豊かな財政力で市民要望に応えよ~佐野仁昭議員が代表討論
2017年第1回川崎市議会定例会最終日の3月17日、佐野仁昭議員(川崎区)が日本共産党を代表して、今議会の諸議案について代表討論を行いました。
佐野議員は、川崎市が政令市屈指の豊かな財政力を持っているにもかかわらず、市民の暮らし・福祉に必要な予算はほとんど増えず、不要不急の大規模事業費が過去最大になるなど市民の願いには応えず大規模開発優先の予算となっていると指摘して、小児医療費助成制度の拡大、保育所の待機児解消、少人数学級の拡充などを求めるとともに、羽田連絡道路と臨港道路東扇島水江町線の整備などをはかる条例案に反対することを表明しました。
また教科用図書選定審議会の公開を求める請願の採択に賛成すると述べました。
共産党は議案43件のうち5件に、当初予算案19件のうち7件に、討論で理由などを述べて反対しました。
佐野議員の討論予定原稿は次の通りです。
日本共産党の代表討論
私は日本共産党を代表して、今議会に提案された市長の施政方針並びに予算案を含めた諸議案について討論を行ないます。
予算案の特徴と財政状況についてです。
新年度予算案は、市税収入が4年連続過去最高となり、財政力指数も政令市トップを続けるなど政令市屈指の豊かな財政力を持っていることが明らかになりました。しかし、歳入増の主要因が個人市民税など市民からの税収増であるにもかかわらず、市民の暮らし・福祉に必要な予算はほとんど増えず、不要不急の大規模事業費が125億円と過去最大になるなど市民の願いには応えず大規模開発優先の予算となっています。
さて、市長が相変わらず「財政が厳しい」とする理由について質疑を行いました。その一つ「減債基金から借り入れ」したからという理由についてです。取崩し分205億円だけ積立てれば244億円の財源が生まれ、185億円の収支不足はなくなるわけで、借り入れる必要はなく、収支も59億円のプラスになったはずです。昨年度も、取崩し分だけ積立てれば借り入れる必要はなかったはずだと指摘したのに対し、市民への「見える化」が必要だからという答弁でした。私たちは、市民に「財政が厳しい」ことを強調するための「見せかけ」は止めるよう求めましたが、改めて強く求めておきます。
もう一つの理由の「消費税率引き上げの延期」による税収減についても、消費税が増税されれば市や市民への負担は増えるわけですから、引上げ延期はマイナス要因にはなりません。社会保障関連費の増大も理由にあげていますが、川崎市の扶助費は政令市の平均以下で、しかも経常収支では、ほとんど増えておらず比率も5分の 1ほどで財政を圧迫する理由にはなりません。
収支不足については、市の人口推計よりも 3年も前倒しで今年中に150万人 を超えるなど想定以上に増えているのに、それを反映せず歳入額を低く見積もっていました。さらにこの間の推移をみても、予算の歳入額(市税収入額)よりも決算では約40億円も多くなっており、この点でも予算額を低く見積もることで収支不足を実際よりも大きく見せていたことになります。少子高齢化も財政の厳しい理由にしていますが、川崎市は他の政令市と比較すると、生産年齢人口比は政令市トップで8年後まで増加し、老年人口比は最低、平均年齢は最も若く、推計では13年後まで人口増加は続き、その間、税収は増加し続けることになります。
このように市長が述べていた「財政が厳しい」という理由は、どれも成り立たないことが明らかになりました。
減債基金について、「償還財源に不足をきたす」から「ルール通り積み立てる」必要があるなどの議論がありました。減債基金の積立ルールとは、2009年の総務省通知の中で、満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金の積立てについては、「実質公債費比率の算定上、毎年度の積立額を発行額の30分の1として設定していることを踏まえ、適切に対応されたい」とあることが根拠とされています。ここにあるように、このルール、すなわち30分の1ルールは実質公債費比率を抑えるための計算上の基準に過ぎず、以前の議会答弁で述べているように、ルール通り積立てなくともペナルティはありません。専門家も「これは地方分権のもとではペナルティをもたないガイドラインであって、これを守るか否かは当該自治体の裁量の範囲内ということになっている」と指摘しているところです。
川崎市の2017年度の実質公債費比率は6.8%と予測され、健全化判断基準18%をはるかに下回り、将来的にも7%台で平準化するとしており、きわめて健全です。川崎市の比率はこのルールを厳格に守る必要があるほどではありませんし、その時の財政状況に応じて総務省通知にあるように「適切に対応」すればいいだけのことです。
