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議会報告

小児医療費助成条例の修正案提出

DSC099342016年第3回川崎市議会定例会の10月17日、片柳進議員(川崎区)が、「議案第122号 川崎市小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について」に対する修正案の提案説明をおこないました。

採決の結果、修正案は共産党だけの賛成で否決、原案が可決されました。議案第122号条例案に対する付帯決議案には共産党は反対しました。

「請願第24号 小児医療費助成制度に『一部負担金』を導入しないことを求める請願」(小児医療費助成制度に一部負担金を導入しないことを求めるもの)も賛成は共産党だけのため不採択とされました。

修正案及び片柳議員の提案説明の内容は次の通りです(議事録ではありません)。

 

「議案第122号 川崎市小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について」に対する修正案

「議案第122号 川崎市小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について」の全部を次のように修正する。

川崎市小児医療費助成条例の一部を改正する条例川崎市小児医療費助成条例(平成7年川崎市条例第24号)の一部を次のように改正する。

第2条第2項を削り、同条第3項中「幼児等」を「乳幼児等」に、「満9歳」を「満12歳」に改め、同項を同条第2項とし、同条中第4項を削り、第5項を第3項とし、第6項を第4項とする。

第4条を削り、第5条を第4条とし、第6条を第5条とする。

第7条第1項中「手当て」を「手当」に改め、同条第4項を削り、同条を第6条とし、第8条を第7条とする。

第9条第1項中「第5条」を「第4条」に改め、同条を第8条とし、第10条から第12条までを1条ずつ繰り上げる。

附則(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。(経過措置)

2 改正後の条例の規定は、この条例の施行の日以後に受けた医療に係る医療費の助成について適用し、同日前に受けた医療に係る医療費の助成については、なお従前の例による。

 

提案説明

私は、「議案第122号川崎市小児医療費助成条例の一部を改正する条例の制定について」に対する修正案について、提案者を代表して、提案説明を行ないます。

修正の趣旨は、当面小学校6年生までのすべての子どもたちの医療費を完全無料化するために、条例の改正に伴う新たな通院医療費の助成対象者に対する自己負担金を求めず、小児医療費助成制度に係る所得制限を撤廃するため修正するものです。

 第一に、修正案の「新たな通院医療費の助成対象者に対し、通院1回ごとに最大500円の負担を求める改正を行なわない」ことについてです。

 原案は、来年度から、通院の助成対象を現行の小学校3年生から6年生まで拡大すると同時に、4年生から6年生までは無料化せず、通院1回ごとに上限500円の窓口負担を導入するというものです。

神奈川県内では、今年度、通院の助成対象学年が、中学3年生までが14自治体、小学6年生までが15自治体ありますが、どこも一部負担金を導入していません。

新聞報道でも「指標にみる川崎市の懐事情は悪くない」として、「川崎市を除く県内の今年度の不交付団体は7市町」のうち「5市町では制度に所得制限がなく、対象も小6か中3まで。県内では全33市町村に制度があるが、同時点で負担金を求めている市町村はない」と、一部負担金の導入に疑問の声があがっています。

「持続可能な制度」にするために一部負担金を導入するとしていますが、保護者から徴収する額は約1億5千万円です。財政力指数が政令市トップで、豊かな財政状況にある川崎市が、このお金を工面できないはずがありません。

来年度、一部負担金を導入する予定は県内の自治体では、川崎市と横浜市だけと聞きます。財政が苦しく普通交付税の交付団体になっている県内の25の自治体のうち、横浜市を除く24の自治体は一部負担金を導入していないのに、政令市で唯一の不交付団体で、「財政が豊かだ」といわれる川崎市が一部負担金を導入することは矛盾しています。導入する理由も必要性もない一部負担金は求めるべきではありません。

 第二に、修正案の「小児医療費助成制度に係る所得制限を撤廃する」ことについてです。所得制限を撤廃した場合、小学校4年生から6年生までの新たな通院助成対象者数は約33,200人の増加となり、原案による改定よりも約8,200人も多くの子どもが助成を受けられます。また、ゼロ歳から小学校6年生までのトータルでは、所得制限の撤廃で、通院助成対象者数が約15万9,900人となり、原案による改定よりも、さらに約25,000人も多くの子どもが助成を受けられるようになります。

また、今回の修正案は、現在中学3年生まで対象の入院医療費の助成についても、所得制限を撤廃するという提案です。昨年度の1年間、川崎の市立3病院の15歳以下の入院患者総数は3,346人でしたが、所得制限によって、おおよそ600人程度の子どもが助成を受けられなかったと推計されます。小児科のある市内の民間病院のベッド数は延べ約5,200床ありますが、川崎市全体では15歳以下の入院患者は延べ数千人規模で所得制限にかかったと推計されます。これほど多くの子どもたちが、入院による高額な医療費の助成を受けられない状況は放置できない問題であり、その救済をはかる提案です。

 「川崎市子どもの権利に関する条例」は、第10条「安心して生きる権利」として「健康に配慮がなされ、適切な医療が提供され、及び成長にふさわしい生活ができること」を保障するとしています。全国に先駆けて、このような条例を制定した川崎市で、小児医療費助成制度の内容が他都市と比べても遅れた制度にとどまっていることを、子どもたちにどう説明するのでしょうか。

小児医療費助成の目的を「低所得の子育て世帯への経済的支援」と強調する議論がありますが、それは第一義的な目的ではありません。小児医療費助成制度の本来の目的は、次代を担う子どもたちの命と健康を守る、一人ひとりの子どもの医療への直接の支援であり、子どもの保健の向上、児童福祉の向上です。今こそ、この原点に立ち返るべきだと考えます。

こどもの命・健康と、親の所得は関係ありません。すべての子どもたちが助成を受けられる制度に改善・充実するために、一刻も早く、所得制限は撤廃すべきです。

以上の理由から、議員各位におかれましては、今回の条例改正に伴う新たな通院医療費の助成対象者に対する自己負担金を求めず、小児医療費助成制度に係る所得制限を撤廃するための修正案に賛同を賜りますよう、心から訴えまして、提案説明といたします。


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