市民生活支援が不十分~予算組み替え動議を提出 勝又議員
3月15日の2019年第1回川崎市議会定例会で、日本共産党は予算組替え動議を提出、勝又光江議員(麻生区)が代表して提案説明をおこないました。
勝又議員は、消費税増税が実施されれば暮らしが破壊され日本経済に深刻な打撃を与え、各種統計調査で家計支出や平均実質賃金が落ち込んでいることや、非正規雇用の固定化、賃金格差の拡大が進んでいることを指摘して、地方自治体は国の悪政から市民生活を守ることが求められているのに市民の福祉や暮らし、中小企業への支援、雇用対策などが極めて不十分でありながら不要不急の大規模事業への予算が大幅に増えていると述べ、緊急課題に絞って予算組換えの基本方針を述べて予算案の再提出を求めました。
採決では、他党が反対理由を述べることなく反対多数で否決されました。勝又議員の提案説明原稿は次の通りです。
予算組み替え動議の提案説明
私は日本共産党を代表して、2019年度川崎市一般会計予算等の組み替えを求める動議について、提案理由、基本方針及びその内容について説明いたします。
安倍首相は今年10月から消費税10%に増税すると明言しています。しかし、安倍政権の下、貧困と格差の拡大、社会保障の連続改悪で国民の暮らしは痛めつけられています。消費不況が続く中、消費税増税が実施されれば、国民の暮らしは破壊され、日本経済に深刻な打撃を与えることになります。
総務省「家計調査」の2人以上の世帯の実質家計支出は、2013年比で年額25万円も減額となっています。内閣府のデータを基にしたGDPベースで見ても、実質家計消費は2013年に比べ、約3兆円も落ち込んでいます。
毎月勤労統計調査の不正で2018年の賃金が実態よりもかさ上げされていた中、同年1月から11月までの実質賃金の増減を前年と同じ対象の「共通事業所」で算出すると年間平均マイナス0.5%となる野党試算を厚生労働大臣が事実上追認しましたが、2018年の平均実質賃金は安倍政権となる7年前に比べて10万円も減っています。
川崎市においても貧困と格差は広がっています。2017年就業構造基本調査では、川崎市内の会社などの役員を除く雇用者は77.9万人と2012年の前回調査に比べて約10万人増えていますが、正規職員・従業員の割合は62.8%、非正規職員・従業員は31.3%で、前回調査とほとんど割合は変わらず、正規と非正規が固定化されている状態です。派遣職員については1.6倍にも増えています。
さらに、雇用者の所得階級でみると、年収300万円未満は前回調査より3.3万人増え34.7万人と全体の42.5%を占めています。50万円未満は若干減ったものの、50万円から99万円までは0.5%増え、全体の10%を超えました。250万円から499万円までは全体の32.6%と2.2%減少する一方、1000万円以上が増え、1500万円以上では170%の増となり、所得格差が広がり中間層が少なく二極化が進んでいます。低所得層の増大は非正規雇用労働者の雇用環境に連動していることが分かります。
こうした中、地方自治体には国の悪政から市民生活を守る防波堤の役割を果たすことが求められていますが、新年度予算案は、市民の福祉や暮らし、市内中小企業への支援、雇用対策など極めて不十分なものとなっています。
その一方で、不要不急な大規模事業への予算は大幅に増えており、市民にとって必要のない臨港道路東扇島水江町線整備に約29.3億円、東扇島堀込部土地造成事業に約62.1億円など国際コンテナ戦略港湾関連で約117.5億円、羽田連絡道路整備事業に約61億円など臨海部の戦略的な産業集積と基盤整備で約71.5億円など、臨海部の活性化には189億円以上の予算が計上されています。
我が党は、市民生活を支えるための緊急課題に絞って、次の組替えの基本方針及び内容により2019年度予算案の再提出を求めるものです。
組替えの基本方針は、
第1に、子育て世代の賃金・経済状況が悪化する中で、共働きをしなければ生活できない世帯が急増しており、保育園の利用申請率が就学前児童の約4割に上っているなど、かつてなく保育園ニーズが高まっていることから認可保育園の緊急増設を行う。私立幼稚園の入園料について補助制度を創設する。小児医療費助成制度の通院の所得制限と一部負担金を撤廃し、中学卒業まで拡充する。一人ひとりの子どもに目が行き届き、学習・生活指導などあらゆる面から教育条件を改善する有効策として、少人数学級を中学1年生まで実現する。憲法26条2項の義務教育無償原則の趣旨から、小学校の学校給食費を無料化することなどです。
第2に、高齢者に増税・負担が集中している状況下で、介護保険料を第6期の額に戻す。安心して介護を受けられるよう、特別養護老人ホームを増設し、人材確保が困難な介護老人福祉施設等に職員の定着・確保を図るための支援を行うとともに、介護援助手当を復活する。敬老祝金・長寿夫妻記念品を復活する。削減した障害者支援施設等運営費の市単独定率加算を復活する。非課税世帯などの低所得の障がい者の医療費を無料にし、重度障害者等入院時食事代補助制度を復活することです。
第3に、貧困と格差が拡大している状況下で、国民健康保険料の減額、被保護世帯への上下水道料金の減免及び入浴援護事業の復活により、低所得世帯への生活応援を図る。とりわけ、「子どもの貧困」が深刻化する中で、小・中学校の自然教室の食事代補助、生活保護・就学援助世帯の入学祝金・修学旅行支度金・卒業アルバム代補助、就学援助世帯への眼鏡支給・社会見学等の実費支給補助を復活するとともに、補助範囲をPTA会費、生徒会費、体育実技用具費等にも拡充する。市立定時制高校の夜食代補助を復活することです。
第4に、中小企業活性化条例の施行にふさわしく、工場の家賃や機械リース代などの固定費補助制度創設で中小・零細企業者を直接下支えする。建設業の振興とともに経済波及効果が大きく、市民にも喜ばれる住宅リフォーム助成事業を創設する。雇用を巡る環境が厳しい中、こうした取組により雇用拡大を図ることです。
第5に、防災対策の第1の要である旧耐震基準の木造住宅の耐震化促進を図るため、助成対象件数を増やすことです。
第6に、国際コンテナ戦略港湾関連や臨海部の基盤整備等への投資、臨港道路東扇島水江町線及び羽田連絡道路の市民生活にとって必要性が示されない2本の橋の整備、高速川崎縦貫道路など、不要不急の大規模事業を中止・延期することで、一般会計の市債発行を抑制し、後年度負担の軽減を図ることです。
組替えの内容ですが、
歳入予算として、臨港道路東扇島水江町線整備、東扇島掘込部土地造成事業などの国際コンテナ戦略港湾関連事業、羽田連絡道路整備などの臨海部国際戦略拠点整備関連事業、高速川崎縦貫道路関連事業などの建設中止・延期や、競輪施設等整備事業基金、競輪事業運営基金、港湾整備事業基金、土地開発基金、減債基金等の当面使用する予定のない基金から借入れ、取崩しで約133億円を確保します。
歳出予算として、提案いたしましたアからニまでの事業に充当するものです。この組み替えによる総事業費は約153億円、一般財源で約126億円です。市債の発行は約38.5億円削減できます。
さまざまな負担増で市民のみなさんの生活が苦しさを増しているなか、こうした市民生活の実態に思いを寄せる議員各位のご賛同を心から呼びかけ、予算組み替えの提案説明とさせていただきます。