LGBT講演会に120人の参加
7月9日、共産党市議団は市内で「LGBT学習講演会」を開催しました。
「LGBT」は「性的マイノリティ」とも呼ばれ、ある調査では人口の7.6%、13人に1人の割合で当事者がいるといわれています。世界的には性自認性的指向にかかわる人権を擁護、性的指向にかかわる差別を禁止する憲法や法を規定する国々が増え、2015年6月にはアメリカ連邦最高裁が「同性婚は合憲」とする判決を出し、13年前まで法律で禁止されていた同性愛・同性婚が全米で合憲とされるまでに変化しました。
日本国内でも東京都渋谷区で同性パートナーシップ条例が制定されたのをはじめ、世田谷区などいくつかの自治体で同性パートナーシップ要綱を制定、政令市では札幌市がはじめてパートナーシップ制度を制定。大阪市淀川区、岡山市、横浜市などLGBTの方たちへの相談窓口を設ける、職員研修を行なう、医療機関での手続きの便宜をはかる、教育の現場で人権教育の一環として取り組むなどの対応を行なう自治体も多くなっています。そこで、私たちは、当事者のお話を聞いて理解を深めるとともに、こうした先進事例に学び、川崎市の取り組みを前進させたいと、講演会を開催することにしたものです。当事者でもある南和行弁護士に講演していただき、ご家族としての立場から、来住和行氏(日本共産党中野区議)にもお話をしていただきました。
南弁護士は、ご自分が同性愛者だと受け入れるまでに苦悩や葛藤があったことを率直に話され、七夕の短冊に「同性愛が治りますように」と書きたいくらいだったと。また、ご家族にカミングアウトした後、ご家族との葛藤があったこと、いまは理解して受け入れてもらえた過程を動画に登場されたお母さまの言葉から語られました。そして、一橋大学院生がゲイであることをアウティングされた結果自殺に追い込まれた事件やKスポーツクラブで性同一性障害の方が利用するに際して自認の性で扱ってほしいとの要望を拒まれた事件などの代理人としてかかわる中での問題性についても詳しく話されました。
性的指向と性自認は、あらゆる人に共通する事項であるにもかかわらず、特定の性的指向や性自認についてのみ、否定されたり抑圧されたり差別に曝されたりあるいは権利が制限されるのは、人が生まれながらにして自由かつ平等であることに反するということが明確になっています。したがって、LGBTの課題の解決は「少数者にも権利を認める」ことではなく、「もともと同じ権利がある」ことを前提に人権保障を阻む障害を除去する視点でなされなければなりません。こうした観点から南弁護士は、LGBTは、自分自身のありのままを大切にするという、何よりも人権の問題として捉えるべきであることを強調されました。
来住区議は、それまで地方議員として当事者や関係団体の発行物にも目を通してきたこと、そのことが自分自身のセクシャルマイノリティに対する差別、偏見について顧みる機会となってきたと話を始めました。ところが、息子さんからゲイであるとカミングアウトされたとき、思わず「どうにかならないのか」と言ってしまったと告白。しかし、30年間も自分の中で抱えてきた息子さんの思いや自殺を考えるほど深く苦しむセクシャルマイノリティの方々を思うと議会で取り上げるべきだと考え、取り上げてきたと報告。その内容についても語られました。
市議団は、この間先進的な取り組みをしている全国の自治体―大阪市淀川区、岡山市、札幌市、横浜市、東京都渋谷区、世田谷区、文京区を視察してきたほか、5月のレインボープライドや学習会に参加。学習用のDVDなどを市議団全員で視聴。また、当事者グループやご家族にもお会いしてお話をお聞きし、理解や問題点を深めたうえで、6月議会の代表質問や一般質問で取り上げました。その内容についても報告させていただきました。
当日は、畑野衆院議員と君嶋千佳子県会議員も参加。遠くは京都市、名古屋市から、また大田区、調布市、江戸川区、品川区などからの参加者もお出でになり、会場いっぱいの参加者が熱心に耳を傾ける様子が見られました。講演後は会場からさまざまな質問が寄せられ、南弁護士と来住議員が丁寧に答えられました。