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「公立保育園民営化のゆくえ」テーマに、浅井春夫立教大学教授が講演

2008,06,04, Wednesday

共産党市議団が「かわさき・子育てのつどい」を開催

2008,06,04, WednesdayA

日本共産党川崎市議団は5月18日、「どうする保育園不足!? どうなる公立保育園の民営化!?」をテーマに、中原区で「かわさき・子育てのつどい」を開催。子ども連れの若いお母さん、保育関係者など100人以上が参加しました。
第1部では、児童福祉・保育問題の第一人者である、浅井春夫立教大学教授が、「ヨカッタさがしの子育てと公立保育園の民営化のゆくえ~保育の情勢と現場の底力にふれて」と題して講演しました。
第2部では石田和子市会議員が政令市と比較して川崎市の実態を報告、参加者も多数発言しました。

今年は公立と民間が逆転する年になる

2008,06,04, WednesdayB

浅井教授は、「今年は、公立と民間の保育園数が逆転する年になる」と切り出し、次のように語りました。
1956年以降50年間は公立保育園の方が民間保育園より多く、60~90年代まではおおよそ公立6対民間4の割合で推移しました。ところが「構造改革」路線のもと、民営化が進み逆転。「自治体が国のいうままに公立を減らすのか、住民の福祉増進のために公立保育園を堅持するのかが問われる」と述べました。
財界・政府の「構造改革」の方向は、保育の市場化です。2000年3月、認可保育園に企業参入を解禁。しかし、園舎や土地を企業もちで参入するのはハードルが高いと、指定管理者制度が導入されました。5年ごとに指定管理者を検討し、どこが最も安くきちんと仕事をするのか、入札させるシステムです。「保育所運営費の8割は人件費。安くあげるために若い、非常勤の保育者を雇う方向が強まっている」と語りました。

危険な直接入所契約制度への切り替えの動き

さらに重大なことは、国が保育制度の「見直し」として、自治体が責任をもって子どもを認可保育園に入れる現在の「保育の実施制度」から、「直接入所契約制度」導入へ舵を切ろうとしていることです。
これは市場化のテコとなる契約制度であり、保護者が保育園に直接申し込みをするもの。「行政の関与が薄まり、公的責任が間違いなく後退する。私はここが保育の市場化最大の攻防戦だと思う」と語りました。

規制緩和で、子どもを定員オーバーで詰め込み

保育園定員弾力化も進んでいます。96年に、緊急特別措置で年度途中からの定員超えを認めて以降、次々と弾力化を進め、現在は、年度当初は15%、年度途中は25%まで、年度後半は25%も超えて入所を認めています。子どもを詰め込んでいけば、事故も起こります。
最後に浅井教授は、「このままでは保育の質はどうなるのか。保育制度を根底から切り崩すねらいを見過ごさず、国や行政の責任を求めていく、そのための幅広い大人たちの共同が必要だ」と呼びかけました。

公立保育園の運営費には国庫負担金なし

阿部市長は「民間でできるものは民間で」と、すでに9園を民営化し、12年までにさらに20園の公立保育園を民営化する計画です。理由は「公立保育園は硬直化し、多様なニーズに応えられない」というもの。
竹間幸一市議団長は、「民営化を推進する根本には国の誘導策がある」と述べ、次のように語りました。保育所運営費への国庫金が04年から民間だけに限られ、公立には出なくなり、川崎市の影響額は年間約14億円(07年度)の減です。また、保育園建設のための国の「施設整備交付金」も05年から民間に限られ、公立の新設には出なくなりました。こうした国の民営化誘導策に、市が追随しているにすぎません。

政令市ワーストの待機率~実態を反映しない入所選考基準

2008,06,04, WednesdayC

第2部は、まず、「川崎市の保育園・幼稚園の現状報告~政令市の実態調査結果を中心に」として、石田和子議員が報告 パパ・ママ・保育士のリレートーク」として、待機児の父母、民営化園の父母、保育士、保育園保護者会関係者などが発言しました。
最初に、中原民商のKさんが、保育所不足の実態を報告。川崎市の保育所入所選考基準は、必要度の高さ順にA~Eまでにランク付けされています。Kさんが相談を受けたそば屋さんは、長時間労働であっても妻の収入が少ないためにBランク。「入所は絶望的」と、役所の窓口で言われました。「保育園が足りないことが、この矛盾を生んでいる。多くの自営業者が、包丁もあり、火も油も使う危険な厨房や、工場などで子育てしている。どの子にも豊かな保育が必要だ」と語りました。

慣れ親しんだ保育園を残したい~民営化園では何が

今春から民営化された日進町保育園の保護者は、06年11月、突然保育園の民営化を知らされ、保護者会で民営化対策委員会をたちあげて行動してきたと報告。「慣れ親しんだ保育園を残したい、子どもを悲しい目にあわせたくない、少しでもよい保育園になるように」と、学習会、陳情などにとりくみました。しかし結果的には、当初の予定通り社会福祉法人に民営化されました。「市が進める民営化はあくまでもコスト削減が目的。子どもは慣れ親しんだ園舎や先生と別れ、父母は不安と怒りのなかで過ごしてきた。先生方もバラバラになった。民営化はだれも幸せにしていない」と語りました。
07年に民営化された、小田中保育園の保護者たちは、執行停止処分を申請し、民営化取消訴訟をたたかっています。原告の女性は、「保育の継続が分断され、人のつながりが踏みにじられるのが民営化だと思っている。公立保育園の民営化を止められるようにがんばっていきたい」と話しました。
最後に、市古映美副団長が閉会あいさつを行ない、「みなさんの声、思いを受けとめて、コスト削減優先でなく、子どもの育ちを大切にした保育、子育て支援のためにがんばりたい」と決意を表明しました。


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