳しい経営環境が続いています。こうしたもと、「新型コロナ」関連の倒産とともに、「人材不足」による倒産も増加しています。民間調査会社によると、「2023年上期の人手不足倒産は過去最多の110件。前年同期の3倍に急増した」と報じています。「人材の確保」は、小規模事業者の事業継続にとって重要な課題です。そこで、全国に広がりつつあるのが「自治体による奨学金返済支援制度」です。これは、奨学金を利用した従業員の返済を支援する事業者や従業員に対し補助金を出すもので、昨年10月内閣官房が発表した「地方公共団体における奨学金返還支援取り組み状況について」によると、「支援」を実施している自治体数は、36都府県・615市区町村に及び、昨年度調査と比べ3都県128自治体が加わり、自治体の3割強の市区町村に拡がっているとしています。全国の12政令市でも実施され、県で実施している3市を含めれば、4分の3の政令市で取り組まれています。神奈川県内では、厚木市、小田原市、綾瀬市、箱根町、愛川町で実施されており、厚木市では、対象となる従業員の奨学金返済額の2分の1、年間12万円を上限に支援を行い、事業者からは大変喜ばれているとのことでした。本市が2021年11月12月に行った就職イベントに参加した学生の方などに行ったアンケートでも、奨学金を利用している就職希望者の7割近くが「奨学金返還支援制度」を重視すると回答しており、支援制度の有無が就職先を選ぶ重要な動機となることを示しています。中小企業への人材確保の支援策として「奨学金返還支援制度」の創設を行うべきですが、伺います。

JFEスチール株式会社京浜地区の高炉休止についてです。

    報道によると、8月29日に開催された「関係行政機関連携本部会議」で、9月16日に高炉が休止すること、10月以降、遠方への配転に応じられない方が約180人いることが明らかにされました。8月25日に公表された川崎市が行った関連下請け事業者への休止直前アンケー結果によると、21事業所が429人の雇用を減らす予定であることがわかりました。いよいよ高炉休止が目前となった今、JFEスチールと関連下請け事業所の合計609人、一人の離職者も出さず労働者の立場に立った支援を行うとの本市の姿勢が求められています。伺います。

    7月29日に開催された第1回目の企業合同面接会には98名の職を求める労働者が参加されました。「職場を守る会」の聞き取り調査によると、「遠方の配転を命じられたが、応じることができないので近場の就職を希望している」「事業が縮小になるため再就職先を求めている。なんとか見つけたい」など面接会へ大きな期待が寄せられています。周知、回数や規模、情報提供などすべて労働者の立場に立って、今後開催される面接会を最大限有効に効果的に活用する取り組みが必要です。7月と9月の面接会会場には事前に応募された企業が359社もあったにも関わらず80社の参加に制限されました。6月議会では広い会場を確保して参加企業を増やすよう求めましたが、利便性を重視して駅からアクセスのよい会場にしたとの答弁でした。利便性を重視し同じ会場を利用するのであれば回数を増やし、応募した企業が多く参加できる条件を広げ、労働者の選択肢を増やすべきです。伺います。1回目の面接会開催にあたっては、HP掲載をはじめ企業への郵送、JFEスチール構内でも出張登録を行うなど周知は十分行ったとの認識のようですが、職を失う方609人に対して参加人数が98名では十分とは言えません。個別に案内を届けることなどさらに検討が必要です。伺います。3交代勤務者も多いので、午前中の開催も検討すべきです。伺います。

関連下請け事業者の支援についてです。

    本市が行った休止直前アンケート調査では、高炉休止後の予定の周知状況について「自社の今後の対応を検討するに必要な情報は聞いていない」17社、「全く聞いていない」2社と、いまだに必要な情報が届いていない、説明を受けていない事業者が残されているという驚くべき事実が判明しました。これまでの答弁では「JFEスチールに丁寧な説明や情報提供の徹底を求めた」と繰り返していましたが、実際は放置されていたわけです。事業者の半数は従業員50人以下の市内中小零細企業です。弱い立場の事業所が休止直前にもなって今後の方向性も決められずにいることをこれ以上放置するのは許されません。こうしたアンケート結果が明らかになったからには、本市の責任において19社に対し今後の事業計画が立てるに値する情報提供や説明をさせるよう直ちに対応すべきです。伺います。

