市政と市民のくらしを結ぶ
議会報告

消費税増税分を利用者に転化するな~2013年第4回川崎市議会定例会で代表討論

DSC0334912月18日の第4回川崎市議会定例会で宮原春夫議員(川崎区)が日本共産党を代表して討論をおこないました。

宮原議員は、市長の「市政への考え方」について、保育園待機児童の解消については、「必要数を計画的に整備」と述べるだけで具体的な解決策を示さなかったこを批判、認可保育園の整備を補正予算を組んででも急ピッチで進める事が必要と指摘しました。

小児医療費助成の小学校6年生までの拡充について、公約には無かった財源問題を新たなハードルとして持ち出し具体的実施時期を示さなかったのは公約違反と指摘して早期実施を求めました。

中学校給食について、教育委員会が示した、早期に、食育を充実させ、安心安全な、暖かい給食を実現するには、自校調理方式で栄養士を各学校に配置し全員喫食で実施することがふさわしいと述べました。

消費税増税に関わって提案されている13議案について、消費税が低所得者ほど負担が増える「逆進性」のある不公平税制であり、「財政健全化・社会保障の充実」の増税の口実も成り立たないことが明らかになっており、市民生活をより困難な状態に置くことから、事業者として増税分の転化に慎重であるべきとして反対を表明しました。

宮原議員の討論の全文は以下の通りです。

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私は日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の「市政への考え方」及び諸議案について討論を行います。

