市長特別秘書職設置を否決〜代表討論に石川議員
7月2日、第3回市議会に提案された議案などの討論、採決が行われました。
石川建二議員が日本共産党を代表して討論を行いました。
採決では、市長に特別秘書を設置する条例案が共産党はじめ他会派の反対(賛成は無所属2名)で否決された以外は、自民、公明、民主などの賛成多数で可決しました。市長提出の条例案否決は1974年以来、41年ぶりの出来事。
石川議員は市長の特別秘書を設置することについて、代表質問で市長に直接つっこんで質問したにもかかわらずその職務について具体的答弁がなく、1100万円の報酬を支払うことに市民は納得できないと批判しました。マイナンバー制度のがすべての事業者や自治体に多大な負担を求めながら、国民から税金や社会保険料の徴収強化と給付抑制に使われない制度であることから、関連する条例制定に反対を表明しました。
討論原稿は下記の通りです(議事録ではありません)。
石川議員の討論
私は日本共産党を代表して、今議会に提案された諸議案について討論を行います。
議案第86号川崎市特別職の市長の秘書の職の指定等に関する条例の制定について、議案第87号川崎市特別職の市長の秘書の給与及び旅費に関する条例の制定についてです。
私たちはこの議案は市長に直接お聞きすることが必要と、代表質問でかなりつっこんで質問いたしました。
特別秘書についてその職務について、具体的な答弁はありませんでした。
3人の副市長、特命部長がいるなか「純然たる政務ではない職務、特命部長や副市長ではできない職務は何か」とお聞きしても、市長から明確なお答えは最後までいただけませんでした。さらに、職務の透明性を担保する規則等の制定についても考えていない、ということでした。これでは市長に全権委任するようなもので、市民が特別秘書の職務状況を把握する術はないことになります。
川崎ではこれまでも厳しい行財政改革が行われてきました。もうこれ以上、乾いた雑巾を絞ることはできない、もう行革の種はない、と言われているなかで、さらにスクラップ・スクラップアンドビルドとの市長の掛け声のもと、この秋にもかつてない厳しい行財政改革案がでる、ということに多くの市民は大きな不安を抱いています。
このような状況のもと、市民の税金1100万円もの報酬を支払って特別秘書を採用するなど、到底市民から理解を得られるものではありません。
川崎には3人の経験豊かな副市長、優秀な職員がたくさんいます。
市長にはこの豊かな人材の力を十二分に引き出して、自治体本来の仕事・住民の福祉の増進のためにいまこそ、まい進していただきたい、と思います。
よって、特別秘書にかかわる議案については反対です。
議案第88号川崎市個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、国のマイナンバー制度の施行に伴い、自治体に個人情報保護条例の改正が義務付けられたことによるものです。
マイナンバー制度は、今年10月から国民へ番号通知が行われ、来年1月から開始される予定ですが、赤ちゃんからお年寄りまで住民登録をしている人全員に原則として生涯変わらない番号をつけ、その人の納税や社会保障給付などの情報を国が管理し、行政手続きなどで利用するというものです。
政府は、まだ施行していないのに国民の預貯金や健康診断情報など民間企業が扱う情報にも拡大する法案の今国会の成立、さらに、カルテや診療報酬明細など医療情報、戸籍や旅券、自動車登録など次々と拡大する方向だといわれています。
国は初期導入に2000億円から4000億円、以降の運営費が年間数百億円規模の資金がかかるといわれています。しかし、ここには地方自治体の持ち出し経費や事業所の制度対応のシステム修正などの費用は含まれていません。自治体や事業所が重い負担と労力、膨大な資金の投入を余儀なくされるということで、特に中小企業から、悲鳴が上がっています。すべての事業所は、来年1月以降、従業員の給与から税、社会保険料の天引き手続きなどに番号を使うことを義務付けられているため、従業員本人はもちろん配偶者、扶養家族の番号も勤め先に申告することになります。企業側はアルバイトも含め従業員の膨大な番号の厳格な管理が求められており、いま対応に追われています。また、システムの更新や整備の費用や人的体制の確保が重い負担となってのしかかってきます。川崎市でも11億円の費用と2人の課長を配置するなど、重い費用と負担がかかってきます。
6月1日、年金個人情報125万件が流出し、あらためて公的機関の個人情報管理の脆弱性と絶対安全などないことが明らかとなり、マイナンバー制度の前提が崩れました。100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能であり、一度漏れた情報は流通売買され取り返しがつかなくなる可能性もあります。しかも、事業者の9割が小規模事業所です。その事業者の経理担当者は、給与支払いのときに従業員とその家族の個人番号を扱うわけですから、どんな小さな会社や経理担当者に対しても厳格な管理が求められます。そういう方が辞めたり、事業所が倒産したりした後の管理はどうするのか、課題は山積しています。
政府は、この制度についていいこと尽くめのような宣伝をし、例として、マイナンバーがあれば公的年金の申請の際などで、複数の書類をそろえる手間が省けるといいますが、多くの人にとっては年に一度あるかないかの手続で、個人番号が漏れないようにする労力に見合う利点とは言えません。他人による番号の不正利用や、個人情報の流出によってもたらされる被害のほうがはるかに深刻です。
このように、マイナンバー制度は、すべての事業者や地方自治体には多大な負担を求めながら国民や中小企業にはほとんど恩恵がない制度であり、国民の納税や社会保障給付などの情報を国が管理して、税金や社会保険料などの徴収強化と社会保障の給付抑制に使われかねない制度です。マイナンバー制度は、自治体の裁量権はないということで改正しないという選択肢はないということですが、もともとの法制度に反対の立場から反対します。