障がい者施策における防災対策についてです。

 昨年7月に作成された「川崎市2次避難所(福祉避難所)開設・運営(基本)マニュアル」は、障がい者や高齢者など災害時の要援護者をどう2次避難所、すなわち福祉避難所に誘導するか、2次避難所の運営をどうするかなど手順を定めたものです。これまで多くの障がい者団体や当事者、家族の皆さんから災害時の避難所での配慮を強く求められてきました。これらの意見がどのように反映されているのか、検討する必要があります。

 マニュアルでは、できるだけ早いタイミングで2次避難所を開設すべきだとして、市内3か所のリハビリテーションセンターを発災直後から2次避難所として開設するとしています。わが党はずっと福祉避難所は最初から指定して、発災直後から必要な方が一次避難所にはいかずに、安心して避難できるようにするべきと求めてきましたが、そのためには、そこに避難する人が誰なのかをあらかじめ決めておく必要があります。また、近隣にそれを周知し、一般の方はここに避難しないよう徹底する必要があります。このリハビリテーションセンターへ避難する人をどう想定しているのか、近隣への周知はどうするのか伺います。また、こうした避難所をさらに増やすのか伺います。障がい児のために特別支援学校は通学している児童生徒を受け入れるようにすべきと思いますが、伺います。

 マニュアルでは1次避難所が開設されると、被災者支援班という、避難所を担当する市職員が要援護者の相談窓口を設置し、要援護者のスペースを設置するなどの対応をすることになっていますが、この職員は各避難所に要援護者のために専任で配置されるのか伺います。

 マニュアルでは、発災後1時間以内に、E-Welfiss(イーウエルフィス)というシステムを立ち上げ、協定を結んでいる2次避難所がどこが立ち上がっているのか、何人受け入れられるのかなどを共有することができるとしています。そして区単位で、誰をどこに搬送するのか選定を行うとしていますが、大規模災害時の場合、すべての要援護者をすぐに振り分けることができるとは到底考えられません。2次避難所への搬送は始まったとしても、しばらくのあいだ、多くの要援護者が1次避難所にいなければならないことは明らかです。その際、障がい者団体から繰り返し要望されている、避難所内での特別の配慮は依然として必要です。教室を使い、障害種別の避難スペースを確保すべきと思いますが、伺います。

 次に、障がい者災害時個別避難計画について伺います。障がい支援区分6の方から作成が始まっているとのことですが、進捗状況を伺います。これが実際の避難の際、2次避難所への迅速な避難に役立つのか、伺います。

臨海部の水素戦略についてです。

 川崎市は、オーストラリアで褐炭を燃やして作った水素、グレー水素を作り、CO2を回収・削減するためのCCS技術を使ってブルー水素にして輸入するということです。輸入した水素は、天然ガス発電所で天然ガスに混ぜて燃やす、いわゆる混焼で発電し、ゆくゆくは水素のみで燃やす専焼に移行するとしています。

水素の混焼・専焼発電についてです。

 まずコストについてです。一番の問題は輸送費で、―253度まで冷却して液化した水素をオーストラリアから運んでくるため、水素専焼の発電コストは、21円、混焼でも12円です。欧米では、太陽光や風力の発電コストが5円前後、今の天然ガスでも11円なのに、その2~4倍のコストでは、工場はもちろん、家庭用でも使えません。しかも、CCSでCO2を回収・貯蔵し、水素を液化してオーストラリアから船舶で輸送するとなると、膨大なエネルギーロスが生じます。これだけコストが高く、エネルギーロスも膨大なのに水素発電を推進するのか、市長に伺います。

 次にサプライチェーンの問題です。世界的な大企業では、「つくる」「運ぶ」「使う」「廃棄する」などすべての工程において、CO2排出量を評価するライフサイクルアセスメント(LCA)を強化する動きが強まっています。これに合わせて国際エネルギー機関(IEA)やG7先進国は「2035年までに電力部門からのCO2ゼロを目指す」と確認しています。しかし、資源エネルギー庁の計画では、2040年代まで水素混焼を続け、専焼に移行するのは50年以降としています。そうなると40年代まで発電所からCO2を排出し続けることになり、こういう電力を使って製造した部品、製品は輸出できなくなり、世界のサプライチェーンから外されることになります。35年までにCO2フリーエネルギーを供給する体制をとらないと臨海部から製造業が失われるという危機感がないのか、市長に伺います。先進国での再エネは、太陽光や風力が中心であり、臨海部の広大な土地、建物を使えば、太陽光などでCO2フリーエネルギーを自給することは可能です。水素の混焼・専焼発電の計画は中止をして、太陽光・風力などの自然エネルギーに切り替えるべきです、市長に伺います。

以上で質問を終わります。


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