減債基金について、2015年度決算で他の政令市と比較すると、川崎市は一人当たりの市債残高は政令市中12番目なのに、減債基金残高は政令市中3番目で、政令市平均の1.8倍です。他の政令市の減債基金残高の推移でみると、残高を減らしている都市が4都市もあるなか、川崎市は139億円も積み増しをしており、大阪市を除けば、これだけ積み増しをしている都市はほかにありません。大阪市の積み増し額は150億円ですが、市債残高が川崎の2.8倍もあるので、市債残高から見れば川崎市の積み増し額は突出しています。財政規模、市債残高が川崎市の3倍の横浜市は、減債基金残高を前年度から74億円も減らし1008億円と川崎市の半分です。積み増し額の政令市平均は31億円ですから、川崎市はその4.5倍もの積み増しを行っており、川崎市の減債基金の積み増し額がいかに大きいかがわかります。
「償還財源に不足をきたすことがないよう」積み立てるということですが、今後15年間の減債基金残高の推移をみると、8年後まで増え続け、一般会計だけでも2887億円と市税収入にも匹敵する額になり、2015年度残高と比べても1000億円も積み増しすることになります。その後、2600~2800億円程度で平準化します。取崩し額は最大で500億円程度で、満期一括償還で不足をきたすような事態にはなりません。仮に取崩額だけ積み立てても、2000億円程度の残高を維持し、この額でも他の政令市の1.8倍もの残高を保っており、不足をきたす事態にはなりません。
以上のことから、「ルール通り積み立て」なければ「償還財源に不足をきたす」ことにはならないことを申し上げておきます。
小児医療費助成制度についてです。
新年度から通院の対象年齢が小学6年生まで拡充されます。しかし、市長が4年前「小学6年生までの無料化をすぐ議会に提案する」としていた公約は守られず、拡充には4年かかったうえ、今回拡充される小学4年生から6年生には通院1回上限500円の窓口負担金が導入されました。所得制限はそのままで、1歳から小学6年生までの全体で2万7360人が助成を受けられません。この間、他都市でも制度が拡充されるなか、新年度の拡充分を含め、対象年齢、所得制限、窓口負担金の有無など20政令市比較で、川崎市は最低水準に陥ってしまいました。神奈川県内の33市町村で「中学校卒業まで」は18自治体に広がり、そのうち所得制限なしは11自治体、窓口負担金を導入したのは川崎市と横浜市だけです。財政が厳しい市町村が頑張っているのに、全国トップクラスの豊かな財政をもつ本市ができないはずはありません。
「どこよりも子育てしやすいまちをめざす」と言うなら、通院の助成対象年齢を中学校卒業まで拡大し、所得制限と一部負担金を撤廃するよう求めておきます。
保育所の待機児童解消についてです。
1月末時点で認可保育所に申し込んだ人は10200人と初めて、1万人を超えました。一方入所できなかった保留児は昨年より544人増え3551人に、いずれも過去最多です。市の人口は推計より3年も早く今年中に150万人になり、就学前人口の保育所申請率も2014年29.03%から2016年33.68%と保育ニーズが急増しているなか、保育所の定員枠を昨年より1867人増やしましたが、整備が保育ニーズに追いつきません。
子ども未来局長は、今年の秋ごろに予定している【子どもの未来応援プラン】の中間評価の中で検証を行い、保育の量の見込みと確保方策を見直し計画に反映する。今後についても立地環境や保育需要を勘案した上で関係局と連携しながら、利用可能な公有地を最大限に利用して積極的に保育所の整備に努める。4月の実績を踏まえ保育需要の増大が見込まれる地域に新たな整備が可能となった場合など、状況変化に柔軟に対応しながら保育の受け入れ枠の確保を進めてまいりたいと答弁されました。
暮らしのために今すぐ預けて働きたいのに入れない。入れなければ育児休業から復帰ができない。就職先が決まっても働けない。8箇所申し込んでも入れなかったなど深刻な実態が今年もありました。待機児を真に解消するには、ゼロ歳から5歳児まで安定して預けることができ、園庭のある認可保育園の整備を抜本的に高めることを求めておきます。
少人数学級の拡充についてです。
県費移管を機に4月から多くの政令市で拡充をしています。いままでは県から配当されている指導方法工夫改善定数を研究指定制度による活用で、各学校が少人数学級を実施してきましたが、市移管後も引き続き学校が希望すればその実践を継続することが答弁されました。これからは県に要望することなく、川崎市の判断で指導方法工夫改善教員を活用できます。さらに市独自でも教員を配置して現場からもいちばん要望がつよい少人数学級を拡充することを求めておきます。
朝鮮学校への施設整備等補助金についてです。
