市政と市民のくらしを結ぶ
議会報告

不要不急の大規模開発は中止して予算の使い方を改めよ~石田和子副団長が代表質問

DSC082542016年川崎市議会第2回定例会で6月9日、石田和子市議副団長(高津区)が代表質問をおこない、市民の暮らし生活を最優先へ市政への転換を求めました。
川崎区で行われたヘイトスピーチに対して市が公園の使用許可をしなかったことを歓迎しつつ、条例の整備を求めました。
最後の意見として、羽田連絡道路について、建設工事用船舶が進入できるよう干潟の一部を浚渫し「工事完了後可能な限り速やかに埋め戻すことにより干潟の回復を図る」方法では、貴重な干潟を守ることは出来ないと述べ、指定開発行為に当たらないからと環境アセスの公聴会も開かない手続きで自然環境や住環境を破壊することは許されないと述べました。
また、川崎港コンテナターミナルについても、前提となる現状のコンテナ取扱能力を把握しようとせず、根拠のない40万TEUという増加見込みを立て、現状からどれだけの規模の施設整備が必要かという根拠も曖昧なまま、大規模な整備拡張を進めるというのは、税金の使われ方として納得できるものではなく、コンテナターミナルの整備拡張や臨海部での巨大な橋の建設など不要不急の大規模開発はきっぱりと中止して、予算の使い方を改めることを強く求めました。

以下は代表質問の予定原稿です(議事録ではありません)。

2016年第2回川崎市議会定例会日本共産党代表質問(日本共産党 石田和子)

私は、日本共産党を代表して2016年第2回定例会に提案された諸議案、ならびに市政一般について質問を行います。

4月14日に発生した熊本地震では震度7の揺れが二度も襲い、震度5以上の余震が何度も繰り返すという断層地震に襲われ、震災関連死を含め70名の方が犠牲になり、今なお、多くの方が避難生活を余儀なくされています。犠牲になられた方々のご冥福を心より願うとともに、被災者の皆様に心からお見舞いいたします。

市長の政治姿勢についてです。
最初にヘイトスピーチへの対応についてです。、
6月5日に予定されていたヘイトデモの公園使用許可申請について、市長はヘイトスピーチ解消法を受け、5月31日差別的言動から市民の安全と尊厳を守るという観点から不許可処分としました。私たちは5月25日に市長に対して公園の使用許可をしないよう申し入れており、市長の決断を歓迎するものです。また、ヘイトスピーチは、6月2日横浜地裁川崎支部が出した桜本地区でのヘイトデモを禁じる仮処分決定の中で、憲法の定める表現の自由の範囲外であると明確に断じられたことからも、今回の市長の決断は当然のものです。にもかかわらず、神奈川県警・県公安委員会は道路使用を許可。市民の抗議で6月5日のヘイトデモは中止となりましたが、公共施設の利用申請が別の団体や個人名でされた場合にどう対応するか、課題が残りました。
ヘイトスピーチ解消法の施行をふまえ、不当な差別的言動を行なう団体・個人に対する公共施設使用許可・不許可の条件を規定した条例等を整備する必要があると考えます。市長に伺います。

核兵器廃絶についてです。
5月27日オバマ米大統領が広島を訪問しました。原爆を投下した核超大国の現職大統領が爆心地の公園に足を運び、被爆者を前に「核兵器なき世界を追求」すると演説したことは歴史的な一歩です。この決意を生かすために米国政府は、核兵器禁止条約の国際交渉に踏み出すなど具体的な行動に進むことが強く求められます。「核抑止力」論に立ち、核兵器廃絶を先送りすることはもはや許されません。
オバマ大統領に同行した安倍首相は「日米同盟は世界に希望を生み出す」と同盟強化を強調しました。「核抑止力」に基づき、日本をアメリカの「核の傘」の下に置く日米軍事同盟を強めることは、「核兵器のない世界」とは両立しません。唯一の被爆国である日本の首相としていまやるべきことは、世界の多数が支持している、核兵器禁止条約の締結に向けた国際交渉を開始する立場にきっぱり立つことです。
全国に先駆けて「核兵器廃絶平和都市宣言」を発信し、平和首長会議に加盟している川崎市の市長として、政府に求めていくべきです。市長に伺います。

