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雇用と労働に関するアンケートの意見に基づく要望を神奈川労働局に申し入れ

2009,04,22, Wednesday

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竹間幸一団長、大庭裕子市議らは4月21日、日本共産党川崎市議団の「雇用と労働に関するアンケート」によせられた市民の声に基づいてまとめた要望を、厚生労働省神奈川労働局(横浜市中区)長に申し入れました。
申し入れは、「人間をモノ、パーツと見るような、人間の心を失った使い捨て労働、非正規切りをやめるよう指導を強化する」「長時間・サービス残業を横行させている実態を改めさせるとともに、正規労働者に対する正当な理由の無い解雇はやめさせる」「派遣やパートなど非正規労働者を含む有給などの取得、社会保険への加入など、労働者の権利と雇用主の義務を周知徹底する」など12項目の是正をもとめています。
申し入れの冒頭、竹間団長は「今回のアンケートで、労働者の使い捨て、サービス残業の横行、有給をとらせないなど『無法状態』ともいえる実態があらためて明らかになった。なんとかして是正してゆきたい」とのべました。
労働局は「派遣契約の中途解除にともなう派遣労働者の解雇、雇い止めなどに適正に対処するため、中途解除に当たって、派遣元事業主は休業等により雇用を維持するとともに休業手当の支払いの責任を果たす事などをもとめる『派遣元・先指針』を改定し、3月31日付けで発表した」「監督署は『法の周知徹底』はおこなえるが、『違法の判断(労働契約の合法性)』は司法になる」「是正指導には労働者からの申告や情報提供が必要」などと回答。
「派遣の雇用契約を結ぶときに権利の説明を義務づけるとか、就労場所に大きく掲示させるとか、もっと予防の手だてが必要」など参加者から要望が出されました。
労働局からは企画室室長補佐、職業安定課課長補佐、労働基準部主任監察監督官が対応、最後に「いただいたアンケートの結果は行政の運営に活かしてゆきたい」と述べました。
申し入れ書
日本共産党川崎市会議員団は、2009年1月から、「雇用と労働に関する市民アンケート2009」を実施し、4月20日までに1553通の回答が寄せられました。このなかで川崎市民の雇用と労働に関しておびただしい違法・無法の実態、様々な問題点が明らかになりました。
川崎市長への緊急申し入れ、可能な個別の相談をおこなっていますが、神奈川労働局長に調査結果をお伝えするとともに、事態の解決と改善のために申し入れを行なうものです。

申し入れ事項

1.人間をモノ、パーツと見るような、人間の心を失った使い捨て労働、非正規切りを止めるよう指導を強化されたい。
(1)契約期間途中の解雇・雇い止めについて、やむを得ない事由がなければ解雇できないことを周知徹底するとともに、3月31日に改正された新しい「派遣元・先指針」(派遣元による休業等による雇用の維持、派遣先による賠償等)にもとづく指導監督を徹底し、雇用の継続または残り期間の賃金全額支払い、他の就労先のあっせん、寮や住居の一定期間の確保を求めることが可能なことを周知されたい。

○アンケートでの声(以下、同じ)「川崎市内の三菱の工場で、派遣や期間社員が次つぎにクビになっている。派遣会社によって1ヵ月前に言ってくれたり、その日いきなり『今日まで』といわれたりする。1年契約で2月までと思っていたおばさんが『今日まで』といきなり、ダイヤ工業から言われたと聞きました」「早期派遣切りするなら、ペナルティーや給与の割り増し義務を会社側に実施させて」「派遣の友人が、契約時の条件と違う内容を働いてから要求され、できないからとクビにされた」

(2)期間満了による雇い止めに対して、(a)派遣の場合、制限期間の3年を超えていれば、派遣先が派遣労働者に直接雇用、正社員化を申し入れなければならないこと、(b)期間・契約社員、パートの場合、労働契約が反復更新されるなど労働者が更新の期待を持たされる事情が認められ、使用者においても更新を拒否する正当な理由がない場合には、雇い止めは無効になることを、使用者、労働者に周知徹底し、雇い止めへの指導監督を強化すること

