少子化や防災、施設の長寿命化対策に投資を~大庭議員が代表討論
3月15日の2019年第1回川崎市議会定例会で、採決に先立ち日本共産党を代表して大庭裕子議員(中原区)が討論を行いました。
大庭議員は、予算案の特徴と財政状況について、川崎市は政令市でトップクラスの財政力を持っており、社会保障関連経費である扶助費は政令市平均以下で抑えられる一方、臨海部の不要不急の大規模工事には189億円も支出するなど、市民に冷たい予算になっていると指摘し、小児医療費助成制度で所得制限なしで中学卒業まで通院助成を実施すること、公有地・民有地を活用して園庭のある認可保育園の抜本的整備と保育士の処遇改善、1年以内に入れる特別養護老人ホームの整備計画への見直し、国民健康保険料の引き下げなど、求めました。
民間ノウハウを最有効に活用を図るための仕組み構築のための条例案、予定されている消費税増税に伴い使用料などを引き上げる内容の複数の条例案などには理由を述べて反対を表明しました。
大庭議員の討論原稿は次の通りです。(議事録ではありません。)
代表討論
私は日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の施政方針並びに予算案を含めた諸議案について討論を行ないます。
予算案の特徴と財政状況についてです。
新年度一般会計予算案は、市税収入が、6年連続過去最大となり、財政力指数は、政令市トップで、3年連続、政令市で唯一の普通交付税・不交付団体となっています。財政健全化指標は、すべて基準値を下回っており、極めて優良。一人当たりの市債残高は、政令市の平均よりも7万円低く、借金の負担額が少ないのが特徴です。減債基金は、一般会計分でみると2223億円、この額は毎年の取崩額の7年分にあたり、一人当たりの減債基金残高は政令市平均の1.8倍にもなります。このように、市税収入、財政力指数、財政健全化指標、市債残高、減債基金残高のどれをとっても、川崎市は政令市でトップクラスの財政力をもっています。
歳出の特徴としては、社会保障関連経費である扶助費の額は政令市の平均以下と抑えられ、一方、臨海部では、臨港道路東扇島水江町線整備、東扇島堀込部土地造成事業、羽田連絡道路整備事業など不要不急の大規模事業の予算は189億円と突出しており、市民には冷たく、臨海部の大規模開発には大判振る舞いの予算となっています。
市長は「財政が厳しい」という理由に「115億円の収支不足」と、「減債基金からの借入」を挙げていました。しかし、これは、減債基金への積立額を減らして対応すれば、収支不足も出ず、借り入れる必要もないわけです。他の政令市も、同様に対応しているわけですから何の問題もありませんし、これらを理由に「財政が厳しい」としている政令市はありませんでした。
「社会保障費の増大」を厳しい理由にしていますが、これは保育所増設等のためにどうしても必要な費用であり、増加した部分のほとんどは国や県からの補助から賄われます。しかも、引き続き一人当たりの扶助費の額は、政令市の平均を下回っており、「福祉の増進」という地方自治体の役割からみても、「財政が厳しい」理由にすべきではありません。このように、「財政が厳しい」という根拠は何一つないことが明らかになりました。
減債基金残高は、8年後には3000億円を超え、他の政令市と比較して1600億円、余剰な残高になることを指摘しました。「なぜ、8年後に3000億円も必要なのか」「残高が足りなくなる事態が起こりえるのか」と質問し具体的な答弁を求めましたが、「将来世代への支障とならないように」という答弁を繰り返しました。市税収入に匹敵するような減債基金残高が、足りなくなるような事態というのは、ありえないことであり、残高が余剰であることは明らかです。市長が「負担を将来世代に強いることのないように」というのなら、減債基金残高の余剰部分は、今こそ、少子化や防災、施設の長寿命化対策に投資すべきであることを指摘しておきます。
小児医療費助成制度についてです。
中学卒業までの通院医療費助成は2019年度に、政令市、神奈川県内の自治体で一気に進みます。政令市では高校卒業までが4市、中学卒業までが10市になり、これら14市中、10市で所得制限がありません。県内33市町村の中学卒業までの助成は、来年度中の拡充を含め、29市町村になります。残る4市町のうち所得制限も一部負担金もあるのは川崎市のみで、県内ではワースト1位です。あと16.5億円あれば可能であることを示して所得制限をなくして中学卒業までの通院助成を求めたのに対し、市長は、限られた財源の中で所得制限は必要であり、総合的に子育て支援策を推進するとして拒みました。豊かな財政がある川崎でできないわけはありません。どこよりも子育てしやすい川崎市をうたっているのですから、一刻も早く所得制限無しで中学卒業までの通院助成の実施に踏みだすことを強く求めます。