子育て支援策の拡充についてです。
小児医療費助成制度についてです。
所得制限について、市長は「より必要度の高い子育て家庭への経済的支援を行なうため、引き続き設ける必要がある」と答弁してきました。
しかし、「生活は楽ではないのに、所得制限をわずかに超えて助成が受けられない」との声がたくさん寄せられています。所得制限の限度額は、父母のうち所得の高い方の年収が基準です。夫婦共働きでも2人とも限度額を超えなければ所得制限にかかりませんが、夫婦どちらかの年収が限度額を超えれば所得制限にかかり、助成が受けられません。実態として、低所得の子育て家庭への経済的支援といえない、構造的な矛盾が生じています。この矛盾を根本的に解決するためにも、所得制限はただちに撤廃すべきです。市長に伺います。
 一部負担金の導入についてです。市長は「医療機関への適正受診の観点」「コンビニ受診を防止する効果」などを導入の理由にあげてきましたが、今年2月25日、厚生労働省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」で、日本医師会常任理事は「子ども医療費助成で、いわゆる『コンビニ受診』のような不適切な受診は生じていない」と述べています。県内では、今年度、助成対象が中学3年生までの14自治体や、小学6年生までの15自治体、いずれも一部負担金を導入していません。これらの自治体に比べても財政的に厳しいといえない川崎市ですから、一部負担金は導入すべきでありません。市長に伺います。中学校卒業まで医療費無料化を拡大すべきですが、市長に伺います。

保育所の待機児童解消についてです。
4月1日現在の認可保育所の保留児童数が2554人に対し、待機児童数は6人と発表されました。厚労省の定義に基づき2548人が待機児童ではないとしていますが、いくつかの政令市で育児休業中や求職中を待機児童にカウントしているように、基本的には自治体の独自の考え方を用いてよいことになっています。今年も、「育児休業をやむなくのばした」「週5日就労したいのに、やむなく一時保育に3日預けた」などの実態が寄せられています。実態は待機児童です。待機児童にカウントすべきことを強く求めておきます。
認可保育所の整備についてです。
 4月1日現在、認可保育所の利用申請者数は27,576人で昨年度より2,312人も大幅に増加、就学前児童数の33.68%を占めました。申請の大幅な増加について市は「若い世代の転入増等で出生数が高いレベルで推移し、就学前児童数が増加していることとあわせ、大規模集合住宅入居者の保育所申請率は一般住宅の申請率と比べて非常に高く、さらに入居開始後から暫くの間、上昇していく傾向にある」と分析しました。
今年4月時点では、「子ども未来応援プラン」の保育所、認定こども園、地域型保育所の「保育の量の見込みと確保方策」25、832人に対し、実際に確保された定員は24,739人で、計画よりすでに1,093人不足しています。3月議会で、私たちは今年度中の整備が1,390人の定員増ではとても足りないと、「安心子ども基金」等を活用して緊急に整備計画を上乗せすべきと求めました。今議会で505人分の定員増を含む6億3500万円余の補正予算が組まれましたが、これで今年度中の整備による定員増は合計1,895人分となり、2017年4月の認可保育所の定員は26,634人となります。しかし、今年4月の利用申請者数が27,576人ですから,先の市の分析からしても,2017年度の利用申請数はさらに大幅増加が予測されます。不足は明らかと考えますが伺います。また、申請を何人と見込むのか伺います。
「子ども未来応援プラン」における2017年度の量の見込みと確保方策の目標値は28,002人ですが、先の市の分析から照らしても、計画の上乗せ修正を直ちに行い、整備計画を増やすべきですが伺います。

