保育要件の規制緩和はすべきではない~佐野よしあき議員が代表討論
2016年第2回川崎市議会定例会の6月16日、佐野よしあき議員(川崎区)が日本共産党を代表して、今議会の諸議案について代表討論を行いました。
佐野議員の討論予定原稿は次の通りです。
佐野よしあき議員の代表討論
私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行います。
議案第95号川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は公設公営保育園5園と公設民営、いわゆる指定管理者の運営する保育園5園の民営化に伴う議案です。私どもは、保育の継続性と公平性を担保し、公設として地域の子育て支援等に大きな役割を果たす公立保育園を民営化すべきでないと反対してきました。よって、この議案には賛成できません。
議案第96号川崎市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第97号川崎市家庭的保育事業等の設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第111号川崎市幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備、及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この条例案は当分の間、保育士の配置要件を弾力化し、乳児及び幼児が少数の時間帯におおて、市長が保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者をおくことができる。配置すべき保育士の数の算定にあたり、幼稚園教諭、小学校教諭、または養護教諭の普通免許状を有する者を保育士とみなすことができる。利用定数の総数に応じて置かなければならない保育士の数を超過して必要となる保育士を、市長が保育士と同等の知識及び経験を有するものと認めることができるなどの規制緩和を行なうものです。
児童福祉法の「児童福祉施設最低基準」では、「最低基準を超えて、常に設備及び運営を向上させなければならない」「最低基準を理由にその設備及び運営を低下させてはならない」と定めています。児童福祉法の理念に基づき、「保育要件」の規制緩和はすべきではないと考えることから、議案第96号、第97号、第111号について、賛成できません。
議案98号川崎市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、2015年5月27日に国会で成立した「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」のなかの1項目です。
この法律は、国保制度の財政運営を市町村から都道府県に移管するという、制度始まって以来の大改革が含まれています。後期高齢者の保険料の特別軽減を政令により廃止する、65歳以下の入院時食事代を引き上げるなど国民への負担を増すものです。さらに混合診療の解禁など含めて、いつでもどこでも安心して医療にかかれる国民皆保険制度を根底から揺さぶるもので、国会での審議にあたり反対しました。
提案された議案は、大病院の外来は紹介患者を中心とするよう、外来の機能分化をすることを目的とし、紹介状なしの大病院受診時の定額負担を導入するというものです。医療機関の機能分担のためといいますが、そんなにうまくいくものでしょうか。いままで、川崎病院をかかりつけ医と思い、信頼して受診している患者さん、特に近隣の方々も、この議案の成立によって、かかりつけ医を新たに探さなければならなくなります。
川崎市立病院では、緊急やむを得ない事情がある場合については、定額負担を求めないこととする。その他定額負担を求めなくてもよい場合を定めるとしている部分について、いままでグレーゾーンとしていた部分については、初診加算料を徴収しないとしています。このことには、理解を示すものですが、一定額といっても、初診で5000円、再診で2,500円という加算料は庶民にとってかなりの負担です。これらの立場から議案第98号については、反対です。
第99号川崎市立学校の設置に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、川崎市立商業高校の全日制に普通科を新設するとともに、定時制課程を廃止するものです。
商業高校に普通科を新設することについては、市民からの強い要望もあり、歓迎するものです。しかし、定時制過程の統廃合によって学校が遠くなることで、経済的な問題をはじめ、学業と仕事の両立などの問題から学校に通えなくなる生徒が生まれることが懸念されることから、私たちは定時制高校の削減には一貫して反対してきました。定時制高校に通う生徒にとって、充実したきめ細かい教育と暖かい仲間や先生のいる、かけがえのない居場所と感じられている生徒が多いとうかがっています。こうしたきめ細かい教育は、地元の中学校と連携し、生徒の生活状況を把握しているからこそ効果を発揮している、とある定時制高校の先生は話されていました。
この議案は、地域に根ざしたかけがえのない役割を果たしている、今の定時制過程を削減することになるため、反対いたします。
以上の立場から、議案第95号、議案第96号、議案第97号、議案第98号、議案第99号、議案第111号については反対、その他の議案、報告については賛成及び同意を表明して討論を終わります。