2012年度まで行なわれていた朝鮮学校の施設整備等への補助再開を求めた質問に対し、市長は、「県の経常費補助を補完する立場で本市の補助を行ってきた」と答弁されました。そうであるならば県に対して補助再開を求め、市も補助を行うのが当然ではないでしょうか。全国に先駆けてヘイトスピーチに対する取組みを進めている市長として、多文化共生の立場に立ち、県に対して補助金の再開を要請するとともに、市の補助金についても以前の水準に戻すよう強く求めておきます。
障がい者施策についてです。
在宅で暮らし作業所に通っている障害者約1万人の調査によれば、8割近い人が親や兄弟と暮らしており、なかでも40代の約5割、50代の約3割が親と同居しています。家族の負担を少しでも減らすためのショートステイの増設はもちろん、ミドルステイも検討するべきです。「親亡き後」も安心して暮らせるためには、グループホームの増設は欠かせません。具体的に市営大島住宅の敷地の活用も提案しました。民間まかせにせず、公有地の活用も行って推進するよう強く求めるものです。
障害者の夕方支援についてです。
生活介護事業所を利用している方の延長支援、いわゆる夕方支援は、利用者の強い要望であり、事業者の皆さんも必要性を訴えています。市長はこの間、既存サービスでは職員体制や採算面で十分なサービスが確保できていない、との認識を示し、「調査結果を踏まえ、必要な対応を図ってまいりたい」と答弁されています。
その立場で、生活介護事業所での延長加算や生活介護の利用終了後に同じ場所での日中一時支援事業としての利用実施などの夕方支援の充実について、先ずは国の制度の不十分な部分を本市が独自にカバーし、充実させることを求めておきます。
高齢者福祉についてです。
介護保険が導入されて17年、改定されるごとに給付抑制がされてきました。川崎市は介護保険が発足するときに、介護保険を補う独自の支援事業を実施し、高齢者や家族を支えてきましたが、介護保険が改定されるたびに市独自事業も廃止や削減してきました。この間の流れから、わずかに残された独自事業まで新年度からの「第7期計画―かわさきいきいき長寿プラン」策定のなかで、廃止や縮減をされるのではないか、たいへん危惧します。
川崎市の高齢者福祉の予算は、この3年間で2万8千人もの高齢人口の伸びに対して2億円しか増えていないのは、あまりにも冷たい仕打ちです。川崎市を様々な分野で支えてきている高齢者の福祉施策を充実させ、高齢者福祉予算は増額すべきです。
地域包括ケアシステムと地域見守り支援センターについてです。
困難をかかえる住民を包括的に支えるためには、職員をきちんと配置することが不可欠であること、公的に支える部分をしっかり機能させることこそ、自助・互助の取り組みも生きてくることを指摘してきました。そのためにも地域見守り支援センターに地区担当保健師と連携して妊娠・出産などに関わる支援において、その専門性を発揮している助産師の各区配置、さらに保健師の増員を求めておきます。
特別養護老人ホームの抜本的増設についてです。
昨年、10月1日の特別養護老人ホームの待機者数は4,482人、待機率は人口100万人規模の政令市中、高齢者人口比でワースト1であることを指摘し、あらゆる手立てを尽くして用地を確保し、待機者解消に向けて抜本的な増設を求めました。
答弁は「来年度策定の『第7期計画いきいき長寿プラン』で検討して行くとのことですが、待機されている9割近い方は「介護者がいない」「介護者はいるが、介護者が要支援・要介護状態や高齢、病気療養中、就労、育児中」などこのままでは、生活が立ち行かない深刻な状況を訴えています。こうした実態に応える整備計画に切り替え待機者解消に向けて抜本的な増設を求めておきます。
中小企業の支援策についてです。
製造業や建設業の減少による「ものづくり」の基盤が失われつつある中で、「住宅リフォーム助成制度の創設」や「新製品・新技術開発支援事業」など「技術革新」や「販路拡大」の予算額の拡充など具体的な支援策の提案を行いました。新年度予算では、「内陸部操業環境整備事業費」が計上されるなど、事業者の声に応えたものもあるものの、「住宅リフォーム助成」については制度の創設は行わず、経済労働費も制度融資の預託金を除く予算は、2011年度の半分ほどになっており、支援が先端産業・拠点開発中心になっており、コンベンション整備事業費も除くと、予算額は25億6千万円、一般会計に占める割合は0.36%と今年度予算よりもマイナスになっています。4月に施行された「川崎市中小企業活性化のための成長戦略に関する条例」では、「小規模事業者」の事業継続への支援を求めています。市内小規模事業者を支えることの出来る支援策をそのメニューにおいても、その規模においても拡充するよう求めておきます。
正規労働者の雇用を拡大する対策についてです。