保育士確保と処遇改善についてです。
待機児を解消するには、保育所の整備とともに保育士確保と保育士の処遇改善が不可欠です。特に首都圏においては保育士不足が極めて深刻な状況です。本市でも今年度開設の認可保育園では、保育士の確保に相当苦労したと聞きました。
 2017年度に向けて今年度中の認可保育所の整備に伴って必要となる保育士の人数の見込みを伺います。本市は、保育士確保対策として専任職員配置による取り組みを強化するとしていますが、配置の体制と取り組み内容を伺います。
 保育士の賃金は全産業平均より月10万円少ないとされていますが、公定価格では2015年度月19万9920円で非常に不十分です。民間の認可保育園の給与体系が新制度になって従前より減額されることのないようにすべきです。対応を伺います。
 保育士の待遇改善を行うには国が、全産業の平均並みの賃金を保障する公定価格の設定にすること。勤続11年以降は見込まれていない昇級財源の確保等賃金単価の改善をすること。子どもの発達を保障し、開所時間、開所日数、こどもの数にふさわしい保育士の配置ができるよう、国の配置基準の改善を図ること等を国に要求すべきと考えますが伺います。
 公立保育園には産休育休代替、週休代替、早朝、延長保育等に、非正規保育士が多数配置されています。非正規保育士の占める割合を伺います。本市の時給は今年度20円アップし、有資格者は1060円になりました。アップは8年ぶりとのことです。横浜市1,224円と比べても低く、現場で確保が大変苦労されていると伺いました。横浜市並みに増額すべきと考えますが伺います。保育の質の確保のとりくみを担うとされてきた『新たな公立保育所』の保育士等の人員増を求めてきましたが、2016年度保育士,栄養士、看護師の人員増の実態を伺います。
議案第96号、議案第97号についてです。
この条例改正は、当分の間、朝夕の保育士配置の要件弾力化、幼稚園教諭及び小学校教諭等の活用、研修代替要員等の加配人員における保育士以外の人員配置の弾力化を行うものです。しかし、児童福祉法の規定に基づき定められた「児童福祉施設最低基準」においては、「児童福祉施設は、最低基準を超えて常にその設備及び運営を向上させなければならない」「最低基準を超えて設備を有し、又は運営している児童福祉施設においては、最低基準を理由としてその設備または運営を低下させてはならない」と定めています。従って、児童福祉法の理念にもとづけば、規制緩和を行う今回の省令改正に基づく本市の条例の改正をしなくてもよいと考えますが伺います。

子どもの貧困への対策についてです。
 我が国のこどもの貧困率は16.3%、6人に1人の割合で広がっています。先進諸国のなかでも貧困率が高く、対策は急務です。2013年に「こどもの貧困対策の推進に関する法律」が制定され、『子どもの貧困対策に関する大綱』が翌年策定されました。
 横浜市では貧困の連鎖を断ち切ろうと、「こどもの貧困対策に関する計画策定連絡会」を設置し、子どもの貧困の実態を包括的に把握するための実態調査を行ないました。また、東京都足立区では、教育委員会が小学1年生全員の保護者を対象に『子どもの健康・生活実態調査』を行ない、このほどまとめました。今年度「子ども未来局」を創設しましたが、教育委員会,健康福祉局等と連携し、横浜市のような貧困対策に取組む会議等を設置すべきと考えますが,子ども未来局長に伺います。こどもの貧困対策について、各局・関係部署の調整や連携を図る担当はどこになるのか伺います。
子どもの貧困が健康や生活習慣、学力等に影響があることが専門家からも指摘されています。一人一人の子どものおかれた状況を把握することが重要です。実態調査を行なうべきと考えますが、教育長、こども未来局長に伺います。

教育をめぐる環境の整備についてです。
就学援助について、伺います。
川崎市でも2014年度から申請方法を改善することによって受給率が、小学校はそれまでの6%台から9%台に増加、中学校では7%台から10%台に増加しました。
 しかし、同じ支給基準の横浜市と比較して、川崎市の受給率が低い要因について問うと、「その都市の状況によって、違うから」という答弁が繰り返されていますが、実態に合わせてもっと改善する点はないのか、真摯に検討をしてほしい、と思います。
 就学援助の支給品目も金額も都市によって違います。例えば、入学準備費は横浜市では小学校で4万600円、中学校では4万7400円に対し、川崎市は小学校2万470円、中学校は2万3,500円で倍ほどの開きがあります。国会でも取り上げられましたが、入学準備費用は小学校で平均54,540円、中学校で平均78,495円と、実態と支給金額には大きな乖離があります。川崎でも抜本的に拡充をすべきです。伺います。
 入学準備費の支給時期についてですが、所得が低い家庭にとって、数万円もの準備金を準備するのは大変なことです。支給時期について、入学前の2月から3月に支給すべきです。すでに新潟市や他の政令都市でも実施している都市があります。この問題も先日国会で取り上げられ、文科省の初等中等教育局長は「児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮するよう通知しているが、市町村に引き続き働きかけていく」と答弁しています。川崎でも検討すべきですが、伺います。