○「10年以上、派遣で働いていたのに期間満了で終了」「会社には、派遣で3年以上就業している人が何人もいる」「3年以上働いても、社員にしてもらえない。再契約してほしいといわれる」「正社員になれるよう派遣先で必死にがんばっていますが、先行き不安。一日も早く正社員を希望」
○「大手米系銀行勤務。3ヵ月毎の更新で約2年間勤務したが、昨年末、子育てのため長時間働けないという理由で私一人更新がなかった」「1年半の間に3ヵ月ごとの労働契約書を6回かわし、契約書にすべて『更新の可能性はありうる』と書かれていたにもかかわらず、08年9月で一方的に雇い止めに。働く理由は子どもの学費のねん出のためでした」
○(契約を終了させるために、以下のようなこともおこなわれている)「4月期、契約更改で賃金30%カットが宣言され、3月末までにどのような待遇及びクビ切りが断行されるのか不安」「契約金額5~10%カットを決め、その内容を打診のうえ、契約終了などを決めている」

(3)1~2ヵ月程度の「こま切れ契約」は、「必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」とする労働契約法17条2項に違反し、短期の契約期間満了による雇い止めは解雇権の乱用にあたり、中止させること。

○「派遣で1ヵ月ごとの更新を繰り返している」「短期契約(1~3ヵ月)の仕事でつないでいるが、次の勤務先があるか不安」

(4)失職した労働者への住宅、生活資金、仕事の緊急保障を拡充されたい。

○「静岡県の東芝の半導体工場で長期契約で勤務していたが、去年10月でクビ。保証人なし、無職でもOKという今の住まいを見つけたが、就職先もすぐ見つからず、貯蓄も底をついてきている。家賃も払えず、ホームレスになり、死んでいくか、いっそいさぎよく自殺しようかと日々そんなことを考えている」
○「40代で、年齢で面接を断られることが多く辛い。アルバイトしかなく、不安でなりません」

2.非正規切りが正規労働者の業務の急激な増加をもたらし、残業規制が厳しくなるなかで、長時間・サービス残業を横行させている実態を改めさせるとともに、正規労働者に対する正当な理由のない解雇をやめさせられたい。
(1)退職勧奨は、恫喝、強要など限度を超えれば違法になることの指導監督を強化されたい。

○「60数名のうち、12名が退職に応じた。そのうち数名は恫喝的行為を受けたと聞いている」「日本IBMで私の友人が、以前に人事的な嫌がらせをうけ、成績のわるい年が3回程あったが、そのような事情はまったく考慮されず、一方的に退職を強要され、最近退職に追い込まれた」

(2)労働条件を一方的に不利に変えることはできないことの周知、指導監督を強化されたい。

○「会社の組織変更により、社員から契約社員になった。残業代、ボーナス、退職金、資格手当等がなくなった。契約期間が3月末までとなっており、それ以降、契約されるかどうか不安」「子どもの友達のママは、社員からパートにされ、急に解雇されました」「2月から月給11万5千円カットと言われたが、生活できない」
○「未成年の子がいることも無視して、突然、異動命令を一方的に告げられ、退職方 向に追い込まれた」「会社からマークされている50歳以上のものに対して、嫌がらせ的な職場異動(辞令)を出して、本人が自主的に退職するようにしむけている」「化粧品会社につとめている友人は、結婚しただけで減給された」「ワークシェアのため、強制的に休みにされ、給料も減給された」

(3)整理解雇の要件を満たさない解雇は無効であることの指導監督を強化されたい。

○「うちの部でも数人切られるなど想定され、会社内みんなが動揺しています」「娘は正社員にもかかわらず、うつ病を知らせたら即、クビにされた」「交通事故でケガをして、休業していたらクビになった」「突然、正社員を解雇。いつでもクビにできるとほのめかす」
○「(私の会社は)有給休暇を使ったらクビ、残業代はゼロ」「有給休暇なんて一切使えません。体調不良で休むとなると解雇でした」「休みを却下され、会社から、休みたければ、自主解雇してくださいと言われた」「知り合いの日系ブラジル人が日本人と差別され、一番先に解雇されるのは納得できません」
○「妊娠したら解雇されました。中小企業やパートなどは育休を正しく使えないところばかりのような気がします。保険の加入がないところが多すぎです」「派遣切りだけでなく、産休切りがあるのは、大変切なく感じます」「1年前、60歳以上は平等に解雇するとして数日前に告げられ、30人ほど解雇になった」