最初に市長の「市政への考え方」についてです。

市長就任後の初めての議会ということもあって、市民も期待感をもってこの議会の論戦を注目していたと思います。わが党は、市長が「市政の考え方」として掲げてきた「保育園待機児童の解消」「中学校給食の実現」「教育改革」「都市整備」「地域交通の充実」「市内経済の活性化」「大規模開発の見直し」など、取り組み姿勢をただしてきました。
「保育園待機児童の解消」について、認可保育園の入所を希望しても、入所できなかった児童数は、4月時の2765人から半年で1.6倍の4494人と初めて4000人を超えました。市の基準による待機児童数も4月時の438人から実に3.5倍の1534人になり、いかに認可保育園のニーズが激増しているか示し、認可保育所の緊急増設を求めました。市長は、待機児の解消を「私の選挙公約の最重要課題」としつつも、「認可保育所の整備については、社会福祉法人や民間事業者等と現在協議を進めている。認可外保育事業の有効活用や、相談支援機能などの一層の充実と併せて、必要数を計画的に整備してまいります」と具体的な解決策は示しませんでした。認可外の整備は民間主導であり、2015年度からの新制度の移行がまだ不透明の現状の中で、待機児解消になり得るだけの受け皿の拡大は困難です。市長が掲げる待機児の解消を図るためには、認可保育園の整備を、補正予算を組んででも急ピッチに進めることが必要であることを改めて指摘しておきたいと思います。
さらに、「小児医療費助成の小学校6年生までの拡充」について、市長の選挙公約でもあり「すぐに議会に提案する」と述べていたにもかかわらず、「財源確保が課題」とし、「行革の取り組み状況を見据えて検討する」として、公約にはなかった新たなハードルを設け、その具体的な実施時期について、示さなかったのは、公約違反の何物でもありません。この点は、厳しく指摘するとともに、早期実施を改めて求めておきたいと思います。
「中学校給食」についてですが、「2014年度には所要額や財源を精査し、財政負担を考慮した具体的な実施手法などについて検討をし、2015年度導入に向けた準備に入る」とのことでした。教育委員会会議で示された4条件である、早期の実施、食育の充実、安心安全な給食、温かい給食を満たし、保護者・児童・生徒の願いに応えるためには、自校調理方式で栄養士を各校に配置し、全員喫食で実施することが最もふさわしいと考えます。市長も同じ認識だと受けとめておきます。市民の願いに応えた内容で、中学校給食の実現に踏み出すよう、求めておきます。
「教育改革」についてです。市長は「100%の子どもがわかる授業をめざす」と述べています。わが党が質問したように、現在小学2年生まで広がった少人数学級は、児童・生徒、ひとり一人への丁寧な学習指導を可能にし、子ども同士のコミュニケーションを育むためにも、試され済みのものであり、少人数学級の拡充を「国や県に働きかける」ことは勿論のこと、市として、小学校3年生以上の少人数学級の拡充に直ちに踏み出すよう、改めて求めたいと思います。
市内の中小・零細企業支援についてです。
「市政への考え方」のなかで市長は、「将来ビジョン」として、“力強い産業都市“をめざすとし、「外から大企業を持ってくるだけでは地元の企業や商店は潤いません」と述べています。
地域経済の活性化策として、リフォーム助成制度の創設を求めましたが、市長は「地元経済への一定の経済波及効果はあるが、地元中小建設業への経済効果は限定的」とリフォーム助成制度の創設に消極的な見解を示しました。しかし、地元建設業に効果的に仕事を回す工夫は、たとえば、請負業者を住所が市内の領収書発行が可能な事業者に限るなど、他の自治体での先進例があり、その経験から本市にあった対策を講じることは十分可能です。地域経済の活性化策として、検討を行うよう求めておきます。
商店街支援について、プレミアム商品券への支援の充実、イベント助成のランク付けの廃止を求めました。「プレミアム付き商品券の印刷費や広報費の一部を支援する」との答弁でした。しかし、今年度の補助実績は、一か所、10万円に過ぎません。国も補正予算を組み、商店街支援を発表しています。国の制度活用も含め、商店街支援策の充実を求めておきます。
「地域交通の充実」についてです。コミュニティ交通へ運行経費などへの財政支援を求めたのに対し、市長は「採算性の確保が難しい事業構造であることも理解している」とし、「継続性の向上や本格導入に至るまでの時間短縮などの観点から、支援の在り方について検討することが必要」と答弁しました。「自由に移動する権利」は「生存権」と同等の位置づけを持つといわれます。「運行経費を乗客の運賃収入によって賄うことが基本」との姿勢を改め、市民の移動権の確保において、市の責任を果たすことが必要です。改めて、指摘しておきたいと思います。
「都市基盤整備」についてです。市長は「慢性的な渋滞は、大きな社会的損失」として「東京外郭環状道路と川崎縦貫道路の一本化を進める」と言い、「羽田連絡道路」の推進も継続することを明らかにしました。1メートル1億円の高速川崎縦貫道路、わずか10分短縮するだけに400億円以上もつぎ込む羽田連絡道路、いずれも、市民から「税金の無駄使い」「公害を呼び込む」など反対の多い事業であり、市に大きな負担をもたらす事業です。巨額の税金をつぎ込むこれらの事業は中止すべきです。
さらに、「世界と競うまち」として、国際コンテナ戦略港湾計画、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区など進めるとのことでした。国際コンテナ戦略港湾計画の見直しについては、従来の計画にあった岸壁の総延長を1050メートルから850メートルへと縮小、水深も14~15メートルという大水深から、一部を浚渫(しゅんせつ)の必要のない9メートルへ変更するもので、過去の計画がいかに過大な計画となっていたのかを自ら示すことになりました。しかし、10年後のコンテナ貨物の取扱量を現在の3万TEUから40万TEUに飛躍すると予測している根拠は、「冷凍冷蔵倉庫の集積等のポテンシャルを生かし、新規航路の開設」や「京浜港間の海上輸送を促進」を図るということです。しかし、現在よりも10倍以上の取り扱いを行うという合理的根拠は示されず、過大予測と指摘せざるを得ません。また、ガントリークレーンの設置費用についても計画外であるからとその費用負担を示さないなどは、到底市民の理解を得られるものではありません。改めてコンテナ事業からの撤退を改めて求めておきたいと思います。
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区についてです。これまで、都市再生機構より3.8ヘクタールの土地を67億円で取得し、実験動物中央研究所、ライズ、国立医薬品食品衛生研究所、ものづくりナノイノベーションセンターを誘致し、産業振興財団に10億円もの貸付を行っています。さらに、実験動物中央研究所の整備には、3億5千万円もの補助金まで出しています。「6000億円の経済波及効果」も「23万人の雇用創出」も、その根拠をまったく示せないものであることが関係者の発言からも明らかになっています。しかし、市長は「我が国経済の持続的な発展に大きく貢献するもの」と前市長同様、推進の立場をとっています。ここにこそ、メスを入れ、住民の福祉増進という地方自治体の使命を果たすことを強く求めておきたいと思います。

