【第1回】川崎で貧困ビジネスは許さない(JCPかわさきチャンネル)
<お話>
かたやなぎ進日本共産党川崎区市政対策委員長
宮原春夫日本共産党川崎市議会議員(川崎区選出)
(片柳)
こんにちは。日本共産党川崎市議団で市政報告動画のJCPかわさきチャンネルを作ることになりました。記念すべき一回目の司会を担当することになりました片柳進です。川崎区市政対策委員長をしています。このJCP川崎チャンネルでは、毎回市会議員をゲストに迎えて、それぞれの専門分野のお話を伺います。今日のゲストは宮原春夫市議会議員です。さて、宮原さん今回のテーマは貧困ビジネスと住宅問題です。宮原さん、貧困ビジネスとはどういうものでしょうか?
(宮原)
低所得者をターゲットにして貧困を固定化する。こういう役割をするビジネスです。ネットカフェ難民やホームレスに「生活保護をとってやるから」と言って、狭い部屋に住まわせるなどして、生活保護費・食費などをピンはねして儲けるというビジネスが横行しています。
(片柳)
実は私が住んでいるマンションの2階にこの貧困ビジネスが入居していまして、今回宮原さんに議会でとり上げていただきました。
(宮原)
片柳さんから相談があったので、まちづくり局と消防局にたいして状況を聞きました。この貧困ビジネスは、マンションの2階フロアを借りて、そこに部屋を作って人を住まわせるビジネスですが、消防法違反が12か所、建築基準法違反が7か所。合計19か所の法令違反があることが明らかになりました。
(片柳)
私のマンションなんですが、火災感知器が付いていない。消火器も避難誘導灯なども足りていない。建築法の関係では窓なしの部屋があるとか、非常照明もない、廊下の幅も足りない。まさに違法のオンパレードでした。そういうことで宮原さんに質問していただいたのですが、宮原さんの議会質問のポイントを教えていただけませんか?
(宮原)
一つは、法令違反をただちに解決するために、手を打ちなさい」ということと同時に、事故が起こってしまうと人の命にかかわる問題だから、相手を説得するとか、「相手の納得を得る」とか言っている場合じゃないと強く迫りました。今住んでいる12人の人に、いったん退去してもらって、住宅を改造するとか、待機をさせたまま、そこで営業させないとか、厳しい姿勢で臨むべきだと言いました。
(片柳)
質問の結果もありまして、今消防関係の工事が一通り進み、(事業者の)NPOに聞いたところ、「建築法関係の工事をこれからやるという約束もしてその予定は立てている」ということです。なので当面は見守っていきたいと思います。貧困ビジネスをやっているのは、うちの2階だけではなくてNPOを名のっていると思うのですが、今回は氷山の一角なのでしょうか?
(宮原)
私が知っている限りでも、この一年間の間に川崎区の堀之内、南町、渡田山王町で営業をしているひと、これから営業をしようとしているひと、そして今回の新川通のマンションと、一年間で4件も貧困ビジネスの問題にかかわってきましたが、いずれもわずか二畳とか三畳の広さに5万9千円の家賃を取って、住まわせる。 ひどいのになりますと80平米の土地を買ってそこに59室の部屋を作って、5万9千円の家賃を取る。近所の人たちからは「あいた口がふさがらない」ということも言われました。 一方で川崎区では約3千の民間アパートの空き家があるとも明らかになっていますので、そちらに誘導していくのは、最も人権を保障した政策ではないか?ということを強く主張したいと思います。
(片柳)
今回の問題は生活保護者の人たちだけでなくて、川崎区全体がまともに住める住宅を増やしていく、人間らしい住宅を増やしていくことが必要だと思うのですが、国や市などにまともな住宅の基準のようなものはあるのでしょうか?
(宮原)
一人暮らしで25平米、二人暮らしで最低30平米、三人暮らしで40平米、そして四人暮らし以上では最低50平米が必要だと決められています。
(片柳)
こういう基準でみると、川崎市の住宅事情というのは他の自治体と比べてどうなのですか?
(宮原)
この基準に満たない住宅、健康で文化的ではない、こういう住宅が多いのが川崎市です。全国平均で基準に満たない住宅は4.3%なのに、神奈川県全体では5%、横浜市4.6%、それなのに川崎市は7.5%もあります。 この基準に満たない住宅、健康で文化的ではない、こういう住宅が多いのが川崎市です。全国平均で基準に満たない住宅は4.3%なのに、神奈川県全体では5%、横浜市4.6%、それなのに川崎市は7.5%もあります。
(片柳)
全国平均からみると6割も多いことになりますね。なぜ川崎市では、最低基準面積以下の住宅が多いのでしょうか?
(宮原)
それは、川崎市の住宅政策は民間任せにして市が積極的に良質で安価な住宅を作ろうとしてこなかったところにあると思います。
(片柳)
川崎市全体ではこの最低面積基準を割っている住宅が15%。それに対して、URや公営住宅は割と健闘していますが、それに対して民間が、木造・非木造どちらも最低(面積)基準以下の住宅が多い。民間任せにしていると、こういう住宅ばかりが増えてしまうことが問題なのですね。市営住宅、割と条件のいい住宅を作っているのですが、市営住宅はこの間、川崎市は増やしていないのですか?
(宮原)
私が25年ぐらい前に初めて当選した時には、革新市政で、市営住宅をどんどん増やしていきました。土地がない場合には、民間のマンションを借り上げて市営住宅並みの家賃で住んでもらう。その差額を市が補助するという制度もとってきました。ところがその後、お金の使い方、市長の姿勢が変わって、新しい土地を買ったり、新しい市営住宅を作ることはしないで、耐震補強工事ができないような古い市営住宅を建て替える時のみに2割とか3割とか個数を増やす、高層化して増やすだけで、新たな土地を求めるということはしていません。その結果川崎市の市営住宅の申し込み状況は、平均でも20倍。ひどい所になると100倍を超えるところもあります。その結果、毎年5千人以上の人が申し込んでも抽選に外れてしまって入れない。こういう点で川崎市は安くて良質な住宅、健康で文化的な生活をさせるという義務を果たしていないことを指摘せざるを得ません。「住宅は福祉だ」というのが世界の当然の常識になっています。ヨーロッパなどでは住宅の6割から7割が公営住宅、お金持ちは自分で大きな家を建てますが、公営住宅が当たり前で、しかも住宅の家賃は年収の1割以下ということが基準になっているそうですが、日本の場合は、住宅が福祉ではなくて、住宅は儲けの対象になっている。このことによって家賃が年収の4割から5割住宅ローンに払っている人たちがたくさんいるということで、私はこういう面でも、国と市の政策を大きく転換させる必要があると考えています。
(片柳)
年収の1割と言うと、年収300万だったら月々3万円以下、年収400万だったら4万円以下でほとんどの人が住めるというのがヨーロッパだということですね。宮原さんが言っていた、川崎市の公営住宅の比率です。宮原さんが議員になったころの80年代は7%ぐらい公営とURや公社合わせてあったのが、最新の2008年では5.4%まで減らしてきたのが川崎市の「民間任せでやってきた住宅政策」だと言えます。ぜひこれは政治の流れを変えて実現したいと思います。