中学校給食についてです。
配膳員についてです。配膳をスムーズに行うためには、配膳員が一学年に一人、最低でも各学校に3人、大規模校についてはそれに見合った人数が必要です。学校現場からも「配膳員は学年ごとに必要」との声があると聞きます。配膳員の配置については、各学校にヒアリングを行いながら、検討を進めているとのことですが、具体的にどのように進められているのか伺います。
栄養士の配置についてです。市長は今議会の提案説明で、中学校完全給食の導入に際して学校給食を活用した食育推進の検討を進めていくと言明されました。そのためには、各学校ごとの栄養士の配置がどうしても必要です。東橘中学校ではすでに栄養士が配置され、各教室を訪問するなど食育を行っています。3月議会で、国の基準以外の栄養士の配置を検討していくとのことでしたが、検討状況を伺います。
大学奨学金についてです。
これまで給付型の大学奨学金の創設を求めてきました。その答弁では「他都市の奨学金制度を調査分析している」「国や県の経済的支援策の状況を見据え、見直しを含めて検討したい」とのことでした。調査分析や検討の状況を伺います。
 
議案第99号 川崎市立学校の設置に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
 商業高校の全日制に普通科を新設するとともに、定時制課程を廃止するものです。
これまで私たちは、統廃合によって学校が遠くなることで通学に時間がかかり、仕事と学業の両立が難しくなったり、高齢者や障がいを持った人たちの身体への負担や経済的困難などで通えなくなること、通学を諦めてしまうことが懸念されるとして定時制高校の削減には一貫して反対して来ました。
いま、定時制高校に通う生徒の抱える問題や取り巻く状況は複雑で、働きながら通う生徒だけでなく、不登校を経験した生徒、経済的貧困や家庭の困難など様々な問題を抱える生徒も多く通っています。定時制高校に通う生徒にとっては、きめ細かい教育があり、心を癒す仲間や先生がいて、やっと見つけた場所だと感じている生徒が多いという実態もあります。
先日訪問してお聞きした市立川崎高校定時制の先生の話では、地元の中学校の教師と連携をとり、地元での生活状況をよく掴むことができることが、その生徒への助言・援助に効果的に繋げることができると話されていました。商業高校定時制には幸区から通う生徒が4割、川崎区の生徒が2割です。今の定時制高校の果たしている役割を考えれば、地元に根ざした定時制高校のあることが大事だと考えます。したがって、いまある定時制高校は削減すべきではありません。見解を伺います。

住宅耐震化についてです。
 新年度から住宅耐震の制度に、部分改修や耐震ベッド、耐震シェルターも助成対象に拡充されました。熊本地震以降、住宅の耐震化を希望する方が増えています。4月以降の全体改修の申請数については、予算件数34件に対して直近で30件となっています。熊本地震を踏まえ、市民の耐震化に対する意欲が高まることが予測されます。申請数が予算件数を上回るときには、予算を増額して対応すべきです。伺います。
先日、耐震化を相談した市民が、申請から着工まで75日以内、約2ヶ月掛かるといわれたとのことです。何故2ヵ月も掛かるのか調べたところ、現地調査、計画内容や積算見積もりのチェック、建築確認や納税証明など書類審査と手続きを積み上げた結果とのことです。多様な制度が導入されましたが、宣伝広報から申請手続きと全て同じ部署で行われており、一方で職員を増やしておらず、申請期間の長期化をもたらしているようです。そこで、手続きの簡素化と、制度の普及促進の要となる職員の増員を強く求めますが、対応を伺います。例えば、耐震化キャンぺーン期間を設け、技術職OBの力も借りて、短期間に手続きを終わらせることが出来るような、集中した取り組みは実施できないのか伺います。

