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川崎市子ども夢パーク・フリースペースえんを視察~子どもたちに安心できる居場所を~

DSC_049011月5日夜、高津区にある「川崎市子ども夢パーク・フリースペースえん」に、市古映美・大庭裕子・石田和子・宗田裕之・石川建二・斉藤隆司の6名の議員で視察に伺いました。
今年2月に川崎の中学1年生が殺害される痛ましい事件がありました。事件では、殺害された生徒の不登校が続いていたにもかかわらず、学校や周囲の大人が対応できなかったことが指摘されています。事件から半年の8月に、教育委員会検証委員会の外部有識者会議から「中学生死亡事件に係る専門委員からの提言」が出されました。提言では「子どもに安心できる安全な居場所がなかったことが今回の事件の大きな要因の一つ」だと述べられています。
その提言に文章を寄せられた専門委員の1人で夢パーク所長の、西野博之(NPO法人フリースペースたまりば理事長)さんから施設や取組みの説明を受けました。

151105-2川崎市子ども夢パークは、2000年に全国に先駆けて制定された「川崎市子ども権利条例」を実現する市の施設として、「子どもの自由な発想で、遊び、学び、作り続ける施設(場所)」を基本理念に2003年7月にオープンし、夢パーク内に不登校児童生徒の居場所として「フリースペースえん」を開設、運営を「NPO法人フリースペースたまりば」が行っています。
夢パーク内には屋根付きのスポーツ広場や、会議や勉強などができる多目的室、「フリースペースえん」など交流スペースや、土と木と水の自然の広場があります。広場では火おこしをしたり穴を掘って泥んこになったり、道具や工具を使って、遊具や小屋などを自由につくって壊したりと、様々に遊ぶことができるようになっています。子どもたちのやってみたいという気持ちを大切に、失敗してもそれを乗り越える事で自信をつけ、自分で決めたり危険を判断したりできるようになる、こどもが主役の遊び場です。

151105-_thumb3「フリースペースえん」は、不登校や引きこもりや障がいを持つ子どもなど、学校に居場所をみつけられない児童生徒が自由に過ごせる居場所です。元教員や俳優を招いての講座の自主企画があり学習支援にも取り組んでいます。開設時間の10時半から18時、いつ来て、いつ帰るか、その日なにをして過ごすかなど、その日のプログラムは子どもが自分で決めます。
「誰かにやらされるのではなく自分でやるのが基本。私たちが大事にしているのは「やってみたいことにチャレンジする機会」と「安心して失敗出来る環境づくり」。目先にとらわれず長いスパンでこどもの育ちを考え、寄添い続けるまなざしのなかで、一人一人が他者とのつながりを実感し、いろいろが体験を重ね、…自分はここにいていいんだ・・・ひとりじゃないんだ…自分には生きている価値があるんだ、そんなふうに思える自己肯定感や自尊感情を育むことがとても大切であると考えている」との基本理念を説明していただきました。
お昼ご飯をスタッフと子どもが一緒につくって、みんなで食べることを毎日必ずやっているとのことで、「貧困の家庭などでは空腹で自己肯定感が育っていないことが共通していえる、みんなでつくって食べると本当においしい」と、この子ども食堂のような居場所が地域の中にあることの必要性を強調されていました。

PB0507731_thumb説明の後に議員から、支援が必要な子どもをどう見つけるか、学校や地域や相談窓口との連携についてなど質問があり、学校にソーシャルワーカーが配置されていることが少ない、地域の協議会の仕組み作りが必要などの課題を教えていただきました。
貧困や虐待、不登校やいじめなどの子どもにかかわる問題について、学校や家庭、地域で共有し解決してゆくためには、行政が責任を持って仕組みを整えることが求められます。
説明の中で西野さんは、「川崎市子ども権利条例」の策定にかかわった子ども委員会が2001年3月に発表した「子どもからおとなへのメッセージ」を紹介されました。
「まず、おとなが幸せにいてください。おとなが幸せじゃないのに、子どもだけ幸せにはれません。おとなが幸せでないと、子どもに虐待とか体罰とかがおきます。条例に“子どもは愛情と理解を持って育まれる”とありますが、まず、家庭や学校、地域の中でおとなが幸せでいてほしいのです。子どもはそういう中で、安心して生きることができます。」
子どもの貧困解決を求める世論の高まりや支援の広がりを受け、今後、政府もひとり親世帯や生活が苦しい世帯の子どもの学習支援・居場所づくりについて取り組む方針を示すなど、対策を迫られています。日本共産党川崎市議会議員団は、引き続き安心して子育ができる環境と、子どもたちへのゆたかな教育を市に求めていきます。


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