キャリアサポートかわさきの就業マッチングでの正規雇用は、「毎年、着実に実績を伸ばしている」とのことですが、2016年12月段階で正規雇用決定者は登録者のわずか3割にすぎません。求人開拓員5人では、希望に沿った正規雇用は創出できません。求人開拓員の増員を求めておきます。
正規雇用拡大策として、市内企業の9割にあたる中小企業への支援策として、非正規労働者を正社員に転換した場合の奨励金助成制度や介護・保育の担い手不足が深刻な川崎市で奨学金返還支援制度を実施することを求めておきます。
株式会社東芝のリストラ影響対応についてです。
東芝は経営の失策で債務超過の危機に陥る状況と伝えられ、これを乗り切るため、あらゆる手段でリストラを進める姿勢を示しています。大量の雇用調整が心配されます。社員数19万人、関連企業や下請け会社の社員とその家族への影響、併せて地域経済への影響の大きさは計り知れません。市長を本部長とした雇用対策本部の設置を求めましたが、その姿勢が見られませんでした。雇用を守る自治体の責任者として、東芝に対してリストラ内容の報告、雇用者が不利益にならないための対応を指示することなどを含め、あらためて雇用対策本部の設置を強く求めておきます。
市職員の労働環境についてです。
市職員の長時間労働の実態は異常です。36協定の時間外勤務の限度時間、年360時間を超えて働かされている職員が942人、過労死ラインである月80時間を超えた職員が528人、年1000時間を超えた職員が28人もいる実態が明らかになりました。川崎市と同程度の職員数の規模を持つ神奈川県と比べても月80時間を超える職員数は2倍、年1000時間を超える職員数は14倍にもなります。最大の原因は、人口が10年間で15万人も増えているのに、1500人も職員を減らしてきたことにあります。
36協定を違反して働かされている職員が1000人近くいるということは、すべての部局で違法な残業が常態化しているということであり、市民サービスにもかかわる問題です。異常な長時間労働の改善と職員の増員を強く求めます。
議案第3号川崎市職員定数条例の一部を改正する条例の制定についてですが、職員の長時間労働がこれだけ深刻になっている中で、市長の事務部局などの定数が増員されていないことから、この条例には賛成できません。
防災対策についてです。
地震防災対策の第一の柱である住宅の耐震化を抜本的に強化することは欠かせません。2016年度に使いやすくなったとされる制度を活用しての耐震改修実績が伸びなかった理由について、経済的な理由などで途中辞退された方が多かったからとのことでした。つまり、財政的な支援が拡充されれば、改修工事に至る事例が増えることを表しています。市長は、今後も多様な耐震対策メニューを検討し、市民が利用しやすい制度とすることで推進すると答えられましたが、同時に、限度額の拡充と抜本的な予算の増額によって、経済的理由で辞退することなく、耐震改修を実施できるように改善を求めておきます。
武蔵小杉駅周辺再開発等に伴う課題の解決についてです。
武蔵小杉駅の異常な混雑状況は、重大事故が発生する前に、一刻も早く改善しなければなりません。ホームドアの早急な設置、ホームの増拡幅、新しい改札口の整備を急ぐよう改めて要望しておきます。武蔵小杉駅周辺のまちづくりの諸課題、せめて子育て環境の整備や駅舎などのインフラ整備、地域の環境改善などを解決できないかぎり、これ以上の超高層住宅の建設は進めるべきではありません。
羽田連絡道路と臨港道路東扇島水江町線の整備についてです。
この2本の橋の整備について、市長は「経済の発展を牽引する重要なインフラ」「力強い産業都市づくりに必要」と強調するばかりで、市民生活にとっての必要性はほとんど説明できませんでした。
羽田連絡道路については、これまでも首都圏最大規模の貴重な干潟を壊す環境破壊の事業であることに加え、新たな事態としてすでに3㌔河口側では総事業費1280億円、市負担分220億円もかけて浮島と羽田をつなぐ国道357号・多摩川トンネルが工事着手することになり、「二重投資」になることなどから中止を求めてきました。
市内には既存の橋が600以上あり、架け替えを含め老朽化対策が必要な橋が多数あります。昨年3月に発表された「川崎市橋梁長寿命化改修計画」では、「これまでの維持修繕の取り組みを上回る速度で劣化損傷が進行している」「今後、橋梁の維持修繕費用の増大や架け替え費用の一時的集中により、大きな財政負担が懸念されます」と指摘。比較的大きな165本の橋梁について、架け替えを含めた従来の対処療法では60年間で最低でも620億円かかると試算し、これらを予防保全型の修繕を行うことで半分程度に縮減するとしています。こうした市民生活を支えている数百本に及ぶ橋梁の老朽化対策、維持補修に全力で取り組まなければならない時代に、市民生活にとって必要性が不明なまま、2本だけで840億円もかかる新たな巨大は橋を同時に建設する、羽田連絡道路と臨港道路東扇島水江町線の整備は行うべきではありません。