学校防災機能の充実についてです。
 震災時に地域住民の避難所となる市立小中学校、高校、特別支援学校では防災機能の整備・拡充が求められます。体育館へのスロープ化、体育館内のテレビなど情報通信機器の端末整備、Wi-Fi機能、体育館内や格技室内等のトイレの洋式化、マンホールトイレの整備、さらに、緊急時に飲料水を確保するため受水槽の水を有効活用する施設の整備、灯油式発電機の整備、プロパンガス設置など複数熱源の導入、校舎の窓ガラス飛散帽子フィルムの貼付、それぞれの現状と今後の計画について伺います。
首都直下地震はいつ起きても不思議ではない状況です。長期保全計画とは切り離し早急に全校整備すべきです。伺います。

児童生徒用備蓄物資の整備についてです。
 東日本大震災を受けて2011年度以降、本市は児童生徒用備蓄物資として、市立の小中学校、高校、特別支援学校に食料として、アルファ化米、栄養補助食品、氷砂糖、飲料水、生活必需品として、非常用ランタン、防寒用アルミシートが整備されてきました。保存期限がある非常食・飲料水については、防災訓練などに活用すると共に、その後の補充は各学校で対応するよう求める通達が昨年4月、教育委員会から学校長あてに出されました。しかし、学校も予算がなく、PTAで購入した学校が複数あると仄聞しています。市立学校での公的な備蓄物資は、補充分も含め、市の責任で整備すべきです。伺います。
街区公園の整備についてです。
2008年改訂の緑の基本計画では「身近な公園の整備推進」として、それまでの街区公園の整備方針を変更し、小学校区を構成する町丁目の3分の2の地区に公園を配置されるように努めることとしました。歩いていける範囲に公園ができるだけでなく、災害時のいっとき避難場所としての役割を担うと位置づけています。この方針により、全市で32の地区で公園が未充足とされていました。これらの地域は住宅密集地として、この8年間で2つの公園が整備されたものの、それ以上の進展が見られません。未充足地域への街区公園の設置について、公園の整備のために土地取得費は予算化しているのか、用地を探し、地権者との交渉をする人員は確保されているのか、具体的な取り組みと整備の見通しについて伺います。
密集市街地の不燃化推進制度の条例化に向けた中で、空き家を更地にして公園として借用する無償の使用貸借契約方式も検討しています。こうした他局の制度を参考に、未充足地域の街区公園整備について新たな手法の導入も含め、あらゆる手法を駆使して未整備地区に街区公園を整備することについて対応を伺います。

高齢者福祉についてです。
介護予防・日常生活総合事業について伺います。
 川崎では4月からスタートしました。訪問型・通所型サービスとも「現行相当」「基準緩和」「スーパー基準緩和」体系で始まりました。
 要支援の高齢者は様々な生活上の困難を抱えており、在宅生活を送る上で専門職であるヘルパーの訪問やデイサービスへの通所が「命綱」になっている人も多く、住民主体の「多様なサービス」に移行させることは慎重にしなければなりません。
 さらに「骨太の方針2015」では、「要介護1・2」に対するサービスの見直しと「市町村事業への移行」の検討が明記されています。こうなれば、介護保険の原則を根幹から揺るがすことになります。軽度者であっても介護保険サービスを受けることによって認知機能や身体機能などが維持できた結果、それ以上の重症化が抑制され、物心両面における将来の介護リスクが軽減されるといわれているのです。
 川崎では総合事業の「現行相当サービス」の報酬単価は訪問型では月額単位から週単位にかわり、1年の半分は月4週なので、報酬は今の12,988円から10,363円になります。同じサービスを行って報酬が下がってしまいます。相模原市では報酬単価は月額単位を維持しています。川崎市でも月額単位に戻すべきと思いますが、伺います。
「基準緩和サービス」の報酬は、横浜市は現行相当サービスの90%です。しかし、川崎市は現行相当サービスの70%で、月4週で見た場合、7,250円と現在の56%の報酬となります。事業者がこのような低い報酬で引き受けられるでしょうか。結局、要支援者は引き受け先がなくなり、要支援者介護難民を生み出すのではないでしょうか、見解を伺います。
 この「基準緩和サービス」については、簡易研修を受けた人がその担い手になる、ということです。研修について、夏ごろから実施したい、ということですが、その研修時間は5時間、プラス同行訪問が最低2回となっています。研修機関も、使用するテキストも、受講料の負担も事業所かまかせです。その研修を受けた人が生活援助に特化した担い手としてサービス提供を実施するとしています。この事業の目的は将来的な担い手不足への対応として担い手の裾野拡大ということです。すでに、制度はスタートしておきながら、まだ研修の体制も整っていない、市の責任もあいまいです。 
 横浜市では市が責任をもって標準テキストを作成しています。川崎でも市が責任をもって標準テキストを作成すべきではないでしょうか。研修は項目ごとに20分、30分、60分程度で合計わずか5時間でよしとされていますが、これで責任をもった利用者への対応ができるでしょうか。伺います。担い手確保の見通しについて伺います。
 川崎では、スーパー基準緩和サービスが総合事業に加わっていますが、保健師等による居宅での相談指導等、生活機能を改善するための運動機能向上や栄養改善などのプログラムによる短期集中予防サービスはメニュー化されていません。その理由について伺います。
 スーパー基準緩和サービスは報酬がなく、川崎市がやるのは広告・宣伝のみ。訪問型では実施が民間企業の高齢者向けサービスなど、通所型の実施者は、フィットネスクラブ等の高齢者向けサービスとなっています。全額自己負担ですから、年金含め低所得の高齢者は利用することはできないと思います。これでは軽度者の切り捨てに市が手を貸すようなものです。伺います。公的部分を縮小し、一方で新たな「市場」を企業向けに自費サービスとして提供するようなこういう事業を国に率先して川崎市がメニューとして掲げるべきではない、と思いますが、伺います。

