川崎合同法律事務所・北合同法律事務所との懇談
7月14日(金)、日本共産党と川崎合同法律事務所、北合同法律事務所との懇談会が行われました。
最初に、保育園問題について合同法律事務所の川岸弁護士から報告と要請がありました。
2015年4月川崎幸町に開園した小規模保育園キッズガーデンの運営会社が認可に必要な常勤保育士数を満たしていなかったにも拘わらず職員名簿を水増しして認可を受け、補助金を不正受給していたことを市に内部通報したことをきっかけに園長が雇止めされたことから、損害賠償を求めて提訴した事件を受けたもの。①川崎市が認可保育園に対する抜き打ちの行政監査を実施すること、②保育士の待遇改善のための補助金の上乗せ、③市内保育労働者・保護者の再組織化のための学習交流会への参加を、というもの。市議団からはこの間の議会内外での取り組みを説明。学習・交流会参加については日程を調整して参加を検討することになりました。
次に学校教科書問題について、北合同法律事務所の畑谷弁護士が報告。はじめに、学校教科書採択に関する文書データ消去問題について報告。これは、2014年8月17日と30日開催の教科用図書の採択に係る教育委員会会議の議事を記録した音声データについて、市民から開示請求が行われた際、教育委員会は「音声データは会議録を作成するために補助的に用いたものであり、公文書には当たらない」として拒否処分。開示請求者の異議申立を受け、川崎市情報公開・個人情報保護審査会に諮問。教育委員会は「会議録(案)が完成したため2014年10月に音声データを消去した」と説明。保護審査会は答申で、「音声データは公文書である」と明確に判断したうえで、「公文書に該当するとの見解があることを知りながら、本件音声データを消去したことは、川崎市情報公開条例および川崎市教育委員会事務局公文書管理規則の趣旨をないがしろにするものとして非難されてしかるべきもの」と付言。その後、開示請求者は川崎市を被告として訴訟を提起。2017年5月18日の文教委員会で、教育委員会は「音声データを2014年10月21日と31日に消去したとしていたが、ICレコーダで録音した音声データが庁内共有ファイルサーバ内に2015年9月まで残っていた」と報告。これまで消去したとしていた日時から11ヵ月後まで存在していたことが発覚。また、「そのデータを複写した音声データが庶務課所有のUSBメモリ内に2016年3月25日から30日まで存在していた」事実と、担当課長を停職3ヵ月、担当係長を文書注意という処分をしたと報告した問題です。畑谷弁護士からは、引き続き、議会で事実解明を追及してほしいと要請がありました。
また、現在、歴史歪曲の育鵬社の社会の教科書の採択率は全国では約6%にすぎないのに神奈川県では43%となっている。その理由は横浜市と藤沢市が採択していることによる。次に狙われているのは川崎市であり、注視と警戒が必要と話されました。
さらに、全国の自治体で国を先取りする形で制定がすすんでいる「家庭教育支援条例」について交流。熊本県や岐阜県、また市町村でも制定されています。川崎市議会でも、制定を取り上げる議員がいるが、親が子に対する家庭での養育ないし教育において何を大事にし、どういった方針で臨むかは、まさにそれぞれの過程・親の価値観そのものであり、公権力が保護者に家庭教育支援として学習の機会などを提供し、条例をもって「親としての学び」により「自ら成長していく」ことを義務付けることは公権力よる過干渉であるものとして看過できないことから、引き続き注視していくことになりました。
共謀罪が成立し、市民の間に萎縮する状況が生まれているが、成立したからこそ、その内容を学習し、不当な適用には毅然と対処していくことが話されました。
ヘイトスピーチ問題についても懇談。7月16日にまたもや主催者側が行なった道路使用許可申請を神奈川県警が許可したことから、実施される公算が大きいと報告。「ヘイトスピーチ」を許さない市民行動を共に、と話されました。強行された16日には多くの反対する市民が駆けつけ抗議する中ヘイトデモがわずか数分で引き上げる事態となりました。これらの取り組みでは、川崎合同法律事務所の弁護士のみなさんの関与も大きな力になったことが明らかになりました。