(4)違法な長時間・サービス残業の横行を改めさせる指導を徹底されたい。

○「主人は富士通ですが、毎日のように午前様。客(ユーザー)は増やされるし、かといって、正社員は増えないし、派遣の方はきつくてやめる人が多いので、また一から教える、のくり返し。子どもができたので、私はとても大変です。過酷すぎる労働時間は、誰に訴えればよいのでしょうか。主人にいってもムリだと思います。富士通、変すぎます」「…三菱ふそうでは基本的に残業ゼロだが、派遣の解雇により、正社員の作業量が増大し、サービス残業している人もいる。だが上司は見て見ぬふりをしている。…精神的なプレッシャーもあり、同期では数名、軽いうつ病になり退職した方もいます」「1日12時間労働、うち1.30h休憩時間として引かれているが、昼休みの1時間以外休憩なし。4日続けての夜勤などは労働法としていいのか。日勤、夜勤と睡眠時間がばらばらで生理が私を含めて3人止まり、ホルモン剤を飲んでいます。周りでも、夜中まで仕事で、朝6時集合などあるが、どこまでが法律上の基準なのかわからない」「1ヵ月200時間を超える」「月100時間以上の残業が常態化」
○「営業職だから残業代は出ない?」「タイムカードを強制的に押され、残業代ゼロ」「残業代の出ない早朝1~2時間の早出は違法では?」「朝6時~深夜2,3時までの労働、1ヵ月休みなし。あるときは2,3日。残業手当なし、ボーナスなし。労働基準局が来るとわかったときに、何も言わないようにと一筆書かされた」「今の会社は生理休暇を取ると2万円引かれる。残業代もいっさい出ない」「時間外手当の支払いを会社側に申し立てようと思っている。具体的にどのような証拠を集めればよいのか?」

3.派遣やパートなど非正規労働者を含む有休などの取得、社会保険への加入など、労働者の権利と雇用主の義務を周知徹底するとともに、廃止されたハローワーク鶴見の復活、ハローワーク川崎での待ち時間解消など、雇用に関する相談窓口を拡充されたい。

○「4年以上もパートで働いているのに、有給休暇、育児休業なし」「病休、育休がパートにはない。正社員にはある昼食補助もない」「組合の作り方を教えてくれる窓口があるとよい」
○「会社は、労災に加入せず、社会保険(健康保険)、厚生年金もない」
○「構内請負業者(零細企業)も路頭に迷う。次の親会社を見つける手立てが見つからない。会社としての社員の雇用確保の相談口はないのか」

4.今回の雇用保険法改正で、失業給付を受けるための保険料の納付期間を「過去1年」(自己都合・雇い止めの場合。会社都合は6ヵ月)から「過去6ヵ月」(雇い止めの場合)へ、非正規社員の加入要件も「1年以上の雇用見込み」から「6ヵ月以上の雇用見込み」へなどの改善が行なわれたが、自己都合退職の場合は必要納付期間は12ヵ月のままであり、3ヵ月の給付制限がかかるなど、「退職理由」による給付要件の差別は残された。この差別解消のために、「実態を把握して適切な対応をおこなうこと」と明記された国会の付帯決議に沿って対応されたい。

○「派遣で働いていたので、育休が取れず、産休明け保育も入れず、契約を打ち切らざるを得なかった。これでも自己都合退職といわれた。正社員と派遣で差別している」

5.労働者の健康破壊にたいし、国として対策を強化されたい。

○「うつ病になる前の3ヵ月間は残業が1ヵ月当たり90時間を超えていた。その前の6ヵ月も60~80時間を超していました。労働者を多く雇って、一人当たりの労働時間を減らしてもらいたい。これでは子育てや地域貢献ができない」「上司のパワーハラスメントで自主退職に追い込まれた。名ばかりの役職につかされ、残業代を請求できないようにされた。しかし、毎日のように0時までサービス残業せざるを得ず、体調を崩した」
○「2002年から派遣として働き、08年4月派遣元がP社に代わり、3ヵ月更新が08年10月以降1ヵ月更新にされ、そのころからいづらくなるようなことが続き、1月31日期間満了に。12月24日に告げられて以降、不眠、涙が止まらない症状が続き、1月5日、うつ病と診断された。心はズタズタになったのに誰も謝ってくれない」「長期の契約だったのに、6ヵ月で切られた。とりあえず今はいらないという感じで、人間の扱いではない、今でも苦しい思いで、うつ病になり、通院している」
○「うつ病で休職しているが、有給休職期間が20年度より2年から1年に減らされた」「復職後の対応が(会社で)まったくなされず」

6.その他の是正措置の推進


(1)「会社として利益が出ているが、意味もなく給与を毎年下げられている。将来に不安を感じる。現在の成果主義のあり方に疑問がある。正当に評価されないので問題だ!キヤノン勤務」
(アンケートの声は2009年1月~3月に寄せられた内容から抜粋したものです)


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