議案第35号市道路線の認定および廃止についてですが、この議案には、市民生活に必要な市道の認定・廃止が含まれていますが、羽田連絡道路の道路認定があることから、反対です。
議案第2号川崎市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。
これは、生活保護関係情報と一体的に管理される外国人生活保護関係情報および、国民年金法による年金の被保険者の資格に関する情報の利用を拡大するための内容です。情報漏洩によるリスクの大きいマイナンバー制度の利用範囲を拡大することに反対していることから、本議案については、賛成できません。
議案第10号川崎市地震対策条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議案の前提となるガス事業の自由化に関する国の制度改正に際し、私たち日本共産党は、電力・石油など巨大資本が10兆円規模の総合エネルギー市場を支配する「規制なき独占」となる危険があり、原発利益共同体の要求に応えた新たな「国策民営」の原発推進策の実行を政府に迫りうる条項が含まれていること。公共料金である電気・ガス料金について、電源構成を含む原価情報の開示義務があいまいなまま、公聴会などの民主的手続きを廃止しようとしていることは、消費者参画を望む国民の願いに背を向けるものであることから、反対した経過から、本議案については賛成できません。
議案第11号川崎市市税条例の一部を改正する条例の制定についてです。
本議案は、消費税10%増税を前提とする条例改正になっています。私たちは、消費税増税に反対をしている立場から、この議案には賛成することはできません。
議案第22号川崎市学校給食センター条例の制定についてです。
文教委員会では、南中北の給食センターには最低でも、学校標準法の規定により、8人の栄養士を配置し、まずは、中学校給食を安定稼動させたのちに巡回指導を行なうとの答弁でした。しかし、3センターに8人の栄養士では、とても充実した食育を行うことはできません。また各中学校での食育について「小学校の栄養教諭も含めたネットワークを活用する」「学校全体で食育を行う」とのことでしたが、充実した食育を行うための要となる栄養士・栄養教諭の増員なしに対応しようとしても、ただでさえ多忙な現場に負担を強いることになります。
本条例については賛成するものですが、栄養士・栄養教諭を市独自に追加配置することを求めておきます。また、私たちの現地調査では、調理場が建設可能と考えられるスペースのある中学校が少なくとも10校程度あることを確認しています。可能なところは自校調理方式にすることを求めておきます。
議案第42号平成29年度川崎市後期高齢者医療事業特別会計予算については、高齢者に差別医療を持ち込む後期高齢者医療制度に反対の立場から、賛成できません。
請願第30号教科用図書選定審議会の公開を求める請願についてです。
この請願は、現在、非公開となっている「教科用図書選定審議会」の公開を求めるものです。本市の自治基本条例の第26条「会議の公開」は、「市長等におかれる審議会、審査会等の会議は正当な理由がない限り公開します」と定め、「川崎市審議会等の公開に関する条例」でも第1条で「審議会等の会議を公開することにより、透明かつ公正な会議の運営を図り・・・市民の知る権利の確保に資するとともに、開かれた市政の実現を一層推進することを目的とする」と定めています。
教育委員会は、「教科用図書選定審議会」を非公開とするという理由を、当条例の第5条、非公開にすることができるという規定から「公開することで発言者を特定することができてしまい、場合によっては誹謗・中傷、嫌がらせ等が起こる可能性があり、自由活発な論議ができなくなる恐れがある」としています。
しかし、当選定審議会は、調査研究会が調査研究した報告書及び各学校の調査研究報告書を参考に、学習指導要領に照らし適切かどうかなどを審議する会議であり、誹謗中傷などが想定されたり、自由闊達な議論を妨げるものではないと考えます。市民の知る権利を保障するためにも「教科用図書選定審議会」を公開すべきと考えることからこの請願の採択に賛成いたします。
以上の立場と予算組み替えとの関係から日本共産党は、議案第2号、議案第3号、議案第10号、議案第11号、議案第35号、議案第37号、議案第38号、議案第42号、議案第45号、議案第49号、議案第52号、議案第53号に反対し、その他の議案、報告、請願第30号を含む請願については賛成及び同意することを表明して討論を終わります。
以 上