新たな市民負担増を示す「新行革プラン(素案)」に市民から強い批判
川崎市の阿部孝夫市長の「新たな行財政改革プラン」素案に、市民から批判の声が上がっています。これまでの「行革」で福祉を削りに削ってきた後の新プランは、医療、保育など、各分野で新たな負担増の方向を打ち出しています。10月2日、日本共産党川崎市議団が開催した、「新行革プラン素案」学習会に、市民ら約110人が参加し、くらしや営業の深刻な実態やプランの問題点が次々と出されました。
新行革プランの説明・報告をちくま幸一市議団長
日本共産党川崎市議団のちくま団長は、「これまでの行革で、ほとんどの市民サービスが切りすてられ、もはや削るところが無くなっている状況のもとでもなお、重度障害者医療費助成制度や高齢者外出支援乗車事業などの見直しまで進めようとしている。そして、削減するところが無くなったので、新たな市民負担増を求め始めた」と指摘し、保育所保育料の見直し、保育選考基準の見直し、高等学校奨学金制度の見直し、自転車老駐車場整理手数料の見直し、市立高等学校定時制過程における学校給食の見直し、事業系ゴミ施設搬入手数料の見直し、障害者施設運営費補助の見直し、市立葬祭場使用料の見直し、ゴミ減量化に向けた経済的手法の活用、障害者の移動手段の確保等事業の見直し、検診事業の見直し、市営墓地管理料の見直し、学校施設開放における受益者負担の導入が上げられていると述べました。
さらに、「今パブリックコメントを募集している『地方分権の推進に関する方針(案)について』で、『基礎自治体が高い自由度のもとで、自主的・自律的な行財政運営を行っていくた めには、義務付け・枠付け又は関与を原則として、すべて廃止する事が必要』としていることは、先行している自治体の動向から見れば、ナショナルミニマムを解体し、規制を外して自治体の軽量化、地方公務員のさらなるリストラを押し進めようとする意図が見える」と指摘しました。
そして「歳入を控えめに、歳出を過剰に見積もって、収支不足を実際より多く描いた『財政フレーム』を理由に市民に我慢と負担増を押し付けようとしている」一方で、国際コンテナ戦略港の指定を受けて、新たな3つのバースの整備など、少なくとも1千億円以上を川崎港のインフラ整備に投資しようとしていると指摘して、「福祉を切り捨て、地方公務員をさらにリストラして、浮いたお金を大企業が喜ぶ拠点開発にどんどん注ぎ込もうとしている」と批判しました。
参加者から声次々
知的障害者の生活介護事業所で支援する山中淳子さんは、障害基礎年金の支給額が生活保護基準よりも低いなか、障害者の家族は一生懸命に生活している実情を語りました。新プランが、重度障害者医療費助成制度事業などの見直しをあげていることに対し、「障害者の方たちを市民と考えていないのではないか。憤りを感じます」と述べました。
聴覚障害者の藤永忠さんは、障害者が不況で雇い止めにあうなか、医療費助成や心身障害者手当ての見直しは非常に心配と述べました。新プランは、重度障害者への支援の重点化を図るとして、障害者の移動手段の確保等の事業の見直しに向けた検討を進めるとしています。藤永さんは「軽度障害者を切り捨てることになっていくのではないか」と指摘。「障害者分野が狙い撃ちにされている印象。ぜひ共産党に頑張ってほしい」と語りました。
新プランは、債権確保策として、介護保険料や国民健康保険料の収納対策の取り組み強化を明記しました。市社会保障推進協議会の田中国雄事務局長は、市がこの間、国民健康保険料の滞納者に有効期間が短い受療証を制裁措置として発行していることを批判し、引き続きたたかっていくと訴えました。