国にTPP大筋合意の説明求める~斉藤隆司議員が意見書提案説明
川崎市議会第5回定例会で12月15日、日本共産党が民主党議員と共同で提出した意見書案第20号「TPP交渉に関する意見書」の提案説明を斉藤隆司議員が行いました。
意見書では、TPP交渉のいわゆる大筋合意を受け、政府はTPP関連政策大綱を決定したが、2013年4月の国会決議では、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品及び甘味資源作物の重要5品目を関税交渉から除外又は再協議の対象とすることなどを定めており、大筋合意がこれに違反することは明らかだと指摘しました。
その上で、国に大筋合意の交渉経緯や日本語によるTPP協定文書の全文などについて全面的に情報提供し、国会や国民の中で徹底的な論議を保障するよう強く要望するものです。
採決の結果、自民・公明などの反対多数で否決されました。
説明原稿及び意見書案は以下の通りです(議事録ではありません)。
斉藤隆司議員の提案説明
私は、ただいま議題となりました意見書案第20号「TPP交渉に関する意見書」につきまして、提案者の方々を代表して、提案理由を説明いたします。
10月5日の環太平洋連携協定(TPP)交渉のいわゆる大筋合意を受け、政府は11月25日、TPPへの対策をまとめた総合的なTPP関連政策大綱を決定し、政府が対応を急ぐ政策については、今年度の補正予算や来年度予算編成に反映させるとしました。
政府は、農林水産分野へのTPPの影響は限定的として楽観的な見通しを示す一方、大綱では米国と豪州から無関税の特別輸入枠を設け、大量の輸入拡大が懸念される米については、価格下落を防ぐため、備蓄対策の改善で国産に影響させないとし、関税を大幅に引き下げる牛肉・豚肉についても畜産農家の所得を補塡する事業を拡大するなど、当面の対策を打ち出しています。
しかしながら、政府は、秘密保持を理由に詳しい交渉経緯を伏せており、大筋合意において大幅に譲歩した内容なども明らかにしないまま、TPPへの対策となる大綱なるものを打ち出したことは、極めて不当であるとともに、そもそも対策を打ち出さざるを得ないこと自体、予想される被害の大きさを示したといえます。
また、TPP協定文書に盛り込まれているISD条項については、貿易・投資で不利益を被った場合、企業が相手国の政府を訴えることができるもので、日本の食品安全基準などが貿易の障害として変更を求められる危険性があり、日本の食の安全・安心を大きく脅かしかねません。
2013年4月の国会決議では、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品及び甘味資源作物の重要5品目を関税交渉から除外又は再協議の対象とすること、段階的な関税撤廃も含めて認めないこと、さらに交渉により収集した情報について国民への十分な情報提供を行うことを求めており、関税の大幅な引き下げ等を行い、交渉の詳細な内容さえ明らかにしない大筋合意が、この国会決議に違反することは明らかであり、政府は当然、国民への十分な説明責任を果たさなくてはならないと考えます。
よって、国におかれては、大筋合意の交渉経緯や日本語によるTPP協定文書の全文などについて全面的に情報提供されるとともに、日本経済と国民の暮らしへの影響を十分に精査し、国会や国民の中での徹底的な論議を保障されるよう強く要望するものです。
議員各位におかれましては、提案の趣旨にご賛同いただきますよう、お願いいたしまして、私からの提案説明とさせていただきます。
TPP交渉に関する意見書案
10月5日の環太平洋連携協定(TPP)交渉のいわゆる大筋合意を受け、政府は11月25日、TPPへの対策をまとめた総合的なTPP関連政策大綱を決定し、政府が対応を急ぐ政策については、今年度の補正予算や来年度予算編成に反映させるとした。
政府は、農林水産分野へのTPPの影響は限定的として楽観的な見通しを示す一方、大綱では米国と豪州から無関税の特別輸入枠を設け、大量の輸入拡大が懸念される米については、価格下落を防ぐため、備蓄対策の改善で国産に影響させないとし、関税を大幅に引き下げる牛肉・豚肉についても畜産農家の所得を補塡する事業を拡大するなど、当面の対策を打ち出している。
しかしながら、政府は、秘密保持を理由に詳しい交渉経緯を伏せており、大筋合意において大幅に譲歩した内容なども明らかにしないまま、TPPへの対策となる大綱なるものを打ち出したことは、極めて不当であるとともに、そもそも対策を打ち出さざるを得ないこと自体、予想される被害の大きさを示したといえる。
また、TPP協定文書に盛り込まれているISD条項については、貿易・投資で不利益を被った場合、企業が相手国の政府を訴えることができるもので、日本の食品安全基準などが貿易の障害として変更を求められる危険性があり、日本の食の安全・安心を大きく脅かしかねない。
平成25年4月の国会決議では、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品及び甘味資源作物の重要5品目を関税交渉から除外又は再協議の対象とすること、段階的な関税撤廃も含めて認めないこと、さらに交渉により収集した情報について国民への十分な情報提供を行うことを求めており、関税の大幅な引き下げ等を行い、交渉の詳細な内容さえ明らかにしない大筋合意が、この国会決議に違反することは明らかであり、政府は当然、国民への十分な説明責任を果たさなくてはならない。
よって、国におかれては、大筋合意の交渉経緯や日本語によるTPP協定文書の全文などについて全面的に情報提供されるとともに、日本経済と国民の暮らしへの影響を十分に精査し、国会や国民の中での徹底的な論議を保障されるよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。