【第3回】中学生まで医療費無料化を!(JCPかわさきチャンネル)
<お話>
石田和子市議…高津区選出。児童養護施設の寮母、障害児入所施設に勤めた後、川崎市立保育園での保育士31年の経験を生かし、市議会では4期16年、一貫して保育園増設、幼稚園の保護者負担軽減、産後ケア事業、母子の健康と医療など、川崎市政の子育て支援策をリード、川崎の保育・子育て・福祉の充実になくてはならない人。
おおば裕子市議…中原区選出。地元の東住吉幼稚園の元教諭を経て、川崎市議会議員へ、現在2期目。空白だった中部地域(中原区、高津区)に一刻も早く「小児急病センター」の整備をと、石田和子市議とともに市議会で要求し、昨年4月に開設。さらに深夜帯の診療開設を議会で求めるなど、子どもの命と健康を守る議会論戦に力をつくす。
石田 きょうは川崎市の子育て支援策、とくに切実な願いになっている子どもの医療費助成制度について考えたいと思います。
大庭 消費税も増税されて生活がますます苦しくなっている子育て世代が増えていますが、最近も、小学校1年生のお子さんがいるお母さんから「2年生になったら医療費がかかるので、子どもが少し風邪をひいたくらいでは病院に行かないかも…」という声まで寄せられました。
石田 日本共産党は、川崎市議会で一貫して「中学卒業までの医療費無料化」を求めてきましたけれども、先日の12月議会では大庭さんが代表質問で、あらためて、いま拡充しなければならない「5つの理由」を示して、市長に拡充への決断を迫りました。まず、その「5つの理由」を紹介していただけますか。
大庭 1つ目は、住んでいる地域・自治体によって違う医療費負担の格差と不公平感は、父母にとって耐え難いものになっているということです。2つ目は、川崎の子どもたちの健康状態から必要ということです。3つ目は、子どもの貧困対策として、まずやる必要があるということです。4つ目は、子どもの医療費にかける市の財政負担が少なすぎるという問題です。5つ目は、なんといっても福田市長の最重点公約だったということです。今日は、この「5つの理由」について現状を考えていきたいと思います。
石田 1つ目の医療費負担の格差ですが、多摩川の向こう側、東京都内では、子どもの医療費は通院でも基本的に所得制限なしで中学校卒業まで無料が当たり前です。それに比べて川崎市の助成はいまだに小学1年生までで、しかも所得制限付き。父母のみなさんから「この不公平感をなんとかしてほしい」という声が多いですし、医療費負担の大きな格差は耐え難いものになっています。
大庭 このように首都圏では、東京都、さいたま市に続いて、今年7月からは千葉市も所得制限なしで、助成対象を小学3年生から一気に中学3年生まで拡大するなど、主流になってきました。代表質問でも紹介しましたが、神奈川県内の自治体でも、厚木市、海老名市、大和市など9つの自治体が、中学校卒業まで無料です。また、藤沢市、平塚市など12の自治体がすでに小学校6年生まで無料。さらに横須賀市に続いて政令市の相模原市も、2015年度、来年度から小学校6年生まで拡大すると発表しました。
石田 東京都では23区と9つの市町村で、所得制限も自己負担もありませんし、さらに東京都内、千代田区と日の出町という町では、都の制度に上乗せして、高校3年生まで医療費が無料になっているんですよ。
大庭 そこまで進んでいるのですね。そう見てくると、いまだに小学1年生までで、所得制限もある川崎市は本当にひどい遅れですね。2つ目の「川崎の子どもたちの健康状態からも」という点はどういう問題でしょうか。
石田 共産党市議団はこれまで、例えば、実際の子どもの歯の健康状態から医療費無料化を求めてきましたが、川崎市の教育委員会がまとめた平成25年度の「学校保健統計」をみても、子どもの虫歯や口腔(口の中)の疾病異常が小中学生とも4割から5割、実に2人に1人の割合で治療が必要という結果が出ています。
大庭 医療費の窓口負担を無料にすることが、歯医者さんを含めて、早期発見、早期治療、予防指導も含めて、子どもの健康を守る決め手になるということですね。
石田 実際に群馬県では、県として中学生まで無料化したら、早期治療などで子どもの虫歯処置完了割合が上昇して、1人当たりの受診件数が減ったという話もあります。
大庭 3つ目の「子どもの貧困対策として必要」という点はどうでしょうか。
石田 いま、格差と貧困が深刻な問題ですが、その中で「子どもの貧困」が放置できない社会問題になっています。先日、川崎市内で講演された国立社会保障・人口問題研究所部長の阿部彩さんも、経済格差が子どもの健康格差につながっていると分析し、「子どもの貧困対策、健康格差の縮小にとって、小児医療費助成は『はじめの一歩』だ」と話していました。
大庭 4つ目の理由であげた「子どもの医療費にかける市の財政負担が少なすぎる」という点は、どうでしょうか。
石田 中学3年生まで所得制限なしで無料の、さいたま市と、小学1年生までの川崎市を比べると予算の違いがはっきりわかります。さいたま市では市の一般会計予算のうち、子どもの医療費にかけている予算の割合は1.14%です。それに対して川崎市はたったの0.59%、半分以下なのです。それを、所得制限を残したままで、小学6年生まで拡充しても0.84%、中学3年生まで拡大しても0.92%で、それでも、さいたま市より低い予算割合で済むのです。
大庭 市の全体予算の中で、子どもの命と健康を守る予算をどれだけ確保するかという、市の基本姿勢が問われているのですね。最後に、5つ目の理由、なんといっても「福田市長の最重点公約だった」とは、どういうことでしょうか。
石田 2013年10月の市長選挙、福田市長の公約は「小児医療費助成制度は小学校6年生まで無料にします。すぐ議会へ提案します」と、選挙公報や新聞社のアンケートなどあらゆる宣伝物・報道ではっきり書かれて、まさに最重点公約だったわけです。
大庭 「すぐ提案します」と言って当選したのに、その後5回の定例議会がありましたが、まったく提案しません。
石田 あの市長選挙10月13日の公示日、私の地元の溝口駅前で、福田市長は候補者としての第一声の演説でこんなことまで言っていたのですよ。
「小児医療費の問題。多摩川を超えますと中学校3年生までは無料というところがたくさんあります。川崎市は小学校1年生まで。私は中学校3年まで本当はやりたいけど、財政の問題があるので、まずは小学校6年生までやらせてください」
そこまで言っていたのに、市議会で小学6年生まで無料化をという公約をすぐに実行するよう求めても、市長は「財政がきびしい」とか「検討を続けている」と同じ答弁を繰り返すばかりです。子どもの成長は待ってくれません。
大庭 「船の来ない港」の開発計画は次つぎ打ち出され、川崎臨海部で必要性が説明できない巨大な橋を2本も建設する計画など、これらに1400億円もかかる、途方もない税金ムダづかいの大規模開発を進めようとしています。こうした税金と予算の使い方を改めれば、財源は十分にあります。
石田 父母のみなさんがお財布の中を心配せず、子どもが病気になった時は安心してお医者さんに行きたいという当たり前の願いに応えたいですね。日本共産党市議団は、なによりも「子どもたちの命と健康を守る施策は最優先に」という立場で、一丸となって、子どもの医療費無料化、中学生までの拡大に向けて全力をつくしたいと思います。ごいっしょに頑張りましょう。