議案第92号川崎市特定非営利活動促進法施行条例の一部を改正する条例の制定について、報告第4号もマイナンバー制度に関連する内容が含まれていることから反対・不同意です。
議案第89号 川崎市市税条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、5月25日の臨時議会で市長の専決処分の承認としてだされた議案第85号川崎市市税条例等の一部を改正する条例の制定について、と関連する議案です。
地方税法等の改正にともなうものですが、地方税法の改正の最大の問題点は、消費税10%増税を2017年4月から実施するものとし、景気条項を削除したことで、どれだけ景気が悪くても問答無用に消費税増税を行うものです。
来年4月からは今回の議案にあるように軽自動車税1億1700万円の庶民増税、たばこ3級品に係わるたばこ税の特例税率の廃止などの後、消費税を10%に増税するということが含まれる議案であることから、反対です。
議案第94号 川崎市保育園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
わが党は、保育の継続性・安定性を確保することが困難であることから、公立保育園の民営化に反対してきた立場から、本議案には反対です。
議案第95号川崎市児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第96号川崎市家庭的保育事業等の設備及び運営の基準等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本条例案は、保育所に係る保育士の数の算定について、保育所に勤務する保健師又は看護師に加え、当分の間、准看護師についても1人に限り保育士と見なすことができるという改定案です。保育基準の規制緩和を前提とするものですので、本議案については反対です。
議案第97号生活文化会館条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議案は、受益者負担の公平性を確保するということを理由に駐車場の有料化を図るものですが、そもそも、当会館は、1997年に技能職団体の皆さんの多大な協力を得てリニューアルされ、技能職者と市民の交流施設として利用されてきました。技能職者の皆さんが活動するためには、道具や材料等を持ち込むことが前提であり、そのための搬入車両のための駐車場は不可欠です。委員会では、引き続き障がい者と技能職関係者の駐車場については、無料ということです。しかし、全体の66%を占める一般利用の人には、最初の1時間だけが無料で、後は30分後ごとに300円の料金を徴収するということであり、市民利用施設を利用する市民への新たな負担増につながる本議案については、賛成できません。
議案第98号養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。この条例は、介護保険サービスを行う養護老人ホームにあっては、通常おくべき生活相談員の員数から常勤換算方法で1人を減じた員数とすることができるとする規制緩和の改正ですので賛成できません。
議案105号川崎市都市公園条例の一部を改正する条例の制定についてです。
今回の条例改正は等々力緑地内のプールを廃止するためのものです。等々力プールの廃止を巡っては、2013年4月24日のまちづくり委員会で「プールの速やかな代替措置」を求めた請願が全会一致で主旨採択となっています。市の対応は、2016年度の陸上競技場の第2期整備に向けた事業評価を実施するなかで、プールの複合化について検討するというものでした。プール機能については、スポーツ振興、健康増進、コミュニケーションを作る場など様々な機能を有する市民にとって重要な施設です。委員会では、今後の代替施設について、「議会での議論を尊重し、住民の意見を踏まえた検討を行う」との答弁がありました。提案のあった条例の改定には賛成するものですが、請願審査の結果を踏まえ、住民の要望に沿ったプール整備となるよう、強く求めておきます。
議案第117号平成27年度川崎市港湾整備事業特別会計補正予算についてです。
本議案は、コンテナ貨物量の増加に伴い、ラバータイヤ式クレーンを民間事業者が設置することと合わせて、コンテナターミナルの荷捌き地の地盤補強等整備のための補正予算です。答弁では、2014年度後半の増加が著しく、2015年2月度以降は、臨機の措置として実入りコンテナ置き場以外の場所を使用して、整備時の計画とは異なるコンテナの取り扱いをやむを得ず認める状況となっている、とのことですが、次の新たな港湾整備に向けた布石ではないかと疑問は払拭できません。
これまでも、「常に2基のガントリークレーンが稼動していることが必要不可欠であると利用者から強く要望されている」とし、ガントリークレーン3号機を整備したにもかかわらず、使用実績も明らかにされないままで、整備の必要性そのものが問われています。たとえこの1~2年、コンテナ貨物が増え続けているからといっても、この補正予算による整備の必要性については疑問を持たざるを得ません。よって、本議案については、賛成できません。
報告第2号についてです。
繰越額として、国際戦略拠点地区整備推進事業、臨港道路東扇島水江町線、羽田連絡道路整備事業などの港湾工事負担金が含まれているため、同意できません。
以上の立場から、議案第86号、議案第87号、議案第88号、議案第89号、議案第92号、議案第94号、議案第95号、議案第96号、議案第97号、議案第98号、議案第117号については反対し、報告第2号、報告第4号については不同意、その他の議案及び報告については賛成・同意することを表明して討論を終わります。