議案第149号川崎市中央卸売市場業務条例の一部を改正する条例の制定について、議案第150号川崎市地方卸売市場業務条例の一部を改正する条例について、議案第151号川崎市競輪場内売店使用条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の制定について、議案第152号川崎市競輪場使用条例の一部を改正する条例の改正について、議案第160号 川崎市港湾施設条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議会には消費税の増税分を利用者に転嫁する条例改正関連議案が13議案提案されています。消費税は所得の低い人ほど所得に占める負担が増える「逆進性」の不公平税制であるうえ、国民には8兆円もの負担増を押し付ける一方で、大企業優遇の経済対策に6兆円も消えるなど、「財政の健全化・社会保障の充実」など増税の口実も成り立たないことが明らかになっています。
今でさえ、市民や市内中小・零細の事業者は年金の削減や社会保障費の増など、耐え難い痛みにさらされています。増税がそのまま転嫁されれば、より困難な状態に置かれることは明白です。国の悪政から市民、市内中小・零細事業者の生活と営業を守る役割が自治体にはあります。消費税増税分を利用者に転嫁するかどうかは、事業者が判断できるものです。そのような時だからこそ、消費税増税分の転嫁には慎重でなければなりません。わが党は、そもそも消費税は不公平税制の最たるものであることから反対であり、さらに5%から8%への増税はいっそう市民生活を困難に陥れるものであることから、今回提案された増税分を市民生活に転嫁する議案には反対するものです。

議案第159号川崎市都市公園条例の一部を改正する条例の制定については、消費税率引き上げに伴う利用料金の引き上げ、議案第172号神奈川県高速横浜羽田空港線等に関する事業の変更の同意についてについては、高速道路の利用料金に消費税が加算される内容が含まれており、消費税増税に反対していることから賛成及び同意できません。

議案第161号川崎市水道条例の一部を改正する条例の制定について、議案第162号川崎市工業用水道条例の一部を改正する条例の制定について、議案第163号川崎市下水道条例の一部を改正する条例の制定についてです。
いずれも消費税の増税にともない、上下水道料金を値上げするものです。上下水道料金に転嫁される17億9800万円余は市民負担になります。一般的な家庭では、上下水道合わせて年間1000円もの負担になります。さらに、不況のもとで厳しい営業を強いられている中小業者、とくにお風呂屋さんやクリーニングやさん、豆腐屋さんなど、たいへんな打撃になります。市民生活を守るべき自治体の公共料金において、とりわけライフラインについては消費税の増税分は転嫁すべきではありません。水道事業で言えば、前回の料金改定の時に大口利用者の単価の引き下げなどしなければ、十分賄えたはずです。以上の点から、この3議案には反対です。

議案第164号川崎市入江崎余熱利用プール条例の一部を改正する条例の制定についてです。これも消費税増税に伴い利用料金を値上げするもので、市民の負担増は190万円です。高齢者の利用も多い市民のプールに負担を転嫁すべきでないという立場から、この議案に反対です。

議案第165号川崎市乗合自動車乗車料条例の一部を改正する条例の制定について、議案第166号川崎市貸切自動車条例の一部を改正する条例の制定についてです。
バス事業で市民に転嫁される額は1億7000万円にもなります。3%から5%になったときは、バスは値上げしませんでした。市民生活を守るべき自治体の公共料金においては消費税の増税分は転嫁すべきではありません。そういうことも含めて市民の足を守るのが公営バスの役割と考えます。以上の点から、これらの議案には反対します。

議案第167号川崎市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
消費税増税に伴って、診断書や証明書の手数料などが増税の対象になります。条例改正による患者への影響額は2377万7千円とのことです。今、国民健康保険料や介護保険料、公共料金等の値上げ、医療費の窓口負担や薬代など、市民生活は大変になっています。市民生活を守る自治体の市立病院として、消費税の増税分を転嫁しない判断をすべきと考えることから反対です。

議案第178号川崎市地方卸売市場南部市場の指定管理者の指定についてです。
この議案は、南部市場の指定管理者に川崎市場管理株式会社を指定するものです。
2004年の卸売市場法改訂で、中央卸売市場に指定管理者制度の導入が認められるようになりましたが、その業務内容には制限があり、使用料の徴収、施設の維持管理などが委ねられます。市場には、卸売会社や仲卸などに対する監査、取引関係の許認可業務など、行政固有の業務があります。また、食の安全面でも大きな役割があります。市の職員も配置されるとのことですが、これらの公的役割の後退にならぬよう求めて、議案には、賛成します。
以上の立場から、議案第149号、議案第150号、議案第151号、議案第152号、議案第159号、議案第160号、議案第161号、議案第162号、議案第163号、議案第164号、議案第165号、議案第166号、議案第167号、議案第172号については反対、その他の議案及び請願・報告については賛成することを表明して討論を終わります。


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