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「非正規労働者の待遇改善にはならない」~意見書案に反対

DSC000072016年第3回川崎市議会定例会の10月17日、自民党が提案した意見書案第16号「同一労働同一賃金の実現等非正規労働者の待遇改善を求める意見書」について、渡辺学議員(幸区)が反対討論を行いました。

共産党が反対しましたが賛成多数で可決されました。

渡辺議員の反対討論の予定原稿は次の通りです。

 

 

 

「同一労働同一賃金の実現等非正規労働者の待遇改善を求める意見書」案に対する反対討論

私は、ただいま議題となりました意見書案第16号「同一労働同一賃金の実現等非正規労働者の待遇改善を求める」意見書につきまして、反対の立場から討論を行います。

政府の進める「雇用改革」が非正規労働者を増大させた結果、その比率が40%に達しています。非正規労働者の1時間当たりの賃金は、正規労働者に比べて6割程度と大きな開きがあり、その待遇改善は待ったなしの課題となっています。

昨年9月に成立・施行されている「同一労働同一賃金推進法」は、民主党などから提案された際は「職務に応じた待遇の均等の実現」とあった文言が、政府与党の要求により「均等および均衡の実現」に修正された結果、均等待遇を図る保障がなくなりました。また、同法で「3年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講じる」とされたことは、改正が先延ばしにされたうえ、必ずしも法改正が行われるとは限らないものとなっています。 

「均等待遇」でなく、「均衡待遇」にすることによって、「同一労働同一賃金」の厳格な適用が「バランスさえとれていればいい」となるのではないか、関係者の間からは危惧の声が出ています。さらに懸念されるのは、「均衡待遇」では、「同一労働同一賃金」の名のもとに、低い方に合わせる、すなわち、正社員の賃金を非正規社員の賃金に低めることにならないか、ということです。

今年1月22日、安倍首相が施政方針演説で「同一労働同一賃金」の実現に言及した際、正社員と非正規社員を同じ賃金水準にする『均等待遇』ではなく、責任の重さなどによってバランスが変わることを認める『均衡待遇』という表現を用いたことに対し、当時の民主党細野政調会長は、「中身は甚だ心許ない」と苦言を呈したと報道されています。

同法に、低賃金で解雇しやすい『限定正社員』など就業形態の多様化を推進することが盛り込まれたことも問題です。正社員の6~8割の賃金の『限定正社員』を『多様な正社員』として採用し、これを「均等・均衡待遇」として「同一労働同一賃金」とされれば、労働者全体の賃金水準は大きく低下することになるからです。「多様な働き方」の名で非正規雇用の拡大をすすめる政策はやめるべきです。

法改正にあたっては、(1)「均等待遇」を原則とすること、(2)性別や雇用形態をはじめ合理的な理由のないすべての差別を禁止すること、(3)非正規労働者の賃金改善が法改正の趣旨であり、「同一労働同一賃金」を理由とした正規雇用労働者の賃金引き下げは許されないことを明記することが必要です。

ところが、本意見書案では「多様な労働力の確保」、「均等・均衡」を前提にした内容となっており、まさに、「同一労働同一賃金推進法」と同一内容です。これでは、「同一労働同一賃金」とは程遠いもので、非正規労働者の待遇改善にはまったくなりません。

よって、この本意見書案には反対であることを表明して討論を終わります。


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