認可保育所の待機児童解消についてです。
認可保育園に利用申請して入所できなかった保留児童は、1月25日現在、3541人に上りました。来年度の認可保育園等の新設整備計画は1560人ですが、公有地活用型はゼロ、民有地活用型は1ヵ所のみ、あとの1470人が、民間事業者活用型による整備です。これまでも指摘してきましたが、この手法は事業者の応募がなければ計画通りに整備できず、園庭の確保が困難であり、すでに地域の公園が近隣の園庭のない保育園児で飽和状態のところがあります。局長は公有地、民有地を最大限活用したいとこれまでも答弁していますが、立地環境や開発要件、地権者の意向などを理由に1件に留まったと答えています。全庁的に更なる検討を求めるとともに、具体策を示すことを強く求めます。今後も保育ニーズが拡大することは必至です。公有地、民有地を活用して園庭のある認可保育園の整備を抜本的に拡充することを求めます。併せて、保育士の確保がなければ待機児の解消はできません。処遇改善策と保育士宿舎借り上げ支援事業に市の加算の充実を求めておきます。
就学援助についてです。
本来義務教育は無償が原則です。しかし、保護者負担は小学校6年間で38万円余、中学校3年間で25万円余となっています。子どもの経済的格差をなくすために最大限の努力をしていくことが必要です。そのなかでも就学援助制度を拡充することは行政としての責任ではないでしょうか。国が新たに補助項目を追加した卒業アルバム代について、「市単事業における受益と負担の公平性の観点から個人負担を原則とする経費として、現在のところ支給は難しい」としました。就学援助に受益と負担の公平性をもちだすべきではありません。一刻もはやく卒業アルバム代を補助項目にいれるよう求めます。さらに入学準備金の増額、PTA会費、生徒会費を補助項目に追加するよう求めておきます。
障がい者施策についてです。
代表質問で障がい者グループホームの整備の遅れを指摘しました。遅れの原因は「選定後に法人が辞退すること」と答弁されましたが、グループホームの建物は用意できて、市の審査を通った法人が、そのあとで辞退せざるを得ないのは、世話人を配置できないからだと指摘しました。これは大変な事態です。現場では、世話人が見つからない、やっと見つけた人も大変な仕事でやめてしまう、という声が上がっています。代表質問で求めたように、生計が成り立つような労働条件になるように処遇改善を直ちに行うことを強く求めます。また、グループホームの物件探しも困難になっています。公的施設の活用も求めておきます。
障がい者専用スポーツセンターの新設について、環境委員会の陳情審査においても強い要望が出されました。井田のリハビリテーション福祉センターの付属施設で実現が難しいのであれば新たな場所での整備が必要です。いずれにしても、健康増進のためだけでなく、障がい者スポーツの振興を図り、競技としての障がい者スポーツを発展させるには、既存の施設の活用だけでは足りないことは明らかであり、障がい者スポーツセンターを整備することを強く求めます。
特別養護老人ホームの増設についてです。
これまでも繰り返し整備計画を見直し、少なくても入所申請から1年以内に入居出来るよう特別養護老人ホームの増設を求めてきました。特養への入所がかなわず、有料老人ホームを選択せざるを得ない方が急増していること、高い利用料のため経済的負担が重くのし掛かっていることを指摘して、整備計画の抜本的見直しを求めました。
しかし、入所待機者数に対して余りにも少ない7期整備計画に基づき進めるとの答弁でした。これでは、困っているのであれば自己責任で対処しろというもので、公的責任を後退させる姿勢です。特養ホーム入所を切実に願う多くの方とご家族が、少なくても1年待てば入所の期待が持てる計画へ見直すよう、あらためて求めます。
国民健康保険料についてです。
高すぎる国民健康保険料について、子どもには収入もないのに人頭税のように年間1人約4万5500円余を徴収している均等割については、一刻もはやく廃止しなければなりません。国に対して公費負担のさらなる引き上げを要求すると同時に、国保法第77条の「特別な事情」規定を活用して、自治体独自で一般会計から補てんして軽減措置を図ることを求めます。