特養ホーム入居申込方法の改善についてです。
本市の特養ホーム入居申込は、「入居を希望する施設に申し込むものとする」こととなっており、入居申込書などの書類と各施設が必要とする書類を添え、希望する施設ごとに提出しなければなりません。横浜市では申込みセンターが設置され、入所申込書に入所希望を最大5施設まで記入が可能となっており、提出を受けた申込みセンターが入所希望の施設に提出する仕組みを取っています。希望施設を変更する際も申込みセンターに同申込書を提出することで対応されます。また、申込みセンターに問合わせれば、待機の少ない施設の情報提供が行われるなどの工夫がされています。本市でも申込者の負担軽減、各施設の待機状況の情報提供などを一括で行う仕組みに改善すべきですが、伺います。

川崎プレミアム商品券事業についてです。
市内における消費喚起を目的として、川崎プレミアム商品券事業が取り組まれ、その報告書では市内4184の店舗で利用され、約12.6億円の消費を新たに喚起したとされています。この事業目的は、市内商店街を始め中小商店の活性化を図ることでしたが、大規模小売店舗での利用は74%、24億2千万円だったのに対し、中小店舗での利用状況は商品券の利用額で26%、約8億7千万円にとどまりました。
 仙台市が取り組んだプレミアム付商品券事業は、大型店と中小店舗で使える共通券と中小店舗でしか使えない専用券各々6枚ずつで1セットとして販売しました。その結果、中小店舗でも95.1%の店舗が商品券の利用があったと回答し、専用券の99.7%が中小店舗で使用されたことに加えて、共通券の18.5%が中小店舗で使用されていることから、商品券利用全体の59%、28億円が中小店舗で利用されました。
商品券の券種の設定に加え、各取り扱い店での商品券の利用を促進する取り組み、専用券の利用提案を徹底して行った広報などが功を奏したものと評価し、ともすると、大型店に流れがちな消費需要を、地域の商店に結びつけるきっかけを作ることは、一定程度できたとしています。
川崎市でも、同様の手法を用いた場合は同様の効果が得られたことは確かであると考えますが、見解を伺います。

