住民投票条例―自民・民主・公明が委員会で強行採決!
2008,06,20, Friday
6月13日、16日の2日間にわたり、「住民投票条例案」の審議が市議会総務委員会で行われました。この条例案には多くの問題点があると、請願3件、陳情10件が提出されるという、川崎市議会はじまっていらいの異例の事態となり、両日とも多くの市民が傍聴に駆けつけ、審議の行方を見守りました。
各会派から異論続出、しかし原案を自公民が強行採決
13日の委員会審議では各会派から異論が続出し、16日へ継続に。16日午前10時半からの審議が午後6時まで続いたところで、それまで一言も発しなかった公明党議員が突然打ち切りを提案。審議再開後、自民・民主・公明が本体には手をつけない付則のみの修正案を提案、原案とともに強行採決しました。
また、請願・陳情も一括して不採択に。さらに少数会派への発言も否定するなど、徹底した反民主主義的な態度で終始しました。共産党は市長案に反対し、請願・陳情の個別の審議・採択を主張し、少数会派の発言の保障も要求しました。
「市長のための投票条例」であることが審議の中で明らかに
2日間約15時間に及ぶ審議の中で明らかになったことは、この条例が「住民投票条例」とは名ばかりの、まさに市長のための投票条例だということです。
(1)住民発議は「市政に係わる重要事項」で「住民との間又は住民、議会若しくは市長との間に重大な意見の相違が認められる」ものでなければなりません。
市長と住民との関係でいえば、市長との間に重大な意見の違いがあると住民が判断できるのは、市長が公式に政策に関して意思を表明したとき、すなわち意思決定をしたときです。その「意思決定」は「川崎市の総合計画、行財政改革プラン」も含まれるとされます。ところが、別の条項で「市長により意思決定が行われた事項」は基本的に対象にならないと規定されているのです。
一方で市長の意思決定があったときでないと住民発議ができないようにしておいて、他方で市長が意思決定した場合はできないとする、これこそ、この条例の最大の矛盾です。さらに「重要事項」か否かの判断は市長がおこなうものとなっており、この結果、住民が発議できる場合はほぼ閉ざされていることが明らかになりました。
(2)市長審査をクリアしても住民は11万人以上の署名、押印が必要です。これまで川崎市で成立した直接請求は3件、10万人以上はたった1件。乱発などできるはずがないのです。また、議員の3分の2が反対すれば住民投票は実施できません。
(3)選挙と同日実施では最長2年9ヵ月後!そのうえ告示後は投票運動禁止!
住民発議から投票まで最長2年9か月かかることが明らかに。ところが市長発議は最短3ヵ月で実施可能。
しかも一番運動が盛り上がる最終盤の選挙の公示、告示の時期になると住民は一切の運動は禁止されるのに、例えば市長選での市長候補者など候補者は自由に投票運動ができるのです。
住民投票に名を借りた、市長のための投票条例
この条例は、住民の発議はほとんどできないことに表れているように、主権者である住民の権利行使を保障するという観点が全くありません。他方、市長の裁量は大幅に認められ、市長にとっては実に使いやすいものになっています。このことは、強大な権限を有する市長に新たな権限を付与することになるのです。結局、「住民」投票条例とは名ばかりの、「市長」のための投票条例であると言わざるを得ません。
委員会終了まで傍聴していた市民は終了後、市民の意見を最後まで代弁した市古映美議員、勝又光江議員を拍手でねぎらいました。(写真)
共産党の竹間幸一団長は19日の本会議で住民が使いやすい修正案を提案することを表明しました。