市内中小企業への支援策についてです。
わが党の代表質問で、市内中小企業、とりわけ、製造業、建設業の事業所の減少が顕著となっている実態を示し、具体的な支援策の実施を求めました。
市が補助金を交付している事業における、市内事業者への優先発注について質したのに対し、「市内中小企業への受注機会の拡大のため、その割合を一層高める手法の検討を行う」との答弁でした。早期の具体化を求めます。
住宅リフォーム助成制度の創設についてです。予算特別委員会で経済労働局長は「市内の住宅リフォーム需要はある」と答えていることからも、この需要を市内経済の活性化に結びつける「住宅リフォーム」の実施を改めて求めます。
また、製造業への支援策として、ものづくりの技術開発を支える補助金の拡充を求めました。ここ10年間の「ものづくり」を支援する補助金の予算額の推移を見ると、4000万円前後と増加していません。中小企業支援費を抜本的に拡充し、川崎市の中小企業の事業所数の規模に見合ったものになるよう予算の抜本的増額を求めておきます。
正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。
2019年度の就業支援事業費は、6167万7千円が計上され、前年度から714万9千円が削減されました。2年連続の削減です。正規雇用の拡大策として、市内97%にあたる中小企業への支援策が欠かせません。その支援として他の自治体が実施する奨学金支援返還制度や小規模企業共済加入助成の事例をあげ、川崎市でも創設すべきと求めました。しかし、答弁は、正社員等転換相談窓口を設けて「相談者に寄り添う支援」を行なうとか、「市内中小企業の魅力の発信」や「企業との出会いと仕事の理解」などを深める場を設けているとのことでしたが、これでは、正規雇用の拡大に結びつく施策とはいえません。新年度から奨学金支援返還制度を実施する福岡市は、この補助金だけで、本市の就業支援事業費の2000万円を超えて予算を計上し、経済的負担を軽減して、正規雇用の拡大や定着支援に直接結びつく施策を行っています。川崎市でも、具体策を検討することを求めておきます。
市内電機大企業の人員削減・リストラについてです。
市内を拠点とする電機大企業、東芝、NECなどで連続して行われている、人員削減のリストラは自己退職を迫る退職勧奨の面談を本人が受け入れるまで、容赦なく繰り返されています。労働者保護と地域経済へ影響を及ぼす大規模リストラに対し市長の権限で雇用対策本部を設置して対応するよう求めてきましたが、市長は「国等の権限や責任のある機関の指導監督のもと、高度な経営判断により行われるものと考えている」と違法なやり方の人員削減を容認していると受け止められる答弁でした。
東芝、NECのリストラの実態が今国会で取上げられました。厚生労働省は「退職勧奨が多数回、長期間にわたる場合など、労働者の自由な意思決定が妨げられる状況は、違法な権利侵害になりうると考えている」「退職勧奨が疑われる情報を入手した場合には、必要に応じて都道府県労働局や労働基準監督署が企業に出向いて事実を確認して、適切に啓発指導を行う」と明確な答弁をしています。指導監督権限のある神奈川労働局に実態調査と人権侵害を止めるよう申し入れることを、強く求めます。
臨港道路東扇島水江町線整備事業についてです。
この事業は、耐震設計の見直し等による構造強化、地盤改良の追加等により事業費を440億円増の980億円とするもので、1月10日に国土交通省が事業再評価を発表し、議会にも市民にもその時初めて知らされました。しかし、市長は12月20日に「推進されたい」と意見を述べ、総事業費を含む事業の継続を了承し、国も事業継続を決定したということです。
2017年の工事着工についてですが、着工時、大幅な設計内容の変更、事業費の増加が予想できたのに、国に問い合わせもせず議会にもはからずに工事着工を許可したことが明らかになりました。
980億円という総事業費について、「昨年の12月20日に確認した」という答弁でしたが、国交省は「いきなり出したのではなく、前々から打診していた」と述べており、完全に答弁が食い違っています。しかも、17年の工事着工時点で、橋脚の位置や耐震強化など設計変更を含んだ契約金額が知りえたのに調べもせずに、540億円というこれまでと同じ総事業費を議会では答弁し続けていました。
