新年度予算は「市民置き去りフライト予算」~TV座談会で斉藤議員
2009,02,20, Friday
2月17日にテレビ神奈川で放送された「川崎市議会座談会 予算議会を前に」に出席した日本共産党の斉藤隆司議員は、「新年度の予算について市長は「安定フライト予算」というけれど、実態は市民の切実な要求にこたえようとしない『市民置き去りフライト予算』だ」として、座談会のテーマにそって次のように話しました。
○予算の印象・特徴について
私たち議員団はいま、「雇用と労働に関するアンケート調査」をおこなっています。すでに1000通以上の回答が寄せられていますが、そこには、深刻な経済危機のもとで、解雇によって仕事も住まいもなくした労働者や、雇用条件が悪化し生活が成り立たなくなっている労働者、また夫婦で働かないといけないのに認可保育園に入れず高い保育料を払うため食費を極限まで切り詰めている家庭など、市民の悲痛な叫びがたくさんつづられています。
市長は新年度の予算を「安定フライト予算」などと言っていますが、こうした市民の苦しみや不安を打開する実効性のある対策は示されていません。生活再建に必死に取り組もうとしている市民に対してあたたかい手をさしのべているとはとても思えない、まさに必死に生きている市民を置き去りにしている予算と指摘せざるを得ません。
○財政問題
市長は、新年度の予算について93点と評価し、昨年より4点あがった理由として、人口増による市民税の増加を第1に上げています。しかし、人口増に見合う保育園の増設などはまったく遅れたままです。
また、行革効果の還元を私立幼稚園保育料補助の増加など市民サービスに回すことができたことをあげています。しかし、市長のおこなってきた「行革」が市民に何をもたらしたかといえば、例えば、就学援助世帯の児童はメガネ給付も削減され、黒板の文字が良く見えず、学力もつかない、したがって就職もままならず貧困から這い上がれないという、まさに貧困の連鎖に陥れられているのがその実態です。このように本来削ってはいけないところを次々と削減してきておきながら、成果の「還元」などと評価すること自体問題です。
さらに、緊急経済対策をしっかり対応できた、などとしていますが、雇用でいえば、募集の中心は短期のアルバイトなどで、400人の雇用創出といいながら現段階で102人の募集に対して40数名の採用にとどまっています。
○新実行計画・重点戦略プランについて
予算の内容で、市長は「行政の責務として」「必要なセーフティネットはしっかりと維持・提供していきます」としています。
しかし、特別養護老人ホームの整備では建設費の補助の引き上げがあまりにも対応が遅すぎたといえます。5000人もの待機者をこの間事実上放棄してきた責任は大きいといえます。これまで私たちは公有地の活用、土地は行政が手当して全庁的な取り組みを強く求めてきましたが、これ以上の整備の遅れは許されるものではありません。にもかかわらず、09年度の開所はわずか1か所、それも07年度に計画が発表されながら具体化が遅れていたものがようやく実現することになったもので、2010年度は4か所の開所を予定していますが、この間の経過を踏まえるとどうなるかわからない状態です。
私たちは今、こどもの貧困の問題を深刻に受け止め、貧困の連鎖を断ち切り、幸せなこどもの数を増やすため、全力をあげなくてはならないと思っています。
児童相談所の虐待などの相談件数が増え、昨年の約500件から今年は200件も増え700件を超える見込みです。親が生活のため夜も働かないといけない世帯が増え、子どもの面倒をみられない”ネグレクト”の増加が要因のひとつといわれます。
夫婦で働かないと生活していけない中、認可保育園への入所は厳しく、所得の比較的高い家庭のこどもと低所得の家庭のこどもの入所が大半を占め、2極化がすすみ、パート・自営業者のこどもはほとんど入所できない現象がひどくなっています。要望の強い認可保育園が不足しているからです。
また、ある中学校では、給料日前になると小さな菓子パンしか持って来られない生徒が保健室で食べ、それも買えなくなると学校を休むこどもや、弁当をもって来られず食べないままお昼休みを過ごす生徒も出ているとのことです。市長が強力にすすめる「行革」で、就学援助金による支給品が次々と削減されてきました。自然教室の食事代も自己負担になり、校外活動費の助成も削減されました。その他諸々の自己負担も増え、こうした行事に参加できない生徒もいます。
お金が払えなくて国民健康保険証が発行されず、病院に行けない生徒も出ています。病院に行けないため治るまで2週間も学校を休んで家でじっと我慢していた生徒もいたと聞きました。親の責任として済ますことはできません。親の経済力の差でこどもに犠牲を押しつけることはあってはならないことです。
こうした現状に有効な手を打たないで、どうして「行政の責務として」「必要なセーフティネットをしっかりと維持・提供」する予算と言えるでしょうか。
○今後の課題について
いままで述べてきたように、市民を置き去りにしたままの予算では市民生活はそもそも「フライト」すらできません。自治体の仕事は「住民の福祉の増進」にあります。「住民の福祉の増進」を進めるべき自治体の長として、その役割を果たすべきです。
雇用破壊、社会保障の削減、中小業者の営業困難など市民の生活の困難があらゆる分野に及び、悲痛な叫びをあげている市民の生活実態に真に寄り添い、市民生活を支える予算にするよう、私たちは予算組み換え提案も見据えながら、予算議会に臨みたいと思います。