神奈川県総合リハビリセンターを視察
2008,05,02, Friday
日本共産党川崎市会議員団は4月17日、神奈川県総合リハビリテーションセンターを視察しました。参加者は竹間幸一、市古映美、井口まみ、斉藤隆司、大庭裕子、石川建二、勝又光江、石田和子の各議員と政務調査員2名。神奈川リハビリテーション事業団事務局長、 総務課長に対応していただきました。
川崎市が示したリハビリセンター再編整備計画(08年1月)では基本的考え方として「病院での急性期治療・急性期リハビリテーションを受けた後の社会復帰まで必要なリハビリ・社会生活支援および、その後の障害管理を担うもの」としています。
障害福祉の分野ではリハビリテーションは、障害を認知した時・急性期から医療と福祉が連携して総合的にケアすることが必要だとされており、そのための総合的な施設整備が求められています。
今回の視察は、設置の考え方、施設の機能、障害者に対する支援の在り方を聞き、川崎市のリハビリテーションセンターのありかたを検証することを目的におこないました。
神奈川県リハビリセンター
同センターは約20万㎡の敷地内に、2つの病院と5つの施設があり、その他、厚木駅付近にも看護学校があります。訪問した「神奈川県リハ病院」は、昭和48年に建設され、改修を重ねながら35年間維持されてきた。
院内の廊下は、車いすが4列でゆったりとすれ違える幅が確保されているなど、建設当初から障害者に対する行き届いた対応が感じられた。
最初に浅野滋春事務局長があいさつし、事業紹介ビデオなどを見ながら同センターの機能と役割について説明。同病院は医療からリハビリ訓練、生活支援など専門スタ者に専門的なリハビリ医療を施し、長期社会参加をめざすことを目的としたリハビリ専門病院ということで、神奈川県より委託を受けた「リハビリテーション支援センター」と、学校を除いた事業がH18年から指定管理者制度に移り、立場上は民間の運営であり、昨年から「自立支援法」に移行している。
2次障害にまで対応できる総合的サービスを実施
リハビリには、医学的リハビリ、職業リハビリ、社会リハビリなどの形があり、それぞれ、ほぼマンツーマンの形で行われている(1単位20分を2単位ごとに実施)。
総合リハビリということで、医師、看護士、理学療法士、作業療法士、体育訓練、リハビリ工学などがそろっていることが特徴的であり、たとえば脊髄損傷の患者に対して専門病棟での合併症の予防や訓練などの総合的サービスを施しているという点では県内唯一の施設である。
事務局長は、急性期・回復期のリハビリセンターとしてのあり方、あるいは福祉との連携をどのように考えたらいいのか?との質問に、急性期の場合、対象疾患のどこを狙って回復させるかによって考え方が違ってくるが…と前置きしながら、ここは全国の都道府県のリハビリセンターとしては珍しく、診療科としては産科を除き、16科揃っている。障害者にとって、次に起こる障害まで対応できる仕組みが必要であり、急性期や回復期に変化が起きた場合、それの受け止めができないと救急車は他の病院に転院させてしまうことになる。
どこを狙って機能発揮するのかによって治療方法が違ってくるのであり、この病院では、脊髄損傷とか脳卒中とか高次脳機能障害など脳外傷など難病関係に絞り込んでいるので大丈夫だが、合併症が起きた時に手術の場合でも全身管理ができないと対応できない。内科はもちろん、診療科をできるだけ揃えておくことが大事だと思うと述べた。
患者が安心して退院できる受け皿の整備が大事
さらに、川崎市の場合を考えても、投資効果の上で、新たに作るのか、既存のところに付与するのか、今ある社会資源をどう活用していくのかを考えるのが重要ではないか。高齢者などは、転んだりして脊髄損傷する場合が多い。アスペルガーとか、ADHDとかになる人もあるが、そこまで診るのかどうかということになると、病院では歩留まりができてしまい、回転していかない。リハビリは社会復帰がメインであるので、中間型の機能として病院機能を持つということでないと難しいのではないかと思う。病院は急性期で2週間ぐらいだし、20日ぐらいで一般病棟に移るということになるが、そのあと、機能訓練であれば1 50 日とか、脳卒中であれば180日とか心疾患であれば90日とか、国の規制があり、それを超えると単価が下がってくるので、(3割?)出さざるを得ないという実態があるので、その先をケースワーカーやソーシャルワーカーがプロモートしてあげないと、患者も安心して出ていけないことになる。 その辺を市や区が受け皿として役割を果たさないといけない。
維持期はやはり、老健施設とか老人ホームとか老人病院が受け皿として対応せざるを得ないのかなと思う。
川崎市の場合を見ても、予防や予備軍も含めて、区で完結する仕組みが当然なければいけないのでは。新たに再編整備される施設がそういうカリキュラムを作るなど体育指導員をつけるとか、自分の一番身近なところでサービスを受けるということが必要。どちらかというと手が付けられないような、急性期などは全県一区(でいい)なのかなあと思う。政令市との役割分担などはないし、いつでも申し込んでいただければ受け入れると述べた。
指定管理者制度にしても待遇の維持が大事
さらに、指定管理者制度についての考え方、継続性の担保について聞いてみた。
事務局長は、同病院の場合は10年契約となっている。指定管理は効率的なサービスを安価でということなのだが、県も対象事業者を決めている。川崎市が市立病院としてやるなら、指定管理もあるが、独立行政法人ということもある。しかし、2回目3回目となるときついと思う。ある程度の(待遇)水準を維持しないと、医師も職員も集まらないのではないか。と述べた。
障害者への粘り強い説明責任
事務局長は「自立支援法」での運営の苦労の質問に答え、民間施設が存続できる制度でないとだめなわけだが、実質的にはここも赤字。しかし19年度は国の激変緩和で何とかもたせたが、いま国のほうでも見直しをかけているが入所区分基準や予算面を考えているようだが、90%以上はいっているところは難しいのではないかと述べた。さらに、苦しいところはたいがい必要以上のサービスとなっている傾向がある。ここでは、一定の事をしたあとはケースワーカーなどが、次の行き先を探して出てもらっている。その場合、きちんと患者に対して繰り返し説明を行なっており、生活保護の人に対しては次に住む場所も探してあげなければいけないと答えた。