総事業費980億円の事業継続をだれが了承したのかについて、市長は「国から照会があったので意見を提出した」という答弁でしたが、これは単なる意見表明ではなかったのです。国交省は事業継続を判断するための「正式な手続きだった」と述べ、しかも「総事業費980億円の了承も含むものだった」と述べています。それだけ重要な案件を議会にも市民にも知らせずに、市長の独断で判断したことも明らかになりました。総事業費が980億円と約2倍に膨らむ大事業を精査もせずに市長の独断であっさり了承する。一方で、市民の切実な要望に対しては「財政が厳しい」と言って応えない姿勢は、自治体としてまったく逆立ちしています。臨港道路東扇島水江町線整備事業は中止をして、市民生活に必要な身近な橋梁の架け替えや維持補修に予算を振り向けることを要望します。
ナノ医療イノベーションセンターについてです。
新年度予算で、研究促進事業費として1億円の予算が計上されました。研究促進事業費は、財団と川崎市が共同・連携により取り組むもので、財団が本事業の財源として支出する金額を上限に、川崎市がその同額を研究促進負担金として支出するというものです。さらに継続的に研究支援に取り組んでいくことが大切であるとしました。まさに、研究の成果がでるまで、際限のない公金の支出になる研究促進事業負担金は行うべきではありません。
議案第1号 川崎市付属機関設置条例の一部を改正する条例の制定についてです。
民間のノウハウの最有効活用に向けたしくみを構築していく必要があるとしてこれからの本市の取り組みを専門的見地から調査・審議する機関として「川崎市付属機関設置条例」を改正し、2019年度から「川崎市民間活用推進委員会」を付属委員会として位置づけるという議案です。付属機関となると、法的拘束力はないものの、最大限その意見は尊重されるものとなります。
民間活力の活用を否定するものではありません。しかし、どこまで活用するのか明確にされていません。民間マーケット事業者のアイデアやノウハウを市政に生かす取り組みの構築として「マーケットサウンディング調査」の制度化を検討するとしています。総合自治会館用地でもサウンディング調査がおこなわれましたが、その結果はこの用地でいかに事業収益をあげるか、に焦点があたっていました。民間事業者であれば、収益をあげなければ事業は成り立ちません。周辺住民のみなさんのこの用地への要望は明確になっていたにも関わらず、ほぼ強引に調査が行われました。今後、調査の結果も踏まえて総合的に判断していく、とのことですが、どこまで住民の願いが活かされていくのか、まったく不透明です。結局は、住民の要望は閉ざされてしまうのではないか、住民の不信感はつのるばかりです。
公共サービスにおける公的責任はどう担保できるのか、不明確なまま、民間活力推進委員会を付属機関に位置づけることには賛成できません。
議案第2号川崎市職員定数条例及び川崎市病院局企業職員定数条例の一部を改正する条例の制定についてです
働き方について伺いました。違法な残業が続いている現状は昨年とほぼ変わっていないということです。川崎市は、人口が10年間で15万人増えているのに職員を1500人減らしてきたことに原因があります。職員の増員こそが必要なのに、職員を減らす議案であることから、本議案には賛成できません。
議案第3号川崎市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議案は、児童福祉施設における児童の養護等の業務に従事した職員に福祉業務等手当を支給しないとする条例を制定するというものです。児童福祉施設等で従事するすべての職員は、時に児童の命にかかわることにも対応をし、専門性と力量が問われる責任ある業務です。手当の支給こそあってしかるべきであり、実質的な賃金の引き下げとなる本議案には、賛成できません。
議案第5号川崎市手数料条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この条例改定は、既存ストックの用途変更による活用を名目に、排煙設備や壁・天井の不燃化工事などの規制を緩めるもので、建築基準法の改定自体に反対であるころから、条例改定についても反対するものです。
議案第12号川崎市地区計画の区域内における建築物に係る制限に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この条例改定も建築基準法の改定に伴い行われるもので、建築物の建て替えの促進策として、建蔽率などの規制緩和を行うものです。建蔽率など生命身体の安全を守るための規制緩和を含み、安全性確保が十分に担保できていないことから、賛成できません。
