市政と市民のくらしを結ぶ
議会報告

2008年第3回川崎市議会臨時会 代表質問

2008,07,24, Thursday
7月23日、日本共産党を代表して佐野仁昭議員が質問しました。その内容は次の通りです。

2008,07,24, Thursday2

私は日本共産党を代表して、議案第100号川崎市平和無防備都市条例の制定について質問します。

今回の直接請求運動を通じて、アフガニスタンへの報復戦争やイラク戦争などアメリカの引き起こす戦争で、何の罪もないたくさんの人たちが犠牲になることに心を痛め、世界の平和を願い署名されたものや、第2次世界大戦を体験し、戦争の悲惨さを2度と繰り返してはならないという思いから署名されたものなど、3万筆を超える署名一つひとつに、平和を願う川崎市民の思いが込められたものと私たちは受け止めています。

わが党は、戦前戦後一貫して、戦争反対を貫き、戦後制定された平和憲法を遵守し、日米安保条約の廃棄を目指し、当面のアメリカの戦争に加担する日米軍事同盟の強化に断固反対の立場で、取り組んできました。私たちは、憲法9条が果たしている大切な役割に確信を持ち、共に力を合わせることが何よりも欠かせないことと思います。

この間、アメリカの要求に基づき、在日米軍基地の再編強化と有事関連法の整備が強行され、日本をアメリカの行う戦争に参戦できる国づくりへと向かう危険な流れがつくられようとしていますが、一方で、憲法9条を活かして、日米軍事同盟の策動を食い止めようという広範な国民の運動が、戦争への準備を押しかえす力となって全国に広がっています。

また、横須賀では、5万人を超える原子力空母の母港化の是非を問う住民投票の実施を求める直接請求署名が集められ、住民投票の実施は、否決されたものの、横須賀市議会として署名に託された市民の思いを重く受け止め、国に対して全会一致で意見書が採択されました。
さらに、沖縄でも、沖縄県内の基地たらい回しを決めたSACO合意から12年たちますが、平和を願い、基地たらい回しを許さない全県を挙げての沖縄県民の運動によって、あの名護の海に予定されている新基地建設のための杭を一本も打たせてきませんでした。

このように、日米軍事同盟の強化に対して、基地被害をなくし、憲法9条に基づき、平和を守ろうと願い、基地周辺の自治体を中心に、基地強化を許さない闘いが大きく広がっています。
名古屋高裁では、イラク戦争への航空自衛隊による米軍支援活動に対し、憲法違反として断罪する判決が下されました。と同時に、憲法に定められた平和的生存権が、差し止めや損害賠償請求のできる具体的な権利として認める画期的判決が下されました。

平和を願う国民の力が、日本の平和憲法の力を生かした結果を産み出したものです。
また、憲法九条を世界的規模で活かそうという取り組みや、国連憲章にもとづく平和秩序をめざす流れが、世界の広大な地域を覆う巨大な流れとなっています。

1999年にオランダのハーグで行われた世界平和市民会議での「行動指針」が、各国議会に「憲法九条のように戦争放棄宣言を採択すること」をよびかけるなど、今世界でも見直されつつあります。さらに、今年5月には、9条世界会議が開かれ、「日本国憲法9条は、戦争を放棄し、国際紛争解決の手段として武力による威嚇や武力の行使をしないことを定めるとともに、軍隊や戦力の保持を禁止している。このような9条は、単なる日本だけの法規ではない。それは、国際平和メカニズムとして機能」するものであると宣言しました。

またアジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)が平和の地域共同体の基礎に位置づける「東南アジア友好協力条約」(TAC)への参加国が、イラク戦争開始の2003年以後、ASEANの域外の諸国に急速に拡大し、地球人口の57%を占める二十四カ国が参加し、ユーラシア大陸のほとんどを覆う巨大な平和の流れをつくりだしています。

こうした情勢を踏まえて、今こそ、憲法9条を力に、平和を願うすべての人々と共同し、世界の流れから孤立する日米軍事同盟の強化再編を止めさせ、憲法9条を守り、活かす運動を太く大きく広げるために、私たちは、これからも全力を尽くすことを表明して質問に入ります。
まず、この直接請求署名を通じて、3万人を超える平和への願いをどう受け止めるのか市長の見解を伺います。

次に、本市として、平和への願いをどう行政の中に活かしていくのか、平和施策についてです。

市長は意見書の中で、川崎市が昭和57年(1982年)に都道府県や他の政令市に先駆けて核兵器廃絶平和都市宣言を行うとともに、川崎市基本構想においても民主主義の下での人権の尊重と平和への貢献をその根本的な理念とし、これを基に、さまざまな平和施策の推進に取り組んでいると述べています。

しかし、この間の平和関係予算は、阿部市長就任後、急激に削減され、2001年に比較して約3000万円30%も削減されています。

他都市では、戦後63年を迎え、戦後生まれが70%以上を占める中で、憲法が掲げる平和主義を実践していくためには、それぞれの地域で、戦争と平和を考える機会を創出し、関心を広げていくことが不可欠として、戦争遺跡を積極的に保存し、独自に戦争を語り継ぐ取り組みを強化しているところがあります。

平和を願う市民の声に応えるというならば、平和予算を増額し、積極的に平和事業に取り組むことこそ重要ではないでしょうか、伺います。

また、旧陸軍登戸研究所など市内に残る貴重な戦争遺跡を保存し、平和施策、学校教育へ活かしていくべきと考えますが、見解を伺います。

また、平和予算を毎年のように削減し続け、市民の平和事業への後援は拒否する一方で、国論を二分している自衛隊の音楽祭を市が後援し、その上、市立高校の生徒まで出演させています。核兵器廃絶平和都市宣言の趣旨に反し、川崎市民の平和の願いに逆行するこれらの取り組みをやめるべきです。市長に伺います。

次に、「国際人道法の積極的活用」に関する点についてですが、ジュネーブ諸条約の諸協定や追加議定書は、戦争が続く中で、人道的に犠牲者をいかに少なくするのかということから出されてきたものとして、戦争状態を前提にしたものか、見解を伺います。

<再質問>

再度、川崎市平和無防備都市条例案について、伺います。

署名をされた3万人を超える市民の思いをどう受け止めるのかという質問に対し、市長の答弁からは、一筆一筆に込められた平和の思いを重く受け止めるような真摯な姿勢が感じられませんでした。

市長は、さまざまな平和施策に取り組んできたと述べましたが、平和を願う市民の声をしっかり受け止め、まともに応えようとしない姿勢が、具体的な平和施策や川崎市の後援問題にも色濃く反映していることを指摘せざるを得ません。

平和施策の推進については、現在の制度のもとでも充実させることは可能だし、すべきです。
たとえば、市民参加の平和施策推進委員会のような組織を立ち上げ、予算もしっかり確保し、平和事業をさらに充実・発展させるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁

佐野議員の質問に対して市長は、「法律によって認められた国民の権利を行使したもの。しかし条例案の中身を十分に理解していただいていたかは疑問」「市の後援名義の使用は事務取扱い要綱に基づき適正に判断している」などと答弁。

市民こども局長は「平和啓発の拠点となるよう平和館の活性化をはかる」「市民参加の平和館運営委員会を組織し意見をいただいている。また平和館活性化プロジェクトを設置しその検討結果について意見をいただくこととしている」などと答弁しました。


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