正規雇用労働者の雇用を拡大する対策についてです。
非正規労働者は川崎市においても増加し全労働者の4割近くになっています。
2015年7月の総務省統計局の調査によると、非正規の職に就いた理由として「正規の職員・従業員の仕事がないから」というのが非正規雇用者全体の約2割331万人にのぼり、そのうちの48%、159万人が転職を希望しています。こうした不本意非正規雇用者は川崎市でも推計で約5万5千人になると考えられ、非正規雇用から正規雇用への転換をすすめる支援が切実に求められています。
2014年12月東京都は「長期ビジョン」を発表。この中で年間5千人、2017年度までの3年間で1.5万人の非正規労働者を正規労働者にすること、不本意非正規(2012年16万7100人)を2022年には半減(8万3千人)する目標値を示し、2015年度からそれぞれの世代の雇用実態に即して多様な事業を用意し実施してきました。
1つは、「正社員転換型」で、社内転換で正規雇用化する企業への支援を行なうものです。社内で非正規雇用者を正社員に転換した企業に対して国と都から最大100万円を支援します。さらに、都内企業の中で中小企業が99%である実態に鑑み、中小企業退職金共済制度への加入に対する支援として都独自に10万円助成。2015年度1500人規模に対し申請が5285名と目標をはるかに超えたことから、2016年度は6500人規模に拡大し、予算額も約40億円に増額しています。
2つ目は、「正社員雇用型」で、若年非正規労働者を正規労働者として採用した中小企業への支援です。東京労働局内の若者応援企業が、対象となる若者を正社員として採用し6ヵ月を超えて就業している場合、一人当たり15万円を企業に奨励金として支援するもので、1社あたりの助成上限はありません。
就職氷河期世代を対象にした正規雇用化事業として、日当や交通費を出して就職活動、研修に専念できるようにした中高年サポート事業や職務実習型正規雇用化支援も実施。そして、ワンストップできめ細かい相談ができるよう、この4月からハローワークに都の職員数十名も常駐させた窓口を開設しています。
これらの施策の根底にあるのは、「働く人の3分の1が非正規というのは尋常ではない」と、働き方の多様性を認めつつも、不本意ながら非正規で働かざるを得ない「不本意非正規」の実態があるという正確な認識に立ち、それを解消するという都職員の強い決意です。そして、「非正規の正規化について数値目標を設定すべき」「非正規の方の正規雇用への転換をすすめるには中小企業への支援が欠かせない。正規雇用促進のために中小企業への助成を拡充すべきだ」という都民の要求に対応した施策を展開してきたものです。
本市でも、不本意非正規労働者の現状を認識し、非正規雇用から正規雇用への転換策、正規雇用を拡大していく施策を実施すべきです。また、市内企業の97%を占める中小企業が正規雇用を拡大することが効果的なことは東京都の例からも明らかです。中小企業が正規雇用者を採用した場合の支援を行うべきです。市長に伺います。

東芝のリストラについてです。
 2015年12月に1万600人の人員削減を打ち出した東芝は、3月18日発表の「16年度事業計画」では、3月末までに削減数を1万3820人に拡大、4月15日には1万4450人、さらに2017年3月末までに、3万4000人を削減するものです。
他社へ転籍を迫られている女性は、「親の介護もあるうえ、通勤時間が2時間以上になる」、40代の男性は「関連会社への転籍前提の出向命令が出て、拒否したら4月から担当業務はないと言われた」、育児休業中に退職勧奨を受けた女性は、「不本意だったが退職した」などの声が寄せられています。粉飾会計の財務処理による長時間過密労働、過度なプレッシャーのため、健康被害や休職などの実態も深刻です。
厚生労働省は2013年3月27日付通達で、「地方労働局が具体的な情報を把握すること」、「企業に対し雇用維持努力を要請すること」、「地方公共団体とも連携して雇用対策本部を設置し、積極的に対応を図ること」などを求めています。 
東芝青梅事業所がある青梅市と羽村市の両市長は、地域に与える影響が大きいと、3月に事業所の存続を求める申し入れを東芝の社長に行ないました。わが党が3月議会で東芝のリストラについて具体的な対応策を市長に聞いたところ、「様々な施策を実施してきた」と答弁されました。リストラ問題で実施してきた「様々な施策」とは何か、具体的にお答えください。「様々な施策」には厚労省の通達に基づいた労働局と連携した対応も含まれているのか伺います。「様々な施策」でどのような効果があったのか、伺います。
今後さらなるリストラの拡大計画があることから、厚生労働省の通達にあるように、企業に対し雇用維持努力を要請すべきです。市長に伺います。また、地方公共団体とも連携して雇用対策本部を設置し、積極的に対応を図ること」とされているわけですから、労働局と連携して雇用対策本部を設置し対応すべきです。伺います。下請け企業や地元商店街などに与える影響についても実態調査すべきです。市長に伺います。