議案第6号川崎市中央卸売市場業務条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議案は、消費税への引き上げにともない、中央卸売市場北部市場の市場使用料等の値上げを行うための条例を改正するものです。
3月7日、内閣府が発表した1月の景気動向指数速報値は、3ヵ月連続マイナスと悪化し、基調判断を前月までの「足踏みを示している」から「下方への局面変化を示している」に引き下げました。消費税増税の根拠は崩れています。私たちは、消費税そのものに反対の立場であることに加え、10%の消費増税は、市民生活をさらに圧迫させるものであることから、この議案には賛成できません。
同様に、議案第7号川崎市地方卸売市場業務条例の一部を改正する条例の制定について、議案第8号川崎市競輪場内売店使用条例の一部を改正する条例の制定について、議案第9号川崎市競輪場使用条例の一部を改正する条例の制定について、議案第13号川崎市都市公園条例の一部を改正する条例の制定について、議案第14号川崎市港湾施設条例の一部を改正する条例の制定について、議案第15号川崎市水道条例の一部を改正する条例の制定について、議案第16号川崎市工業用水道条例の一部を改正する条例の制定について、議案第17号川崎市下水道条例の一部を改正する条例の制定について、議案第18号川崎市入江崎余熱利用プール条例の一部を改正する条例の制定について、議案第20号川崎市貸切自動車条例の一部を改正する条例の制定について、議案第21号川崎市病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について、の議案12件においても、消費税引き上げに伴う議案であることから、賛成できません。
議案第10号川崎市都市景観条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、景観に関する建物や工作物の高さの届出の規定を市街化調整区域にも適用するという改善も見られますが、その算定方法について規制緩和を含んでいることから、賛成できません。
議案第11号川崎市地区計画の区域内における建築物等の形態意匠の制限に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この条例改定は、形態意匠の制限の適用除外の建物を広げる規制緩和であることから反対です。
議案第19号川崎市乗合自動車乗車料条例の一部を改正する条例の制定についてです。
この議案は、消費税の引き上げと経営改善を理由に乗車料金を改定し、回数乗車料金を廃止するというものです。市バスの経営を支えるためには政策路線の維持など、一般会計からの繰入金がどうしても必要です。経営戦略プログラム案では、路線維持に対する繰入金は8.9億円を見込んでいますが、かつては約18億円の繰り入れがあったとのことです。経営難を市民に押し付けるのではなく、一般会計からの繰入金をしっかり行い、市バスを守るべきです。そもそも、この議案は、消費税の引き上げを見込んでいることと、さらに、経営改善を理由に3億円もの市民負担を押し付けるものであることから、この議案には賛成できません。
議案第41号平成31年度川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算については、高齢者に差別医療を持ち込む後期高齢者医療制度に反対の立場から、賛成できません。
請願第55号「75歳以上の医療費負担の原則2割化に反対することを求めることに関する請願」についてです。
ひとり暮らしの高齢者の半数の方が生活保護基準を下回り、高齢者世帯の27%が貧困状態といわれています。公的年金のマクロ経済スライドの導入で年金は減額され続け、今でも厳しい生活をさらに追い詰めています。後期高齢者の医療費の窓口負担が1割から2割に引上げられれば、さらに高齢者の生活と健康に大きな影響を及ぼすことになります。生活実態を見ない「75歳以上の医療費負担の原則2割化に反対の意見書」を国に提出すべきであり、採択に賛成です。
以上の立場と予算組み替えとの関係から日本共産党は、議案第1号~第3号、議案第5号~第21号、議案第36号、第37号、第39号、議案第41号、議案第43号~第44号、議案第48号、議案第51号、第52号、第54号に反対し、その他の議案、報告、請願については委員長報告のとおり、賛成及び同意することを表明して討論を終わります。