羽田連絡道路についてです。
5月26日に殿町小学校において、都市計画素案説明会が行われ、地元住民の不安や疑問が次々と出されました。
貴重な干潟の環境保全に対する対応についてです。
生態保持空間として位置付けられている干潟について、橋をかけたら天敵からの攻撃を避け、野鳥は橋の下を通らないという習性があるので、橋の河口側にしか行けないという指摘に対して、橋脚の数を減らし、配慮しているという回答でした。
本年5月10日付けのインターネットニュースにも「わずか5分の時間短縮のために『羽田連絡道路』を建設。渡り鳥の棲む干潟が犠牲に!?」という表題で記事が掲載されていました。その中で「東京湾の干潟は過去の10%程度しか残っていません。多摩川河口は東京湾に残る河口干潟として塩性植物群が残る唯一の場所です。多くの渡り鳥や底生生物が生息する場所は、羽田空港の直近という立地では奇跡的」と指摘されています。その貴重な干潟に渡り鳥が飛来できなくなる、干潟が危機に晒されているという懸念に対して、どう配慮できるというのか具体的にお答えください。
環境アセスについて、第3種アセス、いわゆる自主アセスの手続きで済ませるということですが、環境保護団体等専門家の意見を聴取するためにも公聴会を独自に開くべきですが伺います。
橋の必要性についてです。
「そもそも大師橋や縦貫道路など既存のルートがある中で、キングスカイフロント地区の事業と連絡道路がどのように寄与するのか分からない。道路をつくらなければどのようなマイナスがあるのか」の質問に、「数値では算出できない」と答えていました。ということは、キングスカイフロント地区の活動に連絡道路は無くても支障はないということになりますが、見解を伺います。 

川崎港コンテナターミナル整備、東扇島堀込部埋立整備事業についてです。
 平成30年代後半までにコンテナ貨物取扱量は40万TEUをめざすとし、そのための整備・拡張が進められています。240億円もかける東扇島堀込部埋立土地造成事業も、「平成37年における取扱貨物量は約40万TEUとなる見込みであり、そのためにはコンテナ関連用地が不足する」ことを理由にあげています。
 しかし、40万TEUに増える根拠については、新規立地によって見込まれる貨物が11万TEU、利用者アンケートによる既存貨物が約12万TEU、川崎港が担うべきアジア貨物が17万TEUになると、3つの分野の内訳が示されただけで、増える根拠は示されず、市当局の願望にすぎないことが明らかになっています。
那覇港コンテナターミナルは、現在、2バースの総延長600メートル、ガントリークレーン4基、コンテナヤードのグランドスロット数=コンテナを蔵置する1段目のスペース数は2,298TEUなどで、年間取扱可能量は45万TEUと公表しています。
新たな整備拡張計画を進めるには、現在の施設で、どれだけのコンテナ取扱能力があるのかを把握することが大前提になります。国土交通省北陸地方整備局港湾空港部の「社会インフラの確保」(港湾等)の資料で示された「コンテナターミナル最大取扱貨物量算定の考え方」によれば、年間の取扱量、グランドスロット数、ピーク率(年平均日取扱量に対する年最大日取扱量の比率)、有効係数(コンテナを蔵置するスペースの有効活用率)、コンテナ最大積段数、ヤード内の平均蔵置日数、年間の作業日数、などから算定できます。川崎港コンテナターミナルの現状から、それぞれの数値について伺います。それらの数値をもとに算定した、年間の最大取扱可能量についても伺います。

議案第107号南武線津田山駅自由通路新設及び橋上駅舎整備工事委託等契約の締結議案に関連して伺います。
この事業は、鉄道による地域分断の改善や踏切を横断する駅利用者の安全性・利便性の向上等駅へのアクセス向上に向けて取組まれてきました。津田山第1踏切側にはアクセス向上対策が示されてきましたが、この間、住民の方々から寄せられた「平瀬第2踏切」側からも線路を横断せずに駅舎に行くことが可能な「アクセス向上策」を繰返し質問してきました。昨年12月議会の答弁は「平瀬第2踏切側からの水路上部の通路の設置は敷地の狭隘と隣接する道路との高低差等の課題含めJR東日本と協議し検討する」でした。その後の進捗を伺います。
以上で質問を終わります。


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